合唱バカの華麗なる人生

 =なにコラ&バイン全国コンクール2006編=


2006.11.25(Sat)

 目覚ましの音を聞きながらうとうと。と、その重大さに気付いて目覚める。朝早い飛行機なので、移動手段を逃すと後が大変である。軽く朝食、身支度を済ませて、昨晩に手配しておいたMKに乗りこむ。やはりタクシーを予約しておく方が気も楽。しかしMKなのに車内がタバコくさくて閉口。京都駅八条口まで移動して、6時過ぎの空港行きリムジンバスに乗り込む。あとは順調に伊丹空港へ。

 チェックインを済ませてから、いつものようにラウンジで一休み。JALに乗る場合にはちょっと遠いのが玉に瑕。移動時間を短くしたいために全て機内持ち込みにしているので、荷物がどうしても重くなる。しばらく新聞など読んでから、搭乗口へ。途中、お土産として黒ゴマ八橋を買っておく。食べたことはないが、人気らしい。搭乗口で待っていると、なにコラメンバーがぼつぼつと集まってくる。T上氏と話しながら搭乗。737-400。満席とアナウンスが出ていたが、前方は10席以上空きがある。感想を避けるためにマスクをしておく。

 快調なフライトで熊本へ。空港はありがちな感じのこじんまりしたところ。でも国際線も飛んでいるらしい。スムーズに外に出て、リムジンバスに乗る。バスは切符を自動販売機で買えるので、バス入り口で混雑しなくてよい。バスに乗って待っていると、N山氏を待っていたはずのT上氏やO久保氏も乗り込んでくる。一路、市内へ。しかし50分は長い。長崎といい鹿児島といい、九州の空港というのは、福岡をのぞいてずいぶん離れたところにあるようだ。バスは鹿児島駅行きだが、途中の交通センターで一人降りる。ここが市中心部のバスターミナルになっているようだ。なぜか阪神百貨店がある。ホットペッパーの熊本版があったので取っておく。薄い。

 近くの西辛島町電停から市電に乗って上熊本駅へ。今は、10月から年末までの全線150円均一料金中だとか。しかし、暑い。セーターと厚いジャンパーを着ていると暑くて仕方がない。市電はちょっとレトロ調の101号という車両。インバータのような動きをするところをみると、中身は新しいのかもしれない。上熊本駅前まで乗車。ここはターミナルになっている。しかし上熊本駅そのものは、ずいぶん侘しい駅。お茶を買っておこうと駅に併設された売店に立ち寄ると、バインメンバーの若手二人が。やはり熊本電鉄を待っていると。昨日から来ていて、観光もそこそこ楽しんだようだ。うらやましい限り。そうこうしているうちに、熊本電鉄の電車がやってくる。熊本電鉄の上熊本駅は、「これが駅?」と思わざるを得ないつくり。ワンマンだから、駅そのものに人員はいらないのだろうが、さすがにうらぶれている。古い車両の、独特の上すぼまりの内壁。どっかで見たことがあるなあと思っていたら、これは旧東急の「青ガエル」電車だ。連結部側にも運転台がつけられ、単行運転が可能となっている。道中ものんびりしたもので、線路を横断していた青年にたいして、運転手が電車を止めて注意したりといった風景も見られた。

 北熊本駅で乗り換え。こちらが本線らしく、ステンレスの比較的新しい車両。黒髪町で下車。ワンマンなので駅はホームのみ。ここから歩いて、練習会場の九州ルーテル学院に行く。事前に地図をみて大体の地理関係を入れてあるので、それにしたがって歩いていく。つねに鳥の目で歩いているという感じ。今風に言えば、グーグルアースが頭の中に入っているといったところか。ルーテル学院は、どうも女子高っぽいと思っていたら、やはり最近共学になったとか。門を入っていくと、守衛に呼び止められる。怪しまれたらしい。今日は他に教員採用試験などもやっているそうなので、ちょっと厳しいのかも。学院本部の建物はモルタルながら、登録文化財建築になっている。別棟にある視聴覚教室で練習。早めに来たので、部屋の片付けや舞台雛壇をイメージしたロープ張りを手伝う。しかしさすがに舞台を再現するには狭すぎる。ぼつぼつとバインメンバーが集まってくる。昼食を食べてから、練習開始。個人的には声がまだ本調子に戻っていないので、休み休み声を整えていく。梅田の成城石井で売っていたという「せき止め飴」も利用。音楽練習と、動きの練習。動きの練習は、ある程度物理的な運度についての理解が必要なのかもしれない。横一列に何人も並んでまっすぐ移動するのはどうしても時間がかかる。段を移動してでも、二列で動いた方が速いに決まっている。最近たまたま読んだ全体最適化の話と同じだ。14時半過ぎまで練習し、タクシーで会場へ移動する。

