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■ 八掛の染色工程  

正絹生地の糊抜き→精練→漂白→墨打ち→色合わせ→染める→蒸す→整える→仕立て→納品
●素材検査  

問屋から供給された加工素材である正絹に傷がないか確認すると同時に、精練(繊維の原料から不純物を取り除くこと)を行う。不純物が含まれていると、染めにくくなったり、ムラ染めになったりするため糊抜きを行う。天然繊維に初めから含まれている物質は1次不純物(ペクチン、ろう、脂肪、蛋白質、色素など)布にする行程の中で付着した物質は2次不純物(紡績で使用した油や糊など)と呼ばれている。


精練残査

精練されたあとでも若干の付着物が残留しており、これは精練残査といい染色場での難もの発生の原因のひとつとなっている。白生地の保存中に湿度、温度、空気中の酸性ガス等の影響によて脂肪酸を生じたり、油焼け、蛋白質の変化などを誘発する。この現象は時間の経過とともに進行し、生地の経時変化という。精練の終わった生地を一年間も放置しておくと、見た目にも黄色く変色しているのがわかるようになるのもこれが理由である。経時変化の進んだ生地は染色性も悪くするので、再精練・湯通しが必要とされる。このことからも精練の終わった白生地はできるだけ早く染色加工にまわすことが大切であるといえる。
特に淡色染めの場合、きれいに色をだすためには完全に漂白しておく必要があります。
※精練剤Scouring agent
天然繊維中に含まれている不純物を除去する作業を精練という。
澱粉糊なども含まれているが、このような糊を除去することを糊抜きDesizingとよんで区別することもある。
アルカリまたは石鹸がもちいられrている。生糸の場合は30%程度含まれているセリシンの大半を除去するために炭酸ナトリウムケイ酸ナトリウムと石鹸を使用して精練します。
※石鹸
脂肪酸の金属塩を指し通常の石鹸はナトリウムまたはカリウム石鹸と呼ばれる物で鯨油や牛油等の油脂(主成分はオレイン酸のグリセリンエステル)をアルカリで加水分解して製造されている。アニオン界面活性剤の一つで水に溶けて弱アルカリ性を示す。石鹸を水に溶かすとある濃度以上でミセルを形成。

ゆのし

白生地に蒸汽をあて、たたみジワなどを延ばし、生地幅や長さを一定にそろえ風合いをよくする作業を「湯熨(ゆのし)」という。前準備のひとつとしてこのゆのしを行うのは仕立て上がったときに合い口でずれたりゆがんだりしないように寸法をそろえておくためです。染色加工前に行うゆのしを「下のし」とよびます。現在のゆのし加工はテンターという幅出し機械で行い幅をそろえています。

その後一反の生地に無駄がでないように鉛筆、青花(草木染めであとで消える)での墨打ち(下書き)を行います。特に染めパターンの特殊なものとして額縁染めの場合には青ばなを使用します。

●(手書き)染色行程  

絹布に使う染料は直接染料(浸染、無地染め)、ぼかし八掛用の染料としては酸性染料、金属錯塩酸性染料、反応染料などがある。

直接染料 媒染剤を用いなくても直接染めることのできる染料。絹のほかにも大抵の天然繊維を染めることができる。染料の構造が扁平で細長い形をしており、食塩のような薬品やフィックス剤の影響を受けやすい。弱い酸性の染浴を調整し煮沸浴で染色する。日光・洗濯に対してあまり堅ろうではないが低いコストで加工することができる。
酸性染料 植物性繊維にいはほとんど染まらない。科学的に見ると染料構造のなかに酸性の部分をもっていることから酸性染料と呼ばれる。酸を加えると染着が速くなる。ハイドロで煮沸すると色が抜けるものもある。
金属錯塩酸性染料 酸性染料のなかに金属錯塩酸性染料(含金属染料)と呼ばれる一群がある。酸性染料の化学的な構造中にクロムやコバルトの金属が入ったもので染色している間に繊維と金属と染料が固く結びつく性質があるため、強い酸性の浴で染めると日光・洗濯などに強い染色ができる。
塩基性染料 動物性繊維に対して、鮮明に染まり、染着力の強いことが特徴。塩基性染料は化学的に見るとその構造に塩基の形を持ったカチオン性の染料である。水によく溶けるが染料を溶かすときアルコールや酢酸を加えるとさらによく溶けるようになるが、酸性度が強まるほど繊維に対して染着する速度が遅くなる。この性質を利用すると一度に染まらず染めむらになるのを防ぐことができる。日光や洗濯に弱いが、他の染料では染めることのできない美しい色を得ることができる。
反応染料 酸性染料と同じような化学構造を持つ染料に絹等と化学結合する部分(反応基)を与えた染料です。色相は酸性染料と同様に鮮明なものが多く、水に溶けやすいうえに繊維と化学的に反応して染着するため、湿潤堅ろう度は良好で、日光・摩擦にもかなり優れた堅ろう度をもっている。この染料は長期間の保存に弱いため、その都度染料を溶かして使用する必要がある。

