ジーニアスコード 11月号
メインテーマ
「経営の理論と実際のずれ」
本書の主旨は、経験則による経営戦略である。本書では、経営戦略における、単一テーゼの解答を否定している。
残るのは経験値としての学び方で、ストーリー化と言ってもよい。
これを繰り返していると世間で言われている理屈と経営に現場における実際のずれがあることが分かる。
このずれをも法則化できないかを、検討している。
それが分かれば他者への差別的優位性につながる。
1.主旨
事業の方で、売上に火がついてから、巷間言われいる指導法に疑問を持つことが多くなった。それは、コンサルタントの指導の定石に嘘があるということである。
理論と実際の間の違いである。
ひどい場合には全く逆の方が正解であるというケースさえある。
私は、業績数値が伸びているというエビデンスを持っているので、そこから見るとその助言は誤りである。
診断助言というものは総花的な机上の論理であることが分かる。
これを具体的に説明する。
視点1 市場はせめぎあいになっており、そこを何らかの力で梃子をかけて抜け出さなくてはならない。
この視点が抜けており、これはローカルベンチマーキング評点で説明する。
視点2 最新の事業領域・事業形態が出来ているのに、診断理論は昔作られたままになっている。
これは、財務理論は有体物を前提に作られており無対物は想定されておらず、見え方が逆になるケースがあることで説明する。
(本書では、以下の視点3を入れているが、本質的には視点1と重なる部分もあるので、ここでは省略する。
視点3 経営とは賭ける行為であり、常に財務の鉄則を守っていては、売上ブレイクは成し遂げられない。
これは、理論上、守らねばならない法則の外し方で論証する。)
(そして、自著の10億円の未来からに加える経営理論の嘘は
視点4 スマイルカーブは利益率のみ見たミスリード
これを図示で説明して、同時並行でこの逆を行く戦略を10憶を達成する。
以下具体的にエビデンスをもって論述する。
***
視点1 市場はせめぎあいになっており、そこを何らかの力
で梃子をかけて抜け出さなくてはならない。
これをローカルベンチマーキング評価評点で説明する。
ローカルベンチマーキングとは、決算書・試算表から各指標を評点化して、自社の位置を知ろうという制度で、国の制度として作られ金融機関とも連携している。
評価は
@売上高増加率 成長性
A営業利益率 収益性
B労働生産性 生産性
CEBITDA有利子負債倍率 安全性(低いが高評価)
D営業運転資本回転期間 効率性(短いが高評価)
E自己資本比率 安全性
となる。
1 点から 5 点の 5 段階評価(点が高いほど高評価)で、該当業種内での「黒字企業」のデータ集計での評点になる。
各公式について概説するが、指標間にトレードオフ関係がある。
よって、レバレッジを利かせて業績を伸ばしていくには一時的に「どれかを伸ばすために、どれかの評点を低めないといけないケースがある」ということになる。
@の売り上げ増加率を取ろうと思うと投資も必要となりCEBITDA有利子負債倍率D営業運転資本回転期間E自己資本率あたりの評点とトレードオフ関係にあることを理解してほしい。
これら公式間の関係、いや、意味すら知らないコンサルタントも多くいる。
経営を実践しての感覚は、業績には期中においても月内においても波があり、評価点を取る時点で点がぶれる。
疑問点として、点がいいことが果たして無条件にいいことなのか?ということである。
企業の間では、せめぎあいをしている。また、借り入れして投資している。
しかも、資金繰りはこれとは別に検討していかねばならない。
資金繰りそのものは、上記の公式からは出ない。
これも実践の中で気が付いたことで、コンサルタントだけをしている人は分からない感覚だろう。
これらの評点を日々取りながら矛盾を感じることがある。
(ただし、それをもって、このローカルベンチマーキングを否定するものではない)。
B労働生産性は、規模拡大し、雇用を厚くすれば、必ず落ちる。極端に言えば1人でやるのが最も効率的になる。
