『勧告の諸章(Capita paraenetica)』

[底本]
TLG 4110 016
Capita paraenetica, ed. A. Elter, Gnomica, vol. 1 [Sexti
Pythagorici, Clitarchi, Evagrii Pontici sententiae]. Bonn: Georg, 1892:
lii.
5
(Cod: 191: Gnom.)





40.1.
[Α]救済の初め、自分自身の有罪宣告(katagnosis)。

40.2.
[Β]石をあてもなく投げる方が、言葉を〔あてもなく投げる〕よりましである。

40.3.
[Γ]あなたが万人に望むように、〔あなたも〕万人に対してそのようにあれ。

40.4.
[Δ]正義を、言葉によってよりも、行動によってこそ修練せよ。

40.5.
[Ε]敬虔なのは、多くの人たちを憐れむ人のことではなく、何びとにも不正しない人のことである。

40.6.
[Ζ]藁布団の上に横たわって生き、大胆であることの方が、黄金の寝椅子を所持して掻き乱されていることよりも、ましである。

40.7.
[Η]快適な愛友とは、魂を養い育てる人にほかならない。

40.8.
[Θ]「神」に対して、諸々の行動において敬虔であれ、言葉において讃美せよ、観念(ennoia)において尊崇せよ。

40.9.
[Ι]思い(phronesis)、生(bios)、そして生まれのよさ(eugeneia)が祭司をつくる。

40.10.
[Κ]最悪なのは、醜い情念に隷従することである。

40.11.
[Λ]言葉によっては、徳を教え、行動によっては、それを宣べ伝えよ。

12.
[Μ]徳を持っていることが美しいことだと考えるな、なすべきとおりに〔実行する〕ことが〔美しいことだと考えよ〕。

13.
[Ν]律法を尊ぶことで、律法に遵ってあなたは生きられよう。

14.
[Ξ]異邦人とは、その人にとってこの世のものらが異邦のものである人にほかならない。

15.
[Ο]嫉妬する人は、自分自身を損なう。なぜなら、他人に対して悪く発言する人は、自分自身のせいで先に悪い目に遭うのだから。

16.
[Π]富裕者には、へつらうことも、怒らせることもするな。

17.
[Ρ]酒は身体を強くするが、魂を〔強くするのは〕神の言葉である。

18.
[Σ]快適な穀物を用いるのではなく、有益なのを〔用いよ〕。

19.
[Τ]群衆に気に入られようと試みる者は、群衆の同類。

20.
[Υ]何ものにもまして、身体を消尽せよ。

21.
[Φ]愛労者(philoponos)とは、時間が有り余っているひとにほかならない。

22.
[Χ]キリスト教の恰好を受け容れるのではなく、魂の思い(phronema)を〔受け容れよ〕。

23.
[Ψ]非の打ち所のない人を非難するのは、神に対する罪である。

24.
[Ω]耳や舌の危険は甚大である。

2005.01.31. 訳了。