10/1(木)
今朝も冷え込んでいた。温度計を見るとまた1度。しばらくはこのくらいの気温が続きそうである。今日は予約しておいた洗濯をする。60度の水温は高すぎるのでは、という妻の指摘に、あらためて下着の表示を見たら40度、と書いてあった。このほうが時間も短いのでいい。乾燥室で乾燥させる。その間に、メールやらホームページの更新やらをし、今日のラテン語読書会の原稿を作る。あいかわらずぎりぎりだ(^^ ;)。
ヒーパッカは早く出かけた。靴を見ると一足多いので、3の住人が友達を連れてきたようだ。そういえば話声もする。こちらが部屋にいると、部屋から出てきて食事をしているようだ。コンロも使っているらしい。食事をしたあとに皿を洗っているのはありがたい(笑)。基本的に常識のある人間のようだ。そのうちに連れ立って出かけていく。タイミングがつかめずに、結局会わずじまい。しかし毎日住み始めたようなので、すぐに顔を合わせることになるだろう。
こちらはラテン語が終わったころに洗濯物も乾いたので、出かけることにする。さすがに空気が冷たい。先に郵便局へ行き、今月分の家賃を払っておく。身分証明書を見せて、といわれたが、学生カードで大丈夫であった。郵便局を出たのがちょうど電車が出た時間だった。次は20分後なので、ぼけっと待っていてもしょうがないし、第一寒い。で、この地域の図書館にいく。郵便局のすぐそばである。小さい図書館だが、一通り揃っている。音楽の本は割りに多い。楽譜などもおいてある。CDも貸し出している。古い本の販売もある。図書館の古本を販売するのもこの国では一般的なようだ。インターネットの端末は、図書館カードを見せれば使えるようだ。図書館カードは、ヘルシンキ地域は共通のカードが使えるので、ヘルシンキ市立図書館のカードが使えるはず。フィンランドの、「各国年鑑」のようなものがあったので日本を見てみる。「宗教」では、75%が神道、同時に60%が仏教と書いてあった(笑)。これをる人は不思議な国だ、と思うことだろう。時間までうろうろしてから駅へ行く。
電車でヘルシンキへ行く。「100」を読むと、広告に「本日のオペラのチケット、この新聞を持参すれば2人分を1人分の値段で変えます」とある。今日の公演は割りと席が余っているようだ。マルミから酔っ払いの3人が乗ってきて、自分と同じ4人掛けの3つを取る。カルーアミルクのようなボトルを回し飲みしている。向かいに座ったのが時々ちょっかいを出してきたが、幸い他の2人が静止してくれる。割りと年にも見えるし、まだ働き盛りにも見える。よく分からない。こういう感じの人は時々見掛ける。フィンランドの失業率は12%ほどだが、ヘルシンキには人が集まるので目立つのかもしれない。ともあれこちらはおとなしくしておくにしくはない。
大学に行ったら12時過ぎであった。社会科学学部の食堂はちょっと込んでいたので、本を読んで時間をつぶしてから行ったら、さらにタイミングを外したようでより長い行列になっていた。次の授業のこともあるので、別の建物に行く。メッツェタロの食堂にも列はできているが、大きいので流れも速い。メニューの名前を正確に覚えられずに戸惑うが、「12.50FIMのやつ」といって切り抜ける(^^ ;)。今日のサラダは、時間が悪かったのか、キャベツを雑に刻んだだけのものであった。ちょっとお粗末な気もする。ともあれ食事をして、次の教室に行く。
1時から3時まではサマリア研究。授業の前に、資料のコピーをしておいで、という。それを次の時間に読むそうだ。サマリア文字をヘブライ文字に翻字して意味を取ってこい、とのこと。ヘブライ語の辞書を持ってきていないので、図書館で調べなくては。先生は割りと早口でしゃべるし、ちょっと癖のある英語なのでなかなか聞き取りに苦労する。時々以前に話した内容について質問する。自分も質問されたが、覚えていなかった。ノートには書いてあるが。「それで来年の試験は大丈夫か」と先生は笑っている(^^ ;)。しかし聞かれたのは、ヘブライ語聖書の最後の文字は何か、というのであるのだが(笑)。他に読んでおくべき文献についての指摘があった。これもコピーしておかなくては。学生もよく質問するし、講義の雰囲気としては面白い。基本的にセム語関係を専門としている学生たちのようだ。
3時からはギリシア語。中間試験についての説明がある。試験の問題形式について長々と説明する。こういうを要求するのはどこの学生も同じようだ。昨日の宿題の解答に時間がかかったので、実質的にはあまり進んでいない。次のところは自分で読んで問題をやってこい、となった。
6時に授業は終わったが、オペラは7時。そうおなかも空かないし、先にオペラの近くまで行ってなにか軽く食べようかと思い、トラムで移動。ところがお目当ての「オペラグリッリ」はまだ開いていなかった。20時-5時とのことである。仕方ないので、近所のスーパーに行って菓子パンを買って食べておく。
いつものように荷物を預けて中に入る。広告で見たように、割りと人は少ないように思う。建物の裏から入ったところにオペラショップがあるので見に行く。カードやグッズ、CDなども売っている。オペラ座の写真のはがきを買っておく。チケットのチェックを受け、自分の席に行く。3階のバルコニーは割りと埋まっている。そのうちに開演。「魔笛」であるが、原語ではなくフィンランド語。そういえば小学校の音楽の教科書にも「魔笛」は載っていた。こちらではごくおなじみの作品のようだ。シンプルな演出だが、うまくできている。つりさげのかごを使ったりという点ではいろいろ大掛かりなところもある。夜の女王のアリアの部分は、大きな月が降りてきて、その中心部分に裏側から乗り出すような形で上半身を出して歌う、という形であった。あれは大変そう(^^ ;)。天使役の子供たちも主にゴンドラに乗っての登場だが、歌も上手。立派なものである。開演中に他の階の席を覗いてみると、かなり空いている。高いほうほど空いているようだ。今のうちに目星をつけておく。
幕間には外にでてコーヒーを飲む。2幕目開演の合図が流れると、人々は動き出す。それに合わせて、1階バルコニー席に入る。この辺が一番いい席だが、一番空いている。正面のよく見えるところを取った。自分の周りはほとんど空いている。よく考えると、2幕目以降はチケットのチェックはしないようなので、それ以降ならチケット無し、ただででも聞くことができそうだ。ただし、見つかった場合の罰則等は不明。ともあれ人は来なかったので、ゆったり見る。演奏そのものは、慣れたレパートリーのせいかいまいち緊張感に欠ける。音楽的に面白くない印象がした。少なくとも、「ピーターグライムス」とは格段の差があったと思う。毎年やっていればこうなるのか。
終演後は早めに出て、トラムへ。しかし待っているのか、なかなか発車しない。電車の時間があるので焦るが、動き出せば駅まではすぐ。駅のスタンドでフランクフルトを買う時間は十分あった。しかし、外はものすごく寒い。これは0度近い。電車の中でフランクフルトを食べ終え、ふと気が付くと前歯を詰めて表面にかぶせたのが取れている。いつのまにかは分からない。すぐに支障はないが、ほうっておくには問題がありそうだ。これは歯医者に行かなくてはならない。あわてて学生組合の歯医者を手帳で調べる。ここなら比較的安く治療してくれるようだ。とりあえず明日、予約だけでもしておかなくては。しかしよりによって歯とは…。
家に帰ってきたのは10時過ぎ。今日は早く帰れた。温度計を見ると1度であった。3の住人の靴もある。そのうちに出てきたようなので、いい機会と、挨拶に出ることにする。ペッカである。見たところは普通の学生の感じ。内実がどうかは、まだ分からない。ともあれ、3人で暮らすことになった。
10/2(金)
目が覚めたら8時過ぎ。慌てて食事を用意し、出かける準備をする。早めに出かけて歯医者の予約だけでもしておこうか、などと考えていたが、全く無理。今朝も0度くらいである。ともあれ、メールのチェックなどもしていたが、いつもの電車に乗れた。
