2/11(木)

 8時に目覚める。すでに大分明るくなっている。それはそうで、日の出も8時過ぎだ。3週間ほどで1時間日の出が早くなっている。外には雪が舞っている。その分やや暖かくて、マイナス12度ほど。朝食を済ませてからメール書きなどをする。今日も郵便を取りに行くので9時過ぎに出かける。ちょっと出るのが遅かったので、窓口が混んでいたら1本後の電車で行こうかな、と思っていたらこういう時に限って窓口はガラガラ(笑)。急いで郵便を受け取り、駅に行く。少し電車が遅れていたようで、間に合った。ヘルシンキも雪が降っている。さっさと歩いて大学本館へ。いまいち眠気がするので、カフェでコーヒーを飲み、届いた本にざっと目を通す。それからフィン語の教室へ向かう。

 授業は今日は人が少なめ。雪のために交通渋滞や、交通機関が止まったりしているらしい。授業はあいかわらず速いテンポで進む。少し考えれば分かることでも、いつの間にか先に進んでいるので大変。とにかくついていくように頑張ることにする。クラスでは、やはり話せる人はどんどん話すが、話せない人はより黙る、という傾向があるように思う。週末に向けて、また作文の宿題が出る。昼食はそのまま大学本館で。幸いまだ行列が出来ていなかった。行列のできる時間が秋よりも遅いような気がする。今日は豚のステーキ。トマトソースかけでおいしい。今日はパスタもあった。パスタそのものには全く味がついていないので、それだけを食べるのは大変。食後は神学部に行く。次の授業までの間、ギリシア語を読む。

 2時からスウェ語。このころにはもう雪も止んで、晴れ間が見えてきている。最初に休講の通知がある。再来週の冬休みに加えて、来週の木曜日も休みということになる。3回連続で休み。そのために、最終試験の日が1日ずれこむかも、とのこと。それは帰国日に影響するので大変困る(^^ ;)。イースター休みの様子も見てから決める、とのことだった。授業はテキスト中心で進む。今日は初めて授業中に時計を見た。授業の後はまた神学部に戻ってギリシア語。ヨハネ福音書を読んでいるが、1章が長いのでなかなか進んだ気がしない(^^ ;)。ついでに研究用のノートもとりながら読む。6時過ぎまで勉強。フォーラムに行って、地下で夕食にケバブを食べる。それからトラムでオペラ座へ。

 今日のオペラは「カルメン」。この演出ではもう55回目だとか。しかしこのシーズンでは2回目くらいなので、お客さんもたくさん入っている。3階席はほぼ満員。1、2階には空きもあるが、それでも十分な入りであろう。何回もやっている曲のせいか、序曲からすでにオケに緊張感が無い。ちょっとお粗末な演奏。歌の方も最初は声が乗ってこないのか、どうも迫力が無い。2幕目あたりからやっとまともになってきた、という感じ。カルメンは茶髪だった(笑)。いまいちイメージが違う(^^ ;)。1幕では舞台上にアイスクリームの屋台が出ているが、これは本物のアイスクリームのようで、子供が食べていた。またカルメンをはじめとする女性陣の一部はたばこを吸っているが、どうもこれも本物?のように思える。オペラ役者もなかなか大変である。1幕には子供達も出てくるが、この合唱がずいぶん上手。しかし出演者のリストには特に記されていない。オペラ座にも児童合唱部があるのだろうか。いままではいつもどこの合唱団かが記されていたが。2幕目の後で休憩。コーヒーを飲んで一休み。後半は調子も良くなってきたようだ。しかし、一番最後のカルメンを殺す場面ではどうやって殺したのかよく分からなかった(^^ ;)。10時半前に終わる。4幕ものは長いような気がする。

 トラムに乗って駅まで行き、電車で帰る。家に着いたのはもう11時半近い。さすがに疲れたので、メールだけ読んでから寝る。

2/12(金)

 8時に目覚める。ヒーパッカはまた朝からぶつぶつ言っている。あまり続くようならまた黙らせるか、と思ったがそのうちに出ていった。こちらも起きることにする。今日はマイナス5度ほど。洗濯をしている間、朝食とメール書き。それから本をぱらぱらと眺める。11時過ぎの電車で出かける。大分暖かい感じがする。いつものように「100」を読む。以前はヘルシンキに着くまでの20分で一通り読み終えていたが、最近は全部読めない。それだけ、読める部分が増えたということだろうか。まずは食事に行く。ヴオリ通りの学食に行ってみようか、と思ったら、なぜか建物の入り口に行列が出来ている。なにかの申込があるのだろうか。これでは入れないので、メッツェタロに行く。今日は鳥のシチュー。食べているとEOLのエンリクが向かいに座る。今日はテストがあったとか。雑談をしながら食事する。