刷毛の種類

大丸中丸小丸五寸刷毛ぼかしの理屈グラデーションの作り方
染色の難の発生と名前  ムラができるふんどし、しんしあと ふちだまり ほいろ しりかす、染料液が使用中に生地の水分をとってうすくなって濃度差が出る。
張り木 刷毛 染色用具

枠場友禅

 布(一反または一疋の長さ)を伸子で張って水平につるし、刷毛につけた染料液をすり込んでいくのが引き染めです。この方法はわが国独特の技法で、絹の引き染めでは一反あたり染料液をほぼ1リットル使用します。引き染めは専門的な職人の手によって行われています。刷毛による擦り込みは布の上に染料液をムラなく引いていくのは至難の技でまさに職人芸といえます。いかに少量の染料液で擦り込むかが問題で、ごく少量の染料液を刷毛につけて擦り込むのがポイントなのです。

白場に染料が広がっていかないようにトンネルとよばれる強制に乾燥させる用具を用いる。

 

引き染めはすべて常温で行うため後で蒸しをして染料を固着させる必要があります。

「染匠」
●蒸し  
水蒸気で蒸すことによって、布の表面が布の表面に凝縮した微細な湯滴によって染着させることができます。湯滴によって擦り込んであった染料分子が溶解し、繊維の非晶領域の中へ拡散することによって、染料が繊維に染着するとされています。
※媒染
「堅牢に染着すること」ある色素で染色した際大きな親和力をもっていればよいが、天然色素の場合にはあまり大きな親和力を持っていないものが多いので。染色の前にあらかじめ繊維を何かで処理しておいて色素が染着しやすくするとか、染色のあとでしっかりと固着するように処理するとかの作業が必要になる。このような作業を総称して媒染と呼び、色素分子と繊維の間でこのような作業をする物質を媒染剤と定義しています。

 工場では吊り蒸しと水洗を行っています。3気圧の蔵で蒸汽で細胞をひらき酸性染料をいれてしめ、余分なものうわかぶりのある濃い色はそれを水洗で落とします。
●商品検査(地直し)染色補正  
整理・湯のし
布を裁断(カット)する前の処理で、布目を整え、耳の連れを伸ばして平にする。これによって仕立てたあとの型くずれ・収縮を防ぐことができます。さらに指定の加工普通整理と撥水整理、チョークマーク消し整理(きずがつかない)を行います。
テンタークリップテンターとピンテンター(38cm)でのりをつけてぴんとはらす、これを湯のしともいいます。
※ハイドロサルファイト(亜2チオン酸ナトリウムの2水温)染色関係では建染染料の還元によく使用されている。漂白剤としての作用は酸化漂白剤より穏やかで、繊維を傷めないので絹の漂白に使用される

・裁断(カット)25mくらいの6丈物と57mくらいの13丈物 1丈4m20cmにカットする
・仕立て(巻いてラベルつけてふくろ詰め)
・納品
●撥水加工(はっすいかこう)  
シリコン樹脂・フッ素樹脂などを用い、繊維を疎水性にすることにより水をはじく性質をもたせる加工。フッ素樹脂とは、フッ素原子と炭素原子を結合させた
(プラスチック)の総称結合する原子によって性質は異なる

■ ご注文  
ぼかし・無地の八掛を個人の方のご注文、卸し店からのご注文を受け付けております。色見本帳の作成から製品のラベル付けまで一貫して行います色についてはお気軽におたずねください。
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