こちらの電車は、ヘルシンキ駅はともかく、小さな駅では停車位置というものは特に決まっていないらしい。わりと適当に止まっている感じがする。まあホームが長いのではみ出るようなことは決して無いが。しかし待つほうはちょっと困る。朝は電車が長いのでいいが、昼間などはあまりずれられると走っていかねばならない。 10時からフィン語の授業。まだ宿題をしていなかったので、早めに教室に行って急いでする。先生が来て、今日はまず、二人ずつ組になってフィン語だけで会話するように命じられた。自分のところはあまりが出たので、ラトビア人のダニラと中国人のチェンと、3人で会話する。限られた語彙や表現で質問を探し、また答えを探すのは難しい。会話となると、なかなか文法通りに話せない。ダニラはなかなか正確に話している。自分とチェンは困惑しながら(^^ ;)。昨日何をしたか、学部はどこか、自分の国で住んでいるところはどこか、犬や猫を飼っているか、など。ダニラの家にはドイツの犬がいるそうだ。またラトビアにもサウナがあって、割りとよく入るそう。この辺は共通なのか。ダニラは社会科学学部で経済を、チェンは林学部で学んでいるそうだ。先生はそれぞれのグループを巡って様子を覗いている。一通り終わってから、先生がそれぞれのグループに話題について尋ねる。定番の(笑)犬猫の話や、自分の子供の話(!)、旅行や休暇の話など。いろいろな話題があがっていた。そのあとで、教科書と同系列の練習問題集について説明がある。基本的にセルフトレーニング、ということだそうだ。言語センターにあるが、家でも聞けるようにテープも買ったほうがいいかもしれない。今日は自由作文も宿題として出される。
お昼は、先に大学の診療所へ行く。トラムに乗り、オペラ座の近所の診療所へ。立派な建物である。インフォメーションで「初めてだがどうすればいいか」と尋ね、番号札を取って受け付け窓口の順番を待つ。学生カードを見せ、社会保障番号を尋ねられる。それから診療の予約。幸い、今日の1時40分に来い、といわれる。3階の先生のところへ直接行くとのこと。このときに、20FIMを支払う。予約金かと思っていたが、これは診療費のようだ。ともあれ今日中に見てもらえるのはありがたい。
1時間ほどあるので、大学に戻って食事をする。その前にちょうど通り道になったので、フィンランド文学協会の本屋で先程紹介された練習問題集のテキストを買っておく。社会科学学部の食堂へ。今日はパスタ。もちろんソースや具も入っているが、パスタだとパンやご飯と同系統だし、なんとなく損をしたような気がする(笑)。今日のサラダはちゃんと刻んであった。そういえば、昨日のざんぎりサラダを食べているときに骨のようなものをかじった。鳥を食べていたので、鳥の骨だろうと思っていたが、もしかしたらあれはかぶせ物だったのかも知れない。恨めしいサラダである。バターがおいしい。病み付きになりそう。
ふと気が付くと、診療まであまり時間の余裕が無い。急いで停留所に行こうとすると、トラムが目の前を走っていく。まだ停留所まで遠いのでこれは無理。しかたなく次を待つ。しかし今出たばかりでは次はまだまだだろう。しかたないのでアレクサンテリン通りまで戻る。ちょうど来たトラムに乗れる。乗ってしまえばあとはどうしようもない(笑)。わりとすぐに着いた。
診療所に入り、歯科のある3階へ行く。ナースステーションのようなところで先生の部屋の番号を聞こうとしていたら、声を掛けられる。この用紙を記入しなさい、とカルテのようなものを渡される。治療歴とかはともかく、なぜか学位を書く欄まである。書いていると先程の看護婦?が来て、まだほとんど埋めていないのを見て「アレルギーなどがあるかを書いてください、それが一番大事だから」という。それはない、というと、他のところはあとで埋めればいいから、ついてらっしゃい、先生に見てもらいましょう、という。先生の診療室に入る。治療用の椅子が一つある。ゆったり治療できそうだ。まず握手と挨拶、それから椅子に座るようにいわれ、症状の説明をする。見てもらうと、前の詰め物も悪くなっているので、詰め直したほうがいいだろう、という。お金のことも心配だが、「そのほうがいい、簡単にできるから」というので、そうしてもらうことにする。詰め物を取る前になにか質問されるが、単語が分からない。しばらく問答をして、「麻酔をするか」ということだとわかった。あまり嬉しくないので(笑)、痛くなったらする、ということにしてもらう。治療は日本でするのと同じようなものであった。出来上がったのは、以前よりもきれいになっている。さすがである(^^)。カルテの残りの部分を埋めてまた持ってこい、それからこれを1階の受け付けに持っていってお金を払うように、という。しかし何も書いていないし、いったいいくらかかるのか。ともあれ、外でカルテを書く。持っていくと看護婦が出てきて、これでいい、という。もうお金は払ったか、と聞くので、20FIMは払った、というと、それならもうさっきの紙を持っていく必要はない、とのこと。「20FIMでいいのか」と聞くと、「それだけだ」とのこと。結局20FIMと30分ほどで全部が終わった。学生は有利だ。
歯が直ったので、意気揚々とまた大学へ帰る。大学の近くの古本屋へよってみる。やはり英語の本は少ない。古本屋だが、新刊も売っている。場所がいいせいか、けっこう人がいる。興味引かれる本もあったので、また時々覗いてみよう。そのままアジア・アフリカ学部の図書館、オリエンタリアへ向かう。昨日サマリア学の授業で聞いた本をコピーしようと思うが、メモを忘れてきた。おぼろげな記憶で探すが、ない。誰かがコピーしているのかも知れないが、それらしき物を見てもみんな違うようだ。たしかヘブライ語の本だとかいっていたし、背表紙を読むだけでも一苦労である。結局見つからない。まあ来週でもいいのだが。ヘブライ語の文法書だけ借りておく。これはコンピューター登録されているのに、貸し出しは週明けまで。前のコプト語の本は、担当者が間違えたのか。
まだ3時だが、今日はもう帰ることにする。文具を少し買ってから駅へ行く。電車には少し時間があるので、ソフトクリームを買って食べる。8FIM。ディップアイスは12FIMである。こちらのソフトもディップも、大きい。コーンから落ちそうである。食べながら、名刺の自動販売機を眺める。日本の名刺サイズ20枚で10FIM。わりと安いような気がする。作ってみるのも一興かも。そのうちに電車の時間になるので、ホームへ行く。
今日はティックリラで降りる。社会保障事務所のKELAへ行くが、予想どおり4時までで終わっていた。今回の歯のこともあるし、もし社会保障カードを取れるのならもらっておきたい。これも来週送りである。また駅まで戻り、せっかくなのでバスで帰ることにしてみる。ちょうどいい時間のバスがあった。コイブキュレまでやく15分くらい。新しい景色は楽しいものである。バスの場合は停留所のアナウンスが無いのでしっかり周りを見ていないと乗り過ごしてしまうが。無事降りることができた。スーパーによってから帰る。スペイン産の、みかんによく似たものがあったので買ってみる。5時過ぎ。日本大使館からニュースレターが来ていた。 夜は勉強、と思いきや、インターネットで遊んだりメールを書いたりしていたらあっという間に時間が経つ。ちょっと眠いかな、と思って早めに寝た。
10/3(土)
8時前くらいに目が覚める。わりと雲が多いように思う。少しは暖かいかな、と思ったらやはり0度であった。朝食の用意だけしてから、先に洗濯をする。今日はシーツも洗うことにする。玄関を見ると、3の部屋の分が2足ある。友人がまた来ているのか。しかしどうやって寝ているのだろう(笑)。洗濯機を回してから朝食を食べる。
待時間はメールを読み、フィン語を勉強する。ふとラジオをつけると、なんとラテン語が流れてきた。そういえば、土日の少しの時間だけラテン語の放送があるとはパンフレットで見ていたが、実際に聞くとやはり驚く。古典ラテン語に近い発音のように思われるが、もう終わりだったので詳しくは分からなかった。もし録音できたら取ってみよう。なかなか貴重な音源である(笑)。
シーツの乾燥にはさすがにちょっと時間がかかったが、いつもの時間くらいには乾く。マットをひっくり返してシーツをつける。マットというのは固定されているものだと思っていたが、気軽に外してシーツをつけたりするもののようだ。暖房をつけていれば、掛け布団一枚でも全く寒くない。今はまだ最大にしていないので、真冬でもこれで大丈夫なのではないか。
洗濯の合間に今週のNYTを見ていたら、明日タピオラ合唱団のコンサートがあるようだ。エスポーだが、これはぜひ行くべきであろう。チケットもさすがに少し高い(笑)。
