1/1(金)

 今日のヘルシンキの初日の出は9時半。しかし雲が厚くて日の出は拝めそうにない。朝食を食べに降りていく。2階から取り付け階段を通って1階の食堂に降りる。ここは道路に面している。道路からの入り口もあるが、これは使われていないようだ。現在は朝食のみ、ということになっている。フィンランドスタイルのバイキング。パンや野菜など、たくさんある。小さなパイやフルーツなどのデザートも充実。これはかなりお得な食事。ゆっくり食事を楽しむ。割と早い時間なのか、日本人がぱらぱらといるだけ。いったん部屋に戻り、10時くらいに出かけることにする。出る時に道路から食堂を見たら、結構たくさんの人が居た。

 今日は休日なのでどこも閉まっているし、まず自分のアパートに行って荷物を置いて来ることにする。日本から持ってきてもらったものを袋に分けて持っていく。町はやはり静か。駅で切符を買い、いつもの電車に乗ってコイブキュレへ。ここももちろん静かである。部屋に入って一休み。あきちゃんはこの部屋の中に入るのは初めてになる。ざっと荷物を片付け、日本に持って帰ってもらうものをまとめる。といっても数は少ない。CDと、いくつかの本くらい。丁度日本は夕方になるので、自分の実家の方に電話して新年の挨拶をしておく。お昼過ぎにまたヘルシンキへ戻って来る。しかしどこが開いているわけでもないので、歩いて大聖堂へ。中を見学する。丁度正面では結婚式用の写真撮影をしていた。ぐるぐると見回す。写真を撮ってもいいか、と職員らしき人に尋ねると、いい、ということなので、何枚か写真を撮る。そのうちに結婚式も始まるらしいので、出て行くことにする。戸口付近にはそれらしき人達が集まっていた。大聖堂前の階段を降りて、海の方へ行く。大聖堂の正面にある通りは最近整備されて、「街路博物館」になっている。古い消火栓や公衆電話、ガス灯などが置かれている。いまいち距離が短いので違いが分かりにくいのが難点か。ここを抜けてマーケット広場へ出るが、店はない。3Bのトラムに乗り、町を回ろうか、ということになる。

 しかしカトリック教会の横を通ったら開いているようなので、ここで降りて見学することにする。小さいけれども、中は静謐。静かに、前に飾られている降誕人形や回廊の受難物語の浮き彫りを見る。ローマ法王がこの教会に来たことを記念するプレートもあった。再び3Bのトラムに乗る。今度はエイラで降りて、アグリコラ教会を見学しよう…と思ったら閉まっていた。その足でヨハネ教会に向かうが、こちらも中は暗い。どうしようかな、と思っていると、近くにあるデザイン博物館が開いているようだ。近くまで行ってみると、やはり開館している。自分も前から見ようと思っていたところだし、他に行くところもないのでここに寄ることにする。入館料を払ってロッカーに荷物を預ける。地下では特別展の、アルメニア教会の美術品。正教会の影響を思わせるきらびやかな装飾品や、アラビア風の顔など面白いものがたくさんある。金銀の細工はこの地方の古代からの伝統といえる。それから先に2階を見に行く。ここはワインを巡る工芸品。ワインボトルやグラスなど、古代のものから最近のものまでいろいろ展示されている。15リットル用のワインボトルというのは大きかった(笑)。1階にはブローチ作者の作品展示と、フィンランドの彫刻技術について。前者には実に奇妙なものがたくさんあった(^^ ;)。後者は、名前を彫りこむとか、切手や紙幣の原版の作成などの技術。実に細かい彫刻である。一通り見たところでミュージアムショップも覗く。ちょっと高めの値段。面白いものはいろいろあるのだが。

 ここをでたらもう真っ暗。夕食はホテルの近くのピザ屋にする。持って帰るのも大変そうだし、部屋は少しくらいので店で食べることにする。しばらく待つと大きなものが出て来る。食べ始めの頃は時間が早かったが、店を出るころにはいっぱいのお客さんになっていた。少し時間があったのでフォーラムまで散歩してからホテルに戻る。やはり店は閉まっていた。

1/2(土)

 今日は一応普通の日のはず。食事をしてから出かけることにする。やはり10時過ぎ。最初にアテネウムに行こうとしたが、土曜日は11時開館。まずは郵便局に行くことにする。ヘルシンキ10の方で切手を買って、あきちゃんが書いた葉書を出す。外に出るとソコスが開いていたので、ここに寄ることにする。くるっとまわり、クリスマス用品のセールでこちららしい飾りを買う。小さなツリーもあったが、持って帰るのは大変なのであきらめ。そうこうしているうちに11時を回る。せっかく近くにいるので、郵便博物館を見ていくことにする。切手の原版や、郵便配達の歴史など。独立前の切手にはロシア語が入っていたりしていた。出る時には12時になっていたが、そういえば国会議事堂に行こうという話になっていたのをこの時に思い出す。12時がガイドの時間なので、急いで行ってみるがすでに遅し。しかたないので、そのまま歩いてテンペリアウッキオ教会へ行く。前回はここすら来ていなかった(^^ ;)。クリスマスの飾りも置かれている。ここは動物や他の人物はなく、イエスの人形だけが置かれていた。見ていると団体客が入れ代わり立ち代わり入って来る。そのうちに職員が、祭壇の前の岩の壁にろうそくをつけ始める。それが奇麗なので写真にとろう、といっているが、なかなか全部つけおわらない。どうしようかねえ、と言っているとやっと全部終わったので写真に収めて、教会を出る。

 トラムがなかなか来ないので歩いてソコスまで戻り、そこから3Bに乗る。マーケットホールまで。今日はホールも開いていた。ここをぐるっと巡る。一休みしようということになるが、あきちゃんが店先で見掛けた「春巻」が気になると言うので、それを買って店先で食べる。なかなかおいしい。店の名前からすると、中国人の経営のようだ。自分が買ったのは鳥のなんとか、と書いてあったが、中にはエビが入っていた。ちゃんとレンジで温めて出してくれる。ファーストフードと言ったところ。これだけでは足らないので、ホールの真ん中にあるカフェでもう少しパンを食べ、コーヒーを飲む。小さなクッキーのようなものが美味しかった。ホールを出て、あきちゃんが「前に行けなかった所に行きたい」という。話を聞いてみると、キーレフのことらしいので、そこまで歩いていく。雑貨屋がたくさん入っているところであり、一通りくるっと回る。Tシャツに気に入ったものがあったようだが、まだ他のところも見ていないし、一応置いておく。サーミの織物などもあったが、やはり値段が随分高い。

 続いて楽譜屋のFazerに行く。ピアノの楽譜などをあきちゃんは見ている。自分はセール品の楽譜を見ていたら、前から買おうと思っていたエストニアの合唱曲集が叩き売られていた(^^ ;)。この機会に買っておく。ほかにあきちゃんの希望で、フィンランディア讃歌のソロ版の楽譜も買う。「何か歌って、といわれた時のために」というが、この曲はちょっと息がしんどいなあ(^^ ;)。Fazerの楽譜の部門は今日は3時で閉店。急いで買い物を済ませてから、アテネウムに行く。もう3時。開館は4時までなので1時間ほどしかない。荷物を預けて展示室へ。3階の部分を一回りするともう4時10分前になってしまった。4階に行こうとしたら「もう時間がないよ」と言われる。ちょっとだけ見てから、下に降りる。しかし、4階にも展示があるとは今まで気づいていなかった(^^ ;)。そういえば現代ものがなかったのは確かだが。まだちょっと時間は早いし、またFazerに戻ってクラシックのCDを見る。特に買わずに、ホテルへ帰る。

