ジーニアスコード 2026年 1月号
「FC・M&A・事業継承の見方」
知っておくべきFC・M&A・事業継承の知識
1.主旨
今回はFCとM&Aを取り上げる。(M&Aは事業継承をも含む)。
これらが注目される外部要因として、事業拡大していく時に、自社採用で、労働者を集められるものだろうか?
社長が90%の時間を割り振って、採用活動ばかりやっても、5人が精一杯だろう?
しかも、有料での紹介のところにかなりのフィーを払わねばならない。
採用から莫大な教育時間と教育経費がかかる。
その入った5人のうち1人は2年以内に自己都合で辞める。
1人くらいは問題社員が入ってきて、社内をかき回す。
誰かを連れてやめるかもしれない。
この当たり前の今の現実をどうしますか?
ここを頑張ればできるというのは、体育会系の兎飛び100回、素振り1000回の根性論に近い。
しかし、それを誰も言わない。
(現実、最近、労働力目当てと思われるM&Aも増えている。譲渡企業が債務超過であっても人に値が付いて立派に譲渡契約が成立している)。
冒頭は外部環境から必要条件として述べたが、実は言いたいことはそれが本論ではない。
言いたいことは、FC、M&Aの本質である。
M&Aした会社にはリアルに仕事してきた社員がいて、M&Aした後の交流というのは楽しいものなのである。
FCでも基本は同じ。
以下、今回は知識解説は出来るだけ抑えて、巷間言われていることと実際の違いを説明しながら進める。
ただし、近年の新語は紹介する。
そこにその言葉が流行る時代背景があるからだ。
私のその偏った意見を先に紹介してここの項を終わる。
FC FCは弱き者が連合して、知恵を出し合うもので本部と加盟店に上下関係はない。組織維持のためのスキームと資金管理は必須である。
M&A M&Aは買値より人材に注目すべき。
事業継承 政府が事業所数(倒産・廃業数)などを意識して、減らさない施策を打つのは理解できるが、もっと自然の流れに任せるべき。使命の終わった業種はなくなるのが必然である。親族内継承は後継者の意志を最優先すべきである。
負債を無理やり継がせてはならない。
2.FC知識
(1)FCを正しく捉えよ!
これは、世間の見方がおかしいという話ではないかもしれない。
日本の場合あまりに、フランチャイズシステムの成り立ちの歴史というものを知らない。よって日本式で進めている。
・FCとは、強者ではない。
弱きものが、協力してマーケットを抑えていくのがフランチャイズの本質である。
これは、米国のマクドナルドの誕生を描いた「成功はゴミ箱に」を読めばわかる。協力してという姿の分かりやすい形がともに学ぶということである。
これの派生で本部(フランチャイザー)が上で加盟店(フランチャイジー)の方が下ということでもない。
これは、定義としてということもあるが、現実的にもそうであり、各地域にはメガフランチャイザーという何でもできる実力のある事業者がいて本部組織よりパワー上位者がいる。
では、何のために、ザーとジーが力を合わせるかというと、「新たな儲けのシステム」をスピードをもって世に広めマーケットを抑えるためである。
あくまでそれは「新たなる儲けのシステム」であって「発明品」でもなければ、「より良い商品」でもない。
「新たなる儲けのシステム」とは理想的には「世の中の常識の裏を取るもの」である。これも後で具体例を示す。
最期に、儲かるというのをどうして、実証するかというと、まずは、主催者が自分で儲けて実証するのが一般的であり、組織形態で言うとレギュラー店舗で儲けることになる。(レギュラー店舗の反対語はFC店舗)実際やってみたら経営を回すというのは本当に大変であるということが分かる。
*FCで広めるのは?
