日本は神話から一貫して万世一系である
〜第26章「ついに神話を否定した男系主義者」についての考察〜
----------小林よしのり----------
日本の国は、女神である天照大神の子孫が王であるべき国であると、
わが国最古の勅撰正史である『日本書紀』に明確に書かれてある。
男系派にとって、これが非常に都合の悪いことなのだ。
(276頁)
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まったく都合悪いということなど何もない。
日本の皇室は、神話から一貫して男系継承であったということは
揺らがない事実だからである。
こう述べると、
「天照大神が女性神なのに、なぜ神話から一貫して男系継承ということになるのか」
という反論が来るのは目に見えているので、しっかり説明しておく。
皇統は紛れもなく神話から一貫して男系継承となっている。
皇統において皇祖神が男性神か女性神かということは重要ではなく、
皇祖神を"男系で継承した"という事実が重要であるということだ。
具体的に述べると、"誓約(うけひ)"の問題は別にして、
天照大神の子供は男性神のアメノオシホミミノミコトである。
天照大神の後継者については、男性か女性かを選ぶことはできたとしても、
男系か女系かを選択することはできない。
これは皇祖神が男性神であろうと女性神であると同じことだ。
最初の子供は男系か女系かは問題とならないのは当たり前のことである。
はじめて男系か女系かを選択できる余地があるのは、
アメノオシホミミノミコトの次の世代、つまり三代目からとなる。
そこで次に後継者となったのが男性のニニギノニニギノミコトであったということが重要で、
だからこそ「天孫」の意味は大きいということだ。
神話の中で「天孫降臨」が重要な位置を占めるのはここにあるのだと考えている。
以後、一貫して皇祖神を男系により継承していく。
これが、日本は神話から一貫して男系継承であるということであり、
「日本独自の男系継承」があったことの証明となるのだ。
この事実が明らかになると、むしろ都合が悪くなるのは女系論者となる。
日本の万世一系がシナ男系主義の影響であるということであれば、
神話がシナの影響を受けていたということになるからだ。
小林よしのり氏に神武天皇が橿原神宮で即位する以前から、
シナの影響を受けていたということを「証明しろ」と言ってみるとよい。
この件については皇學館大学名誉教授である田中卓氏の主張に対して反論することが最もわかりやすい。
田中氏は雑誌『諸君』(平成18年3月号)に掲載された論文
「女系天皇で問題ありません」で次のようなことを述べている。
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「万世一系」は過去の歴史の成果ではあるが、国体の現在及び未来を展望して、
より重要な原点は「天壌無窮の神勅」にある。
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「過去の歴史の成果」と「天壌無窮の神勅」をどうして分離できるのだろうか。
「天壌無窮の神勅」を万世一系で受け継いだのが「過去の歴史の成果」であって、
歴代天皇の御意志である。
この関係は不可分であるはずだ。
つまり、天壌無窮の神勅がいう「天照大神の子孫が王であるべき国」の"子孫"とは、
男系子孫であると神武天皇をはじめ歴代天皇は解釈してこられたのである。
歴代天皇が受け継いできた天壌無窮の神勅の解釈を、
田中卓氏及び現代人が勝手に変えて良いわけがない。
歴代天皇より現代人の方が上位にあるというのなら、これは左翼の理性万能主義である。
「現在及び未来」のため、この不可分の関係を切り離し、
女系容認論につなげるとは、現状の結論から歴史を軽視する、
そして現状から独自に神話の解釈を導き出すというマルクス弁証法の構造である。
天壌無窮の神勅⇒歴史の成果⇒現状及び未来の展望
これは不動の流れであり、この流れを変更するには、
革新思想的な発想を採用せざるを得ないのだ。
どのように論理構築しようとも、結果的に歴代天皇を否定することになる。
「天壌無窮の神勅」と「過去の歴史の成果」を分離できないということについては、
実は高森明勅氏も述べていた。
本人は気付いているのかどうかわからない。
----------高森明勅----------
(チャンネル桜の討論での発言)
重要なのは神話のプロット(筋書き)に立ち入ることではなくて、
本来、スサノオノミコトが出現せしめたはずの男性神が、
結局なぜ天照大神に属することになったのか。
そして日本の皇室における皇祖神はなぜスサノオではなく、
天照大神として一貫して信仰信念が維持されてきたのか、
ここに注目すべきなのです。
(275頁)
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「信仰信念が維持されてきた」というのは、まさに「歴史の成果」である。
皇祖神は天照大神と一貫して信仰信念が維持されてきたと同時に、
天照大神の子孫は万世一系により継承することもまた、
一貫して信仰信念が維持されてきたのである。
現代人が「天壌無窮の神勅」について勝手な解釈をして良いわけがないのだ。
我々は歴代天皇が解釈してきた通り、天照大神の子孫とは男系子孫と受け取り、
二千年の歴史と同じく次世代に継承していかなければならないということである。