イベント情報
「六道まいり」と五条坂の陶器市
(&五山の送り火)

(7.31. 1997)

 8月と言えば、お盆。ご先祖様の精霊が帰ってくる月だ。
 帰ってきた精霊を送り返すのが、大文字で有名な「五山の送り火(8月16日午後8時〜9時くらいまで)」だが、では、お迎えするのはいつであろう? 京都の場合、あまり有名ではないが、8月7〜10日に行われる、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)の「六道まいり」がそれである。

 昔の葬送場、鳥辺野(とりべの。現在の東山五条の大谷祖廟のあたり)、と市中の境界に位置した六道珍皇寺とその周辺は、冥土と現世の交錯する地域だと考えられてきた。死後、墓の中で産んだ赤子のために、母親が幽霊となって飴を買いに来たという、かの『幽霊子育て飴』の伝説の舞台はここだ。
(ずいぶん遠いが、千本の蓮台寺にも似た話があるらしい。)



『幽霊子育て飴』一袋500円也。


 六道珍皇寺から西へ徒歩5分。西福寺でこの期間中だけ公開される、秘蔵の『九想観の図』は、ちょっとスプラッタで子供には刺激が強すぎるかも知れないが、一見の価値がある。人の命の儚さと尊さをつくづくと考えさせる壮絶な絵図である。

 六道珍皇寺は、清水寺や七福神めぐりの一つ、六波羅密寺にも近いし、「六道まいり」の期間中にはすぐ近くの五条坂で陶器市が開かれる。
 真夏の到来とともに出現する、なんとも贅沢な散策スポットである。

(最寄り市バス停留所;清水坂。
 なお、この時期以外、六道珍皇寺の拝観には事前申込みが必要。
 また、東京のお盆は7月らしい。)




ミステリー
和泉さんちのお盆


「ご先祖様の精霊が帰ってきはる尊い日々。それがお盆やっちゅうことは、ようわかってます。
そやけど、ここ数年、私ら一家の夏休みは、ご先祖様たちのおかげで、てんやわんやの大騒ぎなんですわ」
 和泉夏男さん(仮名。49歳。下京区在住)は、そう言うと、深くためいきをついた。

 お盆で帰ってくるご先祖様というと、せいぜい数世代前までの先祖をイメージするのが普通だろう。だが、和泉さんちに去年帰ってきたご先祖様は、200万年前のアウストラロピテクス・アフリカヌス。そして一昨年は、なんと4000万年以上前の祖先で、ほとんどまだキツネザルのアダピスさんたちだったのだ!



アダピスご先祖さん(左)と
アウストラロピテクス・アフリカヌスご先祖さん(右)


「アダピスのご先祖さんらは、えらく元気でした。家中を走り回って、果物やら何やらを食べ散らかして片付けが大変でしたけど、まあ、可愛いもんどした。難儀やったんは、なんちゅうても、アウストラロピテクス・アフリカヌスのご先祖さんらですわ。たまたま、生前、縄張りをめぐって宿敵同士やった方々が帰ってきたご先祖様の中にいはって、家の中で大喧嘩はじめよって……。家、半壊でっせ……」

 家屋は、先月、ようやく修復工事がすんだという。
「ほんま、しゃれになりまへんで……」
 黙り込んだ和泉さん。
 今年は一体、どんなご先祖様が帰ってこられるのか。
 一家は戦々恐々として、お盆を迎えようとしている。

バックナンバー・パラダイス!

うきうき書房 On-Line

著作権者:浮世絵太郎
e-mail ;ukiuki@mbox.kyoto-inet.or.jp