11/1(日)

 今日は7時に目が覚めた。F1を見るために、顔だけ洗ってから階下の共同リビングに行く。朝早いせいか、誰もいない。テレビをつけると、ちょうどレースの中盤辺りのようだ。注目のミカ・ハッキネンはトップで走っている。スタンドにもフィンランドの国旗が並んでいるのが映っている。しかし、こちらで鈴鹿の映像を見るとは思わなかった(^^ ;)。じっと見ていても周回しているだけなので、新聞をぼつぼつ読む。まだ今日のは来ていないので、昨日のであったが。この新聞はどこに配達され、誰がこの部屋に入れるのかは不明である。時々ここにすむ人たちの集会があるようだが、ここにいないことが多いのでまだ参加していない。ふと思い付いて、部屋までデジカメを取りに帰る。テレビの映像でも取れるだろうと思ったのだが、何とか行けそうだ。まだ10周以上あるので、さらに新聞の続きを読む。時々画面を見ていると、40周目でなんと2位につけていた優勝争いの相手シューマッハーがタイヤのトラブルでリタイヤ。この時点で、ミカの優勝が確定する。アナウンサーも叫んでいる(笑)。残り周回を消化し、トップでゴール。表彰式、インタビューの後で、先週にYLで録画した映像が流れる。この時点で流れるとすると、日本では放映されていないかもしれないな、と思う。ともあれ、一通り映っている。時々アップになり、幸い自分のいるところもアップになったが、立ち位置の関係で顔半分になる(^^ ;)。でも一応分かる。デジカメで画面取りをしておく。テレビはまだ続いているが、もう8時半であり、お腹もすいてきたので部屋に戻る。しかし、話題のレースであるのに誰も見に来なかったのは意外。

 さっそく、映像を整理してメールで妻に送る。日本でも録画しておくように頼んでおいたが、放映されているかどうかは疑問。まあデジカメでとれたのでよしとしよう。朝のパンを食べ、メール書きをする。それから先月の家計簿の分析をする。また4000FIMほどかかってしまった。食費は1日平均38FIM。本や楽譜が500ほどかかっているので、それとタキシードなどの臨時支出を引くとほぼ適正水準。これ以上の食費などの節約は難しいので、本などを注意して買うようにしなければ。あとは勉強。フィンランド文学史の本を借りて全然読んでいなかったので、少しだけでも読む。英語で手ごろのものはないようで、借りてきたのもずいぶん分厚いもの。フィン語ならたぶんいろいろあるのだろうが。早く読めるようにならなくては(^^ ;)。

 12時前の電車でヘルシンキへ。今日も時折雨がぱらつく天候。気温の予想は4度なそうなので、セーターを着ていく。お昼はお出かけの時間なのか、途中の駅からもずいぶんたくさんの人が乗ってくる。子供の姿も多い。トラムに乗ろうとしたら目の前を通り過ぎていったので、歩いてDomusまで行く。食事はメキシコ風ビーフシチュー。こういうのにはやはりご飯がよく合う。毎日米が食べられるのは実にありがたい。意外にフィンランド人は米を食べるのだろうか。店でもよく売っているようだ。ここは食器を自分で分類して下げるが、フィンランドではグラス・コップの類は逆さまにして置くのが流儀のようだ。プラスチックの籠に並べていくのでこれでも構わないのだが、牛乳のしずくが垂れたりしてあまりよくないのではないかな、と思っている。この食堂では、籠の下を水が流れるようになっている。しかし小さなところではバットがあるだけである。ともあれ、こちらの流儀には従う。

 食後は、雨でないのなら直ぐ近くの墓地を歩いてみようかと思っていたが、外に出てみると雨がぱらぱら。けっこう歩くはずなので、少しの雨でもちょっと大変になるから、墓地はまた今度。8番のトラムに乗る。これは初めて。あまり旅行者には縁のない路線である。港のほうからオペラの横を通って、ヘルシンキを横切る形に走っている。目新しい風景が嬉しい。途中の他の路線と一緒になるセルナイネンまで乗り、7Bのトラムに乗りかえる。これでパシラにあるヘルシンキのメッセケスクスまで行く。ここで切手フェアがあるそうだ。隣の大きなほうではスポーツ・スキーエキスポというのもやっているようで、スキーなどを抱えた人が出てくる。こちらは入場料がいるらしい。切手のほうは入場無料。切手を眺めるのもいいだろうと思って来てみた。

 個人のコレクションの展示と、切手商による販売、郵便局による現在の切手の販売、クリスマスメール用品の販売などがある。切手商などを眺めていくと、たくさんのものがある。切手だけのもの、葉書や封筒に貼ってあるもの。住所などが書いてある、まさに使用済みのもの。こういう個人のものを誰が売るんだろう、とも思う。まあ買う人がいるんだから売る人もいるか。日本では封筒丸ごとというコレクションは少ないように思う。他に絵はがきなどもあり、これは各地の写真や絵が入っているのでそれにも価値があるようだ。しかしこれにも当然本文がついている。なにか人の生活を覗くようでちょっと複雑な気分。ぐるっと歩いていくと、クリスマス用品のコーナーもあった。クリスマス切手の販売とタイアップしているようだ。トナカイの剥製や橇、サンタクロース?もいる(笑)。さらに、なんとムーミンを発見(笑)。ムーミンワールドとかで使っている縫いぐるみと同じ奴のようだ。うろうろと歩き周り、子供にあいさつしている。

 ぐるっと回ると、近隣の国の切手のコーナーもあった。これは現在のもので、ラトビア・エストニア・デンマーク、そしてオーランドがブースを出している。ラトビアのものを眺めていたら、たくさんの人が歌っている絵柄のものがある。これは何か、とフィン語で尋ねるが、よく考えたらここの人たちはラトビアから来ているようなので、フィン語よりも英語のほうが普通だった(笑)。これは国民音楽祭のものだ、という。それは7月にあるやつか、とさらに聞くと、「あら、知っているの」という感じでにっこりと、そうだ、と答えてくれた。これは面白いので買っておくことにする。隣のエストニアも覗いてみたが、こちらは現行のものに音楽関連のものはないようだ。デンマークも同じ。

 ロバニエミにあるサンタ郵便局の絵はがきを売っているので、何枚か買っておく。クリスマス切手ももらうが、国内とヨーロッパ向けの料金しかないので、日本向けには補助切手をつけることになる。となりにポストがあって、ここに投函すればロバニエミのサンタ郵便局に送られ、そこで消印を押して目的地に送られるという。ためしに送ってみる。このときにムーミンの写真をとろうとしたが、受け付けがもたもたしている間に見失う。探してもいないので、案内板をよく見ると休憩の時間だった。一通り見たし、4時からシベリウスアカデミーでオルガンコンサートがあるのでそれに行こうかと思ったが、ムーミンには次にいつ会えるか分からないし、まだ写真をとっていないので、この機会にとっておきたい。1時間ほど待つことにする。