 食後は学部図書館に立ち寄る。検索の端末で調べ物をしていたら、声を掛ける男がいる。前に学食で出会った、日本にいたという学生だった。少し立ち話をする。日本で生まれて12年いた、というから普通に日本語を話せると言っていいか。メールアドレスなども交換する。また1、2年したら日本にも行ってみるつもりだ、と言っていた。それから町に出る。アカテーミン書店でセール品の本をチェック。どうしても欲しいというものはなかったが、古いものなどでは随分安いものもあった。一通り見ていたらずいぶん長い間店にいた。それから家に帰る。郵便局によって切手を買ってから駅へ。途中、ティックリラで降りてスーパーに寄る。スーパーでの物の値段もやはり少しずつ違う。セール品もあるし、一概にどこが安いとは言えないが。今日はケチャップを買う。普通は500g以上のものしかないようだ。多いかな、と思うがまあしかたない。日本には小さいパックがたくさんあるんだなあ、と実感。また電車に乗って家に帰る。4時前。

 なぜか少し眠い。少し横になる。6時くらいまで寝るが、いまいち頭が冴えない。メールを読んでいたら、妻から電話。メールがうまく読み出せないとか。もう一度送りなおすことにする。シャワーを浴びて食事。ラザニアを食べる。ケチャップを少し落とすとまた違った味わい(笑)。しかし食事をしてもいまいち気分がよろしくない。今日は早めに寝ることにする。今日は成果がない一日だった。いかんいかん。

2/13(土)

 8時に目覚める。今朝はマイナス5度ほど。朝食を食べた後は、メール書きなど。きのうはかどらなかったこともあるし、今日は一日家にいることにする。「100」の記事を辞書を引きながら読む。今月は特に「語彙強化月間」ということにして(笑)、語彙を増やすことを目指すつもり。それから神学の研究書を読む。こちらは英語で、そんなに古い本でもないのだが、辞書を引くと「古い表現」という注意書をよく見る。なかなかやっかいなものだ。とかいっているあいだにお昼になる。昼食は「にしんそば」。ニシンは長期保存ができるものだが、それでもうっかりして賞味期限が過ぎていた。しかし問題なし。午後もまた神学書読み。進みそうで進まない。ときどき他の本を眺めて休みながら、また読む。今日は空港のストで全面閉鎖だとか。そういえば飛行機の飛ぶ音がしない。それでももう2週間くらいストが続いている。国の玄関口の空港がそれほど長期間ストになるとは思いもしなかった。去年も同じ時期に旅行に来ていたが、その時はストはなかったのだろうか。ずっと家にいると体が鈍るので、時々体操をしてほぐす。ずっと中に閉じこもっているというのはあまり性に合わないらしい(^^ ;)。夕食には日本のカレー。湯で温める。表面がフラットな電熱器キッチンなので、吹きこぼれても火が消えないし、あとの手入れも簡単。なかなか便利。食後も時々メールなどを読み、また本を読む。夜は9時くらいになるとなぜか気分が悪くなってくる。疲れやすくなっているのだろうか。11時くらいに寝る。

2/14(日)

 8時に目覚める。外が明るいのでもう遅い時間かと思ってしまうが、そういうわけではなかった。外気温は0度。これはもう「暖かい」の世界だ(笑)。朝食は最近サンドイッチ。丸パンを切って、ハムとチーズを挟む。あとはヨーグルトなど。ヨーグルトは毎日欠かさず、というくらいよく食べている。朝はまずフィン語を少し。新聞記事や、気がついた表現などについて辞書を引く。それからラテン語読書会の予習。単語を調べるだけにとどまる。それから少し神学書を読む。

 今日は出かけることにする。12時前の電車に乗ってヘルシンキへ。そのままDomusへ向かう。トラムに乗ろうとしたが、なかなかこないので歩いていく。今日は風が結構あって、気温の割には寒い。食事は、春巻だった。しかし中身はキノコ?とミンチ肉のみ。しかもホワイトソースがかかっている。まずくはないが、ちょっとイメージが違うな、という感じがする。食後にコーヒーを飲みながら、フィン語の宿題の作文を考える。「朝は夕方よりも賢い」という与えられたテーマについて書いてみる。いまいちまとまりがないが、ある程度の量のメモはできた。それからいったん読書室に行こうとするが、いちばん近いところがいっぱいなので、また食堂に戻ってくる。特に何も飲んだりせず、先生から借りているヘブライ語の入門書を読む。読まずに返すというわけにもいかない(^^ ;)。さすがに完全に憶えるというわけにはいかないが、文法事項を読んでいく。「基礎」とあるわりにはかなり専門的なことも書いてあって、ちょっと初心者には難しいかもしれないな、と思う。4時前まで読み続ける。

