■ 写真について

最終更新日:2007.09.16

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デジタルカメラや携帯電話(携帯カメラ?)が流行る昨今に、白黒銀塩写真は「手間暇がかかるし、もう古い」と思っておられる方もいるかもしれませんね。しかし、ちょっと待ってください。果たして、「もう古い」でしょうか? ちなみに、有名写真雑誌を見てください。白黒写真、しかも銀塩写真が堂々と掲載されています。なぜでしょう? この疑問に少しでも答えられたらと思って、このページを作りました。

まず、画素の話から始めましょう。現在、やれ600万画素だの、800万画素などと巷では噂が飛び交いますが、銀塩フィルムについてどうなのかは余りにも知らない人が多いようです。銀塩フィルムではCCDチップの画素数と全く同じ扱いはできませんが、似たようなことを考えることは可能です。銀塩フィルムでは銀粒子(またはその集まり)1個1個が画素に相当すると考えていいでしょう。では、銀塩フィルムは一体何画素に相当するのでしょうか。

この銀粒子(またはその集団)の大きさのデータを見てみましょう。田中益男氏の「写真の科学」という書物には、この粒子の大きさは0.2〜2μm(0.0002〜0.002mm)と書かれています。これは、顕微鏡で写真フィルムを見れば納得できる値です。そこで、この粒子の大きさを最も大きい2μmとしておきましょう。次にフィルムですが、普通の35mmフィルムとしておきましょう。このフィルムの画像の実サイズは24mm×36mmです。そうすると、35mmフィルムの画素数(のようなもの)は次の計算で求めることができます。

    (24/0.002)×(36/0.002)=12000×18000=216000000.

どうですか? 2億1600万画素!になります。現今のデジタルカメラの最大画素数と言えども、足下にも及びません。注意しておきますが、粒子の大きさが最大の2μmの場合です。最小の0.2μmなら、画素数(のようなもの)は、この100倍の216億になります。

これでおわかりのように、写真としての再現性は圧倒的に銀塩写真に軍配が上がります。デジタルカメラで撮影した写真はPCソフトでいとも簡単に「白黒写真」にできる、と思っている人があるかも知れませんが、決してそうではないのです。デジタルカメラからあのようにしてできるものは、本来の白黒写真とは似て非なる全くの別者なのです。まず、この点を知っておいてください。

実際,全国高等学校総合文化祭でデジタルカメラで撮影して作られた「白黒写真」を見たことがありますが、余りのひどさに私は眼をそむけたものです。

(文責:塚本)