嵯峨野にも近く、人気観光スポットが密集するこの地域に、渡月橋(とげつきょう)はある。京福嵐山駅からすぐの、桂川にかかる橋である。
鎌倉時代、亀山上皇なる人物が、当時、たぶんこの場所にかかっていた橋の姿を、
「まるで夜空を渡る月のようじゃ。のほほん、のほほん」
と評してから、渡月橋の名が生まれたという。
その名は、橋が大雨で流されても流されても、架けなおされるたびに受け継がれ、1934年に架けられたコンクリート製の現在の橋も、やはり渡月橋の名で呼ばれている。
それをどこで誰に聞いたのか、
「自分が渡る橋なのか」
とお月様が勘違い。ある朝、渡りにやってきた。その世紀の瞬間を収めたのが、下の写真である。
喜々として渡るその姿が、なんとも微笑ましい。