 久々にシベリウスアカデミーに行く。外は霧雨が少し降っている。今日は無料のオルガンコンサートがある。ここのオルガン室に入るのは初めて。ちょっとクラシックなスタイルの大きめなオルガンが置いてある。普通の木の椅子が80ほど、客席として並べてある。お客さんは30人ほどだった。今日は女性の演奏者。目の前で弾くので、ペダルの動きなどがよく分かる。ストップの出し入れを急いでするので、ちょっと音が大きいのが耳に付いた。プログラムはブクステフーデ、シャイト、バッハといった古典派のもの。いまいちのところもあったが、最後のバッハはなかなか立派に弾いていた。比べて聞いてみると、バッハの曲の偉大さもよく分かる。コンサートは休みなしで1時間ほど。

 まだ小雨が降っている。駅まで歩いて帰る。地下のスーパーで夕食用の鳥の足を買う。これは昨日?のものらしく、パックに詰めてセール品になっている。電車に乗って家に帰るが、5時半過ぎでもまだわりと明るい。日がどんどん長くなっているのを感じる。飛行機が飛ぶ音が聞こえたが、わずかに飛んでいるはずの国際線だろうか。メールを読んでから、シャワーを浴びて食事。ラーメンと鳥の足にする。ラーメンの袋を改めてみていたら、「チリソースはきついので注意」とちゃんと書いてあった。以前は読めなかったが(^^ ;)。食後は神学書やヘブライ語の続きを読む。

2/15(月)

 7時半くらいに起きる。今朝も気温は0度。朝食を食べてから、フィン語の宿題をする。日の出はちょうど8時だそう。天気は曇りと、少しさえない。今日は9時過ぎの電車で出かける。駅なども、足元が大分溶けてきた。ヘルシンキに着くと、気温のせいか、駅の時計塔に霜?が降りて壁が白くなっている。寒い時には見なかったが、いろいろ面白い現象があるものだ。ただ交差点などにわりと大きな水たまりができるのは頂けない。神学部によって、午後の授業の場所をメモしてから大学本館に行く。午前中はフィン語の授業。新しく?一人入っているが、これはもともと登録していたようだ。しかし、今頃になってくるというのもわけが分からない。授業は相変わらず。「これの同義語は?」と聞かれても分からない。まあ努力するしかないか。

 授業が終わるのが11時45分。次の授業は12時15分から。取り合えず食堂に行ってみるが、わりと並んでいる。カフェの方でサンドイッチだけ買って、食べながら歩いていく。次の教室はメッツェタロだろうと思って行ってみたが、それらしき部屋がない。案内書で聞いてみたら、それは別の建物だった。大学本館からそっちへ行く方が近いくらいで、ずいぶん遠回りをしてしまった。ともあれ、マリアン通りへ。ちょうどフィンランド文学協会の建物の向かいになる。わりと小さな建物。結構古いようだ。中に入るとピアノの音が聞こえてくる。ある教室でレッスン?をしているようだ。あとで教室に貼ってある予定表を見たら、音楽史関係の授業らしい。教室にはまだ誰も来ていなかった。木の椅子に木の机、とまるで小学校の教室のような感じ(笑)。ここにもOHPは置いてある。OHPがない教室はないのではなかろうか。

 定時に授業が始まる。2週間のクムランに関する特別講義。前半はアメリカから来たウルリッヒ教授、後半はカナダにいるというメッツォ女史。いずれもこの分野では著名。教授は結構な年のようだが、女史は3年ほど前に博士号を取ったばかりでまだまだ学生の雰囲気もある奇麗な人。二人の紹介は神学部長のサロモ教授がするが、この人もクムラン研究者である。あちこちの教授の講義をいながらにして聴けるのは、やはりヨーロッパやアメリカと行った地理的な近さだろう。羨ましい限り。参加している学生は10人ほど。最初に「レポートがいいか、テストがいいか」と学生に聞いたら、レポート派が多数だった。サロモ教授から、大学のシステムで、テストだと1単位、レポートだと2単位になる、という。レポートは別の内容とカウントされるらしい。概説的な話から始まっていく。前から知っていることもあるし、新しく学ぶこともある。3時間枠の講義だが、1回休憩を入れて実質は2時間強。内容的にもなかなか面白い。

 授業の後は大学本館に行って、遅い昼食を取る。今日は厚切りハム。香草が乗っている。それを食べてから、本屋によって音楽の雑誌を買い、家に帰る。電車の中でざっと読むが、夏期セミナーの広告がたくさん出ていた。コイブキュレでスーパーに立ち寄ってから家に帰る。少し本を読んでから、シャワーを浴びる。それからラテン語の訳をつくる。今回はわりと早くできた。それから研究書読み。授業があって忙しい時ほど、自分の研究もしたくなるというのは皮肉(^^ ;)。時々へ窓ががたがたいう。風が強く吹いているようだ。

