「合唱技能検定?」
前川 裕

 資格・検定ばやりの昨今であるが、ついに「音楽技能検定」というものまで登場した(http://member.nifty.ne.jp/cmc)。検定になじまないものと思われていた芸術の分野にも、検定は進出してきているようだ。要綱によると、問題は3種類。A) CDを聞きながら、様々な音楽の様式・地域・楽器・時代について答える B) 音楽の構成要素や構造を聞き取り、音楽理論と結びつけて答える C) 音楽の一般知識(演奏形態・音楽用語・音楽と社会・音楽家など)となっている。1〜5級まであり、1級は「合唱・合奏などの指導者を目指す方」、5級は「楽器・楽譜が扱えなくても、音楽を聴くことが好きな方」という程度だそうだ。1、2級取得者には、大学入試科目の免除等の得点を検討中とか。

 試験そのものは多枝選択式で、上位級には実技も入るという。3級程度までならともかく、1、2級のようなレベルになると専門性が強くなるので、どこまで正当に評価できるかどうかが疑問となる。なお3級以上では、「一般(つまり西洋音楽)」「邦楽」の二部門に分かれているので、それなりの配慮はされている。とはいえ、例えば「マンダリンの調弦は?」と聞かれてすっと答えられる人も少ないだろう。

 いつかは「合唱技能検定」も出来るかもしれない。1級は「合唱の指導者を目指す方」、2級は「合唱の中心メンバーとして活躍する方」、…という感じか。

 なお「技能」ではないが、フィンランドの合唱界では、一定の数の愛唱曲を歌えるようになった団員にバッチを与えるという習慣がある。バッチは、全国的な連盟が出すものも、各合唱団が独自に作製するものもある。いずれにせよ、バッチをつけている人はある一定の愛唱曲を歌えるということであり、国内どこにいってもそれらの歌を合唱できる。日本のどこにいっても一緒に歌える歌、というのは案外少ないのではないだろうか。全国的な組織において、そのための愛唱曲の編纂が行われることを望む。


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