第23話

パーシス産の鳥(phasianos)〔キジ〕について


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 自然究理家はこのものについて言った。「パーシス産の」と呼ばれる鳥であり、自分の雛たちを孵した後も、それらといっしょにすごす。しかし、誰か人間がこれを手に入れようとした場合、人間の前に自分自身を覚悟の餌として引き渡す、雛たちを野に逃散させるためである、そうしてこの時相手をだまし、喜んで立ち去る、人間を餌でおびき寄せたことで。

 聖なる王は云った。されば、そのように敵は人間どもを餌でおびき寄せる。例えば、人間が罪をつくったと想像せよ、そうして翌日、悪しき共有者が再びやって来たと想像して。「今日は、わたしに、そして明日は神に〔従いなさい〕」とクリストスは言う、「今日、あなたがたがわたしの声を聞いたなら」と〔Cf. ヘブル、3:7、4:7〕。されば、わたしたち[兄弟]は、わたしたちの神、善を望む方に聞きしたがおう、迷わせ騙すもの、人間が滅びることを企むものにではなく。なぜならこの鳥が<狩人をおびき寄せるように、そのように悪魔も>わたしたちの魂の害を画策するのだから。




 「パーシス〔河あるいは都市の名〕産の鳥」とは、キジの1種 Phasianus colchicus であるが、パーシス河からギリシア船でヨーロッパに運ばれたためだという(島崎註)。
 パーシス河はカウカソス山の南で東から黒海に注ぐ河で、河口にパーシスという都市がある。

 画像出典、Konrad Gesner『Historiae Animallum』III。