「小人数合唱の楽しみ」
前川 裕

 10年ほど前から日本でも小人数での合唱が盛んになってきた。十数人で歌うのは大合唱団とはまた別の楽しみがある

この流れに乗って、各地でヴォーカルアンサンブルコンテストが開催されている。近畿では滋賀と兵庫で、年一回開催されている。参加団体数も年々増えているようだ

小人数合唱が増えてきたのは、消極的に見れば合唱人口の減少による必然ともいえるが、やはり小人数の魅力があるからであろう。たしかに前述のコンテスト等には大合唱団の中でグループをつくって出てくるところも多いが、独立したアンサンブルも勢力を増しつつある

小人数で歌う場合、個々人の責任がより大きくなる。それは大変なことではあるが、同時に「私が歌っているのだ」という意識をより強く持つことができ、充実感も大きくなる。大合唱団では埋もれてしまっていた「私」が見え、個人の満足につながってくるだろう。「私探し」というのが世間ではブームであるようだが、合唱においては小人数合唱がその現われなのかもしれない

もちろん、大合唱団と小人数合唱、それぞれの楽しみ方があり、片方にしか出来ないことがある。京都は伝統的に大合唱団が盛んであるが、小人数合唱団も少しずつ増えてきている。合唱の楽しみの可能性を広げるものとして、京都でももっと小人数合唱が盛んになることを願う。


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