 オペラ座へ行くまで少し時間があるのでゆっくりできる。しかしいざあきちゃんが着替えようとしたら「トランクが開かない…」と。番号はあっているが、どこかで引っ掛かっているか番号が変わってしまったかしたらしい。いろいろ試してみるがうまくいかない。ともあれ、ある服を着て出かけることにする。トラムはなかなか来ないし、歩いてストックマンの前まで行くが、2ヶ所ある停留所のどちらが先に来るか分からない。あたふたしていたが、なんとか先に来たものに乗れた。オペラ座に着いたのは7時を回っていた。コートを預けて座席に行こうとするが、チケット係りに「こちらへ」と2階バルコニーの後ろへ案内される。「自分の席には休憩のあとで」とのこと。確かに真ん中の席だから、とても入れたものではないのだが。しかしここからもよく見える。もう序曲が終わるところだった。今日の演目はバレエで「くるみ割り人形」。自分はバレエは初めて。あきちゃんは舞台の広さに感心している。バレエは歌が無いので、なにかもの足らない感じがしないでもない(^^ ;)。もちろん素晴らしいものではあった。休憩時間には、前に予約してあった席を探す。綴りが「MAEKAVA」になっていたが、ちゃんとあった。コーヒー・紅茶はポットで置かれている。これでも普通に取るのと同じ値段だから、予約しておいた方がお得。食べているとウェイターが回ってきて、伝票を持って来るのでそこで支払う。これなら実に簡単なシステムだ。今日は演目のためもあってか、小さな子供連れがたくさんいる。普段のオペラの客層とはだいぶ違っている。後半はちゃんと自分の席につき、十分に楽しむ。終演は9時過ぎと、これも普通のオペラより早い。トラムに乗ってストックマン前まで行き、あとは歩いて帰る。

 ホテルに帰ってから、開かないトランクと再び格闘。いろいろ考えるが、番号が変わっているということはないだろうし、何かが引っ掛かっているのだろうと判断。たまたま持っていた万能オープナーを使ってこじ開けを試みる。何回か試しているうちに、開いた。これで一安心。鍵を見て見たが、少し掛け金の戻りが悪いようだ。荷物を出し入れして閉じて見たら、また開かない。しかし鍵の構造が分かっているので、次からは容易に開けられる。しかし困ったものだ。

1/3(日)

 今朝も暗い。ざっと片付けてから朝食へ。毎日少しずつ違いがある。今日は鮭がなくてツナだった。ゆっくり食事してから部屋に戻る。荷物を片付けてから、トランクを閉めてみるとやはり開かない(^^ ;)。まあ仕方がない。開け方は分かったので、また次の宿にいってから開けることにする。朝はすぐ近所のヨハネ教会の礼拝に出てみる。教会の裏の道などは凍っていて滑る。礼拝が始まる10時ちょうどくらいについた。入り口に式次第が置いてある。まさに式次第だけのシンプルなもの。オルガンの前奏に始まって、礼拝が進む。出席者は30名くらいか。大きな教会なのでちょっと寂しい。聖歌隊もないのか、カントルの歌う声だけが階上から聞こえてくる。聖歌集の末尾についている式次第の例と首っ引きでついていく。今日は聖餐式もあった。ルター派の聖餐式をみるのは初めて。祭壇の周りに作られた長いテーブルに集まり、それぞれパンと葡萄酒を受け取る。席に残っている人も割に多かったので、みんなが受けるわけではないのかな、と思っていると、前が空いてきた頃に立っていった。報告は礼拝の真ん中にある。オルガンの後奏で終わる。ほぼ1時間強といったところ。

 再びホテルに戻って、チェックアウト。特に追加料金はなし。ここはなかなかいいところだった。トラムもうまく捕まらないので、歩いて駅まで向かう。タンペレまでの切符も買っておく。今年から少し鉄道の運賃もあがったので、以前よりもほんの少しだけ高くなっていた。コインロッカーにトランクと必要のないぶんの鞄を入れる。それから国会議事堂へ。12時からガイドがある。ついたら丁度入り口が開いたところだった。中に入る。入り口のロッカーで荷物を預け、金属探知機を通過。カメラはもって入っても言いようだ。今回は若者ばかりで、10人ほど。普段ならフィン語やスウェ語で解説するのだが、今日はみんな英語で行けるということで英語での説明になる。階段を昇って4階まで上がり、最初に本会議場へ。しかし扉が閉まっている。「閉まっていたことは今までになかったんだけど」といいながら鍵を試したら開いた。ここから説明が始まる。女性の職員だが、ユーモアも交えて説明してくれる。天井のドームにある窓ガラスはいつ落ちて来るか分からないので、その下に座る議員は心配が増えるとか、4階まで階段で上がって来るのはエレベーターのない昔には一つの設計ミス?だとか。また傍聴席の一列目は入れないということで、過去にそこから本会議場に飛び降りた人がいるとか。また議員席の書類が見えるのもまずい、ということ。建物はフィンランディアホールと同じくらいの容積があるという。本会議場には5体の彫刻があるが、そのなかに一人も女性がないのはおかしい、という議論もあったそうだが、彫刻家がもう生きていないのでその真意は分からないとか。また真ん中は「将来」という像でこちらに背中を向けているが、それを正面に向けようという話も過去にあったそう。しかし「将来」がこちらを向くと「過去」を見ることになり、名前の意味がなくなってしまうということで、今ではそういう議論もないそう。議会での演説時間は自分の席では2分。前の演壇に出ると10分が基本だが、論点がずれない限りは「残りの全人生を使って」もいいそうで、最近では6時間以上の演説があったとか。またここでは電子投票が採用されているので、ボタンで投票する。が、間違いを防ぐために(?)、同じ政党では隣の人のボタンを押すようにしているとか(笑)。

 それからカフェを見る。ここはアメリカ風の機能主義的なデザインの調度品の中に、古典主義的な柱がでん、と立っている。ここでフィン人がする質問は「議員が飲むコーヒーはただなのか」ということで、それはフィン人にとって非常に大切な質問だとか(笑)。議員は大変いい給料をもらっているので、ちゃんと自分で払っているそう。それから廊下に出る。天井や壁にある彫刻についての簡単な説明などがある。また廊下にある議事堂の模型をみて全体像について説明する。新人の議員は迷うことも珍しくないそう。階段は大理石。これはフィンランディアホールの外装のものと同じだとか。3階にある広間は、国賓を出迎えたりする時のためにあるという。大統領の銅像が幾つかあるが、全員ではないのは、議長も経験した人だけだとか。エレベーターについても説明がある。常に動いているエレベーターは今は1基だけだが、待つ必要がないので好まれているとか。さすがに安全のために、見学者はつかえないとのこと。ゴンドラが丁度鎖のようにつながって2列のエレベーターになっているわけだが、子供が必ずする質問は「逆さまにならないの?」ということだそうな(笑)。つづいて1階の正面入り口。ここには郵便局もあり、特別の消印があるそう。また新聞室にはフィンランドの全ての地方の新聞が揃っていていつも混雑しているとか、入り口にあるワードローブは特に冬に、女性議員が靴を履きかえるのに不可欠だとか。いろいろお国柄が出ている。そしてまた最初の入り口に戻る。新しくできたというコンパクトな案内も勧められる。ここで解散。ガイドにお礼を言うと、「どういたしまして」と日本語で帰ってくる。話すと、一度日本に行ったそうで、東京と大阪、熱海に行ったそう。いろんなところにいろんな人がいるものである。

