第30話
野ロバ(onargos)について
自然究理家はこれについて言った 野ロバと言われる動物がいる、群の長として数多くの牝を保有している、牡の子どもを妬むからである。牝の野ロバが牡をもうけた場合、父はその恥部を口でかみ切る。そこで多くの牝たちは離れて、茂みの場所で産み、そうやって牡の子を存続させる。
聖バシレイオスは云った。このような自然本性の持ち主が、パラオやヘーローデースである、前者はイスラエールを妬み、後者は主を妬んだ。哀れなるかな、彼ら、野ロバや畜生の心の持ち主として数えられるとは。彼らのみならず、人間どもの多くも罰を受ける、雄の子を去勢し、その自然本性を雄から雌に変更する者たち、何か善いことをすることを思いついたかのように身体の泥壁に逆らう者たち、多くは、恥部が奪い取られることで、生命をも奪い取られるのだ。恥部の奪取は完了し切除されるが、[肉と]快楽の欲望の方は、決して止むことなく敵対し、その人間を強制する。主によって栄化された者がいるとき、そのときあなたの中で肉の戦いが起こり、あなたは徳を打ち負かしたり、敵に逆らったりする。そのときクリストスにおいてあなたが去勢者となれば、あなたは王者クリストスから栄化されよう、ちょうど王の将兵たちのように。反転攻勢をかけ、勝利と勝利牌をもたらしたら、そのときあの方の好意と名誉によって交替した者たちは喜び、勇んで安らぎの中に宿り、王の館に住まうのである。
註