 コーヒーを会場の中のカフェテリアで飲むと9FIM。紙コップのくせにちょっと高い。それを飲みながらひと休み。もう一枚葉書を書き、Finnair75年の特別消印というのを押してもらって投函する。会場ではシートが配られていて、そこに買った切手を貼り、消印を押してもらうことでコレクションができるようになっている。6枚分で、フィンランド・クリスマス切手・オーランド・デンマーク・ラトビア・エストニアの欄がある。このおかげか、フィンランド以外のコーナーもけっこう賑わっている。先程買ったラトビアの切手を台紙に貼り、消印を押してもらいに行く。

 時間もあるので、音楽関係の切手を探してみることにする。まずシベリウスのものを見かける。80歳記念のもので、6枚綴り。他のものとセットになっていたので、合わせて買う。12FIM。未使用のものなのでけっこう価値があるかも。他にはないかな、と見ていると、現在発行されている5FIMの切手は国旗と楽譜が入っている。楽譜は何の曲か分からなかったが、あとで調べたら国歌であった。まあ構成から考えれば当たり前だが(^^ ;)。普段は使わない切手なので、こういうのがあるとは気づかなかった。他にパンフレットをもらう。外国からでもフィンランドの記念切手をこれで注文できるそうだ。まあそこまでする気もないが。他のものは、と思って切手商のブースを覗く。封筒を眺めていたら、発行初日の消印が入っているだけの未使用封筒があった。楽器のデザインのものなどが見つかる。シベリウスやヤールネフェルトのものがあった。ルターのものもあったのでついでに買っておく。さらに他のところで探してみると、こちらにはたくさんあった。シベリウスの別のもの、クーラ、マテトーヤ、オスカル・メリカント、ヘイッキ・クレメッティ。いずれも生誕100年記念のもの。初日の封筒付きのものだが、封筒にもサインや楽譜の一部が印刷してあるので興味深い。シベリウスのものにはフィンランディアの冒頭が印刷してあった。ほかにピエ・カンティオーネスというフィンランド最初の聖歌の楽譜を印刷した封筒・切手もあった。全部で7枚買ったら、49FIM。今日はサービスで半額ということだから、実際はもっと高いのか。まあ一枚辺りにしたらそれでも14FIMだが。ちゃんとカタログを見て値段を確かめていた。結局、けっこうたくさん買ってしまった(^^ ;)。

 この辺で4時になり、再びムーミン登場の時間になる。また子供を相手にうろうろ。人気者であるが、さすがに大きいので、ごく小さい子供は、近づかれて泣き出してしまうことも(笑)。しばらく様子を眺めているが、そのまま見ていても仕方ないので、ちょうどいた会場の整理員らしき人に、写真を撮ってもらうように頼む。ムーミンと並んで撮る。ムーミンの方から握手してくる。デジカメは慣れないせいもあって整理のおじさんはちょっと戸惑っていたが、ちゃんと握手している手も映っていた。ムーミンにも撮った画像を見せるとピースサイン(笑)。お礼を行って、会場を出る。

 パシラの駅まで歩いていく。ちょうどいい電車があったので乗っていく。夕食をどうしようか、と思うが、ちょっとお金を使ったし、今日も家にあるラーメンにしておこう。

11/2(月)

 8時前に目覚める。ちょっと目がさえないが、起きて朝食の用意をし、洗濯もする。また洗濯機の一つが壊れているようだ。さすがに毎日のように使われていては痛むのは早いのだろう。その間に新聞を読む。天気を見ると、明日の朝の予想はヘルシンキで3度、雪がちらつくかも、と。北部のオウルなどは-10度!そんな気温は今年初めて見た(^^ ;)。寒気が入ってきているようだ。今のところは「雪が降れば楽しいな」と思っているが、そのうちに嫌になるのだろうな(^^ ;)。朝食を食べてから、ラテン語の予習をする。ちょっと難しい。共同の部分をうろついていたら、3にいたペッカがヘルシンキに引っ越したという書き置きがあった。そういえばドアの名前も剥がしてある。11月から移ったようだ。いつの間に、という感じである。結局1回しか会わなかったと思う。しばらくはまたヒーパッカと2人になる。ここはあまり人気がないのだろうか(^^ ;)。手紙も書く。そろそろクリスマスカードのシーズンだし、こちらとしても年賀状などの準備をしなければ。洗濯も順調にできたので、11時半に出かける。

 朝のうちは雨模様だったが、今は晴れ間が出ている。電車に乗っていたら途中で雨が降っていたが、ヘルシンキに着いたら降っていなかった。まずは社会科学学部まで行き、食事。今日は鮭のホワイトソース。魚料理の種類は少ないようだ。鮭の一切れは大きい。400gくらいありそう。このへんもこちらサイズである。食後に郵便局まで行く。大聖堂の東にある郵便局は、ドーリア式の柱が正面に並んでいて、ごつい建物だな、と前から思っていたが、「ヘルシンキを歩く」によると19世紀半ばにできたヘルシンキ最初の郵便局だそうな。そう知るとありがたみがでる(笑)。今月の家賃とEOLの団費を振込み、切手を買って手紙を出す。自動販売機で買えば簡単だが、いつも同じ切手になってしまうので、封書の合計額分のいろいろな切手も買ってみることにする。窓口で買うときは日本と同じようにこんなのがある、と見せてくれる。局内のポストに投函。いまのところ郵便の事故はないので、やはり局内から出すほうが安全なようだ。

 そこから歩いて学部図書館へ行き、借りていた本を返す。さらに歩いて、市内中心のチケットセンターへ。オペラの切符を手配しようとするが、今月の半ばのものはほとんどいっぱい。高いものしか残っていない。うっかりしていて出遅れた(^^ ;)。いったんさがって、考え直す。手帳と睨めっこして考え、一度だけEOLの練習をさぼることにする(^^ ;)。ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」だけは高い席しかなかったので、それを買う。公演回数も少ないし、早く売れたようだ。1階のバルコニー。平土間もあったが、舞台全体を見るなら残っている席のうちではバルコニーのほうがいい、とのこと。平土間は前のほうなので、詳細に見たいならそのほうがいいだろう、という。なるほど。「トスカ」は予定が合わないのであきらめ、今月末のドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」、来年1月のサリネン「クッレルボ」ももう買っておく。これらは安い席。まあ高いといっても、学生は半額だから日本円にして4000円くらいなのだが。チケットを買っておけば一安心である。やはり1月前には買っておくべきである。

