合唱バカの華麗なる人生

=ロンド編=

 わたしがロンドに来たのは1992年の夏。その頃、大学4回生になって大学合唱団の責任回生も終わり、新たに歌う場を求めていました。「ロンド」の名は既に知ってはいました。金谷先生・本山先生共に、別のところですでにその名を存じ上げていたので、この2人の先生がいるというのは魅力的だな、と思っていました。

 その時行っていた教会がマイスタージンガーの練習場であったこともあって、男声合唱は5月頃から再開していました。練習の後にいつもの中華屋で飲みかわしながら「混声の合唱団でいいところはないかなあ、ロンドなんかは良さそうだんだけど」と言ったら、「ロンドなら幹事長がうちにいるぞ」ということで、原田さんに御会いしました。その時に少し話を聞いて、なかなか良さそうだ、という感触を持ったわけです。その年の合唱祭でもロンドの演奏を聞き、また7月の演奏会の広告(この広告で入団したのは私だけのようですが)を見て、「これなら自分と趣味が合いそうだ」と感じました。「古今東西の(隠れた)名曲を取り上げる」というポリシーも、実際の選曲も気に入りました。後に、自分がそれで苦労するとは夢にも思いませんでしたが…。

 で、原田さんに連絡を取り、練習を覗きに行って見ました(確か、「行きます」といいながら見学を一度すっぽかしたような記憶がありますが)。当時のロンドは約30名ほどで、男声70人・混声では150人といった大きな大学合唱団で歌っていた目には新鮮に思えました。その時は本山先生の練習でしたが、その時に入団を決めました。たしか下から2・3番目くらいに若い団員だったはずです。その後、私のより若い知り合いなどが入ってきて、一気に上の方に上がりましたが。

 その時は演奏会を1月後に控えていました。全部のステージに出ることも考えたのですが、さすがにそれは遠慮して、前半二つ、金谷先生と本山先生と一つづつに乗りました。休憩以降は客席で聴いていました。入団して1月で、2つも乗るというのもなかなかの暴挙?だったかもしれません。

 演奏会後は割りと余裕のある時期で、先生も常には練習に来られなくなります。演奏会後の8月にも日曜練習がありました。その時は先生が来られない日で、パート練習をして最後にアンサンブルをする、という形でした。この時に、「指揮をやってたんやろ、アンサンブルやってや」ということでアンサンブルをすることに。入団2ヶ月後のことでした。この頃からベースのパートリーダーをすることにもなりました。役員会にも出席することに。あっというまの栄転?でした。佐々木さんがなかなか来られなくなってからは、練習指揮者も兼ねることになります。

 入団して2回目の演奏会が終わってから、今度はステージを一つ持たせてもらうことになりました。この時から現在のような3ステージ体制が組まれることになりました。まずは合唱祭で、そして演奏会で。その時に演奏したのは萩原英彦でしたが、わりに好評をもって迎えられたのは幸いでした。打ち上げでの伴奏の服部さん(現加藤)の言葉「(私からの伴奏依頼の手紙を見て)初めは女性の方だとばっかり思ってました」というのが受けてました。この頃から、いつのまにか「音楽委員長」を務めるようにもなりました。

 次の年の合唱祭も、私が担当。星野富広の詩による曲でした。早く曲を決めすぎてやや練習が冗長になった嫌いもありましたが、なんとかステージに持っていけました。合唱祭では2年連続で名前が出たせいか、合唱連盟で「あれは誰だ」と話題になったそうです。その年の秋、コンサートホールでの演奏会もうまくいった、と思っています(楽譜の扱いを除いては…あこちゃんごめんなさいね)。

 次の演奏会で、私の「ロンド生活」もいったん区切りをつけることになります。この2月にヘルシンキ大学の下見にいってきたついでに合唱団(ヘルシンキ大学合唱団(男声):日本でもCDがたくさん出ています)も見学し、「留学してきたら一緒に歌おう」という話になっていますので、向こうでも歌い続けると思います。本場での合唱を楽しんもう、またその成果を日本に持ち帰れたら、とも思っています。(本業はキリスト教学です…合唱での留学ではありません…念のため。)

 振り返れば、ロンドではたくさんの学びの時・場所を与えられました。特に指揮や指導といったことは、普通の「先生がいる」合唱団ではなかなかできないことです。私の練習に御付き合いくださってきた方々には、遅々としながらも少しずつは進歩していっていることがよくおわかりだと思います。人を育てる、ということはどの世界においても大切なことですが、特に「合唱」は人間同士のぶつかりあいから生まれてくるものです。実践の場によってのみ、「合唱」を作り上げていく技術を磨くことができる。そのための貴重な機会を持てたことを、この場を借りて皆様に深く感謝いたします。

 あと演奏会まで僅かの時間ですが、ともに歌を楽しんでいきたいと思っています。いまやっているもの、特にアカペラのものは、ロンドの愛唱歌になれば…との想いも込めて選んでいます。またいろんな機会に歌っていただければ幸いです。そのためにも…がんばって「覚えて」ください(笑)。

(1999.7)


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