2/16(火)

 7時に目覚めるが、少し早すぎる。うとうとしているうちに8時になる。ベットから外を見るが、なぜかぼやけている。曇っているのかな、と思ったが、起きだしてよく見たら雨粒がたくさんついていた。風とともに雪が降っている。気温は0度と大したことはない。まずは洗濯物を下に持っていく。今日は後の予約が入っているので10時までしか時間がない。その間に食事。チーズとハムは2週間近く同じものになるのは致し方ない。それから少し勉強する。洗濯物の乾燥は1時間半ほどだったが、量が少なめのせいかほぼ乾いていた。そのうちに郵便も来る。小包の案内と、電話の請求書。小包は金曜日まで取りに行く時間がない。電話は12・1月分だったが、今回は300FIMほどだった。まあそんなものだろう。

 10時過ぎに出かける。吹雪になっていて、前の人の足跡も消えかかっている。なかなか大変。歩いていると、駅かららしき放送が聞こえる。内容は聞き取れないが、あまりいい兆候ではないはず(^^ ;)。駅までたどり着いてみるとホームの屋根があるところにまで雪が随分積もっている。さらさらの雪が強い風に巻き上げられて、雪煙がしばしば立つ。時々案内放送があり、快速はなくなって全て各停になる、とのことだった。運休にならなければいい。遅れて来た電車に乗る。「100」を読んでいると、フィン人の意識調査ということで生きがいについてが出ていた。子供、家、友人ということで、何処の国もあまり変わらないというところか。しかしフィンランドでは伝統的な価値観がまだまだ強く息づいていると感じる。ヘルシンキもやはり大雪。除雪が追い付かない感じになっている。大学本館に行き、食事をする。もう11時過ぎだ。今日は鳥のフライで、間に香草が挟んであるものだった。食べる量が多いせいもあってすぐに時間が経つ。食後に神学部によって授業用のコピーを取ってから、また昨日と同じマリアン通りまで歩いていく。

 授業は定時に始まった。昨日の続きをやっていく。今日は70人訳の旧約聖書との関連の話が中心だった。休憩時間のコーヒーには「よかったら皆さんもどうぞ」ということだったので、ついていくことにする。この建物には学食や自動販売機はないようだ。少し歩いて近所のカフェに行く。ここはセルフサービス式だった。先生たちと話をする。「北米とヨーロッパとの間ではよく教授の行き来があるみたいでいいですねえ」というと「極東は遠いねえ」と笑っていた。「日本人といえば、ムラオカ(オランダ・ライデン大学)がよくできる人だねえ」という話にもなる。こういう話の時間はまた楽しい。また教室に戻って、授業の続き。休憩が少し長引いたので、授業も少し延長。

 授業の後は神学部へ。本来はスウェ語がまだ30分ほどあるが、教室が遠いし、中途半端は嫌いなのでお休み。そういえば前回のフィン語の授業でフィンランドのことわざ「遅れるのはいないよりもまし」というのを学んだところだが(^^ ;)。いつもいる聖書関係の部屋の机がいっぱいなので、組織神学の部屋でギリシア語を読む。5時半くらいまでそれを続けてから、神学部を出る。キャロルで食事。今日は「野菜バーガー」を食べてみる。薩摩揚げのような感じのものが挟んであったが、いまいち食べごたえがない。ウサギのお薦めなのに申し訳ないが(笑)、たぶん2度と食べないだろう(^^ ;)。

 それからYLの練習へ行く。まだ雪は降っている。今日も最初の参加者は少ない。発声、それからパルムグレン。途中でおじいさんが入ってくる。話はいまいちよく分からなかったが、YLとシベリウスとの関りを話しているらしい。YLに、ということでメダルが贈られる。後で見たら、シベリウスの肖像入りの立派なものだった。シベリウス協会というか、そういう関係のところからの贈呈らしい。また練習が続く。今日は声の調子が良くない。最近特に、のどで歌ってしまっているような気がする。気をつけなくては。高いところはファルセットで逃げているのだが。9時半前に全体練習は終り。続いて小コーラスの練習があるらしい。この週末に仕事でドイツへ行くそうだ。いろいろな活動のパターンがあるものである。駅へ向かう。ちょうど電車が出たところなので、しばらく待つ。寒いこともあるし、バーで赤ワインを飲む。グラス1杯で17FIM。まだまだダイヤも乱れているようだ。近郊電車は一応時間通りに走っているらしい。発車時間が近くなってからホームへ行く。ずっと先の方に止まっていたので随分歩いた。発車すれば後は順調。途中で長距離列車に追い抜かれるのを待つ。コイブキュレには大分雪が積もっている。1日で30cmは積もったようだ。まだ降っているし、明日の朝にはもう少し増えているだろうか。