 また歩いて大学まで戻り、神学部によって本を返す。次いで、前から見ていたマイクロフィルムの文献の一部をコピーすることにする。聞いたらここでもコピーができるそう。ただし、1枚につきコピーカードの5カウント分かかる。いつも買っている150枚分のコピーカードは50FIMなので、一枚につき約1.5FIM。最初は全部コピーするつもりだったが、これを知ってあきらめる(^^ ;)。必要な部分だけをコピーするが、5づつカウントが減っていくのはあまり心臓によくない(笑)。コピーを終えてから神学部を出る。

 ポルタニアの学生組合の店で、葉書大のカードとクリップを買う。カードは、年賀状作成の実験用。さっそくポルタニアのコピー機で実験。しかし、紙が小さいのでやはりうまく行かない。今度はオリエンタリアへ行き、こちらのコピー機でも実験。こちらのほうが人が少ないのでゆっくり試せる。しかし、やはり紙がすべってしまうようだ。当て紙なども試してみたが、全て失敗。やはりコピーセンターに行ってみるか。そういえば、リソグラフのような簡易印刷機のようなものがあったようにも思う。ともあれ今日の実験はここまでにする。借りているコプト語の本を読む。これもなかなかすすまない(^^ ;)。まあ今は文法を読むだけにしたので進めるのだが、覚えないと意味がないので丁寧に読む。ふと気が付くと外が暗い。もうそんな時間か、と思ったらまだ4時。分厚い雲のせいだ。切りのいいところまで読んでから本を返し、ここを出る。

 歩いてエスプラナディの観光案内所まで行く。途中でCD屋のFUGAの前を通ったら、いつのまにか移転していた。オペラ座の近所らしい。また見に行ってみなければ。観光案内所でHelsinki This Weekの11/12月号をもらう。そこから3Tのトラムに乗って、DOMUSまで行く。コーヒーとムンッキと買い、先程もらってきたThis Weekを読む。今回のにはクリスマス関係の記事がのっているので重要。コンサートやクリスマス関係の販売などもあるようだ。いろいろ行ってみることにしたい。12月は大いそがしになりそうな予感(^^ ;)。時間があるので、フィン語のテキストを読む。授業以外にも自分で読んで先に進んでおくことにする。今年中に2巻まで読み終えることができるだろう。

 7時過ぎに、テンペリアウッキオ教会へ行く。今日は7時半からカンドミノ合唱団の演奏会。たくさんの人が入っている。プログラムは、やはり両面コピー(^^ ;)。ちょっといい紙だが。合唱団は40人くらい。女声が前、男声が後ろに並ぶ。フィンランドのトラディショナルから、シベリウス、マテトーヤ、クーラ、ラウタバーラ。前半はフィンランドの作曲家である。わりと普通の曲。実に綺麗なハーモニー。よく訓練されていることを伺わせる。今年で創立31年だそうだが、会場でもらった30周年記念のパンフレットによると、17歳くらいでオーディションを経て入団し、週2回の練習と多数の合宿があるとか。フィンランドの合唱団はクオリティも高いが、その分練習も密なようだ。基本的に若い世代なので、声にも若さが見られる。これはいい意味で。「元気さ」が声に表れている。

 音取りは指揮者が音叉を使って。一度合唱団に音を出させて確認している。これは確実なやり方。演奏の前にハミングで音を出すのは別によくないことではないようだ。そういえば、YLの演奏旅行のときには、最初の指揮者の礼の後から直ぐ歌い出すために入場の前に音をとり、歩きながらハミングして音を覚えていた。お客さんにも丸分かりだが、別に不自然ではないようだ。音をとった後、指揮者は音叉を持ったまま指揮している。マッティもそうだったような気がする。マッティは譜面台に音叉を当てて音をとっていたが、今日の指揮者は自分の頭に当てている。

 休憩かと思ったら、指揮者の解説の後で合唱団員が一人出てきて、カンテレを弾く。カンテレを生で聞くのは初めて。あまり大きな音ではないが、いい音。やはりカンテレがほしくなる。4曲ほど弾く。引き終わったら再び合唱団が入ってくる。カンテレを弾いていた女性は休み無しだ。

 後半はフィンランド以外からも。コダーイ、モーツアルト、ブラームス、シュッツ。ドイツ語はフィン語のように聞こえるのはご愛敬(^^ ;)。ラテン語の発音は綺麗。最後はフィンランドの新しい作曲家で、いわゆる現代曲。ポルタメントもたくさん出てくる。そのためもあってか、歌っている途中でも合唱団員がしきりに音叉で音を取り直している。新しい入りのほかにも、途中で見失った時に取っているようだ。しかし全体として聞こえてくる音は素晴らしい。テンションの高い音楽になっている。アンコールはもしや、と思っていたが(笑)、やはりフィンランディア。こちらの人には歌詞の内容もあって、受けがいいようだ。シベリウスの曲など、いろいろな合唱団の演奏を聞くと、解釈の違いがあって面白い。パンフによると、来年には日本への演奏旅行の計画もあるとか。日本でも聞けるかもしれない。また、合唱団はエスポー市、エスポーの教会、その他の企業の財政援助を受けているという。またエスポー市は全部で13の合唱団に財政援助をしているとも。文化としての合唱がしっかり根付いていることを感じる。

 もう9時前。駅まで急ぐ。特に雨などは降っていない。ちょっと時間があるので、駅でバルカンホットドックを食べる。ここのスタンドで売っているパンはずいぶん高いようだ。FAZERとロゴのあるケースに入っているので、ファーツェルから入れているのだろうか。電車で帰ると、10時前。ヴァンターはけっこう遅くまで雨が降っていたようで、路面がずいぶん濡れている。しかし幸いにして、今日はほとんど雨に降られなかった。

 メールをチェックすると、ユハとアレクシから返事が来ている。ユハは週末、実家のあるロバニエミに帰っていたようだ。彼がラップランドから来ていたとは驚きである。また北の話を聞けそうだ。アレクシはパリでも合唱をやっているらしい(^^ ;)。やはり合唱人はどこに行っても同じである(笑)。

11/3(火)

 目が覚めたのは8時前。今日は午前中のフィン語が休みなので、家にいることにする。ここのところヒーパッカはいつも8時くらいに出かけているようだ。食事をしてからいつものようにメール書き。それからラテン語をする。今日はちょっと難しかった。11時くらいまでかかった。それから出かける。駅で「100」を取って天気予報を見ると、ヘルシンキは2度。今週はだんだん寒くなるようで、あさってのロバニエミは-14度!(^^ ;) ヘルシンキも0度くらいになりそう。空も、いつ雪が降ってもおかしくないような雲の感じになっている。