フィン語に区切りが付いてから出かける。3の人々はそろそろ起き出したようだ。土曜の昼というのは、こちらでは大変のんびりした空気が支配している。すっかり快晴になったのでけっこう暖かい。ヘルシンキに着いたのは12時過ぎ。郵便局に寄ってはがきを出す。自動販売機で買ってみたが、これで出てくる切手は、同じデザインの台紙に必要な額面を印刷する、という方式のようだ。なるほど合理的である。ちなみに購入合計額が表示されてからお金を入れるが、入れた分だけ合計額から引き算されていく。あといくら入れたらいいのかが分かりやすい。この販売機はペンニ硬貨も受け付けてくれる。10ペンニ硬貨などとても小さいので、これでも大丈夫なのかしらん、という気になるが、ちゃんと通った。当たり前だが(笑)。
トラムに乗ろうとしたら目の前を通り過ぎていく。読書室にいくのだが、次を待つよりは歩いたほうが早そうだ。歩いて向かう。バスターミナルの横を抜けて歩いていく。バスターミナルの端にトンネルがあるが、これは向こう側に抜ける道のようだ。ヘルシンキ市内には、地形のためか、こういうトンネルがたくさんある。このおかげで市内中心部を走る車が少なくなっているようにも思う。また地下駐車場もたくさんあるようで、中心部の地下はほとんど駐車場になっているのではないか。地下鉄がずいぶん深いところを走っているのも、すでに駐車場に占領されていたからかもしれない。ともあれ読書室にいって荷物だけおいてから食事に行く。Bの読書室は7階だが、エレベーターは2基とも故障中のようだ。7階まですきっ腹で歩いていくのはなかなかつらい(^^ ;)。今日のお昼は白身魚のソテーであった。久々の魚である。なかなかおいしい。食後は読書室でフィン語の宿題とコプト語を勉強する。
3時過ぎに一段落したので、読書室を出る。トラムに乗って中心部へ。スオマライネン書店にいく。1日からセールをやっているようで、「ALE(SALE)」の黄色の札がたくさん下がっている。一通り眺めてみたが、特に欲しいものはないようだ。前から目をつけて置いた死海文書の英訳、これはセールになっていなかったが、と、シャーロック・ホームズの全集を買う。イギリスのもののようだが、うちの幾つかは初出の「ストランドマガジン」のファクシミリ版になっている。これはなかなか面白い。しかもセールで45FIMと安い。ひまつぶしにも役立ちそうだ。中辞典などを見てみるが、日本で情報を得ていた中辞典はなく、今年に出た新しいものに置きかわったようだ。148FIM。大辞典もあって、これはなぜかフィン英と英フィンがセットで380FIMで売っている。これは英フィンがあまり売れないからか(笑)。大辞典でもそんなに高くないのだが、そこまではいらないか。ともあれ中辞典クラスは必要である。日本などと比べてもそんなに高いものではないので、そのうちに買うことにしたい。
駅へ行って電車で帰る。スーパーに寄るが、レジまで行ったところで大行列に出くわす。閉店30分くらい前なので集中したのだろう。レジも5つ開いているが、一人一人の買う量が多いせいもあって追い付かないようだ。いろいろ見て、少なめのところに並ぶ。このおかげで、アイスを買おうと思ったが溶けてしまいそうなので止める。残念。前に並んでいた夫婦は、プリンを20個以上買っていた。毎日食べるのだろうか。部屋に帰ってきて温度計を見たら10度であった。暖かったはずだ。
今日の夜は勉強する。フィン語を勉強し、サマリア研究の宿題に手をつける。サマリア文字で書かれている新聞記事をヘブライ文字に直し、それを訳する、というもの。翻字はすぐにできるが、ヘブライ語を訳すほうが問題。しばらくやっていないので大分忘れている。大学で辞書や文法書とにらめっこしなくてはならない。これは大変な授業を取ってしまったようだ(^^ ;)。
10/4(日)
今朝も起きると暗い。気温はやはり0度。この調子で続いていくようだ。昨日はヒーパッカもペッカも帰っていないようだ。一人のときは、やはり気楽である。ゆっくり朝食を食べる。今日はEOLの練習があるので、大事を取って早めに出かけることにする。家の前の芝生は一面の霜。これが雪に変わるのはいつのことだろうか。
駅について早いかな、と思いつつ直接シベリウスアカデミーに向かう。しかし30分前のためか、表は開いていない。特に裏から入るとは聞いていないし、まだ時間が早いせいだろう、と思って、駅に戻ってマクドナルドでコーヒーを飲む。10時前に再び行くが、まだ開いていない。そのうちに何人か集まってくる。と、裏から入ったらしいオケの人が開けてくれる。練習はホール。立派なものである。客席は3階まである。500人くらいの定員か。すでにオケの練習をしている。合唱の練習は、と誰かが指揮者に聞くと、1時間後、とのこと(^^ ;)。待ちぼうけのようだ。いったん表に出ようかと思ったが、入り口の扉が鍵でロックされていて内側からも開かない。しかたないので、オケ練習を聞きながら楽譜を予習する。
30分くらい前になったら大分集まってきた。発声をする。発声の担当は毎回違う人がやっているのか。ホールのエントランスでするが、ここの電灯のスイッチは一定時間経つと消えるタイプなので、すぐに電気が消える(笑)。まあ発声には支障はない。そのうちに、誰かがカードをはさんでスイッチがおしっぱなしになるようにした。なるほど。
11時20分くらいからオケ合わせ。どういうオケかはよくわからないが、皆若いので学生ないしそのくらいの人たちであろう。オケと一緒に歌っていくが、なにしろ2、3回アカペラでしか練習していないので、オケ伴に戸惑う。ホールにも声がうまくのらない。そのうえ、男声は入りが甘いので、ただでさえ自信がないのがさらに危うくなる。しばらく歌っていると調子もでてきたので、合わせられるようになってくる。結局、自分を信用したほうがよさそうだ(笑)。1時間ほどで全部の曲を終え、練習はおしまい。あとで指揮者からいくつか注意がある。自分で音を取っていたけれどもやはり歌えなかったところがたくさんあったので、しっかり復習しておかなくては。再来週が演奏会。
お昼はドムスで食べる。途中のキオスクで、今日のタピオラ合唱団の情報が得られるかとおもってHELSINGIN SANOMATを買う。日曜は分厚い。100ページ以上ある。今日の食事は牛である。座ってしばらくしたら、EOLの2人が来る。話ながら食事をする。Timoは合唱団に入って1年目、Henrikは一緒に入ったばかり。彼らもやはり「なぜフィンランドに来たのか」と聞く(^^ ;)。住んでいるところや合唱団について話をする。彼らだけで話をするときも、自分に配慮してか英語で話している。えらいもんだ。新聞の広告を見るが、タピオラ合唱団のことは書いていなかった。彼らに聞いても、今日のコンサートのことは知らない、という。もう一つ行く予定のウスペンスキー教会合唱団はただでいい、と言ったら、「教会でやるときは、誰でも入れる教会の性格上、お金を取れない。だからプログラムでお金をもらうことになっている。プログラムを買わないのは、失礼に当たる」とのこと。なるほど。これはいいことを聞いた。
食後は、トラムに乗っていったんマーケット広場までいく。エスポーの地図でも手に入らないかとインフォメーションに行くが、10月からは日曜は閉まっている。マーケット広場は大変なにぎわい。今日から「にしんマーケット」というのが始まっているらしい。船から魚を売るのが中心らしいが、そのほかの店や特設ステージもでている。今日は荷物もあって不用心なので、また別の日に来ることにしよう。10日までやっているそうだ。再びトラムで中心部に戻ると、ストックマンが開いている。掛け布団はよく考えると、中身だけを使っていることに気づいた。カバーを買ったほうがよさそうなので、見に行ってみる。いろいろあるが、割引らしい札があるところのものを、これは割引になるのか、と店員に尋ねると、ストックマンのカードが必要だ、フィンランドにすんでいるならカードが7階で作れる、という。若い女性の店員が、英語に自信なさそうに説明してくれたが、実に正しい英語であった。なにかと役に立ちそうなので、作っておこうと思う。7階に行って申し込み用紙を見るが、よく分からない。窓口で尋ねると、英語のものをくれた。ただしパスポートがいるそうなので、今日は作れない。また今度にしよう。あとでよく考えたら、ストックマンで高いものを買わなくても他のところに安いものがあるかもしれないので、まずはそれを探してみるほうがいいか。