2/17(水)

 目覚ましで起きる。ちょっと体が重い。軽く体を動かして血を廻らせる。朝食食べてメールを書いたらもうでかける時間。今日は0度で曇り。もう雪は降っていないが、結構積もったようだ。駅までの道は深さが30cmくらいといったところ。歩きにくいことこのうえない。しかし電車が遅れているということもなく、順調にヘルシンキへ向かう。ヘルシンキではあちこちに雪の山が出来ている。また雪落としも朝から盛んである。建物が高いので、高所作業車を使って落としているところもある。歩いていると雪やつららが落ちているのをみかける。朝はフィン語。先生はまた雪のためということで遅れてきた。同じ理由で遅れてくるとは何か、と思うが(^^ ;)。字が小さめなので後ろからは見にくくて疲れる。前に坐った方が良さそうだ。といっても最前列しか空いていないが(^^ ;)。授業のあとで、カフェの方に行ってまたサンドイッチとコーヒーを買う。紙コップも置いてあるので、それで持ち出すこともできる。「紙コップ」といわず、「1回用のコップ」と書いてあるのがなんとも意味深(笑)。それを持って、食べながらマリアン通りへ。セナート広場は、今日はたくさんの観光バスと、トラクターが並んでいる。今日は「トラクターの行進」の日だそう。つまり農業関係者のデモ?である。広場を横切っていく時には、主催者らしき人が演説をしていた。

 12時過ぎから集中講義。今日は詩編の巻き物についての研究。イントロダクションという割には、わりと細かいことを扱っている。がその分実に興味深い。今日はお茶には一緒に行かなかった。講義は3時まで。内容的に盛沢山である。講義の後は、まずコンピューターセンターへ。マックの部屋に行ったら、古いものに変わってiMacが並んでいた。すこし書き物をするが、そのうちに「しばらく元のコンピューターを止める」というアナウンスがある。たしかに途中で動かなくなった。保存するのを忘れていたし、別に大事なものでもないのでそのままにして出る。大学本館に行って食事。今日は魚のフライ。食べおわって出て行く時には、4時前に近いというのに長い行列が出来ていた。夕食代わりなのだろうか。それから神学部に行って勉強。またギリシア語を読む。読んでいると、いろいろ疑問もわく。将来の論文のテーマになりそうなものもいろいろと拾い出せる。しかしその時に少しだけ調べるので、その分先に進まなくなる(^^ ;)。6時まで勉強。

 途中でお菓子屋さんによっていつものナッツを買う。歩いてEOLの練習場へ。今日はもう表玄関から入れた。今日は男声が少なかった。夏までの予定表が配られる。自分がいる間には、2回のコンサートがあるようだ。また去年に演奏したJeftaのCDができるようで、申込が回ってきた。EOLでのレコーディングはこれだけなので、ぜひ買うことにする。今日はシャンティクリアのレパートリーからのルネサンス、それとシュッツのマタイ。マタイは何回もやっているようで、わりとのんびりやっている。強化練習もあるし、その時に集中的にするということだろうか。ソリストも全て団員から出すのにはちょっと驚いた。自分にはカイアファの部分が割り当てられた。練習は9時まで。駅まで歩いて、電車に乗って帰る。

 たまたま座席にスウェ語の新聞が読み捨ててあるので、それを眺める。もちろんほとんど分からない(^^ ;)。天気予報では、スウェ語圏に当たるフィンランド南部・西部についてやや詳しい地域予報が載っていたのが新鮮。なるほどこの辺に多い、ということか。広告なども当然スウェ語。演奏会案内などもあるが、通り名や地名がスウェ語の方なので、何処なのかさっぱり分からない(笑)。先日の新聞では世論調査として、第2母国語として義務教育になっているスウェ語を自由選択にすべきだ、という意見が半数以上を占めている、という記事があった。いろいろ話をしていると、スウェ語で苦労したということはよく耳にする。そういえばトラムには「フィン=スウェ人を愛そう」という広告も貼ってあった。この国でのスウェ語はどうなっていくのだろうか。

 家に帰ると、あきちゃんから手紙が来ていた。また教会員の高校生からも葉書が来ていたが、料金不足なのにちゃんと航空便で来ていた(^^ ;)。サービスと行ったところか。

2/18(木)