 ヘルシンキについてから、駅にあるホテル予約センターによる。正月の分のホテルの残りをおさえておく。ヘルシンキの分は問題なく取れた。ここではフィンランドの他の地域のホテルも予約できるようなので、タンペレのホテルを予約してみる。しかし、来年の価格が分からないとかでここではブローチャーを発行してもらえなかった。しかし空きはあるそうなので、直接ホテルに予約したほうがいい、とのこと。何のための予約センターかという気もしないでもないが(^^ ;)。500FIM前後の価格帯だと、ブローチャー1枚につき10FIMの手数料になっているようだ。手数料の付け方はよく分からない。ともあれ、1泊分を残して全て予約できた。

 トラムにのって、社会科学学部の近くまで行き、食事にする。今日はポテトのチーズグラタンを取る。ほかにチャーハン?もあった。そういえば家にフライパンがないので、炒めものなどもしていない。冷凍庫がないのもけっこう痛い。食後に、フィンランド文学協会まで歩いていく。借りていた文学史の本を更新する。もうちょっと読んでおきたい。1回に雑誌が並べてあるので、適当に眺める。フィンランドのものを翻訳する場合に補助金がでる、という広告がのっているものもあった。こういうのもやってみたいが、まず言葉の勉強が先(^^ ;)。ヨエンスー大学の神学部が発行しているらしい、ギリシア正教関係の雑誌もあった。ついでにここの書店へ行き、改めて棚を眺める。何度も来ているのだが、だんだんタイトルの意味が分かるものが増えてきている(笑)。今日は前から気になっていた、最近出版されたフィンランド文化事典というのを買う。ちょっと高かったが、読むにはよさそうだ。早めに買って読んでおいたほうが、実際に体験できることもできるだろう。ほかにカンテレに関する本もあった。

 歩いて大学に戻り、オリエンタリアへ行って本を読む。コプト語の入門書を読んだ後、シリア語の棚を丁寧に眺める。前にはなかった本がたくさんある。誰かが借りていたのを返したようだ。基本的な図書がたくさんあるので、幾つかはコピーしておきたい。日本ではなかなか手に入らないものだ。少し時間があったのでフィン語のテキストも読む。

 4時半前に出かける。途中でFAZERにより、音叉を買う。442Hzだが、今はこれのほうが普通か。35FIMだから千円くらい。そんなもんか。4時半から学生会館でYLの新人練習。今日はまずクリスマスの歌をする。しかしまだ楽譜をもらっていないものがたくさんあるので、現在もっているものをひととおりやった後は、酒飲み歌をまとめてする。こういうのはぜひ覚えておきたい(笑)。新人がバリトンに1人来たようだ。どこからきたかと聞かれたので日本からと答えると、「去年浜松にいました」と日本語で答える(笑)。交換留学で日本に行っていたそうな。これまた意外なところで、である(^^ ;)。いろいろ見てみると、日本と関係がある人はけっこう多いように思う。

 6時からは本練習。パルムグレンの、変更があるところを中心にやっていく。発音のチェックもある。週末のスケジュールでは、基本的に土日ぜんぶをつかうようだ。幸いバスが出るらしい。食事も全部出るとのこと。ただし教会は寒いので厚着のこと、とあった(^^ ;)。週末は冷え込みそうなので、大変だ。休憩のときに、新人が中心になって演奏旅行のときのビールの瓶をコティコントゥまで返しに行く。10ケースくらいあったからずいぶんな量だ。ちゃんと瓶の保証金を返してもらってきているらしい。残りの時間はいつものようにハンバーガーを食べてコーヒーを飲む。今日は練習が長引き、10時までかかった。さすがに疲れる。クリスマス関係の楽譜をもらって、帰る。

 もうスーパーは閉まっているので買い物はできない。パンがないなあ、と思ったが、まあバナナなどあるもので済ますか、ということにする。駅のバーでビールを飲む。EAGLEというのが25FIM。これはちょっと甘い感じのビール。ヴァイツェンとかいう感じ。ちょっと自分の好みには合わなかった。失敗。飲みながら電車まで待つ。

 家に帰ってきたのは11時前。部屋に入ると、新しい靴がおかれている。これは3の新しい住人か。ヒーパッカも帰っているが、彼の友達が来るわけはないように思うので、たぶん新しい人間だろう。あとで洗面所を見たら新しい歯磨きセットがあったので、やはり3の住人だ。名前などがどこにもないのでちょっと分からない。もう寝ているようだ。今度はどんな人物だろう。

11/4(水)

 6時過ぎに一度目が覚めるが、早すぎるのでまた寝る。次に目覚めると7時。これでも少し早いが、起きることにする。あまり冴えた天気ではない。今日は朝食のパンがないので、紅茶とバナナだけ。これだけだとお昼までにお腹がすくのは確実なので、早めに出かけてヘルシンキで何か食べることにする。今日は初めてコートを着ていく。しかしマフラーを忘れた(^^ ;)。それほど寒いということもない。

 電車に乗って「100」を読む。相変わらず寒い予報。土曜日も1度くらいで、これだと週末の教会でのレコーディングは大変だな、と思いながら、ふと外を見ると雪がちらついている。こちらに来て初めての雪である。ついに来るべきものが来た、という感じ(笑)。しかし自分は暖かい地方の生まれなので、雪は珍しい。妙に心がはしゃぐ(^^ ;)。ヘルシンキはすでに薄化粧している。気温は2度。こちらの雪はわりと軽くて、風に舞う光景がよく見られる。ともあれ、まずマクドナルドにいって朝食を食べる。1時間くらい時間があるので、「100」の一部の記事を辞書を引きながら読み、またフィン語のテキストを読む。普通の新聞などの文章と違って、テキストはかなりの部分が分かるので、やはり読んでいても楽しい。分からない単語が半分を超えると、読み続けるのは苦痛になるものだ。10時前までいてから、フィン語の教室へ行く。あいかわらず雪は降っている。