スオマライネン書店も開いている。エスポーの地図を見て、目的の場所を探す。場所は分かったので、あとはバスの問題。バスターミナルにいく。しかし、いろいろ地図を見るがどれで行けるのかよく分からない。ともあれ、「タピオラ」と書いてあるところ辺りで待つ。先ずはタピオラの文化センターへ行くので、バスの女性の運転手に「これはタピオラの中心へ行くか」と聞いたつもりが、「このチケット(30日切符)で大丈夫」と返事してくれた。フィン語はまだまだである(^^ ;)。ともあれ、系統番号で確認はしてあるので、行くことには間違いない。あとは停留所の問題である。エスポーの方へ行くのは初めて。195のバスに乗ったが、バスは途中で岸辺を走っていく。きれい。ヘルシンキ周辺は「水の町」であることを改めて思う。多分一番都会らしいところが中心だろう(笑)、と思って、窓の外を眺めている。
タピオラに入ると、実に芝生や木々が多い。建物と建物の間にすごく余裕がある。計画都市と聞いていたが、なにか圧倒されるような気がする。実に美しい町である。建物のにぎやかなところが中心だろう、と思って停留所の名前を見たら当たっていた。ヘルシンキから20分ほどである。ストックマンがあって改修中のため、ちょっとごたごたしている。南側をくるっと回ってみるが、文化センターは見つからない。これかな、と思ったが体育館のようである。困ったので、歩いている人に聞いてみると「あの高いビルの向こう」と教えてくれた。今歩いていたのと道路をはさんで反対側であった。歩いていくと、こちらにはスーパーもあってけっこう賑わっている。文化センターは大変きれい。10年くらい前にできたもののようだ。池もあって、やはり余裕がある。
新聞にも出ていたが、今回はユニセフのチャリティーコンサートだそう。タピオラ合唱団だけでなく、ジャズトリオも出るようだ。あとの詳しいことはよく分かっていない。ともあれ、ホールのロビーに入る。タピオラシンフォニエッタのパンフレットや文化センターの紹介パンフレットなどをもらっておく。ここには図書館やギャラリー、2つのホールが入っているそう。タピオラシンフォニエッタの本拠でもある。大きいほうのタピオラホールは788人収容だそう。チケットを買って、荷物をクロークに預けたら「5FIMです」といわれた。劇場とは違うようだ。2階の、ホールフロントにあがるとカフェが出ている。コーヒー10FIMなので、オペラ座並みだ。まだホールは開いていないらしい。やはりこれがフィンランド流か。10分くらい前に扉が開き、入り口でチケットをチェックする。ホールはきれい。2階もある。天井は舞台から客席までひと続きになっている。椅子も大きくて座り心地がいい。
肝心のステージであるが、主催者の挨拶のあと、ジャズの3人と歌手?の女性2人が出てきて、何曲か歌う。森の中のような鳥の鳴き声の真似が上手であった。やっとタピオラ合唱団の登場。最初はジャズトリオが弾くのに合わせてハミングをしながら、客席から舞台へ。舞台にあがったあとも合わせていくが、かなり難しいスキャットもしっかり合わせていた。青いドレスがきれい。30人くらいで、男の子が5人ほど。次はアフリカのものらしい、太鼓に合わせての乗りのいい曲。動きをつけても、声は全く乱れない。「だばだば」というのがほとんどを占める曲もあって、これは面白かった。対話のようになっているらしい。楽譜を見てみたい。4曲ほど歌って、座ると、次にはジャズコーラスの6人が出てきて歌う。これも面白かったが、タピオラ合唱団がたくさん聞けなくて残念。休憩になったが、プログラムを見ると後の曲はジャズナンバーなので、もう合唱はないだろうと判断して外へ出る。
ここからバスに乗ってエスポーの中心部へ。少しバスを待ったので、あと30分。こちらのバスは週日のみ、というものがけっこうある。定期路線でも土日にはかなり本数が減るので、事前に調べておくことが大事。ともあれ、バスは全く未知のところを走っていく。そのうちにどこを走っているのか全く分からなくなった。とにかく都会になればエスポーだろう、とおもう(笑)。林の中を走ったり、一戸建てが並ぶところを走ったり。
フィンランドの住宅政策は、基本的に町の中心部はマンションだけのようだ。郊外に出ると一戸建てもあるが、数としてはかなり少ないだろう。不動産屋で見ていると、値段も高そうだ。実際問題としては、暖房設備を一戸建てでつけるのは効率が悪い、ということもあるのだろうか。マンションほどでなくても、ハイツのようなものも多い。一戸建てを持てるのは、かなり生活に余裕がある人であろうか。マンションにしても、ヘルシンキ中心部は古いものが多いので個性的だが、郊外やエスポーになるとやはり画一的な感じは否めない。
ともあれ、そろそろ6時も近いし、もう着いてもいいのでは、と思っていると、列車が止まっているのが見えた。エスポーの駅である。駅前にバスは止まる。このときに6時。ちょうど地図があったので演奏会のあるエスポー教会の場所を確認し、急いで行く。駅からは10分くらいである。公園のように整備されている、その中にある。小川も流れていて、なんとものどかな雰囲気である。エスポー教会は、15世紀くらいのもの。石積み、しっくい固めでちょうどナーンタリの教会と同じである。窓がほとんどない。中に入ると、中心部と両翼の天井にはしっくいが塗られているが、内陣と入り口の天井にはフレスコ画が残っている。恐らく、宗教改革以前には中心部にもあったのだろう。これらの絵は素朴であるが、非常に面白い。今日はゆっくり見られなかったので、また今度来てみる価値はある。
扉から入ると、すでにオルガンの音が聞こえている。入ったところにテーブルがあって、プログラムを売っていた。30FIMを払う。A42枚にコピーしただけのプログラムをもらう。確かに、プログラムは入場料だ(笑)。こんなのでお金を取るのか、と怒ってはいけない。最初はオルガンの導入であった。シベリウスの曲である。そんなのあったんだな。それが終わってから、合唱団が入ってくる。20人くらいか。みんな中年である。指揮者はおじいさんといったほうがいいくらい。どんどん歌っていく。チャイコフスキーやラフマニノフといった作曲家の聖歌から、無名のもの、指揮者自身が作曲したものまで、計20曲ほど。聖歌は骨太な感じものがほとんどだが、指揮者自身による曲は、ちょっとロマン派的な軟弱な(笑)感じがする。間に、休憩の代わりにソロが入る。なぜかマスカーニのアヴェマリア(カバレリア・ルスティカーナの間奏曲)(笑)、それからフランクのパニス・アンゲリクス。このソロはなかなか。合唱団員であるが、オペラ歌手並みである。その後に、再び合唱が続く。特によく訓練されているとはいえず、入りや切りも甘いし、ハーモニーはあいまいなものが多いが、しっかり歌えてはいる。バスの声はさすが。LowC以下がばんばんでてる。CDなどで聞いていたロシアの合唱団の感じである。コンサートは1時間ほど。演奏を終えても、指揮者はお辞儀もせずに出ていく。なるほど、いつも礼拝としてうたっているわけだから、お辞儀などする必要がないわけだ。
7時だが、外はもう暗い。急いで駅に戻る。電車に乗ってヘルシンキへ。各停であるが、同じタイプの車両なのにアナウンスの駅名が全然違うので、なにか不思議な気がする。耳に新しい地名ばかり。「キロ」という駅もあった。接続の時間を考えて、パシラで乗り換える。ハンバーガーでも買おうかと思ったが、あまり時間がないので止め。コイブキュレまで帰ってきたら、8時過ぎなのにもう真っ暗。でもよく考えれば当たり前である(笑)。夏の感じに慣らされてしまったようだ。シャワーを浴びてから、ラーメンを食べる。5種類とも食べてみたが、ただの「鳥」が一番無難である。
10/5(月)