・発明的な商品・サービスではない
発売後に普及に努めるということはあり得るが、その場合は代理店となる。
FCスタイルで広めるのは経営の仕組み、言葉を変えると儲けの仕組みである。
発明のように権利を抑えることはあるが、知的財産権でヘッジするのは本旨ではなく、スピードでマーケットを抑えていく方がベターである。
発明思考のある人は、他社が広めてくれるという期待感がありすぎて、花開かなことが多い。
現実は新たなものは普及させるために莫大な広告宣伝費が要るので他人資本を必要とするのである。
FCで訴求すべきは
・改善レベルでもない。
そのレベルでは、競合も合わせてくる。
あくまで利益を出す仕組みの違いであり、理想は従来の流通の裏を取る仕組みである。
事例で述べる。
FCで日本全国を離島も含めて、短期間で塾マーケットを席巻した「武田塾」は、売上を上げるために、オプション講座を売りつけて、受験生を逆に混乱に追い込む従来の料金体系の逆を行き、ある程度の料金(これが結構高い)をとり、モチベーション管理まで含めて受験生の面倒を見るという仕組みであった。
前述のコマ数で売上を上げるデメリットは私の受験生時代から照らしてもよく分かる。
最近では、携帯料金の焦げ付き者を対象とした携帯販売ビジネスを展開した木村さんが、まったくこの形である。
携帯料金焦げ付き者は、通信を止められて、仕事もままならないという時を通り過ごしてきており、痛さを知っているので次は次の機会では延滞しないのである。
この仕組みならば広告もスポーツ新聞に小さく載せるだけで良いし、大きな店舗も要らない。
(2)第一歩は、自らのユニットで利益を実証する
勘違いとして、こんないいこと考えたのでFC展開したいというケースだ。
これは、スピードをもって市場を抑えたいといのは分かる。
しかし、儲かるかどうかの立証が抜けている。
なぜ、この立証段階が重要かというと、その立証した利益からかフランチャイズフイーを貰うからだ。その経営してみた損益計算書を示してフイーの妥当性を証明するのである。
コンビニエンスストアの場合は、まずは、レギューラーで(自分でということ)3店舗は回してからというのが一般的であった。
儲かるならなぜ、自分ですべてをしないかというと、人もの金の限界があるからだ。(言葉を変えると自社開発では時間がかかりすぎる)。
特に近年、人の問題が大きいのは分かるだろう。
加盟店が払うフランチャイズフイーはこの儲けの一定割合ということになる。
各地域には何でもできるメガフランチャイザーという事業体がいる。言葉通りで何でもできる。
ただし、シビアに利益率を見て移ろいやすいので注意せねばならない。
(商品・サービスの売りやすさという面もあるので、マージン率だけではないが)
力関係は本部(フザインチャイザー)<加盟店(フランチャイジー)となるが、この辺りは実際やってみないと分からない感覚である。加盟店の地域での雇用吸収力はありがたい。
(3)様々あるやり方
その仕組みでの経営の回し方の手順書をフランチャイズパッケージと言うが、これも様々である。
事細かに定めがありその具体性こそがノウハウであるという形→サイゼイリアなど
広告などを本部一括でしてしまう。データベースが共有化される。
ということだけケースもある。
しかし、この形(例えばセンチュリー21など)の加盟店はその看板を上げておくだけでブランドアップになり、認知されるのである。
また、FCのようにみえて、実はその会社のレギュラー添付であるような形もある。(よってこはFC外になる)
これは、各地域での人もの金の他社資本の活用を捨てている形であるが、本部で修業した人の独立(のれん分け)などに活用できる。
また、主体が大資本である場合は、利益を総取りできるという利点がある。(大手パチンコ店など)
この他、様々な違いがあるが、これ以上は消費者にとっては微妙な差であるので省略する。
(4)ともに学ぶ
ザーとジーの間に上下関係がないということを基本にして勉強するのが、効果的である。
武田塾では、その上で、一人一票での投票システムで施策が決定する。
このような、形をとれない言い訳として、フランチャイジーの方の知識がそこまでのレベルにないということがあろう。
しかし、結果が全てである。
(5)トラブル要素と新用語
これは、拙著の「EX−CFOを活用せよ」で書いたことだが、重要なので再度掲載する。
1.契約でポイントとなるところ
・地域独占権の問題
意味は読んでその名の通りですが、ポイントはそれだけ商品・サービスに魅力があるかという問題になる。
地域を任せることによりフランチャイザーは安心してエリアを管理して貰えるが、ニーズがなければ、そのエリア独占店は、日々、閑古鳥が鳴くことになる。
