光る3つの星


           もっともっといろんなことがありました。

           思い出すのは怒られたり、失敗したことばかり...

           でも どれもこれもみんな楽しいかったなぁ。

           あれ??こんなの全部悪いことばかり、こんなことでいいのかな

           いいことなにかしたかな?  どうしよう..星になれない!

           何か良いこと...なにか...今ごろ...もうダメかな...


           ぜいぜい..ますます苦しくなってきます。

           喉がからから..(水が飲みたい!)

           胸が苦しい..胸をかきむしりたい..息をするのも苦しい...

           起き上がるのも、つらくなってきました。

          (僕もう死ぬのかな)

          (あっ、お父さんだ・・お父さんのひざにもたれたい・・・

           そしてお父さんに・・・・お父さんありがとう)

          「お父さん!ロクが立った!ほら、歩いてるよ!ほら、ほら、しっぽもふっている!」

           お父さんの手が僕の胸を撫でている。なんだかちょっと楽になったみたい...
           

           とっても苦しいのに不思議に眠たくなってきました。

           朝子ちゃんがじーっとみています。

           なんだか、ぼーうとして、もう目を開けているのもつらくなってきました。

           このまま眠ったら、楽になるのかな?眠い...眠い.....

          (朝子ちゃんありがとう、お母さん、しのぶちゃんありがとう)


ぜいぜい..していた息がしなくなりました。 おだやかな顔をしてロクは寝ているようです。 あ!あ!ロクが死んでいる......... お父さん!お母さん! いつも怒ってばかりいたお母さんが泣いています。 朝子ちゃんもしのぶちゃんも「ロク、ロク」といいながら、 だんだん冷たく固くなっていく、ロクの体を優しくなでています。 お父さんもうっすら目が赤くなっているようです。 ロクの思い出話はいつまでもつきませんでした。 話しても、話しても次から次にでてきました。 どれも楽しかった、可愛かった、賢かった話ばかりでした。 ロクは子供でした。姉弟でした。家族の一員でした。 話をしながらそのことをみんながあらためて感じていました。
星のロク ロクが死んでから何日かがたちました。 あ!星が光った。空を見上げていた朝子ちゃんが言いました。 ほんと光ってる..みんなが見上げました。あんな南の空にいつもはなにもないのに ちょっと大きいめの星が2つ、その横に寄り添うように小さな星が1つ きらり!と光って見えました。 よかった、ロクはきっとお父さん、お母さんに会えたんだね。 みんなうれしくなって、空にむかっておもわず拍手をしていました。



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