8時過ぎまで寝ていた。昨日の疲れか、ちょっとしんどい。朝食を食べながら、バスの時間を調べる。9時半の53番のバスに乗ってティックリラまでいくつもりで出かけたが、バス停で時間を見ると50分発である。大分時間があるので、新しい定期でも買っておこう、とお金をおろしにスーパーへ。停留所に戻ってくると、反対方向の53番のバスが来ている。これは3つほど先の病院が終点。何人か乗っているので、「病院にはやはりけっこう人がいくのだな」とおもってやり過ごす。しかし、それにしては多いような気がするので、停留所の看板を見ると「ティックリラ行き」と書いてある。?と思い、自分が乗るつもりのほうを見たら「病院行き」となっている。しまった、逆に考えていた。バスの路線図を見るときに方向を見誤ったようだ。しかたないので電車に乗ろうかと思ったら、これもちょうど出たところ。踏んだり蹴ったり、という感じはこのことである。電車は20分後、バスは30分後。ここまできたらバスで行くことにしよう、と開き直る。このまま待っていてもしかないし、第一寒い。前の停留所まで歩いていく。2つ前まで歩いてもまだ時間がある。始発の病院はすぐそこの丘の上だし、そこまで行ってみようか、と思う。病院は外から見ているだけだが、なかなか立派なものである。この地域の総合病院のようだ。バス停についてしばらくしたらバスが来た。これに乗っていく。
ティックリラまでは約30分弱。団地や、林の中を走っていく。途中で子供たちが先生に連れられて乗ってきた。うるさい(^^ ;)。あまりしつけがいいとはいえないようだ。ティックリラではKELAに一番近いところで降りる。ここが今日の第一の目的地。窓口で入学許可書を見せて「学生だが、KELAカードをもらえないか」と尋ねると、いろいろ調べて、「1年の学生では、カードは出せない」ということ。まあもともとそのつもりであったから、確認しただけになる。社会保障カードがなくても、大学の診療所であれば大丈夫だ。ここからはちょっと遠いが。
歩いてヘルシンキ行きのバスが出るバス停まで行くが、次のバスは50分後。電車で行くことにする。駅で、新しい30日切符を買う。こちらの30日切符は1カ月定期のようなものだが、きっちり30日後の日付になる。31日ある月には、ずれた日付になる。日本のものとちょっと違うようだ。ちょうど来た電車に乗ったら、各停であった。「100」を読むと、最近の流行として歯に金を埋め込む、というのが載っていた。20代の女性で流行中とか。いろんなことがはやるものである。日本でもそのうちするようになるのだろうか。
大学についてから、まず言語センターへ。ドイツ語のテープを聞く。30分くらいやってから、オリエンタリアへ行って荷物を置き、サマリア研究の文献を探す。しかしやはり見つからない。おなかが空いてきたせいもあって、だんだんいらいらしてくる。ともあれ気分を落ち着けるためにも、食事に行く。今日はソーセージのスライスにトマトソースがかかったもの。これで10FIMなら怒りそうだが、他のものを含めての値段なので文句はない。ほぼ決まってきた食事の内容は、メインディッシュ、ご飯一杯弱くらい、じゃが芋小2個、サラダ1皿、パンを2、3枚、牛乳。おなか一杯食べ過ぎかもしれない(笑)。お昼に品数と栄養を蓄えるようにする。
食後に、学部図書館へ寄って古いテキストの売出しはないかみてから、オリエンタリアへ戻る。このままでは埒があかないので、カード目録で探して図書館員に尋ねることにする。一つはカードをもとに探したらあった。教授は5巻物といっていたのに、1巻ものであった。もう一つはやはり見つからない。図書館員に尋ねると、棚を見てから貸し出しカードを調べてくれる。なんど教授自身が借りていた(笑)。これではコピーのしようがない。
神学部に行って、サマリア研究の宿題の翻訳をする。ヘブライ文字には直したものの、ほとんどの単語が分からない。活用形で引ける辞書を便りに調べていく。これは旧約聖書のためのものだが、現代ヘブライ語でもかなり使える。2、3載っていないものもあったが、だいたいの意味はとれた。どうも、イスラムの男性がイヤリングをしたまま礼拝に行き、それがイスラムの法に反すると咎められた、といったような内容らしい。あっているかは分からないが(^^ ;)。借りていた本の更新もしておく。
それだけしてから、今日はもう帰る。帰りはバスにする。611番に乗ればいいはず、とバスターミナルへ行く。すぐ来るようだが、その次も15分くらいあとに来るので、いったんアンティラへ戻って、掛け布団のカバーを買う。いろいろあるが、オレンジで統一しておく。靴も見てみるが、ここにあるのは今一つ。普通のものを買うか、防寒物を買うか。普通のものでもそんなに問題はなさそうだし、難しいところである。靴の中敷きがあったので、これを買っておくことにする。
バスターミナルに戻ると、そろそろバスの時間。切符を見せてバスに乗る。バスは途中までは615と同じルートを走る。5時くらいとけっこう車も多い時間だが、ヘルシンキの大きな通りでは、バスのレーンが作られているので、バスは快適に流れる。ヴァンターにはいると、こんどは前に乗った61に近いルートのようだ。大分見慣れた風景になってきた。こちらのバスやトラムには、カーテンやブラインドのようなものが付いていない。大きな窓なのでけっこうまぶしいのだが、こちらでは日光を遮るのはご法度か(^^ ;)。電車にはカーテンが付いている。朝に通ったのと似たところを走っていき、だんだん客が少なくなってくる。新しい団地のようなところに入っていき、ついに最後の客が降りた、と思ったら、運転手が声を掛ける。もしや終点か、と思うとやはりそうであった。番号を間違えたようだ。このとき5時半。まだまだ明るい。早めに出てよかった。コイブキュレに行きたいのだが、というと、2kmほど歩いて戻れば、バスのメインルートに出る、という。地図をもっていないか、と尋ねるが、持っていないという。「大丈夫、そう遠くない」というので、歩いて戻ることにする。バス停に地図があったので位置を確認する。メインルートからは3つ入っただけだ。これなら大丈夫か。団地の中を歩いて戻る。無事に戻ることができる。しかし、ここを通るバスは何本もあり、どれがコイブキュレを通るのか分からない。少し心配していると、ちょうど朝と同じ53番が来た。これに乗っていく。こんどは家の裏にあたるところで降りる。これで6時前なので、まあちょっとした冒険であった。あとで調べたら、こちらまでくるのは611Nであった。
一旦家に荷物を置いてから、スーパーへ空瓶をもって行き、買い物をする。商品を見ていると、あまり売れないものは、「4個10FIM」が「5個10FIM」というようにだんだん安くなっていく。商品も山のように積み上げてあるので、捌けないと大変だろう。アイスクリームも買う。紫色なので葡萄だろう、とおもったら、例の薬のような味がする奴であった。帰ってきたら、すぐ後にヒーパッカが帰ってきた。妻から手紙が届いている。兄の結婚式の写真などであった。妻にも電話をしておく。電話は一寸しか話せないのでもどかしい。メールを読むと、年末の飛行機の切符を取ったそう。こちらでの宿を手配しなくては。年末は込んでいるかもしれない。
10/6(火)
今朝は7時半くらいに起きる。これくらいが標準になりつつある。朝食を済ませてもまだ少し時間があったので、ちょっとだけ勉強する。1本早い電車にのって、フィン語のテープを聞いてから行こうと思う。大分ぎりぎりになってから家を出たら、途中でフィン語のノートを忘れたことに気づいた。取りに帰ったら、もうその電車には間に合わない。次の時間まで家で待機。これではテープを聞いているほどの余裕はなさそうだ。ちょっと失敗。今朝も霜が降りている。
大学へ行く前に、途中の旅行エージェンシーに寄って「フィンチェック」について尋ねる。が「知らない」といわれた(^^ ;)。駅のホテル予約センターなら知っているんじゃないか、という。ついでに、アレクサンテリン通りにあるFinnair Ticketの看板のところにも寄る。フィンエアーの営業所かと思っていたが、これも旅行社のようだ。フィンエアープラスについて調べたいのだが、もらってきたパンフレットにも住所がない。困ったなあ。
フィン語の授業では、また最初にグループ会話。話題を探すのが大変。ダニラの話では、ラトビア人はフィンランドにはたくさんいるとか。テキストはそろそろ動詞の活用に入っていく。大分本格的になってきた。単語もしっかり覚えていかねば。テキストの単語帳はよく使うものから並んでいるのでけっこう役に立つ。フィン語ー日本語の単語帳としても便利。
お昼の時間には、オリエンタリアでギリシア語を勉強しておく。1時くらいになってから学食へ。今日は鮭の香草焼き。ずいぶん大きい。十分に満喫できる。