 そこを出て、駅へ戻る。あまり時間がないので急いでいく。ソフトクリームを買ってからタンペレ行きの列車に乗る。これはオウルやロヴァニエミにいく長距離列車なので、随分混んでいる。二人分の席を見つけて座る。が、1時間ほど行った途中のハメンリンナから乗ってきた女性客が自分の座っていたところを予約していた。幸いすぐ前が一つ空いていたので、そちらに移る。予約席かどうかは全く分からないので、混雑している時などにあとから来られるとちょっと大変。しかし予約している人は少ないようだ。まさに籤に当たるようなものである(^^ ;)。暇でもあるし、トイレに立ったついでにバーの方に歩いてみる。バーの車両にはテーブルがついている座席がある。そこから先のドアに「飲み物はだめ」のマークがついているのは、ここで飲んでくれ、ということのようだ。商品の値段は、駅のスタンドと似たようなものか。特に高いということはなさそう。幾つかの車両を通り抜けたが、外見は同じでも中の座席はけっこう違いがある。新しく改装したものも幾つかあるようだ。トイレは昔ながらの垂れ流し式。そのうちにタンペレに到着。

 もう3時。気温はプラス1度。暗くなり始めている。そのままホテルに向かおうかとも思うが、そう遠回りでもないのでヨハネ教会に行ってみる。しかし、冬は3時までだった。入り口の掲示板に、今晩に一つ演奏会があるというチラシがある。どうせ暇だし、行ってみよう、ということになる。しかしまずはホテルへ。ソコス・タンメルは川沿いにある。タンペレでも最も古いホテルの一つとあったが、なるほど中に入るとよく分かる。チェックインして鍵をもらう。部屋の前まで行くと、中からテレビの音がする。おかしいなあと思ってノックしてみるが、返事はない。思い切って開けてみると、テレビだけがついていた。インフォメーションとして名前も表示されているので、フロントで電源を入れたら自動的についたようだ。しかしこのテレビ、電源をいれたところでは大きな音になっている。恐らく緊急用の意図もあるのだろうが、しかしうるさい(^^ ;)。このテレビでFMも聞けるので、クラシック局を流しておく。5階の南側で、川がよく見える。ツインで取っていたが、なぜかソファーがベッドメーキングしてある。これがエキストラベッドということか。しかし自分たちには必要がない。この部屋をメーキングした人のサインも置いてある。やはり全体的に高級な雰囲気がある。チョコレート入りのハッカキャンディーがおいてあった。ミニバーも、ヘルシンキより少し安い価格。お風呂には浴槽もある。石鹸は備え付け。ドライヤーもある。しかしシャワーカーテンは長すぎて、浴槽の下までついてしまう。

 今日は日曜でもあるし、もう夕方なので早めにまた外に出る。取り敢えず、メインストリートに出る。道にはイルミネーションがたくさん点けられている。これはこういう企画行事らしい。ヒマワリやチューリップ、馬や鳥など、さまざまのモチーフがある。ムーミンのものもあった。これは大変奇麗。普通の電灯の色だけでなく、赤色や緑色なども混じっている。ヘルシンキのライトアップよりも奇麗だと思う。しかしこれは全部白熱灯だから、その電力消費はいかなるものか。「なんぼ発電所があるといってもねえ…フィンランドは電気代が安いのかなあ」とあきちゃん。その下を歩いて、市立図書館へ。図書館は閉まっているが、下のムーミン谷は開いていた。ゆっくり見る。あきちゃんはムーミンの家の模型が気に入ったようだ。ついでに隣にある石の博物館も見る。ここはフィンランドのみならず世界の石が集められている。化石などもある。結晶などはとても奇麗。さらにとなりに、ムーミンショップがある。これは前に来た時には行かなかった、というか気づかなかった。たくさんのグッズを売っている。ムーミンのCDというのもあった。

 再び歩いて戻る。そろそろ食事の時間。どこで食べようかと見ながら歩く。メニューが外に出ているところを見ていく。タンペレ劇場にあるレストランは少し高そう。丁度その川向かいにあるロッソがちょうどファミリーレストランのような感じでいろいろあって良さそうなので、ここにする。川沿いの窓際に席を取る。お客は少ない。メニューを見せてもらう。最初に飲み物は、と聞かれたので、自分はライトビールを頼む。あきちゃんはパスタ、自分は魚料理にする。入ってくる時にサラダバーのテーブルがあったので、あれは、と聞くと、一品料理にはついている、とのこと。注文を終えて、サラダを取りに行く。フランスパンもあった。しばらく待つと料理がくる。魚といっても、えびのクリームシチューであった。しかも炊き込み御版のようなものがついている。十分おいしかった。あきちゃんが途中で水を頼んだら、ピッチャーで持ってきてくれた。食事を終えてから支払うと、水は3FIMになっていた。まあピッチャー全部でも同じだから、いいのかもしれない(笑)。

 歩いて再びヨハネ教会へ。さすがに少し寒い。7時から演奏会ということになっている。10分前だが、やはり人は多くない。入り口でプログラム代を払う。夜に来ると暗いので、ステンドグラスも見えない。前には椅子がいくつかと、アップライトピアノがある。プログラムを見ると、全員が一人の先生の弟子のようだ。時間になると6人のソリストと、ピアニストが出てくる。指揮はなしで、ピアノに合わせて。サンサーンスのクリスマスオラトリオ、ということだから、多分原曲はオケなのだろう。曲は奇麗だが、演奏はなんとも(^^ ;)。まるで素人に近い。妻は大いに不満であった。1時間もかからないくらいであった。また歩いてホテルに戻る。あとは部屋でのんびり過ごす。「どんなところにも必ずクリスマス・ツリーがあり、いろいろな飾りがしてあるけれど、それが人々の心の中から出てきたものだからか、けばけばしくなくて、自然で静か。日本のような商売の戦略にのみ使われているのと、えらく違うなあ」とフィンランドのクリスマス飾りについてあきちゃんは評価していた。

1/4(月)

