「ア・カペラとは?」
前川 裕
なぜ無伴奏が良いのだろうか? 音階には、平均律と純正律がある。ドレミファソラシドの音階のそれぞれの音の間隔は微妙に違う。広いところもあれば狭いところもある。しかしそれでは、ピアノなどの和音をつくる楽器では調性ごとにそれぞれの音階に調整した楽器が必要となる。また、曲の途中での転調も不可能となる。これを解消しようとしたのが平均律であり、各音の間隔は一定に調整されている。これによってピアノ等の楽器は表現の幅を広げたが、その代償として自然な音階がもつ純粋な和声の響きを犠牲にしたのである。(なお、平均律の長所を宣伝するため?に作曲されたのが、バッハの平均律曲集である)
ただし純正律も完璧ではなく、全音に二種類あること、レ―ラの5度は不協和音程になる(平均律では完全音程)ことなど、問題点があることには違いない。
普通合唱において問題になるのは、ドミソの和音におけるミの音である。数値としてどうこうというよりも、ピアノで弾くのと歌ってみるのとで、響きの違いを実際に体験してもらいたい。ピアノの音に合わせるのではなく、自分の耳、感覚を大事にしよう。これは合唱において常に必要なことでもある。
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