 フィン語のクラスは、いつも通り。宿題の解答からする。発音に関してたまたま質問したら、「いい質問です、そういうのが分かるのはあなたが歌をやっているからでしょう」といわれる(^^ ;)。それから今日は書き取りをする。先生がテキストを読み、それを書いていく。ゆっくり何度も読んでくれるので、実に容易。もし分からない単語があっても、書き取りだけはできるような気がする。気がするだけだが(^^ ;)。しかし、学生の中ではときどき英語にない音の聞き分けなどが問題になる。英語のほうがはるかにたくさんの母音を聞き分けているのだが、とも思う。ともあれ、知らないものは聞き分けられない、ということだろう。最後に少しテキストを読んで、おしまい。次にはやっと次の章へ進むようだ。授業の後で、ギリシア語に一緒に出ている中国人のリュウが、先週教えてもらった本屋に行ってみたが見つからなかった、もう一度教えてくれないか、という。この人はちょっとまじボケな感じもするところがある(失礼)ので、今日の午後に時間があるか、と尋ね、待ち合わせて一緒に行くことにする。

 外に出てもまだ雪。けっこうたくさん降っている。しばらく歩くと、雪だらけになる。植え込みなどには積もってきた。お昼はオリエンタリアに行こうと思ったが、ふと思いたってポルタニアにある古典語の図書室に行くことにする。4階にあり、歴史・スラブ学・ヨーロッパの文学などが幾つもの部屋に置かれている。古典文学は図書館のドアを入った正面にある。広いとはいえないが、たくさんの本が置かれている。ギリシア・ラテン語など、知っているはずのテーマのところを見ても、見たことのない本ばかり。こういうのを見るとわくわくする(笑)。棚を一通り眺めてみる。図書室の中には、ローマの家の模型も置いてあった。机もあり、この専門の学生らしい人たちが勉強している。この机には鍵の着いた引き出しもあって、パソコンを一時入れておく、といったようなことに使えるようだ。たまたま、自分がもっているのと同じPowerBook150を使っている人がいた。同じ物を別の国で使っているのを見ると、これまた嬉しいものである(笑)。

 ちょっとお腹がすいたので、先に食事に行く。ポルタニアの食堂は込んでいるようなので、社会科学学部まで歩いていこうかと思ったがけっこうな雪。あきらめて大学本館の食堂に行く。わりと込んでいる。場所を探すのに苦労したが、たまたまアレクサンテリン通りに面した席がとれた。今日はハンバーグ。食べ過ぎにも注意するようになってきた。しかしバターを塗ったパンを食べていると、あまりのおいしさにいつまでも食べていたくなる(笑)。

 食後は再びポルタニアへ。今度は興味のある棚を細かく見る。最初にパレオグラフィーの本。日本ではあまり本がないのだが、やはり何段も本が並んでいる。イタリア語のものが多いのがけっこう意外だった。続いてティルトリアヌス、ヴェルギリウスについて。ラテン・ギリシアの文学は、作者別に著者名順で並んでいるようだ。同じテーマのものを探しやすいのでいい。こちらの図書館は大まかな分類だけで、あとは著者名だけで並べてあることが多いので、棚を眺めているだけだと探すのが困難なことが多い。もちろん、コンピューターやカードで検索すればいいのだが、目的のもの以外の関連する本を見付けることも大切なことだ。あとギリシア語の文法書の棚も眺める。それくらい見てから、今日のギリシア語の予習をする。ちょっと狭いせいか、いまいち落ち着かない。なぜか途中で停電したりする(^^ ;)。やはり勉強にはオリエンタリアがいいようだ。しかし、図書館としては楽しいところだ。3時まで勉強する。

 3時に、リュウと神学部の前で落ちあい、トラムでウスペンスキー聖堂の向こうにある聖書教会の書店までいく。前は地図を見せて教えたのだが、一つ前の停留所で降りたらしい。雪化粧をしたウスペンスキー聖堂もとても綺麗だ。デジカメをもってこなかったのは失敗。まあ、これからいくらでも機会はあるだろうが(笑)。本を見ながら、いくつか説明する。この秋から神学の勉強を始めたそうなので、まだ右も左もわからない、という感じのようだ。修士の学位を取るまでいる、という。それはそれでうらやましい(^^ ;)。一通り眺め、リュウがギリシア語用の小辞典を買ってから出る。再びトラムで大学まで戻る。あと授業まで30分ほどなので、大学本館でコーヒーを飲みながら話をすることにする。

 悪天候のせいもあってか、カフェもわりと混んでいる。一人で座っていたおじさんのところを拝借して、話をする。フィン語と英語を交えて。リュウが英語で話し、自分がフィン語で答える、といった感じ(笑)。ギリシア語の授業はずいぶん集中的だ、学びはじめて2カ月なのにもうテキストを読んでいる、という。個人で勉強するときは1月くらいで読むようになるものだが(^^ ;)。中国では北京の近郊に住んでいるとか。同じフィン語のメイやチェンは南のほうの出身なので、北のほうの人は初めて会ったことになる。しかし、リュウも英語そのものはあまり得意ではないようだ。中国でもあまり英語を話せる人は多くないとか。自分は京都からきた、とかいう話をしていると、相席していたおじさんが「大阪は日本の3大都市の一つだろう、違うか」と話し掛けてくる。話を聞いてみると、その人の友人が大阪にいたことがあるらしい。また町田市にもいたことがあるとか。また別の友人は中国の彫刻に興味があって、中国に行ったこともあるとか。ヘルシンキで古本屋をやっているそうだ。話をしている人自身は学生ではないが、以前この辺りで店員をしていたという。ここに来ているのは、前から知っていて安いからだ、とか。どのくらいフィン語を勉強したか、と聞くので実質3カ月ほど、というと、「さっきから傍で聞いていたが、君のフィン語は上手だ」と褒められる(^^ ;)。リュウまで一緒になって褒めてくる(笑)。コイブキュレにすんでいる、というと、あの辺はマンションのビルが多いし、いいところじゃない、という。なかなか話をしているのも面白かった。授業の時間に近くなったので、あいさつして失礼する。フィンランド人は内向的だと聞いていたが、こういうふうに積極的に話してくる人もたくさんいるみたいだ。いいことではある。

 授業の前に、同じギリシア語にでている学生から学生キリスト者組合の案内をもらう。残念ながら火曜日なので、合唱団の練習がある、というと、どこか、と聞くので、YLと答えると、知っている、ハイレベルなところだ、という。クリスマスにはコンサートがたくさんある、というと笑っていた。さらに話をすると、今修士論文を書いているとか。キリスト教倫理が専門だそうだ。ギリシア語は2年目で、必修なのでどうしても取らなければならないとか。語学が苦手な学生はどこの世界にもいるものだ(笑)。日本にはたくさんの神学の学生がいるのか、というので、わずかだ、日本のキリスト者は人口の1%、ちょうどフィンランドでのギリシア正教の信者の割合と同じ、というと、それは面白い、といっていた。出身を聞いてみると、サボ地方だという。しかし、先祖にはドイツの系統もいるという。先祖とはどれくらい古いところまで知っているか、と聞くと、なんと500年くらい前からの記録がある、とか。聖職者の家系だ、というので、たぶん教会に聖職者名簿の記録が残っているから分かるのだろう。しかし、大したものである。歴史の重みを感じる。