食後に、腹ごなしも兼ねて「にしん市」に行ってみる。平日の昼間だが、けっこうな人出である。当然ながら、観光客以外はおじいさんおばあさんが多い。これだけ繰り出してくるということはやはり伝統的な行事なのであろう。いつもはわりと空いている波止場に船がぎっしり並び、船の上から売っている。塩漬けのさかななどが中心のようだ。しかしどの船でも売っているものはあまり変わらない。食堂のテントもあって、例の白身魚や鮭のほかに、カレイやニシン?も売っている。船の上からアコーディオンを弾いているおじさんもいる。いわゆるマーケット広場の部分はいつもと変わらないが、人出はやはり多い。一回りしてから、観光案内所へ行く。10月分の行事ガイドと、「ヘルシンキを歩く」というパンフをもらう。これはフィン語・スウェーデン語のほかにはフランス語版しかなかった。本来夏向けのようだが、4コース歩き方が書いてあって、なかなかたのしそう。便利そうな物である。地図屋に寄って地図を見る。フィンランド全土の地図が欲しいのだが、なかなか気に入ったものが見つからない。何も買わずに出る。大学に戻って、ギリシア語の続きとコプト語。散歩にけっこう時間を使ってしまったので、コプト語は少し残ってしまった。
ふと思ってフィンランド文学史の本を探す。学部図書館にあるものは貸し出し中。貸し出しできるものの中で変わった所蔵記号がついている本がある。見てみるとフィンランド文学協会の図書館であった。ちょうどいい機会なので行ってみることにする。本屋は裏手にあるが、今日は表玄関から入る。立派な建物で、中もいろいろ装飾がなされている。この建物だけでも十分価値がありそうだ。1階と4階に書庫があるようだ。1階は閉架らしい。4階は開架になっている。いろいろなのがあって面白そうだが、今日は時間もないので目的の本を探す。が、見つからない。司書に聞くと、密集書庫のほうから出してきてくれた。けっこうごつい本である。大学のHELKAカードで借り出せ、4週間。いろいろなところの図書館が同じコンピューターで検索でき、同じカードで借りられるのは便利。
4時半にYLの練習場へ。新人練習はまた別室で。今日はフィンランドで発行されている男声のリーダーシャッツを歌う。やはり2、3回歌っては次に進む。基本的に易しいものが多いが、初見で言葉までつけるのは大変。1時間半で、13曲もする。ここには10人くらいが来ている。
6時からは本練習。ひげのおじさんが発声を始める。体操から始めて、声を出していく。新人練習では発声をしないので、ここでちゃんと声を出す。30分ほど歌ってから、幹事長から連絡があり、曲に入る。今日はパルムグレンから。いくつかは皆に新しい曲のようだ。マッティがピアノで全体を1度弾き、それから音を取っていく。皆の音取りの早いこと。セカンドは新人が多いせいか、よくパート練習をしてくれるのでありがたい。スウェーデン語は耳を澄ましてひたすら真似をする。前に買ったガイドブックで発音の決まりをチェックする。とにかく意味は全く分からない。こうなるとまだフィン語のほうが分からないなりにも親しみを感じる(^^ ;)。8時から30分間休憩。みんなが出ていく。このときに、先程の新人練習で使った楽譜をもらう。YLのバインダーも買うようだ。後半もパルムグレンを続ける。最後にシベリウスを幾つか歌って、9時半に終わる。この練習でも、1曲当たりの時間は割りに短い。マッティの指示がほとんど分からないのは残念だが、だいたい歌って示してくれるので内容はつかめる。パートの並び方は、指揮者の正面がトップ、その後ろにベース、向かって右側にバリトン、左側にセカンドという配置。珍しい配置のように思う。
今日は合唱団の伝統行事「新人歓迎ディナー」があるそうなので、ついていく。4番のトラムで東の島へ行く。どこまでいくのかな、と思っていたら、外務省の近くの海沿いの小さなレストラン。以前この島を一周したときに前を通ったのを覚えている。30人ほどで、貸し切りである。テーブルが一列に並べられ、新人と団員が交互に座る。新人は11人のようだ。自分はちょうど真ん中くらい。マッティの隣になった。だんだんと集まってきて、マッティが来たところでほぼ揃う。ビールとワインがでる。まずは幹事長のミッコが挨拶。フィン語なのでよく分からない。終わると、別の団員から「英語で要約を」と声がかかる(笑)。簡単に説明してくれる。続いて、まず役付きが挨拶し、あとは座っている順に一言ずつ挨拶していく。副幹事長、演奏会マネージャー、人事、カルテットマネージャー、宴会場所取り?(笑)、パートリーダーなど。時々音をとって、歌が始まる。幾つかは知っている歌であった。半周したところで料理も来たので、中休み。おいしいステーキを食べる。食事が一段落したところで残り半周。自分から始まる。最初の2言、3言はフィン語でしゃべるが、あとは英語で挨拶する。また松原氏の名前がでる。「16年前でしたよね」と幹事長とマッティが話していたが、ということは幹事長、学生かと思っていたけどけっこうな年なのか。マッティもすごく若く見える。「松原、そうそう、黒い髪のね(笑)」と笑っていた。
食べたあとは、ウォッカやコニャックも出る。一回り挨拶が終わったらもう12時であった。ぼちぼち帰る人も出てくる。何人かと話をする。演奏会の衣装は、タキシードがトレードマークとのこと。買うと高いから、借りるかしたほうがいい、演奏会マネージャーに相談しろ、という。またカルテットは、一種の仕事のようなもので、お座敷に出て稼ぐらしい。といっても手に入るのではなく、合唱団のフローに入り、その分が演奏会や演奏旅行での負担から軽減されるそう。たくさんチケットを売るか、たくさんお座敷に出るとそれだけ負担が少なくなる、というシステムのようだ。他に、11月に鈴鹿でF1があるが、フィンランドのドライバーが出る、もし優勝したら、YLが国家を歌うビデオクリップが流れるはずだ。それを見るように友達に言っておけ(笑)、というのもあった。「もちろん君もそこで歌えるが」という。
新人にはプレゼントも出た。YLのピンバッジやステッカー、便箋、封筒。あと非売品?のCDが3枚。日本語の話も出る。発音はフィン人にはわりと楽だとか。隣で歌っていたオッリが「君のフィンランド語はかなりきれいだ」といってくれる。1時に近くなったので、さすがに帰ることにする。出ようとしたら発声をしているひげおじさんにつかまる。「君はいい声をしている、なかなか有能だ」という。全体での発声でしか聞いていないはずなのにそんなのわかるんかいな(笑)、と思うが、感謝する。「君は私よりも上手だ」とか(^^ ;)。「私よりも少し上手である」ということをいっていたが、これはフィンランド流の褒め方か。挨拶して帰る。
さすがに外は寒い。夏物の綿パンでは足が寒い。急いでトラムの停留所へ。4番はまだ走っている。じきに来るところであった。それに乗って駅へ。さすがに町に人はほとんどいない。駅に行くと、正面のドアは閉まっている。ホームからまわるのか、とおもったら、バスターミナルのほうの入り口は空いていた。駅の売店もみんな閉まっている。電車は15分後。ホームに入っているので、乗って待つ。コイブキュレまで帰る。途中眠くなるが、ここで寝たら大変(^^ ;)、と我慢する。駅から家まで歩いていくときに空を見上げるときれいな星空。乾燥しているせいかやはりいい空である。星座を探すが、オリオンがまさに林の上を歩くくらいに低い。立ち止まっていると寒いのであまり長くは見ていられない。家についたら2時10分。すぐ寝る。
10/7(水)
昨日遅かったし、寝坊したらフィン語の授業をさぼるつもりであったが、目が覚めたら8時であった(笑)。幸い二日酔いもほとんどない。しかたないので学校へいくことにする。昨晩はメールも読んでいないので、とりあえず妻への返事だけ書いておく。日記を半分くらい書いてから出かける。続きを忘れないうちに書きたいので、大学へモバを持っていく。リップクリームを塗ろうとしたら見つからない。昨日着ていた服などを見ても、ない。どうもどこかで落としたようだ。大学の近くのキオスクで買う。11FIMなので日本と同じくらい。
フィン語の授業は、今日はちょっと人が少なかった。今日は「何語を話しますか」というテーマが出た。みんな幾つも言語を言っていく。自分の言葉と、英語と、もう一つ、というのが普通のようだ。フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語というのが主なところ。
