デート・スポット探訪
桜の名所
（3.20. 1997）
四月。
加茂川、高野川沿いに桜並木が咲きほこる。
その河川敷を、青空の下、満身に春風を受け、時折舞い落ちてくる薄桃色の花びらをいとおしみながら、散歩し、あるいは自転車で駆け抜ける、その心地よさよ。
あまりに心地よくて、冬の風邪、春先の花粉症に痛めつけられたこともすっかり忘れてしまう。体に新しい力が吹き込まれる、躍動の季節の始まりだ。
おっと、新しいホラ話も吹き込まれたようだ。
ある朝、出勤前の清々しい時間。満開の桜に彩られた加茂川で釣りをしていた男が、見たこともない大きな魚を釣り上げた。その姿がとても美味しそうで、思わず舌なめずりをしたちょうどその時、突如、向こう岸の桜並木がラインダンスを始め、男はあっけにとられた。そのすきに魚は男の手からするりと抜けて川へ逃げた。ポチャン。川に飛び込む音と同時に、桜のラインダンスは終わった。
この話を方々でした男だが、誰にも信じてもらえなかった。そこで、再びあの魚を釣って並木のラインダンスをビデオに収めるべく、毎朝加茂川に出かけるようになってしまった。
あなたも桜のラインダンスを見ることができるだろうか？
高野川沿いの桜並木
京都市内の桜の見頃は、だいたい三月末から四月半ばくらいだろうか。
名所は多く、しかも少しずつ見頃はズレているから、
とりあえず京都に来て、
「桜が今見頃なのはどこですか」
と宿の人にでも聞くとよいだろう。
