今週の論説
バンジージャンプが京都を救う
(1.16. 1997)
京都タワー、京都ホテル、そして今秋完成する京都駅新ビル。その巨大な風貌は古都に似合うものなのか。
もともと京都の人間でない私には、古都の美に止めを刺すものに思える。こんなものを次々に作ると観光客が遠のくだけではないのかと心配になってくる。
いらぬ心配かも知れないが、京都の未来を案ずる立場から、その無粋を京都への観光客増加に結び付ける起死回生の策を提案したい。京都タワーのバンジージャンプである。
(97年1月2日。京都タワーを見上げてみた。)
高さ130メートルの京都タワーから烏丸通と塩小路通へ飛び下りる。100メートル超という高さだけでなく、激しい交通量を誇る2つの通り目掛けてのジャンプは世界中の話題を独占すること必至。繁盛間違いなしである。
それを見れば清水寺もバンジー戦争に参入するだろう。キャッチフレーズはもちろん「清水の舞台から飛び下りる!」。伝統美あふれる建物から伝統的言い回しを体験するこのジャンプも、世界中の話題を独占すること必至。これまた繁盛間違いなし。
かくしてモダンと伝統の双璧が観光都市京都を救うのだ。
どうだろう。このバンジージャンプ。皆さんも試してみたいと思わないか?
キーワード
大きいことはいいことだ
これは日本古来の美意識に沿う言葉なのだろうか。
茶の湯。わびさび。借景。庭園。そして盆栽。
どれにも似合わない。
大仏や巨大な寺院など、大きく素晴らしい建造物もあることはある。
だがそれはただ大きいだけではなく、
深遠な哲学めいたものを感じさせる奥深さを持っている。
京都タワーや京都駅新ビルに、それはあるのか?
本当のところはどうなのか、どうぞたしかめるためにも、
京都へおこしやす。
(京都駅新ビルは、1997年7月12日にオープンしました。)
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