お昼休みにオリエンタリアへ行き、日記の続きを書く。ずいぶんと長い日記になった。一通り書いたところで食事に行く。いつものところで、今日はコロッケを食べた。じゃが芋はいつのもと違ってちょっと赤いやつ。でも中身は同じだった。ここ2、3日はご飯もべたべたになっている。ぱさぱさのほうがまだいいのだが(笑)。食後の腹ごなしは散歩。学部図書館に行く。フィンランド語史の本を端末で探すが、出てこない。前は何で探したんだっけ…。ぶらぶらとオリエンタリアに戻って、コプト語の昨日の残りとギリシア語をする。コプト語を本を机の上に置いたままで別の椅子で本を読んでいたら、隣にすわった女性がさらに隣にいた人に「これは誰か」と聞いているようで、こちらを見ていた。あの本が必要なのかな、と思ったが、席に戻ってみると隣ではヒエログリフを読んでいた。なるほど、同じ専門と思ったのか。
4時からギリシア語の授業。アメリカ人のスティーブは相変わらず悩みながらやっているようだ。そろそろややこしいところに入ってきたが、教科書の記述で新しい見識が得られたので少し読解が容易になったと思う。しかし、単語を覚えねば。先生が試験用の封筒を持ってきてくれたので、例を参考に記入する。
6時にはEOLの練習場へ。途中でスーパーによってチョコレートを買う。おなかはすいていないが、なんとなく食べたかった。ついたらもう体操が始まっていた。YLの発声と比べると似ているところもいくつかある。巻き舌のRの「るるる…」で最初は声を出していくところなど。舌の力を抜くためであろう。いつものように歌っていくが、やはり細かなところで音がとれていない。来週なのだからもっと正確に覚えなければ。反省してばかりである。休憩の間に今後のスケジュールについて説明がある。演奏旅行の日程についても説明があった。ともあれ行けることにはなりそうだ。練習のあとで、服装について尋ねると、黒のスーツとのこと。これなら持ってきたもので大丈夫。演奏会のノルマは、と聞いたら、ないとのこと。どこかとの協賛なのかもしれない。会費は、と聞いたら、半年で150FIMだが、そのうち請求されるだろう、とのこと(笑)。
昨日も遅かったので早々と帰る。明日の午前中にはラテン語をしなくては。火・水・木は気が抜けない。
10/8(金)
8時前に目が覚める。今日は洗濯とラテン語をしなくてはならない。洗濯機を回してから、ラテン語を訳しながら朝食を食べる。間に合うかな、という感じでやっていたが、また時間ちょうどくらいにできた。次回からは水曜日になるそうなので、週始めにやっておかないと間に合わなくなる。ともあれ、今回の分を送って一安心。たまっていたメールを読む。洗濯は順調で、乾燥機もいつのまにか直っていた。2時間乾燥させ、乾いたところで出かける。手紙も幾つか来た。やはり文字はありがたい。あきちゃんからは新聞の切り抜きも送ってくれた。日曜版のお笑い投書もある。英語やフィン語のユーモアでは分からないことも多いので、これはけっこう嬉しい。3の住人宛にもよく手紙が来る。ルンドからのものや、ルンド大学からのものもある。スウェーデン人なのかも。いかんせん、ここのところまた帰っていないみたいなので、どうなっているのか分からない。もしかしたらスウェーデンの大学に行っているのかもしれない。
ヘルシンキに着くとご飯の時間。今日は鳥肉のカツ。紫キャベツはどうも毒々しい感じがする。食べているときは幸せ。バターを塗った固パンはいくらでも食べられそう。牛乳を飲むのも定番になっている。日本に戻ってもこの習慣は続くか?
午後はまずサマリア研究。今日は翻訳かと思ったが、まだ概要の説明であった。テキストの出版について話がある。「コンコルダンス」の話が出て、ちゃんと知っているのが自分だけだったので「おまえ説明しろ」と教授にいわれ、英語で説明する。自分の名前も言ったが、うまく発音できないようだ(笑)。周りを見ていると、みなセム語専攻の学生らしく、ヘブライ語は普通に読める、という感じ。これはまずいかも(^^ ;)。ヘブライ語を思い出さねば。
3時からギリシア語。こちらは知っている言語だけに、至ってのんびりしたもの。動詞の活用が一段落したが、皆は「これをおぼえなくてはならないのか」「変化形から元の形が分からない」の連発。ここらへんはやはり経験が物を言う。少しでも楽をしようというのはどこの学生にも共通しているようだ。しかし、覚えることが多すぎると文句を言い過ぎのようにも思う。自分などは基本的に覚えるしかないと思っているが、いかに楽をできるかを先生から聞き出そうとしている。まあみんなギリシア語だけをやっているわけではないから、それも大切なことであろうが。こちらでも古典語はきらわれがちのようである。
授業が終わってから、アカテーミン書店へ行く。ヘブライ語の入門書ないし文法書がないかと思ったが、フィン語のものしかない。それではさすがに困る。スウェーデン語の辞書も見てみるが、もう一つ。YLで歌っていた曲の単語を少し見てみたら、なるほど、と意味が分かる。やはり辞書は必要だ。ここでは何も買わずに出る。ついでにスオマライネン書店にも寄る。元旦の日の出の時間を来年の暦で調べたら、9時半くらいであった(^^ ;)。日の入りは3時半くらい。なんとまあ…。初日の出は非常に楽に拝めそうである。辞書を見ると、前には値札がついていなかったフィン語の大辞典に200FIMの札がついている。これなら安い。元値は500FIM以上だし、英ーフィンのセットは300FIM以上。10年以上前のものなので、そろそろ新版が出るのかも知れないが、自分にはこれで十分である。中辞典でも150FIMくらいするので、これを買っておくことにする。ヘブライ語の入門書は英語のもの、TEACH YOURSELFがあった。105FIMとわりと安いので、これも買っておく。スウェーデン語の辞書も見てみると、少し痛んでいるからか、アカテーミンで120FIMくらいだったものがセールで60FIMで売っている。これは買いだ。結局3冊を買うことにする。350FIMとちょっと大きな出費になったが、これは必要なものなので仕方ない。
電車で帰る。7時前だが、今日は曇っているせいもあってもう大分暗い。今日の夜は流星群が見られるかもしれないというのに、こういう日にかぎって曇る。いつもはよく晴れているのに。遠いほうのスーパーに寄る。ここのデリカは丸ごとの鳥だけ…と思っていたが、よく見るとバットにはソーセージがある。これを買うことにする。「2本」というのはよく考えたら昨日フィン語の授業で習ったものであった(笑)。2FIMくらいとずいぶん安い。あとはピザ。
12時ころになってふと外を見ると、晴れてきているよう。流星群が見られるかもしれないと思って、窓から覗いてみるが、あいにく反対側である。林もあって、あまり広くは見えない。しかも蚊が入ってきた。外は4、5度であるはずなのに、それでも蚊が生きているとは、驚き。コートを着て、外に出てみる。よく晴れている。月が明るい。しかし、流星は全く見えない。目が暗やみに慣れて、少しは見えてもいいはずなのに、全くというのも変である。しかし見えないものは仕方がない。しばらく待っても見てもだめなので、また部屋に戻って、寝る。
10/9(金)
目が覚めたら、8時45分。9時15分には家を出ないといけないので、30分しかない。急いで朝ごはんを食べ、メールを読む。円が大分高くなっているようだ。クレジットカードでの決済くらいしか関係ないことであるが。幸い時間通りに出られた。今日は曇っているせいもあって暖かい。ヘルシンキに着いたら、8度であった。
フィン語の授業の前に、クラスメイトと話す。チェコ人のダヴィッドには、チェコ語の「おはよう」を教えてもらう。こちらは日本語の「おはよう」を教えてあげたらメモしていた。ラトビアからのダニラとは、バルト3国の言語について話す。バルト3国はそれぞれかなり違う言葉を使っているようだ。彼の小さいころにはまだソ連だったんだな、とふと思う。授業は動詞の活用について。たまに、歴史的な影響で変わった変化をする単語が出てくるが、先生は特に説明しない。前に言っていたように、実際的に教えよう、ということのようだ。しかしあとでダヴィッドは「説明が足らない」と怒っていた(笑)。