 朝は8時くらいに起きる。外を見ると雪が降っている。ちょっと寒そう。朝食を食べに下へ降りる。レストランは昔からのもので、豪華な雰囲気。銅の食器なども飾ってあるが、これはレストランの時に使うのだろう。特にチェックはなく、そのまま入る。バイキングスタイルの朝食で、種類もたくさんある。ここにはソーセージもあった。いろいろと取って食べる。少しずつ取ってもたくさんの量になる。食後にフロントでバスの時間を尋ねる。「展望塔なら歩いてもそう遠くはないよ」といわれるが、雪が降っていることもあるし、前回の経験からバスの方が無難と判断。部屋から下を眺めていると、凍り付いた公園で子供がアイスホッケーをしている。「あんなころからやっていれば、それは強くなるわ」とはあきちゃんの言。10時過ぎにチェックアウトして出かける。当初の予定では最初に展望塔に行くつもりだったが、この雪では視界も効かないので後回しに。しかし教会などが開くのも11時なので、それまでの時間はメインストリートを歩く。駅前の郵便局によって葉書を出す。ここではタンペレの絵葉書を売っている。種類もたくさん。記念切手用の窓口も別に作られている。それからストックマンをぶらぶらと見て歩く。2階分が売り場になっている。3階は改修中だった。もちろんヘルシンキのものには及ばないが、見て楽しむには十分。幾つか気に入ったものもあったようだが、ここで買う必然性はないのでまた明日にでも。

 11時を回ったので、みたびヨハネ教会へ。今度は開いている。掃除をしていたお姉さんが受付に立つ。ここで絵葉書やガイドなどをいくつか売っている。A4裏表の簡単な説明書きは無料でもらえる。これはタンペレの教会には共通の企画らしく、どこでも同じフォーマットのものがある。今度は昼間なのでステンドグラスも奇麗に見えている。南側のバルコニーには、「傷ついた天使」の絵もある。説明書によると、オリジナルはアテネウムにあるもので、これは作者自身がここに再び書いたものであるとのこと。しばらく見てから、絵葉書を何枚か買って出る。ここからあるいてまた中央広場へ。ヨハネ教会の近所には古いスタイルの建物がいくつもある。古教会を見学。こちらはずいぶん小さな感じ。現在は300人程度の規模だとか。中央部の天井にある星が印象的。オルガンももちろんあるが、ちょっと窮屈そう。妻はここが気に入ったよう。特に何か売っているわけではない。メインストリートの一本北側の道を歩いていく。月曜の昼だが、けっこう人が出ている。この通りに学生会館もあった。アレクサンダー教会に入る。ここは入ったところに来訪者名簿がある。前の部分が結構あったのでめくってみると、前回に来た時のメモも残っていた(^^ )。ここは木造の部分もたくさんある教会。バルコニーも開放されているので上にあがれる。聖壇の部分がすべて漆喰で覆われているので少しくらい感じなのが変わっている。そこには福音書記者の象徴が浮き彫りにされている。オルガンはクラシックなスタイルのもの。礼拝堂の壁沿いにいくつかコーナーがつくってあって、それぞれテーマごとの説明がある。これはなかなか分かりやすくていい。外に出たら雪が止んでいた。が、晴れるにはまだまだ。ちょっと歩き疲れたので、バスの時間を見ておいてから向かいの図書館に寄る。2階のカフェでコーヒーを飲む。一休みして、バス停に。16番のバスに乗る。前から乗る時に料金を払う。ヘルシンキのような切符ではなく、レシートのような形で出てくる。10FIMで1時間有効。バスに乗っているのも4、5分で、展望塔の近くまで行く。丁度団体が来ているようで、観光バスが止まっている。話し声からはロシアの団体のようだ。建物の入り口にある池ではアザラシが泳いでいる。15FIMを払って切符を買い、エレベーターに乗る。地上100m以上の展望台からは、真っ白の町が見える。遠くまでどころか割りと近くでもよく見えていないが、しかし凍った湖の様子などはよく分かる。見えている場所の説明は夏の写真なので、それと比べるとよく分かる。もってきた双眼鏡も使ってあちこち眺める。今日は売店もあいていた。団体が来ているからだろうか。ぐるっと一回り見る。妻は感嘆した様子(^^ )。これを見るだけでもここに来る価値はあると思う。上から見ていると、凍った波止場辺りの海の上を歩いている人がいて、鳥がその人を追っかけているのが見える。十分歩けるくらいに固まっているようだ。バスの時間を考えてまた下へ降りる。バス停まで行くが、お目当てのバスはすでに出たところだった。しかし10分おきくらいにあるので、しばらく待つ。1時間は過ぎてしまったので、また新しく切符を買う。このバスは駅前まで行く。ホームに入り、列車を待つ。たくさんの人が待っている。列車はオウルから来るもののようだ。そのうちに列車が入って来るが、幸い自分のすぐ前にドアが来た。二人分の席を確保。だいぶ席も埋まっているようだ。駅を出てすぐの車窓に正教会が見えた。これからは暗くなって来るので、車窓も楽しめない。幸い席を予約している人も現れず、無事にヘルシンキへ戻る。5時。

 荷物をロッカーから出して、あきちゃん用のトラムの3日切符を買い、2番でハカニエミまで行く。ここのホテル・アントンだと思っていたが、念のために入る前に予約票を改めて見たらホテル・アウロラだった(^^ ;)。もう一度トラムに乗り、途中のセルネイネンで乗り換えてヘルシンキ通りのホテルへ行く。鉄道の線路の近く。チェックインして鍵をもらう。ここはカードキーで、二人なので2枚渡される。部屋は7階。扉は2重になっていた。窓の上にも蛍光燈があるので明るくなるが、しかし2本の内1本は切れている。テーブルのランプはつかないなあ、と思ったら電球がなかった(^^ ;)。なんとも、である。あとは普通のホテル。窓からは正面にオペラ座が見える。見晴らしはいい。ここの洗面所は、石鹸が備え付け。ドライヤーもある。着替えてからまたでかける。

 今度はオペラ座の前で乗り換え、フォーラムへ行く。ここの地下で夕食。あきちゃん御希望のケバブを食べる。あきちゃんはピタを、自分はライスのものを。これはあきちゃんの口にも合ったようだ。自分は最初にコーラを飲んで空腹が刺激されたようで、ちょっとでんぐり返っている(^^ ;)。食べおわってから再びトラムに乗ってオペラ座へ。7時くらいに着く。コート類を預けて中に入る。今日もたくさんの人が来ている。オペラショップを見る。あきちゃんはいくつかカードを買っていた。7時半からの開演だが、10分前にファンファーレが入る。ゆっくり行ったらすでに席がいっぱいで、真ん中の席に行くには苦労した(^^ ;)。早めに入らねば。今日の演目はベルディの「椿姫」。主役はもう一つだが、父親役が実に素晴らしい。セットも効果的に作られている。双眼鏡があるので、細かいところもよく見える。合唱がすごい、というのは妻の感想。幕間には今日はテーブルを予約していないので、しばらく待ってから並んで買う。あきちゃんはコーヒーとケーキ。自分はオレンジジュースにする。今日の終演は10時過ぎ。まさに「カーテンコール」であったのは、すでに合唱団は仕事を終えて帰っているからか(^^ ;)。ソリストだけが何度も呼び戻されていた。トラムに乗ってホテルに帰る。

1/5(火)