D営業運転資本回転期間は、売りも買いも現金商売をしないと5点満点は難しい。一般的な取引形態からの評点マトリックスの再考を願う。
E自己資本比率は、80%くらいいかないと現状では
5 点満点は難しく、現実にはそぐわない。
3.従来の理論の矛盾
視点2 最新の事業領域・事業形態が出来ているのに、診断理論は昔作られたままになっている。
これは、財務理論は有体物を前提に作られていることで説明する。
ここでのずれは、時代からずれている程度で終わるならまだいいのだが、助言が正反対になるケースがある。
罪深いのは指導してからのその企業のその後の業績の経緯にも無関心であるということである。
結局、今の政治の状況と同じく、理屈を述べるだけで一向に前進しないのならあまり意味のない指導であると言える。
ケース1 無体物の原価性
IT ソフト・有体物の設備の2つの経済活動の2パターンで、決算数値は同じでも、経営に与える影響や外部の人への見え方は全く逆になるケースがある。
ソフトは、移動も一瞬なので、時間コスト・人的コスト・空間コストがかからない。
通常であれば、持っているのが「不良在庫」であってもソフト事業になると、税金対策や決算書の見栄えでそうしているケースの方が多い。
ケース2 売上と原価発生の時間進行
私が、情報商材売りに出した時、商品は出来ていなかった。
受注がついてから製造した。 手抜きをしてしまったと反省していたが、売上がブレイクしてから慌てて読んだ情報商材のノウハウ本には「それでいい」と書いてあった。ものづくりにかけるのではなく、サービス業者として先にニーズを測るという姿勢で合っている。
この考え方は当時の私には目から鱗だった。
これで、金銭的にも作業工数的にも楽になる。有体物の場合、
保管スペースの問題もあるが無体物の場合関係ない。
現在では、製造業でさえ、注文貰ってから組み立てるという風に変わっている。
では、コンサルタントの頭の中はと言えば、旧態依然の製造から販売だろう。
ケース4 スマイルカーブは利益率のみ見たミスリード
スマイルカーブの定義
スマイルカーブは、台湾のIT企業Acerの創業者スタン・シー氏によって提唱された理論で、製品やサービスが顧客に届くまでの各工程における付加価値の分布を示す。
このカーブは、企画や研究開発などの「上流工程」と、マーケティングやアフターサービスといった「下流工程」で高い付加価値が生まれ、製造や組立といった「中流工程」では相対的に低い付加価値となることを表現している。
スマイルカーブの形状
スマイルカーブは、横軸に製品ライフサイクルにおける工程、縦軸に付加価値をとり、両端が上がり中央が低いカーブを描く。この形状が「笑顔」に似ていることから「スマイルカーブ」と呼ばれている。
業務ゾーンで見るとこうなる。

これは、付加価値の面から見たらその通りである。
しかし、世の中でのビジネス機会の出現率から見ると全く逆カーブになる。(出現率は偏差値と言ってもよいだろう)。

実際、カーブ曲線の左端はサービスの基幹開発になるので、中小企業にとって、そう簡単に成し遂げられるものではない。また開発しても知名度の点から広めて売り上げを取るまでにはハードルは高い。
また、右端の方のアフターサービスにより、収益を取るというゾーンは実際考えてみるとかなり無理がある。
たとえ可能だったとしても、アフターサービスという言葉からは、マンパワーも必要となり、人出不足の現状では特に中小企業ではここへのシフトは不可能である。
私の結論として、クリテイカルチェーンの中間でも十分に利は取れる。
そのために
*請け負う業務ゾーンの幅を取る
*業務ゾーンを横に設計して他の外注先も交えて利を取る
*ビジネスの回転を上げるである。

最期にスマイルカーブのどの位置の仕事を取るかという子だが、既存のスタン・シーのスマイルカーブと私の考案の逆カーブの交点あたりを取るのが正解と思っているのだが、これはまだ理論化されておらず、次の出版までに考えることとする。

以 上