昼休みにオリエンタリアへ行く。サマリア研究でコピーする本が先生の棚においてあったので、それをコピー。整理してから、食事に行く。社会科学学部に行く。今日は豚カツにマッシュポテト添え。ポテトが最初からついているが、セルフでとるところからとらないとなぜか損をした気分になる(笑)。どうせ同じなのだが。テーブルを探していたら、声を掛ける学生がいる。EOLのヘンリクであった。彼はもう終わったところだが、隣に座る。少し明日の話をして、彼は出ていく。しばらく一人で食べていたが、向かいの席に今度はEOLのティモが来た。彼はここの学部の2年目で経済学を勉強しているとか。でも政治学に移りたい、といっていた。いろいろ話をする。EOLでは来年の春にレコーディングを計画しているそうだ。詳しくは知らないが、フィンランドの古い音楽だろう、という。ここでもレコーディングができるかも。クリスマスコンサートは易しい曲ばかりだから大丈夫だ、でもまだ場所がとれていない、とも。今年の春にはスケジュールがつまっていたので、この秋は予定が少ないそう。「みんな自分の時間も必要だからね」と笑っていた。英語の曲をやっているわけだが、やはり発音は難しいという。これは英国以外は万国共通の悩みのようだ。適当なところで出ていくことにする。
午後はまずコプト語。なかなか進まないものである。このテキストは1課の練習問題がやたらに多いので時間がかかる。まあその分、よく覚えられるが。時々HELKAで本を調べる。見てみたいシリア語の入門書は、どうも借りなおされているようだ。やはり予約したほうがいいか。予約すると5FIMかかる。この辺がしっかりしている。延滞すると、1冊1日につきやはり5FIMかかる。時々払っている人を見掛ける。こういう風にするのも一つの方法だな、と思う。フィンランドの教育史というのもあった。また見てみよう。しかし、やはりフィンランド語史の本は見つからない。謎である。コプト語を1課だけやってから、現代ヘブライ語の入門書を借りてオリエンタリアを出る。
まずは学部図書館で本を返す。それからポルタニアの売店でバインダーを買い、アンティラへ行く。ここでカセットテープを買う。これで「ラテン語のニュース番組」を録音しなくては。CDのコーナーを通ったら、ラウラバーラのダイジェストCDが売っていた。そういえば昨日が70歳の誕生日だったそう。せっかくなので買っておく。今度はチケットセンターへ。正月のオペラの切符を買おうとするが、「1月の切符はまだここでは扱っていない」とのこと。「オペラ座のチケット売り場へ直接行ったほうがいい」というので、ついでに行っておくことにする。トラムでオペラ座まで。「魔笛」の垂れ幕がかかっているが、よく見ると初日が去年の2月と書いてある。ということは1年以上この演出でやっているということか。聴衆も少なくなるはずである。チケット売り場で聞くと、どこでも空いているような感じ。2番目にいい席を頼むと、舞台真っ正面がある。「これはとてもいいところね」といってくれたので、2枚買う。普通は200FIM、学生は半額。1/2のバレエ「くるみ割り人形」と1/4の「椿姫」を買っておく。チケットのリザーブもできるそうで、2週間以内に買うこと、とか。別にその必要もないので、その場で支払う。チケットの払い戻しはない。
トラムで駅まで戻り、電車に乗って帰る。曇っているとすぐに暗くなる。スーパーでご飯を買うが、魚の対面販売のところを見ていたら、前に食べた白身魚の丸ごとフライがある。150g買ったが、食べてみたらちょっとおおすぎた(^^ ;)。あとはミートパイ。家に着いたら6時過ぎであった。
ラテン語のラジオ放送を録音しようとテープを買ってきたが、よく考えると持ってきた携帯ラジオは再生しかできないやつであった(^^ ;)。とすると、パソコンに録音するか。ニフティでソフトを探すと、いくつかあったのでダウンロード。試しに録音してみたら、けっこうきれいにとれる。ラジオにイヤホンを繋ぎ、そのイヤホンをパソコンのマイクに近付けてとる、という原始的な(笑)方式。どうせ7分くらいの放送なので、これでも問題はない。これなら録音してすぐに送ることもできる。
10/10(土)
今日は国民的文学作家アレクシス・キヴィの記念日だが、あいにくの雨。こちらの雨は「ざーっ」と降ることは少ないように思う。しとしと、という感じ。だから傘がなくても大丈夫なのだろうが。起きたら8時半であったが、気温はすでに10度。今日はこのままの気温なのだろう。
午前中は家にいる。勉強もする。9時前のラテン語放送の録音は、メールを書いていたらうっかりしていて頭が切れてしまった。でもきれいに取れている。さっそく山下先生に送っておく。ただし、あちらでちゃんと読めるかどうかが問題(^^ ;)。
12時過ぎまで家にいて、それから出かける。ヘルシンキでもやはり雨。でたときは止んでいたので、もう降らないだろうとたかをくくって傘を持ってこなかったが、失敗だったかも。やはりしとしと、であるが、長く歩いているとけっこう濡れてしまう。郵便局に寄って手紙を出し、トラムでDOMUSへ。お昼を食べる。今日は白身魚のソテー、トマトソースかけ。今日は練習が8時まであるので、しっかり食べておく。
食後は読書室で勉強。ひさびさに(^^ ;)、自分の研究をする。いろいろ書いてみれば、考えも浮かんでくる。ちゃんとやらないと駄目だな。一段落したところでコプト語。これも結局時間がかかっている。これは記憶力との戦い(^^ ;)。
4時過ぎにここをでてシベリウスアカデミーへ。まだ雨は降っている。歩いても10分弱だが、けっこう濡れてしまった。すでに何人か来ている。まずオケの練習。その間は発声をする。幸い室内楽ホールが空いていたので、そこで発声する。ちょっと贅沢(^^)。今日も発声の担当が違うので、やはり持ち回りなのかも。ちょっと要領がわるかった(^^ ;)。30分くらいでホールに戻るが、ソリストの練習中。しばらく待つ。その間に、当日の演奏会のプログラムが回ってきた。ちゃんと自分の名前も入っている。もちろんフィン語なので分からないところも多いが、立派なプログラム。曲の概説、それから各曲のテキストとフィン語訳、それから短い解説。これも全部指揮者のカリが書いている。カリの紹介文を見たら、1995年からシベリウスアカデミーの合唱指揮科にいて、この演奏会は彼のA-うんたらでもあるという。これはもしや卒業試験のことかしらんと思っていたが、あとで聞いたらその通りであった。なるほど、それでお金もかからなかったり、シベリウスアカデミーのホールを使えたりしたのか。卒業試験がオラトリオの指揮とは大変である。ソリストの経歴も、なんとなく分かる。まだアカデミーに在籍中の人もいる。学生で、オペラハウスや放送合唱団で歌っていたりするようだ。経歴を見たら、合唱指揮をとっている人がけっこう多かった。
しかし、ソロの練習は長引き、もう30分以上待っている。みんなもちょっとうんざりしてきた様子。一通り終わったところで、合唱の練習が始まる。さすがにカリも謝っていた。前回と違って、要領が分かってきたので大分自由に歌える。どうしても練習回数が少ない曲は不安になるが、ベースの多くは似たレベルのようだ(^^ ;)。積極的に歌っていく。目の前にいるファゴットの男性は、1997年シベリウスアカデミーオーケストラ日本ツアーというTシャツを着ている。
1時間ほどで休憩をとる。休憩のとき、トイレにいって、ホールに帰ってきたらなんとマッティがいた。挨拶する。カリとも、自分のことについてちょっと話していたようだ。もしやと思ってテナーのオッリ・ペッカに聞いたら、やはりマッティがカリの先生だという。練習を見に来たようだ。ソプラノのアンナが「二人の指揮は似ている?」と聞く。そうはあまり思わない。しかし、ちょっとびっくりした。
練習再開。残りの曲をやっていく。ほぼすべて歌えるようになったが、2、3ページ怪しいところがあるので見直しておかねば。しかし、女声は上手だが、男声は怪しいところが一杯ある。テナーを頼りに入ろうとしたら、そこでテナーが落ちたりする(^^ ;)。案の定、明日もパート練習があることになった。しかしシベリウスアカデミーが使えるそうなのでラッキー。
練習が終わってからは急いで駅へ。やはり雨が降っている。傘は持ってくるべきだった。駅でバルカンホットドッグを買って電車へ急ぐ。ちゃんと乗れた。シベリウスアカデミーでもらってきたワーナーという音楽会社のパンフレットを見る。新しい楽譜の案内なども載っている。これは日本にも送って欲しいものである。歌曲で面白そうなのがあった。歌曲も習う機会があれば面白いのだが。
All rights reserved. Copyright by Yutaka Maekawa, 1998.