 朝はうっすら雪化粧。朝食を食べに下に降りていく。バイキング形式だが、ちょっと品数は少ない。サラダ菜もやや古め。トースターは下に押し下げるとパンが下がる形で、わからなくて焦がしてしまった。食べながら新聞を見ると、やはり天気は良くないままのようだ。食べてる人も少ないなあ、と思っていたら団体がどかどかと入ってきた。ロシア人のツアーのようだ。結構な数で、食堂がいっぱいになる。こちらは丁度食事を終えたところ。タイミングが良かった。

 明日は休日で店が閉まるので、今日は買い物の日。であるが、まずはいったん自分のアパートに戻って荷物を置き、楽譜を取って来る。出かける時にフロントにテーブルライトの電球がないことを告げておく。ホテルの裏から2番のトラムで駅まで行き、電車に乗る。さっと行って帰って来るだけであるが、やはり1時間半くらいはかかった。もうあきちゃんがここに来ることもないだろう。自分にしても、ここを出たらもうこの辺りに来ることもないだろうが。スーパーでお菓子などを買ってから駅で新しい定期を買い、電車に乗る。

 ヘルシンキに戻ってから、カイサニエミの方へ出て6番のトラムに乗る。それでアラビアの工場へ。そこの店で食器を買う。いろいろ迷って、紅茶向けのカップとポットを買う。その外にムーミンのプレートなども買う。ここでは3色の値札がついていて、白は1級品、黄色は2級品。赤はサービス品、となっている。1級品はやはり高い。たまたま欲しいものが2級品だったので、じっくり吟味していいものを選ぶ。6客も買うと結構な嵩になる。ここでも日本円が使えるようで、レートも表示されている。為替の変動によっては日本円の方がいいかもしれない。輸出サービスもあるが、料金を聞くとやはり高いので、手で持って帰ることに。お金を支払うと、「あちらでどうぞ」と自分で包装するように言われる。「夏と違って店員も少ないね」と妻。包装紙や空き箱、テープなどはちゃんと揃っているので、紙に包んで箱に入れる。それを袋にいれてから、免税のシールを貼ってもらう。これで完了。確か無料の送迎バスがあったよなあ、と思っていたが、どこにも表示はない。夏だけのようだ。割りと荷物が嵩張るので、いったんホテルに戻ってこれを置いて来ることにする。6、8とトラムを乗り継ぐ。

 再び外に出て、今度は町中へ。また2番に乗り、カイサニエミまで行って降りる。カイサのなかにある学部図書館を覗いてから、ファビアニン通りへ出る。ここからポルタニアへ。まず翻訳して欲しい、と日本から持ってきた楽譜をコピーする。また購買でヘルシンキ大学のTシャツをお土産に買う。それから食事。二人とも魚のフライを取る。自分は12.50FIM、あきちゃんは22FIM。食事はおいしい、と妻には好評だった。続いてキーレフ・バザールに行き、前に目をつけておいたTシャツを買う。再び外に出ると、だいぶ暗くなってきて雪もちらついている。エスプラナーディをストックマンの方へ向かう。ウィンド―ショッピングをしながら歩いていく。あきちゃんの所望でアカテーミン書店へ。くるくると回って本を眺める。料理の本などは奇麗だが、作り方が読めないのでなんとも。地下に抜けて、ストックマンの方へ行く。食品売り場の前のレジの向かいにあるコインロッカーに鞄を預けると身軽になる。ここは1FIMと安いロッカー。まずは1階のAlkoでお酒を見る。お土産用にということでミニボトルが欲しいのだが、レジのショーケースに入っている。ここらしいものをと考え、フィンランディアとリキュールを買う。いずれも50mlで12FIMくらい。それから5階に行って、ろうそく型の電灯を見る。あきちゃんはこれが欲しいようだ。もちろんヨーロッパの電気の規格なのであるが、いろいろ考えて使えそうだとは思う。しかし取り敢えずは止め。4階に降りて雑貨を見る。「浮きろうそく」というのを買う。またムーミンのマグネットなども。またここにはカフェもあるので、アイスクリームというかジェラートを食べて一休み。2玉で13FIM。あきちゃんはまだろうそくにこだわっているので、また見に行く。なんとか使えるようにしよう、ということで小さめのものを買うことにする。ところが箱入りのものは1つしかなく、しかも1本割れている。他には見本しかない。見本を持って「これが欲しいのだが、他にあるか」と聞くと店員も探してくれるが、やはり無いよう。壊れたものの箱を使って入れなおしてくれる。また見本なので、替えの電球もいくつかつけてくれた。ついていた値段が50FIMくらいだったので、これが半額セール後の値段だろう、と思っていたらここから半額だった。実に500円くらい。これは安い。包んでもらって持って帰る。

 これら全てが終わったらもう6時。今日はYLの練習を見学することになっている。下まで降りて、ストックマンの向かいのヴァンハに行く。2階に上がったが、鍵がかかっている。おかしいなと思って反対側を見に行こうとするがこちらは階段が閉鎖されていた。またドアの前に戻ると、あきちゃんが「中から声がする」という。ノックしてみると開けてくれた。しかし、まだ通常の練習ではなくレコーディング用の小合唱の練習だった。しばらく聞いていることになる。10分ほどして終わったので、マッティに挨拶し、妻を紹介する。「スペシャルゲストだな!」と言っていた(笑)。そのうち人が集まってくる。今日はマッティ・ペロは来ないようで、マッティが簡単に声出しをする。楽譜類と、2月の演奏旅行のプログラムなどを取る。楽譜はパルムグレンも含めて全て印刷されていた。別に家に取りに帰らなくても良かったか(^^ ;)。たまたまこの中に、昔日本で歌ったことがあって、フィン語の原曲を探していたものが入っていた。偶然。最初はいつものように真ん中に入っていたが、あきちゃんにどの曲かとかも説明しないといけないので、端っこに陣取る。4回の練習で、みんなにとっても新しい曲が8つあるという。自分にとってはさらに2、3新しいものがあるし、シベリウスは覚えなくてはならないだろうから大変。またタンゴもある(^^ ;)。これは大変だな、と思っていると、一通り新しい曲を歌っていく。今日は細かいところまでせず、それぞれの曲をつかむ、という感じの練習。あきちゃんいわく「もうマッティの中で音楽が出来ていて、それでどんどん引っ張っていく」とか「歌い手の方もいいかげんな音は出さない」といった評。なるほど。いつもと同じ30分の休憩のあと、9時10分くらいで全体練習が終わる。今日は続いて小合唱、また入団テストもあるようで早く終わったらしい。はじめに渡し忘れたので、マッティに日本から持ってきた梅酒をプレゼントする。そのかわりに?一緒に写真を撮ってもらった。でも時間もないしばたばたしているしで、あきちゃんが一緒に入っては撮れなかった。残念。自分はまだこれからも機会があるのに。まあまた今度来た時までお預け。ここで失礼する。ちょっと時間が早かったので、駅地下でピザとハンバーガーを買い、地下鉄とトラムを乗りついでホテルに帰る。10時くらいだった。さすがに今日はたくさん歩いたようで、足が随分疲れた。帰ってきても、電球はついていなかった(^^ ;)。

1/6(水)

