そのとき、”それ”は出現した。
バス停の名前に「なぎさ荘」という文字が・・・。
「おお、なぎさ荘!」・・・”渚”という言葉に人一倍思い入れのある(笑)私は、半ば興奮状態にあった。しかもバス停の名前になるぐらいだ。さぞかし由緒あるところであろうという勝手な想像は、その一瞬で果てしなく広がっていた。
バスが「なぎさ荘前」に到着した。ログハウス風の建物などぽつぽつ見受けられる。看板をみると、”SEAWEST”とある。ここではないらしい。しかし・・・ほかにはそれらしい建物は見あたらないのだ。
「どれや?なぎさ荘?!」・・・焦りで半狂乱気味の私を乗せたまま、バスは無情にも発車する。そんな私の様子を仲間たちは暖かく見守ってくれていた・・・。
結局、「なぎさ荘」の文字は、バス停の名称以外には見つけることができなかった。疑惑とわだかまりを抱えたまま、バスはマリンピアに到着したのであった・・・。
帰りにももう一度確認したが、やはり「なぎさ荘前」になぎさ荘はなかった。その名称だけが、私の胸に深く刻み込まれていた。
京都に帰ってきてから約1週間たったある日のこと。S氏から1通のメールが届いた。「適当に地図を眺めていたらこんなのがあったので・・・」とかかれたメールの添付ファイルを開くと・・・
なぎさ荘周辺の地図である。みると・・・ない!どこにもない。やはり周辺には”SEAWEST”しかない。
「ないのかーー?!」
声なき絶叫がチャットルームに響きわたった。
結局、なぎさ荘の所在は不明のまま。謎の存在として処理されたのであった。
これが、なぎさ荘の全貌である。
・どなたか、なぎさ荘の真実を知る人はおられませんか。
ご存じの方、おられましたら、私にご一報ください・・・。