 熊本県立芸術劇場は、1982年の会館にしては、ちょっとデザインが古いように思われる。70年代を思わせる感覚。しかし地方の強みか、ホワイエがホール規模に比して広いのはたいへん良い。ホワイエでは九州物産展などもやっている。合唱コンクールもやはり開催地への経済効果があるのだろう。団体集合では、とてもはきはきした担当者に感心。誘導は熊本第一高校合唱部の3名。微妙に敬語が甘いのはご愛嬌か。よく見ると団名のプラカードの文字、VineのVが小文字になっていた。うーん。誘導にしたがって更衣。合唱団ごとにテーブルが指定され、荷物をまとめることになっている。これは良いアイデア。着替え自体は、部屋の中を自由に使えるので広くて快適。

 リハーサルは二回。最初は30分、音楽練習。しかし半時間は長すぎる。第二リハーサルは10分間、演劇ホールに舞台が組まれており、立ち位置が確認できる。予想していたより雛壇の幅は広いようだ。その後お茶サービスを経由して、待機。貴重品やペットボトルなどは、宅配便業者が使っているような台車を準備してありそこに保管される。これもなかなか良いやり方。袋などを持っているとかなり重いこともあるし容量も制限される。

 いよいよ出演。舞台はニス塗りの奇麗な赤茶。しかし背面の朱塗りはもう一つ垢抜けない。三階席まであるので高さがある。指揮台から客席までもずいぶん広く作られている。実際に歌ってみると、事前に「響かない」と聞いていたわりにはよく自分の声も返ってくる。それほど大きな声でなくても戻ってくるので、わりと気持ちよく歌える。明日もあるので全力というわけには行かないが、しかし充実した感じで演奏を終える。本番後は恒例の写真撮影。全体と、パートごとにて。誘導の高校生たちにも入ってもらうのはいつものこと。再び更衣し、ロビーでミーティングをしてから解散。

 なにコラメンバーはここから練習へ。タクシーで練習会場である熊本市立中央公民館へ。自分は疲労もあって疲れがかなり出てきたが、なぜか妙に元気なのはM上S。こちらがさらに疲れてしまう感じ。団手配の弁当を食べる。千円の仕出しなので、なかなか豪華。地方都市では500円でも十分なものが食べられるだろう。残せない性格はこういうとき辛い。18時過ぎから練習開始。全般について確認をしていく。何しろ80名が揃う初めての練習。それぞれの歌い方を揃えるのにもエネルギーが必要。メンバーからもさまざまな指示が飛び交うが、短時間でまとめるために言い過ぎることもできない。最小限の注意で最大の延びを作らねばならないので大変。4列オーダーであるが、一列づつ前に出て交代する「鉄砲隊練習」など、なにコラ伝統の技が多用される。地下の集会室はかなり広い部屋だが、それでも舞台のサイズいっぱいくらい。指揮者との距離感の確認のために、I東氏は戸外から降ってみる。すかさず「鍵掛けろ!」と声が上がり、本当に掛けてしまうのがなにコライズム。とりあえずそのまま一度歌ってみる。振りながらも後ろの街路を気にしてしまう、気の弱いI東氏。

 21時半に練習終了。諸連絡や後片付けだが、なぜか古参メンバーがそのような雑用をしていることが多い。率先して自分から動くことが出来ないというのは、音楽にも反映しているように感じる。その後に解散。バインの打ち上げもあるが、明日のことを考えると素直にホテルに行くことにする。途中、バイン打ち上げに行くM上Sとタクシーに途中まで同乗するが、彼は店の名前しか知らなかった。変遷の激しい居酒屋の名称などタクシー運転手が知るわけもなく、自分がちらっと見ていたホテルの名前を頼りにタクシーを走らせてもらう。ところがそのホテルを運ちゃんが知らず、しかも「営業所に聞くのは恥ずかしい」といった理由でしばらく迷う。こっちは疲れているのに、と腹立たしい限り。結局営業所に聞いてもらい、繁華街中心部へ。M上Sを降ろし、運ちゃんの身の上話に付き合いながら熊本駅へ。

 熊本駅前は、駅を中心として発展していない町にあるようにほとんど何もない感じ。外に出かける気力もないので、そのままニューオータニ熊本に投宿。さすがにニューオータニ、快適。バスには発泡剤もある。早々に休む。バインの結果がメールされてきた。銀賞、まあそんなものだろう。

2006.11.26(Sun)

 暖房を入れていたわけでもないのだが割りと暑く、眠りの比較的浅いままに朝を迎える。手早く身支度をし、朝食へ。バイキングなので、野菜をたっぷりと採る。新聞には昨日の結果が載っていた。朝食はゆっくりしていたが、市電の時間を調べるとそれほど余裕もなさそう。さっさとチェックアウトし電車に乗る。熊本駅から健軍町まで乗車。ほとんど全線を乗る感じになる。曇りということもあって気温はやはり高めで、セーターは要らない。歩いて東町中学へ向かう。すでに結構メンバーが来ている。午前中はここの体育館を借りている。やはり大人数で、舞台もイメージするとなると体育館くらいが丁度いいところ。とりあえず少し時間があるので、バスケットボールなどして楽しむ。郡山大会の時を思い出すが、あのときのように寒くはないので助かる。

