うきうき短編ノベルズ
『101匹悪玉妖怪会議 in 京都』
by 浮世絵太郎(4.10. 1997)

 風の噂に聞いたことじゃ。
 今年の春、大粒の雨が天からぼたぼた降りしきる夜。幾百年にわたって日本各地で悪さを働いてきた悪質な妖怪たちが101 匹、京都大原のとある祠に集まり、こんな話をしていたとな。
「わしゃ、もう悪事を働くのがいやになった」
 切り出したのは、切り裂きジャックもビビらせた、カマイタチの言葉でござった。
 他の妖怪たちが皆、この一言で水を打ったようにしんみりとなったのは、続く言葉が彼らにも予想できたからに違いあるまい。カマイタチは盃をぐいとあけ、ぷはーっと大きく酒臭い息を吐くと、赤ら顔でかように続けた。
「いくらわしが悪さをしても、人間ども、最近はちーともこたえん。強くなったと言うか何と言うか」
 そこまで聞いて、たまりたまった鬱憤を抑えきれず、吐き捨てるように、思わず遮ったのは牛鬼でござった。
「連中の方が、今やわしらより、よっぽど悪どいんじゃ!」
 その瞬間、そうだそうだの大合唱がわきおこり、その夜、大原の里では、激しい雨足をかいくぐって聞こえてくるこの世のものとは思えない不気味なざわめきに、多くの人々が不安な一夜を過ごしたそうな。
 堰を切ったように、妖怪たちは、人間の悪辣さを次から次へとあげつらった。
 曰く、日本中に植林しながら、熱帯林を刈り尽くす。
 曰く、電力の恩恵を受けながら、発電過程で生まれた放射性廃棄物は己の土地から遠ざける。
 曰く、米軍にいてくれなきゃヤだと言いながら、その基地は沖縄だけに封じ込める。
 曰く、グリーンウェルはアメリカに帰ったままだ。
 妖怪ならずとも、この悪辣さにはため息が出ようと言うものだ。
 その後、集まった悪玉妖怪たちは、人間を凌駕する悪の道へと精進すべきか、それとも逆に善の道へと方針転換するべきか、それともそれとも、悪玉妖怪が悪玉妖怪たりうる国を探して放浪の海外旅行に出るべきか、激しい討論を繰り広げたそうじゃが、その結論は、風さんは教えてくれんかった。実に口惜しいことよ。


キーワード

覚悟はあるか

 ちゃんちゃんちゃらちゃら 
 ちゃんちゃんちゃらちゃら。

 ちゃんちゃらおかしく愚かしいのは、
 自分の選挙区に在沖海兵隊基地を持っていく覚悟も力量もない連中が、
 国政の中心で日米安保の重要性を説いている様であろう。
 醜く、無様で、悪臭が漂ってくる。
 愚劣で、見苦しく、汚物をまき散らかしている。

 言っておくが、私は安保反対論者ではなく、反米帝国主義者でもない。
 ハリウッド映画を愛し、
 シュルツ氏のピ−ナツ・シリーズを愛し、
 自由と民主主義を愛し、
 人種差別・国籍差別を愛さないどころか憎んでいる、
 善良な親米日本人である。
 それどころか、
 いざと言うときにはカミカゼを強要する、マフィアまがいの日本人政府より、
 アメリカ軍の方がよほど人間として信頼できる、
 とまで考えている親米日本人である。

 だから、日米安保条約に基づき米軍が日本に駐留するのに反対する気などまったくないのだが、
 その基地を沖縄に押しつづける点に関しては、力の限り反対する。
 人に痛みを押しつけ、いくばくかの金を渡して黙らせる。
 そんな生き方、私の望むものではない。

 ああ、日本よ、日本よ。

 あい はぶ あ どりーむ!
「とっとと破産して、放射能にまみれて滅んでいくがいい。
 ばいちゃ。」
 と言い残して、貴様に三行半をつきつけるという夢が。

 年金になんか絶対入ってやらんもんね。
 ちなみに、グリーンウェルについて詳しいことは、阪神ファンに聞いてみてね。

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