安倍総理は事実上集団的自衛権を容認していない
安倍内閣が集団的自衛権を容認する憲法解釈を決定したことで、
マスコミや左巻きの運動家が騒いでいるが、実際はたいした話ではない。
そもそも集団安全保障と集団的自衛権の区別すらできているのか怪しい。
冷戦時代には集団的自衛権については深刻な問題があった。
朝鮮半島や台湾海峡で再び戦闘が発生した場合、
日本周辺で米軍が攻撃されたなら集団的自衛権が発動される。
自衛権の本質は、同盟国の艦船を助けることではなく、
助けた時点で同盟国の敵国と自動的に戦争状態に入るということだ。
国際法的にも集団的自衛権を行使するなら同時に宣戦布告するのが筋である。
個別であれ、集団であれ、自衛権を発動すれば相手国と戦争状態になる。
安倍総理が言っているのはそんなことではなく、
同盟国の船が目の前で攻撃されていたら助けるという当たり前のことだ。
実質は集団的自衛権ではなく、
集団的自衛権のごく一部を憲法解釈によりできるようにするということ。
これは有事法制の議論とほとんど同じ。
実際に他国から攻撃されたら、個別的自衛権を発動して反撃するが、
それに基づく法整備がなかったので、有事法を制定した。
有事法制を制定したからといって、新たな事態が発生するわけではない。
集団的自衛権の憲法解釈もこれと同じだ。
今でも日本近海で米国の艦船が攻撃を受け、
護衛艦が助けられるのに助けないということはありえない。
それをやる法整備のために憲法解釈を変更するのであって、
解釈が変わったから、新たな事態が発生するわけでもない。
「戦争ができる国になる」とか言っている左翼は
すっとんきょうな議論をしているだけだ。
有事法制のときも同じようなことを言っている人がいた。
「戦争ができる国になる」なんて言うのはまったくナンセンスな話で、
今回の解釈変更は現状に即した内容に合わせようとしているだけのこと。
ナンセンスといえば、「国民が戦争に駆り出される」「徴兵制になる」というものもある。
まともに論じるのも馬鹿らしいレベルの話だ。
現代の軍事で徴兵制などほとんど意味をなさない。
現代の戦争は人数で勝負するわけではないから。
陸軍だってハイテク兵器を装備する。
ガタイがよかったら自衛隊に勧誘される時代はもうとっくに終わっているのだ。
そもそもアメリカの戦争に巻き込まれるって言いつつ、
そのアメリカが徴兵制ではない。
無茶苦茶な話である。
私はこの憲法の策定時における芦田修正の解釈を適用すれば、
集団的自衛権に限らず、自衛隊を国軍にすることもできると考えているので、
安倍内閣の憲法解釈には物足りなさを感じているが、
今回のことはその程度であるということだ。
騒ぎ立てるほどのことでもない。
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