 目覚めて時計を見ると12時になっている。が、どう考えてもこの明るさはそんな時間ではない。懐中時計では8時だった。薄曇りで気温はマイナス5度。食事をしてメールを書き、出かける。もう雪は増えていないが、除雪をしない道ではそのまま雪が残っているので相変わらず歩きにくい。今回の雪はわりと大粒だったようで、木々にもずいぶん積もっている。太陽の光が当たると雪の積もった木々はとてもきれい。電車に乗ってヘルシンキへ。どこも雪がたくさんある。しかも気温は割に高いので、雪が屋根から落ちてくる。あちこちの建物の壁際にロープが張ってあったり通行止めの標識がついていたりする。午前中はフィン語の授業。比較表現について。「このあたりはフィン人にも難しくて、ラジオなどでもいくつも間違いがある」とのこと。授業が終わってから、来週は「スキー休み」だそうだが授業はあるのかと聞くと、「もともと小学校の休みで、大学でも子供のために休講にする先生もいるが、私はやります」とのこと。またカフェでパンとオレンジジュースを買い、歩きながら食べる。

 午後は集中講義。今日はウルリッヒ教授の担当の分の最後。さらに幾つかのテキストに関する問題を説明していく。2時から神学部のセミナーがあるとかで、1時半過ぎに終わる。もしかしたらお茶にでもいくかな、と思ったが、その時間はないねえ、とのことだった。歩いて郵便局に立ち寄り、電話代を支払う。今回は振込み用紙を出しただけで、個人番号を見せろ、とも言われなかった。扱いが人によっても違うようだ。ついでにカレワラの記念切手を買う。1シート3枚で、カレワラ・コルのデザインの絵柄。個人的にはあまりコルのデザインは好きではないが。コンピューターセンターに行く。ここで、「広告」をつくる。日本語を学んでいる学生向けに、日本語でメールをやり取りしないか、という呼び掛け。せっかく日本語を学んでもヘルシンキには日本人学生は少ないし、メールでなら割りと手軽かな、ということでメール友達の募集みたいなものである。広告そのものはフィン語でつくる。何枚か印刷しておく。とりあえず1枚を、日本語関係の授業のあるアジア・アフリカ学部の掲示板に貼っておく。他にも2、3枚貼るつもり。この頃には雪がちらついていた。

 それが出来てから、神学部へ行って勉強。ギリシア語を読む。こればかりにかかりっきりというわけにもいかないのだが、ともあれ読まないと話にならないのでひたすら読む。があまり進まない。30分ほどしてから食事をしに大学本館へ。待ち人は全くなし(^^ )。今日も魚のフライだが、クリームシチューが一緒に中に入ったタイプ。食堂から出る時にはまた行列が出来ていた。また神学部に戻って続きをする。5時過ぎにまた外に出る。北エスプラナーディのアーリッカに行こうとしたら、3月上旬まで改装中になっていた。南エスプラナーディの方の店に行く。ほぼ向かい合うようにして二つの店があるというのも不可解(^^ ;)。いろいろ眺めていたら、木でできたうさぎの置物も発見。これはいずれ買うことにしよう(^^ )。今日はあきちゃんに送るものを買う。また神学部に戻る。6時半になってからここを出る。

 トラムに乗ってオペラ座へ向かう。今日は小ホールの方で、ハイドンの「オルランディ・パラディノ」を見る。小ホールの方に行くのは初めて。マンネルハイミン通り側から入ると、ここのクロークは大ホール向け。ホワイエを通り抜け、階段で下に降りると小ホール向けのクロークがあった。預け札の色が、上は青だがここは赤であることに気づく。すでに10分前なので、開演を告げるファンファーレが流れている。入り口の方に列が出来ているのでチケットのチェックかと思ってしばらく並んでいたが、これはプログラムの列だった。本当のチェックはまさにドアのところに立っていた。小ホールは400人くらいの席数か。ちゃんと階段状になっているので、何処からでもよく見えるようだ。バルコニーはなく、平土間のみ。席は前から6番目のやや左寄り、というかなりいいところだ。双眼鏡を忘れてきたが、今日は全く必要がない。天井はいろいろな装置がむき出しになっている。客席の方までいろいろ使えるようになっているらしい。客席も前の方は可動式のようである。後ろの天井には、指揮者のモニターがやはりある。しかも真ん中と両端、と3ヶ所ある。ホールが小さい分、舞台の端からでは真ん中のモニターは見にくくなるからだろうか。字幕は電光掲示板式になっている。映し出すものより輝度が高いので見易い。オケピットがすごく近い。指揮者が立つと、肩から上は完全にみえている状態である。