 今日は二人ともゆっくり起きた。食事に行ったのがもう9時過ぎ。ホテルの案内では朝食は月〜土が10時まで、日が10時半までとなっている。今日は休日でもあるし、どうなるかと思ってウェイターに聞くと「10時まで」とのこと。あと30分ほどしかない。今日は昨日とは逆で、バイキングのテーブルには、もう空に近いものもある。まあ仕方がない。一通りとって食べる。見ているとロシア人達のツアーがチェックアウトしていく。ホテルの前にバスが待っているのが見える。そのうちにウェイターが「あと10分だよ」と声を掛ける。「昼食の準備があるからね」とのこと。あきちゃんは食事の終わった他のテーブルを見て、「すごい食べ方!」と言う。たしかに、パンやデザートなども半分以上残っているテーブルもある。パンはパンかごのようにまとめて取っておくようだ。これもお国柄かもしれない。コーヒーまで飲んでから、10時少し前に部屋へ戻る。

 荷物の整理をする。自分が持って帰るものは少ない。あきちゃんのスーツケースは、持った感じ17、8キロといったところか。アラビアで買った陶器は手荷物になるので、持ち込みのかばんが結構重い。その間に、自分はホテル備え付けのレター用紙でホテルへの文句を書いておく。フィン語で書いておいたが、うまく通じているかどうか。11時くらいにチェックアウト。朝食込みの値段だが、レシートの上では別の項目として出て来る。一人18FIM。ここは場所的に不便なので、フロントに荷物は預けずに、荷物を持ってトラムを乗り継ぎ、駅へ向かう。コインロッカーに荷物を預けると身軽になる。空港バスの時間を確認してから、まず地下の本屋でカードを買う。あきちゃんが選んで、こっちから送って、と渡される。それからアテネウムのミュージアムショップを眺める。ここでは特に買わず。ポストカードもいろいろなサイズのものが売っている。必ずしも郵便で出すというものでもないようだ。ここにはポストがあって、ここから出すと特別の消印になるらしい。ここから歩いてカイサニエミの公園へ行く。噴水の横からまっすぐ歩いていくと植物園の方には入れず、そのままカイサニエミの岸まで出てしまう。湾は凍って、その上に雪が積もっている。岸近くまでいくと、地面の近くは暖かいのか、そこら辺りは凍っていない。歩いて行くと、植物園の入り口が見つかる。屋外の草木はさすがに雪に積もっている。温室も開いていた。大人(20FIM)と学生(10FIM)、というと、学生証を見て「ヘルシンキ大学の学生は無料」とのこと。温室は割と大きい。大きくA、Bの二つの建物に別れている。Bの建物は元々19世紀に建てられたものだが、修復されているので奇麗。入り口でコートやかばんをロッカーに預ける。「温室」だから、コートはいらない(笑)。「危険な植物もあるので触らないように」という掲示がある。内部は幾つかの部屋に別れていて、「南アフリカ」「インド」「サバンナ」といった感じに別れている。アジアのところには竹も生えていた。まだ皮がついている竹である。他に椿や蓮もある。湿地帯の植物のところには池になっている部分があるが、ペンニ硬貨がいくつも投げ込まれている(^^ ;)。どこにいっても人のすることは同じというか。あれは大学の収入になるのかしらん(笑)。入り口まで戻って来ると、随分たくさんの人達が来ている。子供連れが多い。休日だし、他に行くところもないからたくさん来るのだろうか。こちらは歩いて公園の中を通り抜ける。大きな切り株などもある。ハーメン通りの入り口には守衛室があるが、少し傾いている(^^ ;)。「いかにも守衛室、という感じだね」とは妻の弁。

 ここからどうしようか考えるが、ウニオニン通りを歩いて、海の方へ向かう。フィンランド銀行や不動産省の横を抜けていく。市役所の建物の外壁の塗り替えの様子などを眺めて、大統領府の裏へ出る。ここから海に沿って歩き、反対側の海岸にある外務省とフィンランドの紋章のついた巡視艇を見る。今度は戻って、マーケット広場へ。今日は一つも店が出ていない。今日は日本行きの飛行機が出る日だが、普通のツアーでは最後の日にヘルシンキ観光になっていることが多いので、今日が休日なのは誠に運の悪いことである(^^ ;)。歩き続けで少し寒くなってきたのと、あきちゃんがのどが渇いた、というので、喫茶店のFazerに入る。あきちゃんがいうには、日本よりもずいぶんのどが乾く、とのこと。気候的なものだろう。天気予報では、「曇りだけど乾燥」というのがよくある。今日は休日なので、販売店の方は休み。カフェとレストランがあいている。喫茶はカフェテリア形式。お盆を持って、必要なものを取っていく。ケーキは店員に取ってもらう。最初にあきちゃんが「これ」というと、「これは砂糖抜きだけどいいか」という。で考え直し、別のベリーのパイを取る。確かにプレートには「砂糖なし」と書いてある。どんな味がするのか興味が湧くところであるが、それはまた次回に。自分はキャラメルクリームケーキにする。何れも20FIM。コーヒーは10FIM、紅茶はお湯を入れてティーバックを取る形で8FIM。なかなかおいしい。お客を眺めていると、女性でサンドイッチとケーキを取る人がいたりする。どっちがメインなんだろうか、という感じ(笑)。夫婦で来ていて、女性がテーブルを取り、男性がお盆を持っていたり。「コーヒーは大きいのにするか、小さいのか?」「小さいの!」といった会話が交わされる。レストランは奥だが、間違えてカフェの方に並ぶ人もいる。一休みしてから、再び駅まで歩いていく。トランクを出し、空港バスのターミナルへ。10分前だが、もうバスが来ている。荷物を預けてバスに乗る。日本人の姿もちらほら見える。

 2時半に出たバスは一路空港へ。ヴァンターには雪もたくさん残っている。3時くらいに空港に着く。もう薄暗くなっている。結局あきちゃんがいる間は一度も太陽が顔を見せなかった。フィンランドではここまで曇りが続くことは珍しい。まあその分あまり寒くなかったともいえるが。すぐにチェックインカウンターに並ぶが、前の人がもたもたしていてなかなか進まない。そのうちに順番が来る。カウンターのお姉さんは「申し訳ないけど…」といいながら、真ん中の列の一番中央の席しか空いていない、という。文句を言っても始まらないので、それを取る。「でも禁煙席だから」とはお姉さんの弁。ちなみにフィンエアーで喫煙できるのは日本路線のみ。別の個人旅行らしき女性二人連れも、「真ん中なんてねえ…」と嘆いていた。随分早くから席が押さえられていたようだ。滑走路が見えるところに行って、二人で飛行機を眺める。大きいものや小さいものなど、まだ明るさが残っているのでたくさんの飛行機が見えている。曇っているためか、離陸の角度も低いようだ。今日は2本の交差している滑走路を両方とも使っている。立っているのに疲れたので椅子に座る。出発1時間ほど前になって、あきちゃんは出国審査へ。またしばしのお別れ。