 9時から練習開始。チェアマンの挨拶、いまいちやる気のないK太の体操に続いて発声。朝ということもあって調子があげにくいが、そこを上手にあげていくことが必要。個人差もある。スケールをパートごとに歌わせ、音程が低いパートはその場で腹筋をさせられる。さすがにその後は比較的ピッチが安定する。意識次第ということか。さすがに体育館は広く、空間的には十分。しかし雨が降り出してしまったため、屋根に当たる音がうるさくなる。一通り動きの練習をしてから、音楽室へ移動。この移動にしても、やはり80人、しかも烏合の衆。とにかく何をするにも時間がかかる。I東氏の怒りもごもっとも。主体的なメンバーなしに、多人数の合唱はうまくならないのだ。狭い部屋でやっていても、大雑把な音になってしまっている。広い場所ですればどうなるかは火を見るより明らか。細かなチェックも続く。 この中学校には合唱部もあるようで、音楽室には標語なども掲示。なにコラが心しなければならないようなものも多い。最後にまた体育館に移動し、最終確認と通し練習。その後、体育館にて弁当昼食。昨日とは違う内容だった。その間に雨も止んだ。

 手配してあったタクシーが続々到着し、会場へ。健軍町からはさすがに結構距離がある。天気が良いのが幸い。雨が降っていたらかなりの渋滞になったかも。地方都市はその辺が怖いところ。集合時間までは余裕があるので、外で待つ。知った顔がホールに入っていくのを眺める。北大4人衆は、ホールの銅像前でドリンク剤での乾杯。それぞれにそれぞれの習慣があるものだ。この時間を利用して、なにコラ恒例のコンクールバッジを配布。今回はエストニアンカラーをイメージ。しかし五角形のハットピンなのに、なぜか着けると斜めに傾いてしまう。これは予想外。K賀さんなど今回オンステできなかった九州勢の顔ぶれも。団体集合で意味なく威勢がいいのは男声合唱団ならでは。更衣も大会議室が使用でき、広くてありがたい。昨日と同じく、第一リハ、第二リハ。喉の調子は昨日よりも悪く、かなり心配。

 本番。すでに一度乗っているステージ、余裕をもって歌える。しかし全体のピッチが不安定で、ばらばらの声もあちこち聞こえてくる。最大の責任であるソロも、特に破綻なく終了。拍手を聞けば、聴衆の受けは良かったようだ。写真撮影も、多人数だとなかなか大変。指揮者の個人写真も撮るようだ。着替えてから、外で集合。ミーティング。とにかく結果は問わないのがなにコラ主義。来年もまた集まることを約して、解散。

 先に交通センターへ移動し、友人K野氏とお茶を飲みながらバスの時間待ちをする。そろそろいいだろうと思って17時前にバス乗り場に行ったら、空港バスは長蛇の列。これは大変。リムジンには乗れなかったが、たまたま来た空港行きの快速バスに乗れた。これで安心。途中で乗客を乗せていくが、途中から通路も一杯になり、満員のため通過する停留所が多数。T上氏が待っていたバス停も通過してしまった。バスレーンが整備されているため幸い交通渋滞にはあわず、空港へ到着。バスに乗れなかったT上氏がいたので聞くと、取り残された人たちでタクシー分乗したそうな。三千円強くらいだったというから、暑い満員のバスを考えたら最初からそのほうが良かったのかも。

 チェックインしたら後は待ち時間。T上氏、T田氏とともにレストラン街に行くが、いずれも満員。と、先に入っていたK谷氏らを発見。もう済ませたそうなので、代わってもらう。ありがたや。よく考えると熊本らしいものは何も食べていなかった。せめてここで、というので「馬刺し山掛け丼」というのを注文。まあ、そんなもんか。その後は別れておみやげ物を物色。空港内をうろうろしていると、合唱とは別の友人S村氏にまったく偶然に出会う。聞けば、たまたま親の実家のある熊本に来ていたとか。なんたる偶然というか。世界は狭いものだ。またバインのS木さんにも出会う。バスで来たが、18時半くらい発のバスは割と空いていたとか。飛行機の時間の関係もあるので、やはり17時台は人が集中したのかもしれない。手荷物検査を通過したあたりで、結果についてのメールが入る。今回は3位。シードは取れなかった。でもそのほうがいいのだろう。今のままでは、実力が落ちるしかないルートなのだから。

 飛行機は天候のためか、10分ほど遅れて出発。途中もわりと揺れ、通常の機内サービスはなし。ともかく無事に伊丹へ到着。雨。モノレールと阪急を乗り継いで、京都へ向かう。大正軒でビールと坦坦麺を食べ、一人で軽い打ち上げとする。また雨が強くなってきたし、荷物も重いのでタクシーで自宅へ。今回の旅はこれで終わり。来年は関西大会からの挑戦。まずは、基礎体力の建て直しから。

= fin =


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