独占権と言うのは店にそのFC以外のもの(類似商品・競合商品)を置かないと言うことに繋がる。
コンビニでも最も強いセブンイレブンのレジ回りはすっきりしているが、その他コンビニは勝手に自社商材を売っている。
これがこの問題の実態である。
・帳簿閲覧問題
これは、本部が加盟店の帳簿を見る権利をいかにするのかという意味合いで、 近年では、紛争事になった場合などで、逆方向の加盟店が本部の帳簿閲覧を要求すると言う傾向も表れている。
・解約時在庫の問題
これは、契約上も現実的にも仕入れした段階より加盟店側の支払い義務が発生する場合が多い。
解約の意志を示して、それ以後の仕入れを止めると言う形になる。
コンビニでは、この買い取り資金が多額になり揉める場合が多くある。FC側では契約時に十分に説明する必要がある。
・解約後の競合忌避義務
これは、契約上で解約後、競合店の開店をしないということを明記することは出来ますが、現実上は、難しい問題がある。
加盟店も解約後に収入を得て生活して行く基本的人権がある。
(そのような行為に出ても本部側としては、その上に、またそこに新たな加盟店を出すと言うような動きをする場合があり、泥沼の揉め事に発展する場合が多くある)。
(5)今後広がる背景
今後、FCが広がる背景はなんといっても自社で事業展開する場合の雇用力の調達難だ。
FCの加盟店では、地域の名士場合が多く、人は地域で何とでもしてくれる。
今後、大きなトラブルと起こすFCも表れるだろう。
最近では「皆で大家さん」という名前をよく聞く。
FC形態として預託金を預かるようなビジネス類型は危険である。私は出た利益の配分という以上の形は怖い。
FCとは、預かり金を預かっていなくても資金管理力が必要になる。
そのFCの評判、あるいは信頼度はどの指標のどの数値を見るかというと最も実態を示しているのは長期スパンでの加盟店の増加である。
(売り上げ数値は、FC組織の場合、二重にも三重にもなるので参考になりにくい)。
興味のある人は大展示場で行われるフランチャイショーなどをリサーチし行くべきである。
当社も投資の意味合いで出す場合がある。実は、あれは、
ユーザーや加盟店候補を探すと言うより業界内での力を示すために出している場合が多い。
業界内で、パワー上位になれば有形無形の利益につながるのだ。その具体例まではここでは踏み入らない。
この用語は抑えて!
バリュエーション 株価などの金融商品や企業の価値
バリエーション(種類)ではない。
3.M&A知識
M&Aについては過去に買収の方で経験して痛い思いもした。今は売却の候補者側だが、毎日くらい気持ちが変化することが分かった。
弱気と強気、会社に対する愛着と絶望が交差するのだ。
M&Aは間に入る専門業者に、要注意である。
基礎知識として、M&Aビジネスのコンサルには2タイプある。仲介とFAがあり、仲介業者で問題続出している。
仲介業務とFA(ファイナンシァルアドバイザー)業務で、FAは、売り手か買い手の一方につく。
仲介は双方につくのだが、通常のものの売買では仲介で双方につくのは利益相反行為とみなされる。
これに対して、M&Aは例外で、話がまとまれば、双方から手数料を受け取ることが出来る。
河野元大臣は両端取りはおかしいのではないか?との疑問を投げかけた。
実務的にも、トラブルが頻出している。
早くお金にしたいためにベストマッチングな先を探さずに買い手との契約を急ぐからだ。
これに対して、政府答弁では中小企業にはお金も残された時間も少ないので、仲介に頼むことは許されると返答した。
これは、課題と解答がすれ違っている。当面トラブルの波は収まらないだろう。
M&Aの最も重要だと思うこと、それは会社の売買価格ではない。
PMIで被買収会社社員が、やる気を持って仕事できるかということで、買収金額は下位概念になる。
瑕疵担保問題も下位の概念である。(以前は最も重要な要素と思っていた)。
なぜか?過去債務は過去のお客さんとの問題なので、買収側の社員が対応法を知っているのである。
そこを力を合わせてクリアーするためにも買収後に人が円滑に回る方が大切である。
当社は、宴会では買収企業の社員が家族を連れてくる。
こういう風景を見るとなんとしても彼らを幸せにしてやらねばならないと決意して、踏ん張ることが出来る。M&Aして分かったことはnidec永守さんも多分こういうことを業績上昇のばねにしていたのだろうということだ。
(Nidecは組織体の全てが完成してから問題が頻出した)。
(2)M&A関連用語
前著で以下の用語説明をした。改めてはしないが、不安な方はネットでの検索で十分である。
2のつは基本事項である。
・ターンアラウンド
・DD デューデリジェンス