 ギリシア語の授業は、最初に教科書を読み、残った時間で聖書のテキストを読んでいく。文法説明にまだ時間がかかるので、テキストは3節ほど。実際のテキストを読んでいくのは、この秋から学び始めた学生には慣れがないので大変なようだ。しかしみんな翻訳はもっているので、参照は難しくないと思う。少し時間延長して終わる。

 6時からはEOLの練習へ。いつものように発声をしてから、曲に入る。最初にフィン語の歌を歌う。自分は楽譜もないし、ただ聞いているだけだった。あとで楽譜をもらったが、これはフィンランド人なら誰でも知っているクリスマスのときに歌う歌だという。本来はポーランドのシュレジエン地方の歌だとか。葬儀のときに歌うような内容だといっていたが。休憩の後は、新しい曲でスウェーリンク。一通り歌っておしまい。しかし、クリスマスコンサートまで2カ月もないのに、ステージの内容が明らかではないのは、ちょっと困る。外にでても、まだ時折雪がちらついている。公園などはすっかり雪が積もっている。トラムが拾えたので、それで駅までいく。スーパーでパンを買い、駅ではピザを買って食べる。電車でコイブキュレまで帰ってきたら、道にも雪が積もっている。これは明日の朝は凍るな(^^ ;)。

11/5(木)

 今日も6時前に目覚める。それは早すぎるので、また寝たら8時。ちょうどいい時間である。外は今は降っていないが、雪景色。部屋から見る風景は真っ白である。何ともいえない。朝食の前に洗濯をする。メールを読みながら食事。ヘルシンキの来週の天気をインターネット上で見ると、やはり寒い日が続くようである。午前中は授業の予習などをして過ごす。フィン語の文法は一通りなぞったので、これからはクラスのテキストをどんどん先へ読んでいくことにする。自由作文もやるつもりだが、やりかたを思案中。11時過ぎに出かける。今日はあまり寒くない。天気は曇りだが、時々晴れ間も見える。足元は悪い(^^ ;)。駅で「100」を取ると、週末の気温は0度前後のようだ。ホームで待つのも寒い季節になった。

 今日はパシラで降りる。お金を降ろして、駅の窓口で新しい30日切符を買う。1カ月というのはうっかりしていると忘れそう。午前中は窓口もすいている。そこから7Aのトラムで大学へ。ヘルシンキ市内は、道路にはほとんど雪は残っていない。公園などには残っているが、大部分はとけたようだ。社会科学学部で食事。今日は豆のスープにしてみた。スープといっても、どろどろのものでシチューに近い感じ。パンヌというホットケーキのようなパンにジャムを載せたものもついている。スープが意外にお腹を膨らませたので、ちょっと一杯(^^ ;)。

 食後は学部図書館に寄り、大学本館で広報誌を取る。それから図書館に行く。予約しておいた本が返ってきたそうなので、取りに行く。ファビアニン通りから入るが、ここでも鞄とコートは預けなくてはならない。預けなくてはならないところと預けなくてもいいところと、時々迷う。カウンターに申し出て借りる。館外貸し出しができるものはスタッフだけが取れる棚に、閲覧のみのものは自由に取り出せる棚に入っているようだ。本だけ借りて、オリエンタリアへ行く。授業の時間までしばし本を読む。

 1時からサマリア研究。今日は少し人が少ない。サマリアの新聞の続きを読み、また概説が続く。それからヘブライ語でかかれた、ある祭司の伝説的伝記を先生が読む。ヘブライ語なのでよく分からない(^^ ;)が、翻訳しながら読んでくれる。6歳で、自分から望んで人々の前で100行以上の詩文を間違いなく暗記で朗読したとか。「今ではこんなことを望む子供はいないでしょ、ピザやマクドナルドに行く、とか行って」と先生が笑う。

 続いてギリシア語。教科書はほぼ終わり、別刷りのプリントで補足説明をしていく。今日は5時過ぎまで休み無しだったのでちょっと疲れた(^^ ;)。次回からは聖書のテキストだけを読んでいく。またギリシア語2の勉強も早めに始めたほうがいい、という。これは授業ではなく、自分で指定されたテキストを読んで試験を受ける形式。勉強会を組織してやるといい、という。

 スティーブンと一緒に帰ることにする。外はまた雪が降っている。けっこう激しく降っていて、駅まで歩いていくだけでずいぶん濡れてしまった。気温は1度。スティーブンは同じ駅だった。自分とは線路を挟んで反対側になる。もう2年住んでいるとか。妻と子供と一緒にいるそうだ。修士号をとるまでいるという。電車の中でいろいろと話ながら帰る。液で別れて、こちらはスーパーへ。歩道には雪が踏み固められている。すべらないように注意して歩く必要がある。あまり早足で歩くと危ない季節になった。足元が悪いと、歩くだけで疲れてしまう。食品を買って家に帰ると7時前。まだ誰も帰っていない。

11/6(金)

 会話する声で目が覚める。知らない声がしている。3の住人かな、と思うが分からない。時々答えているのはヒーパッカである。もう朝かな、と思って時計を見たら午前3時過ぎ。何ともはた迷惑である。共同部分はわりと声が響くので、普通に話すだけでも響くのに、すこし大きめの声で話している残念ながら内容は分からないが、ときどきコップを置く音がするので飲みながら話しているようだ。うるさいのだが、こういうときに出ていくとろくなことがないので、あきらめて寝る努力をする。途中で自分の話も出てきたようだ。日本がどうこう、といっているのが聞こえる。起こしに来たりしないだろうな、心配したが、そういうことはなかったあ。30分以上してから、よくしゃべるほうが出ていく。帰るようだ。ということはヒーパッカの友達であったのか。ともあれ、それからやっと寝られる。

 朝目覚めると7時過ぎ。お湯を沸かすのにキッチンに立つと、共同の机に自分あての「やあ」という程度のあいさつが書いてあった。一部は日本語で書いてある。しかし、これらから考えると、この国の人の日本語への関心は予想以上に高いようだ。朝食を食べて少しフィン語を勉強し、いつもの時間に出かける。今朝は0度。雪が降っている。この辺りでは雪があまり溶けていないので、大分積もってきている。

