小林よしのり氏は天皇陛下を恫喝している

     〜第13章「陛下のご真意を無視できるか?」についての考察〜

 

 

----------小林よしのり----------

水島総氏

「万々が一、天皇陛下が女系天皇でもいいとおっしゃったなら、その時は私も従います。

しかし、女系天皇を認めたら皇統断絶です」

 

(以下小林よしのり)

何だこれは?天皇陛下を恫喝しているのか?

自分がとてつもなく不敬な発言をしていることに全く気づいていない!

(140頁)

 

「陛下が女系容認なら従います。従いますが皇統は断絶です。」

この論法は恫喝である。

「目の前のコインをどうぞ取ってください。私はあなたに差し上げます。

ただし、その腕は断絶されます。」

こう言っているのと同じだ!

(140頁・欄外)

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ところが、小林氏はその後に「第28章自爆する男系固執主義者たち」において、

以下のようなことを述べている。

 

----------小林よしのり----------

男系固執主義者は「国体」というものをまったく理解していない。

国体は天皇と国民の相思相愛関係で成り立つのだ!

国民が誰も認めない皇族が出現してしまったら、それこそ国体の破壊である。

(294頁)

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小林よしのり氏は水島氏が天皇陛下を恫喝していると指摘する直前に、

「もしわしの観測がまったくはずれていて、陛下、殿下が『男系絶対』というご意向ならば、

わしは直ちにそれに従うとあらためて言っておく」(140頁)と述べている。

これと上の発言をつなげるとどうなるか。

 

《陛下がもし『男系絶対』というご意向ならば、わしは直ちにそれに従うとあらためて言っておく。

 しかし、国民が誰も認めない皇族であるなら、それこそ国体破壊である》

 

これは天皇陛下を恫喝していることにはならないのか?

しかも、水島氏は皇統断絶とは述べたが、国体破壊とは述べていない。

小林氏は、はっきりと「国体破壊」と述べている。

さらにこのような言い方もできる。

 

《陛下がもし『男系絶対』というご意向ならば、わしは直ちにそれに従うとあらためて言っておく。

 ただし、それは日本の天皇の「男系継承」は、美風として誇るべき「伝統」とは言えない!

 シナ・朝鮮の家族制度を十分に日本化せず、不完全に模倣した「因習」に過ぎない!》(230頁)

 

こんな記述もある。

 

《陛下がもし『男系絶対』というご意向ならば、わしは直ちにそれに従うとあらためて言っておく。

 ただし、20世以上離れた傍系に皇位が移ろうものなら、たちまち「皇統は断絶した、これは新王朝だ!」

 という声が上るに決まっている。そうなっても、わしは反論する気が起こらない。

 実際、まったく別の王朝に簒奪されたとしか思えないだろうから》(190頁)

 

こんなものは恫喝以前で、天皇陛下のお考えが男系継承であるなら、

陛下に対する侮辱以外の何ものでもないだろう。

 

「目の前のコインをどうぞ取ってください。私はあなたに差し上げます。

ただし、あなたをこの上ないほど侮辱した上で、その腕は破壊されます。」

と言っているのと同じである。

 

 

----------小林よしのり----------

水島があまりにしつこく「国体破壊」と言っていないと、いんねんをつけるから、

わしは「それなら国体断絶に単行本で修正してやる」と言ってやった。

「国体断絶」と「国体破壊」は違うのか?

(143頁)

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「国体断絶」とは、皇統という血統の断絶、「国体破壊」は皇室の廃絶。

普通に考えればこんなことぐらいわからないのだろうか?

水島氏の主張は「皇統は一度断絶したと考えるが、新しい王朝がはじまる」ということである。

皇室廃絶は、新しい王朝どころか、皇室そのものがなくなる、

つまり共和制に移行するということだ。

これぐらいのことは認識しておいてもらいたいものだ。

 

最後にこの章で決定的な指摘を一つしておかなくてはならない。

 

 

----------小林よしのり----------

わしは『天皇論』を描いてから、皇室への関心がどんどん高まっていき、

今や女性誌まで目を通すようになってしまった。

陛下に対しては、もはや単なる敬愛を超えた尊敬心を持っている。

(130頁)

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小林よしのり氏が皇室への関心が高まったのが、

『天皇論』を描いてからということは、せいぜいここ2、3年のことである。

そのような人間が、二千年の皇室のあり方、伝統について、

自分の意見が絶対であるかのごとく断言することが、いったいどういうことなのか、

一度謙虚になって考えてみるべきだろう。

 

《陛下がもし『男系絶対』というご意向ならば、わしは直ちにそれに従うとあらためて言っておく。

 ただし、20世以上離れた傍系に皇位が移ろうものなら、たちまち「皇統は断絶した、これは新王朝だ!」

 という声が上るに決まっている。そうなっても、わしは反論する気が起こらない。

 実際、まったく別の王朝に簒奪されたとしか思えないだろうから》

 

これが皇室に関心が高まって数年程度の人間が語ることか。

自分が何を言っているのか一度冷静に考えてみるべきである。

 

----------小林よしのり----------

皇室の将来について意見が必要なのは、

天皇陛下、皇太子殿下、秋篠宮殿下だけである!

(147頁)

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この自分の発言から、

皇室への関心が高まってわずか3年程度の小林よしのり氏の意見などは、

まったく必要がないということを認識するべきではないか。

 

最後に『新天皇論』の欄外に記されている

小林よしのり氏の言葉を振り返って終わりにしよう。

 

----------小林よしのり----------

わしは陛下のご真意を「勝手に」忖度し、

これを背景に自分の考えを押し付ける気はない。

あくまでも「状況証拠」を提出している。

陛下のご真意が意に反して「男系」だったとしても、

「だったら皇統断絶だ」などと捨てゼリフを残したり、

脅したりするような不敬なことはしない。

(141頁・欄外)

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「国体断絶だ」という捨てゼリフは残さなくても、

まったく別の王朝に簒奪されたとしか思えない」とは言うのですね?

これが小林よしのり氏の皇統論及び人間性の真実ということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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