宝塚国際室内合唱コンクールの魅力
前川 裕

 日本にある合唱コンクールといえば、まず全日本合唱連盟(JCA)の開催するものが挙げられる(おかあさん大会も含む)。また、中高ではNHKの開催する学校音楽コンクール(Nコン)も著名である。他には?となると、常設の合唱コンクールは日本にはほとんどない。最近でこそ、アンサンブルコンテストというものも増えてきたが、まだ地域的なものにとどまっている状態である。

 そのような状況の中で、異彩を放つのが「宝塚国際室内合唱コンクール」である。特に、海外から参加できる日本の合唱コンクールはこれのみである。これは宝塚市の外郭団体が行っているもので、宝塚市にある「ベガ・ホール」を使った事業の一つとして企画され、来年で19回目を迎える歴史あるコンクールとなりつつある。海外では、韓国・台湾・中国等からは常に参加があり、他にヨーロッパ等の諸外国(一部は招待であるが)の参加がある。先日たまたまコンタクトを取った台湾の合唱団メンバーも、「二度出たことがある」と言っていた。

 このコンクールのレベルは非常に高く、それは外国からの招待審査員も認めるほどである。まず一次審査(テープ)を通るだけでもすごい、といわれる。難関を突破して本選に出ても、入賞に至るにはさらに厳しい競争をくぐらねばならない。とはいえ、このコンクールには他のコンクールとは違った要素も多い。単に技術的に高いだけではなく、音楽的な余裕、楽しみといったものも審査に大きな影響を与える。「楽しんで参加できるコンクール」という意味で、日本では貴重な存在である。

 最近は海外のコンクールに出かけていく合唱団も多いが、日本各地でも合唱コンクールが盛んに開催されるようになると、コンクールの楽しみ方、また日本の合唱レベル向上に良い効果を与えると思う。宝塚の例を参考にして、各地方に望みたいことである。


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