 授業の前にフィン語授業関係の事務室に行き、フィン語3、4について尋ねる。一応、自分で勉強するなら2や3を飛び越して4を取ることもできるそうだ。さらによく分からないのだが、それぞれのクラスの最終試験だけを受けることもできるようだ。それをパスすれば単位が出るのかどうかは分からないが。試験問題のサンプルについては分からないということで、各クラスの到達目標を書いた紙をもらう。これには、各レベルでどれだけの内容を学ぶかが書いてあるので、参考になる。現在のフィン語3で使っている教科書も教えてもらったので、それを勉強すれば4の試験対策にはなるだろう。

 フィン語の授業は、プリントの文章を読み、解説していく内容。やっと新しい章に入る。まあ一番重要ともいえる分格の用法の話だったので時間をかけたらしい。しかしいずれにせよ、1のレベルでは1の教科書の半分までのようだ。1月から4のクラスに入れるように、ちょっと勉強してみよう。

 授業の後に、先に教えてもらった教科書を買いに同じ建物の4階にあるフィン語のサービス事務所に行く。ちょうどお昼に出かけるところだったらしく、つっけんどんな応対をされる(^^ ;)。75FIM。1997年発行とあるので、ずいぶん新しいテキストだ。相変わらず、外は雪。車道はぐしゃぐしゃになっているので、横断が大変。歩いて社会科学学部までいく。お昼は豚のステーキ。こういうメニューは珍しい。食べながら、買ったテキストを読む。これも2冊セットで文法全体を扱っているもののようだ。前半も買っておけば、復習にはなる。

 食後には、7Aのトラムに乗って元老院広場まで行き、写真を取る。今日はスウェーデン語の日だそうで、フィンランドの国旗があちこちに掲げられている。そこからさらに歩いて、スオマライネン書店に行くが、目的のものが見つからない。ストックマンに行って、電話の分配コードを買う。いままでは電話とパソコンを手で繋ぎ替えていたが、パソコンにつなぎっぱなしのことも多かったので、電話としてもちゃんと使えるようにしておかないと。不精に対する出費である(^^ ;)。ついでにフィンランドの土産物コーナーに行ってみる。国旗が幾つかあったので、ここにある一番大きいサイズのものを買う。といっても、40×70cm程度のものだが。なんとなく部屋に欲しかった。59FIMだから、ものの割りには高いような気もする。それからアカテーミン書店に行く。ここには、スウェーデンの国旗も掲げられていた。フィンランドの国旗よりも低い位置だったが(^^ ;)。ここで目的の本、フィンランドの歴史を書いた小さな本(Matti Klinge, Katsaus Suomen Historiaan)を見付ける。フィン語の授業のときに紹介されたもの。ペーパーバックサイズで160ページほど。このくらいはそろそろ読んでみなくては。読まなければならないものはたまっているが(^^ ;)。

 またトラムに乗り、大学まで戻る。オリエンタリアでコプト語の教科書を借りていこうと思ったが、誰かが読んでいるようだ。返るまで待っているのもなんなので、もう出る。学部図書館によって、カイサニエミ通りへ抜ける。模型屋さんは前に見たもののほかに、もう一つこの通りにあった。半分が模型、半分が手作り用の素材屋さんで、店の構成までよく似ている。

 駅のほうへ歩きながら、ふとアテネウムに行ってみよう、と思う。まだ3時だし、今は特別展示もやっているようだ。そこからは直ぐである。入って右に行ったところでチケットを買う。通常は10FIMだが、特別展示込みで30FIM(共に学生)。レシートと、アテネウムのマークの入った小さなシールをもらう。何に使うのかと思っていたが、前の人を見たら服に貼っていた。特別展示室に入れる証明になるようだ。正面の階段の裏で鞄と服を預け、身軽になって展示室へ。いちど3階まで行ったが特別展示がないので、どこかと聞いたら1階だという。入り口を入って左側のほうだった。全然気が付いていなかった(^^ ;)。Juho Rissanenという画家の展示。今世紀初頭くらいの人。フィンランドの農民のありようを描いている。後期の作品では顔の細かな部分はかき込まれず影だけで表現されているが、不思議に存在感がある。一つの作品を仕上げるのにたくさんの習作も書いているようで、それらも同時に展示されていた。いろいろと考えている過程がよく分かる。一通り見てから、常設展示室へ。前に見たものもあるが、けっこうな部分が入れ替わっている。一通り見ていく。フィンランドの画家がほとんどだが、一部の部屋にはルオーやモディリアニ、ゴッホなどもある。しかし一番いいのはやはりガレン=カッレラのものだと思う。ちょうどアテネウムの一番裏にある、アイノ伝説の物が一番いい。実に印象的であるし、背景にかき込まれた風景も綺麗。この絵についてだけ、椅子のところに簡単な解説が各国語でかかれたものが置いてある。やはり看板の絵のようだ。こちらも一通り見てから下に降りる。荷物を受け出し、入り口の右側にあるミュージアムショップへ。前に来たときは、カフェは知っていたが店のほうには気が付かなかった。おなじみの絵はがきのほかに、美術書もいろいろ置いている。フィンランドの美術史の本もあったが、これはまずアカテーミンなどで探してみるようがよさそうだ。絵はがきと、美術館にあるガレン=カッレラの絵について解説した薄い冊子を買う。フィン語だが、英語の翻訳テキストをもらえる。20FIMと手ごろ。これらをもって、隣のカフェへ。ザッハトルテとコーヒーを取る。ザッハトルテは22FIMと、ケーキの中でも一番高かった。15FIM位のものからある。コーヒーは8FIM。セルフサービスになっている。ザッハトルテはちょっと甘い(^^ ;)。なにか実のようなものも入っていた。4時半過ぎまでここにいてから帰ることにする。

 先にカレリアパンを幾つか買って、駅でホームを確認してしばらく待っているが、なかなか電車がこない。そのうちにみんなホームに出てきて待つが、出発の時間になっても来ない。雪は降っているし、大変である。そのうちにアナウンスが入り、電車はいまどこどこを出た、という。長い列車が入ってきたが、前の部分だけが乗る列車になる。10分遅れで発車。途中ティックリラでも時間調整をする。コイブキュレに着いて家に帰ったのは5時半であった。まだ誰も帰っていないが、3の住人あての郵便が来ているので、名前だけは分かる。妻に電話する。年賀状の原稿も無事到着したようで、一安心。

11/7(土)