 モニターで見ると、搭乗客が多いためか、もう搭乗開始の表示になっている。自分は下に降り、路線バスに乗る。もう真っ暗。ティックリラへ行き、そこから電車に乗ってコイブキュレに帰る。ティックリラでスーパーが開いているかも、と思ったが、やはり閉まっていた。部屋に帰ると、ヒーパッカも帰っていた。メールをチェックすると、80通ほど入っていた。これだけあると読み出すのにも時間がかかる。いくつか返事を書き、ニフティのフォーラムのコメント書きもする。早く寝るつもりだったが、結局11時に寝る。

1/7(木)

 目が覚める。朝には違いない。そろそろ電話がかかってくるころかなあ、とぼんやりと考えていると、電話が鳴る。あきちゃんから、帰国の報告。日本は明るい、という。しかしどうにもまぶたがまだ重いので、もう一度寝る。次に起きたのが9時半。朝食用のパンは買っていなかったので、日本から持ってこられたベビースターのカップうどんにしておく。気温はマイナス1度。今朝は雪が降ったようで、また積もっている。食事をしながらメールをチェック。ふと外を見ると、雪が降っている。メール書きなどを済ませてから、楽譜の整理をし、少しラテン語を読む。しかしもう昼になってしまった。ビタミンの補給に肝油を食べ、出かけることにする。

 出かける時にはもう雪は止んでいた。駅まで歩いていく。新雪が心地好い。北の空には少し青い部分もある。しかし天気全体が変わるという感じはしない。電車に乗ってヘルシンキへ。ここも少し雪が積もっている。歩いて大学本館へ向かう。途中にあるマクドナルドでは、木曜日にもハンバーガーの割引サービスがあるようだ。競争が激しいのだろうか。食堂はそう混んでいなかった。今日はソーセージ。3本で、マッシュポテトがついている。マッシュポテトは見掛けよりもたくさんあるので、今日はご飯をとらずパンにしておく。わりに人が多い。もう始まっている授業もあるのだろうか。

 食後に本館から出ると、太陽の光が差している。実に1週間振り。コピーセンターへ行く。さすがにここのコピー機は最新式で、速い。エストニアの作曲家リストなどもコピーしておく。それから図書館を通り抜け、言語センターへ。ここにあるラテン語のテキストを少し調べる。これは不調。それから、音楽学部へ本を返しに行く。この頃には青空が大きく広がってきた。それだけでわくわくしてくる。しかし、普通に道を歩いていると、低い太陽に高い建物なので全く日が当たらない。あとでゆっくり浴びることにして、先に音楽学部へ。中庭に入るとピアノの音がきこえる。練習室もあるらしい。本を返して少し棚を眺めてから出かける。大聖堂の階段を上ると、太陽を見ることが出来た。2時過ぎなので、早くも沈もうとしている。もうすっかり快晴になっている。その分、気温も下がってきたようだ。しばらく太陽を楽しんでから、神学部へ行く。借りた本を返す。とりあえず今日すべきことは終わり。

 Fazerでセールの楽譜を見る。特に追加はされていないらしい。キルピネンのソロ曲を少し買っておく。それからトラムに乗って、フィンランディアホールの向かい当たりにある古本屋へ行く。ラテン語の辞書などでもないかと思って探しに行く。少し行きすぎた停留所で降り、歩いて戻る。入ってみると割に広い。たまたま入ったところに音楽関係の本がある。厚い本を手に取ってみると、なんと買おうと思っていた男声合唱曲集。1と3とがある。少し書き込みはあるが、割に奇麗。さらに見ていくと、2もあった。1と2はハードカバーなので70FIM、3はペーパーバックで40FIM。版はやや古いが、新品で今買うといずれも150FIM以上はするものだ。これはぜひ買わなくては。一通り棚を眺めていくと、合唱曲集の楽譜が幾つかあった。混声のものもある。単旋律の曲集はとりあえず除外しても、全部で買うべきものは6、7冊ある。混声のものは、今新品で買えるかどうかも分からないもの。財布と相談し、男声と混声を1冊ずつ買っておく。早いうちにまた来なくては。他にも一通り棚を眺めるが、当初の目的のものはなかった。しかし、思わぬ拾い物をした(^^ )。

 外に出ると、もう薄暗くなってきている。寒い。またトラムに乗って、ソコス前まで戻り駅に行く。丁度いい電車に乗る。ティックリラで見ると、マイナス7度。日中にずいぶん気温が下がったものだ。寒い中から暖かい電車に乗ると眠くなる。コイブキュレでスーパーに寄り、朝食関係のものを買う。帰ったら5時すぎ。星が幾つか輝いていた。荷物を整理してからラテン語を読み始める。一休みでメールを読んだら、読書会は火曜日に延期になっていた。慌ててする必要はなくなった。下調べだけは済ませておく。7時過ぎにシャワーを浴びて夕食。今日はインスタントのスパゲッティ。まあまあの味だが、やはりひと袋分だと多い。食後は、忘れないうちに先週の日記を書き始める。1週間分だから、なかなか大変だ。

1/8(金)

 どうにも体がだるくて、結局起きたのは9時半。外は当然明るい。がよく見ると雪が降っている。気温はマイナス9度。なかなかの冷え込みだ。これだけ冷えていて雪が降るのも珍しい。朝食はいつものようにパンとヨーグルト、それからバナナ。食後にはとりあえず日記を書き始める。他のことをして細かいことを忘れる前に書いておかないと。しかし一日分で1時間くらいかかってしまう。2日分ほど書いたらもうお昼。今日は年賀状と、小包の案内、それから同志社の神学雑誌が来ていた。これはこちらに来る前に原稿を置いてきたもの。校正などもあちらでやってもらったようだ。感謝。小包は多分、注文した本だろう。まずは出かけることにする。小雪がちらつく中を歩いていく。新聞を見ると、寒気が入ってきているようでここの所毎日の予報がマイナス10度くらい。気温は何度でもいいが、太陽が出て欲しいと思う。電車が走っていくと、さらさらの雪なので雪煙がすごく立つ。

 ヘルシンキについてから、まだもう少しお腹が空かないので、アテネウムによって葉書を出そうとする。しかし、よく見ると「火曜と木曜に開箱」と書いてある。今日は金曜日なので、それはさすがに遅すぎる。で、ここへの投函は次回に。裏口から出て、アンティラへ行く。ボタン電池を買おうとしたが、どうもカウンターの後ろの方にあるようだ。言葉で注文するのも厄介だし、別の店に行く。ストックマンの地下でもやはり後ろの高いところにある。防犯対策だろう。結局、ここで口頭で注文する。日本と同じくらいの値段だった。また地上に出てトラムに乗り、大学本館へ。お昼を食べることにする。1時半近いせいもあって、割に空いている。今日は肉のシチューだが、いつもより塊が大きくてたくさん入っていた。