 オペラの筋などは全く知らないので、舞台と字幕を頼りに見ていく。主役は黒髪の、東洋系のような女性。しかし衣装が安っぽく、しかも長い髪の先を後ろで小さくくくるだけにしてあるので子供っぽく見え、舞台化粧の派手さと合わなくてどうも映えない。しかも小柄なので、相手役の男性には肩にすら届かない(^^ ;)。しかし声は素晴らしい。ホールの見た感じよりも、どのソリストの声もよく響く。舞台転換などはできないようなので、奥の方に後の方のための大道具が置いてあったりするが、不自然ではないようになっているのがさすが。曲はコミック・オペラなので、ところどころ笑いを誘うところが出てくる。舞台とオケピットとの段差はあまり大きくないので、ソリストとオケの奏者が握手したり、チャンバラ場面でオケメンが舞台に加わったり、リュートやチェンバロの奏者が(これは袖から)舞台に上がったり、という演出がある。バレエもたくさん入っていて、実に効果的に使われている。1幕の後で休憩。出演者のリストをもらう。主役はディルバーという人だった。たしか、名字などがなく、これだけが名前だという人だったと思う。コーヒーのカウンターに並ぶが、なかなか前に進まない。2人くらいでやっているようだが、それでは全然追い付かない。かなり待ってから、やっとコーヒーとベリーのタルトを手にする。休憩は30分近くあったような気がする。2、3幕は続き。幕間には指揮者がバイオリンをリュートに合わせて弾き、バレエのソロがある、という趣向。指揮者は休み無しで大変であろう(^^ ;)。最後は全員の合唱で幕切れ。カーテンコールでは、3つに分かれた幕の真ん中だけを降ろし、その後ろから順に回って前に出てくる、というやりかた。盛んな拍手が贈られていた。終わったのは10時15分。もう19分の電車には間に合わない。クロークも小さいので、時間がかかる。もう表側は閉まっているので、テーレ湾側から出る。トラムに乗って駅へ。もう次の電車も入っているので、乗って待つ。家に帰ったのは11時半近かった。メールだけ読んで、寝る。木曜日はハード(^^ ;)。

2/19(金)

 8時に起きる。ずいぶん外が明るいので、もうだいぶな時間かと思ったくらい。気温はマイナス5度ほど。食事をして、日記を書く。そのうちに外がさらに明るくなってくる。快晴ではないが、実にさわやかな感じの天気。10時過ぎまで日記はかかってしまった。それが終わってから、出かける用意をする。郵便で、銀行の残高案内が来た。あと2ヶ月はちょっと苦しいかも。外に出ると、寒くはないと思える。太陽の光がこころもち暖かいように感ずる。今はもう快晴になっている。電車に乗ってヘルシンキへ。積もった雪が輝いてまぶしいくらい。まず食事をする。今日は豚のカツだが、ソースはバナナのクリームソース。バナナのスライスも入っている。どんなものかと思ったが、そう悪くもない。学食で食事を見ていると、食べ方にも幾つかの傾向を見出せる。メインの皿とサラダの皿があるわけだが、サラダを先に食べる人、後に食べる人の2種類がある。メインを食べながら、という人は少なく、どちらかをすべて食べてしまってから次に取り掛かる、という人がほとんど。コース料理の影響なのかも。「三角食べ」はフィンランドでは行われないようだ(^^ ;)。それから郵便局へ行き、封筒を買って郵便を出す。ここにある切手の販売機は、自由に値段を決めるというのができない。本局の機械はできたはずだが。しかたないので窓口で買う。封筒の時と切手の時と、同じ窓口が当たってしまった(笑)。

 アジア・アフリカ学部へ行く。借りている本をそろそろ返そうと思うが、教授は不在。とりあえずオリエンタリアに行って、その返すべき本の続きを読む。ヘブライ語の入門書だが、後の方の例文になるほど著者の人生上の個人的憤懣?が込められているようなものが多くなる(^^ ;)。一応読み通すことはできたが、憶えることはさっぱり。また日本に帰ってからの課題である。1時半くらいにもう一度教授の部屋に行くが、やはり不在。今日は来ないようだ。あきらめて帰ることにする。2時前の電車で帰る。コイブキュレで郵便局へ。待ちがやや長いので、その間にスーパーで買い物をしてくる。再び郵便局に戻って、あきちゃんから送られた小包を受け取る。今回は税関によって開封した跡がある。家に帰って開封すると、お菓子類などがたくさん入っていた。しばらく買わなくても済みそう。

 研究書を読む。今日の夜にはヘルシンキのコンセルバトワールで学生の演奏会があるらしいが、いまいち疲れてしまったので行くのはやめ。休み休み、本を読んでいく。6時過ぎに、シャワーを浴びて食事する。今日はまだ残っているカップうどんを食べる。ばらばらと食品があるので、一度一掃した方がいいかもしれない。研究書は読み終えた。さらにインターネット上での蔵書調査をし、ギリシア語を少し読む。12時には寝ることにする。