・ドラッグアンドライト
・ロックアップ(キーマン条項)
・表明保証
・インセンティブプラン
・アーンアウト条項
最近、このM&Aを機に譲渡者が財産を失うなどの不幸な事件が、報道される。
仲介方式の場合に事件が多く、これに対して政府は中小企業は時間も資金も限られているからFA方式でなくてもやむおえないと回答したことを書いて。批判した。
しかし、実際に経験してみてこの時間も費用もないという限界感を実感した。
不幸な事件の内容を見ても、M&Aという形を踏むということが問題なのではなくて、法律的なことに全く無知であり、騙されて会社を乗っ取られていたというケースである。
国としてどうしていくかは簡単には結論の出ない問題である。
4.事業継承
この章は特殊な構造になる。
国の施策について、説明して、それを批判するが、一定の理解も示す。
国の事業継承施策
・事業承継の相談・伴走 事業承継・引継ぎ支援センター
・補助金 事業承継・引継ぎ補助金
・税制 法人版事業承継税制(特例措置)
・法人版事業承継税制(一般措置)
・株式の集約 遺留分に関する民法の特例
・ファンド 中小企業基盤整備機構
ここで、何が問題かというと、時代(外部環境)はどんどん進化していくのに、時をフイックスしての施策である。
具体的には今の組織を維持するならという条件での恩典付与である。
何を目指しているかというとその事業体を消滅させないということで、これが事業所数と雇用の維持となるわけである。
この政府の施策には理解は示す書いたのは、それぞれの事業所には雇用が付いているからである。
(3)私の意見
そして、私の意見を展開するが、それは「事業継承」は、形にこだわる必要はないということである。
例えば、技術者の子孫であれば、形としてその企業を継がなくても、自分なりの手法でその技術を生かせばいいということである。
これは過去の関与先を見ても、その別会社のパターンの方が圧倒的に成功例が多い。時代は変わってきている。先代のその形が世の中に合わなくなってきている懸念があるからだ。
時代に合わなくなっている事業体を維持するために若き後継者に継がせるのは私は反対である。
その時点で金融機関が再生支援の形で手を貸しても、将来的には事業が続けられないという二次被害という結果に終わる。
同様の理由で、中小企業庁が、音頭を取っている「アトツギ甲子園」という表彰制度にも反対する。
事業継承後の事業経過を見ての表彰なら分かる。
しかし、これはプランニングの段階で表彰するものである。
事業継承補助金を見てもその時点での評価は、後継者には余分なプレッシャーを与えるケースの方が多い。
私の実務経験では、親の事業と切り離して、後継者がやりたかった事業を別法人で開拓した場合の方が成功例は多い。このように別会社方式であっても大切なものが継承されているのが分かるだろうか。それは、その事業者の「血」であり、「技」である。そこには、相続税はかからない。
結論はハンデを背負った事業継承の形で後継者に事業をスタートさせるなということである。
そのためにも、事業者は自分の会社の資産評価を常にしなくてはならない。それがプラスかマイナスかで戦略が大いに変わるからだ。
もしかの時に、相談する先もリサーチしておきたい。
中小企業の面している課題は、借入しないと事業維持は出来ない。それなのに事業主は高齢化しているというジレンマである。
これはどうしようもないことなので、国の支援機関は高齢者でも挑戦する意欲のある人には再生支援や借り入れで一定の配慮をすべきである。
最後にこれを書いている途中に、M&Aで買う側の話も舞い込んできた。社員が新しい会社で頑張りたいという意欲が満々であることが伝わってきたので買収を実行することにした。
MBOと言われる従業員継承
優秀な社員への経営移譲もありえるが、この場合のポイントはひとつで、優秀なサラリーマンは、イコール優秀な経営者とは限らないということだ。
業務全般を回すことは、問題なくても、保証の移行の際に、「やはり辞めます」となるケースが多い。
年齢的には家族を抱えて、子供の教育費にが負担になるころである。ここでは、株式の買い取りについての支援策は述べない。問題の核心ではないからである。
よって親族内継承が多いのはこの保証債務移行の際の覚悟の問題が大きい。
第3者への継承
最期は、社外の全くの第三者への継承であるが、これについては、継承してくれるので、第3者がとやかく言う問題ではないさいが、マスコミでは継承時点でこれを美談としたがる傾向がある。継承者の真の幸せを考えた場合、もっとその後を見るべきで、継承時点では、静かに見守るべきである。
投資については 別ページ 「マネーの虎特集」ここ
以 上