 食後に神学部へ。いくつか雑誌論文のコピーをとる。日本で取れるものはここでコピーしても送料がかかってしまうので、いろいろ考えながらする。1冊本を借りようとしたら、「返却期限が過ぎているのがある」とのこと。本は全部返しているはずなので、書名を聞くがわからない。著者名を聞いてやっと思い出した。しかしそれはとっくに返したはず。書庫の棚を見に行くと、やはりあった。それを持っていって見せると「じゃあこちらのミスかな」とのこと。あるいはこちらが、借り出したもののコピーだけとってそのまま棚に戻したのかもしれない。もう1月ほど前のことなので定かではない。ともあれこの件は問題なし。ここを出る。雪は随分たくさん降っている。かなりの寒気が入ってきているようだ。すぐに帰ろうかと思うが、昨日古本屋で見た楽譜が気になる。明日でもいいかと思うが、やはり今買わないと後悔するように思うので、トラムに乗って買いに行く。あった大きめの曲集を5冊ほど買ったら280FIMになった。しかし曲としては500くらいが一度に手に入ったことになるので、1曲当たりにすればはるかに格安。これを抱えて駅に戻る。郵便局で葉書を出し、電車に乗る。

 コイブキュレで郵便局へ。しかし番号札を見ると20人待ちくらいになっている。これではなんなので、先に近くのスーパーで買い物をしておく。戻ってきたらあと10人くらい。4時を回っている。そのうちに職員が表の看板をしまう。お金の引出しは今日はもうできないとのこと。それで帰る人がたくさんいた。こちらは葉書を渡し、小包を受け取る。やはり本であった。それを持って家に帰る。5時前。ともかく日記を書くことにする。7時頃にシャワーと夕食。あまりお腹が空いていなかったので、ベビースターにしておく。9時前に、一通り1週間分の日記を書きおわった。さすがに最初の方は記憶が曖昧になってきていた。今日は早めに寝る…そういえば今日は起きるのが遅かったが、気にしない(^^ ;)。

1/9(土)

 8時過ぎに目覚める。気温はマイナス5度。また雪がちらついている。朝食を済ませてから、論文用の文献表の修正をする。しばらく放っておいたので、書き込みがたくさんになっている。それらをちゃんとデータとして打ち込む。しかし中には内容があやふやなものもある。元はどこから取って来たかがわからなくなると確かめようも無いので、やはり早めに入力しておかねばならない。一通り終えるだけでもけっこう時間がかかった。ふと外を見ると雪は止んで、晴れ間が見えている。そろそろ出かけることにする。駅まで歩いていくが、どうにも寒い。天気は快晴に近い。それで冷えこんで来たようだ。ティックリラで見たらマイナス8度。12時前の気温だからたいしたものだ。

 ヘルシンキに着いたらマイナス5度だった。積もっている雪は少し凍っていてさくさくする。出来るだけひなたを歩くようにする。ポルタニアに行き、まず食事。今日は豚と野菜のシチュー。普通のシチューには野菜が入っていないのは何故か、謎である。その方が健康的なのに。野菜ものは野菜しか入っていないので、いまいち満足感が無い。今日はご飯を大目にとって、ジャガイモもパンもとらなかった。それからコンピューターセンターに行き、朝つくった文献表を印刷する。土曜日は空いている。が、印刷しようとしてもプリンターが動かない。電源は入っているのだが。しばらくいろいろ考えて、いったん電源を落としてもう一度入れなおすと印刷が始まった。しかし、また別の印刷をするとまた止まっている。再び電源を入れなおして印刷。ずいぶん時間がかかってしまい、気がついたらもうここが閉まる時間。鍵がないとそれ以上はいられない。まあ用事は済んだのでいい。そこから外に出て、アレクサンテリン通りまで降りる。さらに寒くなって来たような気がする。こういう時は早めに帰るのが無難。スオマライネン書店によって少し本を眺める。その時に来週から始まるスウェーデン語の教科書を買っておいた方がいいことを思い出し、大学の書籍部へ。スウェーデン製のテキストらしく、ちょっと高め。しかし、人数制限に引っ掛からないかどうかがちょっと心配。文学部の学生が優先されるというし、先日登録ノートをを見たらほとんどが文学部だった。20人近くになっているし、下手をすると弾かれるかも。

 歩いて駅に向かう。時間が少しあったので、お菓子屋でカシューナッツを買う。同じチェーンの店だが、場所によって微妙に値段が違うように思われる。電車に乗って帰る。ティックリラで見たらマイナス10度になっていた。3時くらいでこれだから、夜はもっと冷えこむのでは。少し買うつもりでスーパーに入ると、またレジに行列。まだ早い時間なのだが、土曜日だから行列も早く出来るようだ。家に帰ってコーヒーを入れ、本を読む。6時過ぎにシャワーを浴びるが、新しく買った液体石鹸のふたが固くて回らない。シャワーを浴びてやわらかくなった手で強くひねったので、手が軽くやけどのようにむけてしまった。結局開かないまま。夕食にはそばをつくる。日本からもって来てもらったもの。かけのつもりだったが、つゆがストレートものだし、ざるにする。ワサビやねぎの小袋も持って来てくれたので、ほぼ完璧(^^ )。しかしそばつゆを入れるところがないことに気付き、いつも使っているマグカップを使った(^^ ;)。おいしくいただくことが出来た。ワサビの辛さが新鮮(笑)。それだけではもの足らないので、買って来たチキンカツを温めて食べる。これでほぼ十分。食後にはノート作りやメール書きをする。それからニフティのラテン語の書き込みをつくる。文法書が手元にないのはつらい。あと4ヶ月ほどの辛抱ではあるのだが。

1/10(日)

 目が覚めたら9時半。何もしないでいると、ずいぶん遅くまで寝てしまう。目覚ましをかけた方がいいかもしれない。外はすでに明るい。天気はいいようだ。とすると気温は下がっているはず…と見ると、マイナス17度を示している。しかし樹氷は見られない。気候にもよるようだ。ちょっと残念。しかし2重窓の間のヨーグルトは、フローズンどころか完全に凍ってしまっている(^^ ;)。お隣のビールも然り。瓶が割れなくてよかった。洗濯をしに下へ降りたついでに少し外に出てみる。30秒くらいは何ともないが、あっという間に冷えてくる。さわやかはさわやかだが、少々寒すぎるようだ。慌てて中に戻る。食事を済ませてからラテン語の予習をする。最初の方が難しくて悩む。

 いつもならお昼には食事に出かけるところだが、今日は朝食が遅かったせいもあるし、そうお腹が空いていない。寒いこともあるし、今日は家に居ることにする。そのうちに空は曇って、また雪が降ってきた。研究書を読む。2時くらいにお昼にする。今日はあきちゃんが日本から持って来てくれたパックの「おでん」。鍋にあけて温めるだけなので簡単。おまけで持ってきてくれた芥子が辛い(^^ ;)。こちらで買ったのは甘口なことがよく分かる。二人分だが、ご飯などは食べなかったので丁度いいくらいだった。しかしこれだけで850g(つゆ込み)。20kgの荷物の内でもちょっとした地位を占めていたことになる(笑)。食後は少し一休みで、ホームズの短編をベットに寝転がって読む。それからまた研究書に戻る。小説はすぐ読めるが、研究書はなかなか読み進まない(^^ ;)。6時頃にシャワーを浴びる。お昼に穀類がなかったせいか、予想外にお腹が空く。しかしちゃんと食べるほどでもないので、おやつやミカンでごまかす。メールを書いたり、机を整理したりしながら、とにかく本を読む。今日は変化の少ない日だった。


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