大晦日の夜、年が変わる少し前から、京都の町のあちこちから除夜の鐘が聞こえてくる。
さすがに寺の多い町。しんとした風情を楽しむことができる。
この除夜の鐘、人間が持つ百八つの煩悩を払うためのものなのはご承知のとおりだが、前回の除夜の鐘がつきおえられたとき、恐るべきことが起こった。先斗町で飲んでいた九条冗句朗さん(仮名。23歳。京都市中京区在住。)の姿が、空間に溶け込むように消滅してしまったのである。
以前から、煩悩の固まりのようなやつだと陰口をたたかれていた九条さんである。
「除夜の鐘で、煩悩と一緒に払われてしもうたんやな・・・」
九条さんを知る人は皆、さもありなんといった表情でこのニュースに接していた。
今年の大晦日。除夜の鐘の響きによって、煩悩とともに、あなたも払われてしまう心配はないだろうか?
(蛇足ながら、九条さん消滅の光景は偶然ビデオに収められていたが、そのビデオは謎の黒服集団によって持ち去られ、所在が不明だという。)