2/20(土)

 目覚ましの音で目が覚める。8時前。外は明るい。気温はマイナス5度ほど。さっそく洗濯物を放り込みに行く。それからふと思い立って、共同の部屋で新聞を読む。ざっと一通り眺めたら、もう洗濯が終わるところだった。乾燥機に入れてから部屋に戻る。朝食を準備。あいかわらずワンパターンな食事であるが、まあしかたがない。メール書きをしてから、さっそくギリシア語に取り掛かる。今日はいい天気のようで、外も明るい。少し風があるようで、木々が揺れて積もった雪を落としている。昼まで読み続ける。それから出かける。駅のホームで電車を待っていると、ひなたでは結構暖かい。太陽の光にも力が出てきたようだ。

 ヘルシンキもいい天気。ホームを降りたところで、目の前のどう見ても小学校の上級生くらいの子供がたばこに火を付けているのを見て驚く。高校生くらいが吸っているのもみかけるが、堂々と歩きながらというには呆れる。冬は雪が積もっているせいか、火を消さずに投げ棄てる人も多い。歩いてDomusへ。天気が良くなってくれば歩いても大したことはない。まずは食事である。今日はハンバーグがあった。パンもとるが、少し多かったので一部はポケットへ。食後はいちばん近い読書室が埋まっているので、別の建物へ。眺めのいいB棟は改修中。C棟の地下にある読書室に行く。あちこちにごみ箱があるなあ、と思ったら、なんと水漏りがしている。溶けた雪が漏ってきているらしい。最近改修をしたはずだが…。ともあれ、席を取って道具を広げる。ここの机は横に長いが、奥行きが短いのでいまいち使いにくい。ここでギリシア語を読み続ける。4時半過ぎくらいになると、だいぶ冷えてくる。空調の風が流れてくるせいか、ずっと座っていると寒くなる。休憩を兼ねてまた食堂へ行き、コーヒーを飲みながら昼の残りのパンを齧る。一休みしてからまた読書室へ。この週末でヨハネ福音書は全部読めそうだ。

 6時前に、テンペリアウッキオ教会へ行く。今週は「教会よ響け!」というタイトルのもとに、ヘルシンキの各地の教会で集中的に演奏会がもたれているが、その一つの合唱の演奏会に行くことにする。教会の前には放送局の車が止まっている。録音か録画をするようだ。入り口で入場料を払おうとしたら、「切符が30FIM、プログラムが10FIM」と言われる。チラシには入場無料、プログラム30FIMとあったのに…。ともあれ40FIMを払う。お客さんは多くない。最終的にも5、60人といったところか。マルメ室内合唱団というスウェーデンの団体。スウェーデンからは気軽にこられる距離、というところだろう。いったん合唱団員は一番前の会衆席に座る。時間になると壇上に並ぶ。全部で30人。女性は赤のロングドレスを着ている。指揮者が前に立ち、聴衆に礼をすることもなく演奏が始まる。プーランク、レフコフビッチ、エドルンド、レーガーといった現代曲のプログラム。合唱と交互にオルガンが入り、合唱団は会衆席に戻る。オルガンもフランス・デンマーク・ドイツと、合唱と同地域の現代曲が組み合わされている。しかしここのオルガンはフランス系のせいか、どれでもフランスのような音がする(^^ ;)。

 合唱の方は、プログラムに「世界でも有数の合唱団の一つ」と書いてある通りの素晴らしい声である。曲によっては入りの曖昧さやピッチの不安定さも目立って、満点の演奏とは言えないが、実力はよく分かった。よくトレーニングされた声で、スウェーデン放送合唱団に次ぐくらいの力が有りそうだ。レフコフビッチはいかにも現代曲、といったつくり。逆にエドルントの方が分かりやすい曲だった。最後のレーガーでは、予想以上に長い曲で、しかも途中に長めの休みがあり、うっかり合唱団が楽譜を下げかけたので拍手が入ってしまった。しかしこれは聴衆の責任と言い切れない。アンコールに1曲歌って終り。休憩無しの約1時間半。なかなか充実した内容だった。CDを何枚か売っていたので、トラディショナル系のものを1枚買っておく。

 歩いて駅まで戻り、丁度いい電車に乗る。そのまま家に帰ると8時半くらい。ちょっとお腹が空いたので、ラーメンを食べる。インターネット上の書き込みなどをつくっていたらずいぶん時間が経ってしまっい、もう寝る時間。


メールはこちら:  yutaka70@mbox.kyoto-inet.or.jp

All rights reserved. Copyright by Yutaka Maekawa, 1999.