 目覚ましが鳴ったのに気づく。途中四時頃に目が覚めたせいもあってか、ちょっと眠い。しかしもう起きなくては。いつものように朝食を食べ、用意をする。全部できても、7時59分の電車までは30分以上ある。ので、フィン語の文法書などを眺める。土曜日でいつもと電車の時間が違うので、59分であってたよな、と時刻表を眺める。ふと嫌な予感がする(^^ ;)。よくよく眺めると、59分というのは平日のみになっている。さらによく見ると、今日は51分の電車で、次は8時19分。これでは集合に間に合わない。このときすでに7時48分。慌てて部屋を飛び出す。駅までの道は冷え込みのために凍っている。走ることはできないので、早足で行く。しかし一度、すってんころりん。曲がろうとしてすべって、みごとに横倒しになってしまった。氷の上ですべると、実に見事に転ぶものである(^^ ;)。そんなことに感心している暇もなく、駅へ行く。幸い電車も少し遅れていたようで、ちょうどホームに入ってくるところであった。無事乗ることができた。

 まだ薄暗い。ヘルシンキについて急いで集合場所のOLD STUDENT HOUSE、VANHAの前に行くが、8時40分の出発の予定なのに、20分過ぎについてまだ誰もいないばかりか、バスすらいない。30分になっても誰も来ないので、まさか変更があったのか、でもそんな話はなかったはずだし、と不安になる。そのうちに1人来る。それからまたしばらく誰も来ない。40分くらいになって、やっと何人か集まってくる。バスもやってきた。VANHAの前の広場に乗り上げる。どうも、地下鉄やバスなどが大幅に遅れているらしい。50分まで待ってから出発する。

 ヘルシンキ市内は道路の雪はどけられているが、歩道は所々凍っている。オリンピック公園のパーボ・ヌルミ像の前で待っているメンバーを拾って、さらに何箇所かのバス停で拾っていく。市街地を出ると高速道路になる。ここはもちろん雪がどけてあるので、いつもと同じように走っていく。周りはまさに白銀の世界。どこを見ても白である。リーマッキまでは1時間ほど。道路標識によるとヘルシンキからは70kmくらいであった。高速を降りて市街地に入る。「ガラス博物館」という表示が見える。フィンランドのガラス製品の歴史が展示されているそうだ。教会らしき塔が見えたので、あそこに行くのかな、と思ったら、バスは市街地を抜けて走っていく。どこに行くのかしらん、と思ったら、ゲートが目の前に表れる。看板を見ると、「軍用地」と書いてある。係員に告げて、ゲートを抜けてさらに進む。軍用の迷彩車両も見える。前回の演奏旅行の製紙工場に続いて、またもや変わったところに来たものだな、と思う。そのうちに、「教会へ」という看板が見える。ついたところには確かに教会があった。この施設用の教会のようだ。

 教会そのものは赤煉瓦作りで、かなり古そう。八角形の塔があるのと、吹き曝しの鐘楼が印象的である。建築としても面白い雰囲気をもっている。内部は改装されていて、特に変わっているわけはない。塔の部分は下まで吹き抜けになっている。ちゃんとパイプオルガンがあるのがすごい。300人くらいは入れるサイズだろうか。固定椅子だが、椅子の下に暖房用の蒸気パイプが通っている。これのせいか、中は普通の服で十分なほど暖かい。メンバーに声をかけられ、「ドイツ教会のコンサートにいただろう」という。YLからは3人ほどいるそうだ。しかし後ろのほうに座っていたのに、よく分かるものである。

 10時から体操をする。そのうちにマッティも到着し、発声をする。よく響く教会である。軍用地ということもあって周りに町などがないので実に静か。雪が積もっているのもそれを助けている。まさにレコーディングにはうってつけの環境である。すでにマイクなどはセッティングしてある。レコーディングのディレクターはラウラという女性。1曲目から練習・録音が始まる。1曲につき、ラウラのOKが出るまで2、3回録音する。中には、前半だけ、後半だけを録音するものもある。ラウラのチェックはかなりシビア。まあ商品とするわけだからそれも当然だろうが。マッティが「これはいいだろう」といったものでも、「でもここが…」ということがよくある。細かな隅々まで完璧に歌うのはやはり大変である。自分としてはさすがにパルムグレンは何回も歌っているので、安心して歌える。しかし、スウェーデン語のものは発音にちょっと不安もあって少し控えめに歌う。

 12時半に昼食。同じ施設内にある食堂へ行く。食事になると、並ぶ必要もあってか、我先に走っていくのは世界共通か(笑)。車できているメンバーは、何人か乗せていく。歩いていく人もいるようなので、そのあとを追っていく。しかし、車組が途中で声をかけてくれたので、どこまでいくのか分からないこともあるし、乗せてもらうことにする。そんなに遠くはなかった。ごく普通のホール。ランチバイキングスタイルで、並んで順番に取っていく。メインはハンバーグであった。メニューは普通の店のものと変わらない。コップが、アルミのいかにも軍用?という感じのものだったのが印象的。各自で食事する。早く食べた人は先に出ていく。その辺は、全く自由になっている。食事の後は、歩いて戻ることにする。来た道を歩いていくが、よく晴れているので初めはいいがだんだん寒くなってくる。途中で車から声をかけてもらったので、それに乗せてもらう。教会の周りの雪は少し凍っているところも。日の光に輝いてきれい。

 再びレコーディングが始まる。同じように進めていく。メンバーの中には、練習中やマッティ・ラウラからの注意があるときにさえ新聞や雑誌を読んでいる人もいる。歌うときには歌っているのだが。別に問題はないからいいのかもしれないが、ちょっと変な感じ。もちろん、大多数のメンバーは注意を書き込んだりしている。一度歌い終わった後にはおしゃべりがたくさん。「静かに!」という声が何度もかかる。やはり「お仕事」なのだろうか。もちろん、全体としての完成度は素晴らしいものだが。

 4時過ぎに、早めの夕食がある。これは食堂の時間とも関係しているようだ。再び同じ所へいく。今度は別の道を歩いていくことにする。歩いても5分強であった。途中には陸砲も置いてある。こんなところを歩く日本人も初めてかも、と思う。そもそも外国人が入っていいものなのだろうか(^^ ;)。食事は、普通のもの。肉じゃがのカレー煮風、というこちらではあまり見かけないものだった。なにかしら懐かしい感じ。飲み物のところに見たことのない文字のものがあったので、前の人に聞くと「自家製ビール」とのこと。ビールだしまずいかな、と思っていたら、「これはぜひ試さなきゃ!」といわれるので取る。飲んでみると、ちょっと甘い。どぶろくに似たところがある。そういえば自家製のビールはどこでもあるようだ。別に禁止されているわけではないらしい。食後は再び歩いて帰る。一緒に歩いていく人に、「ここは軍の通信施設だ」と教えてもらう。なるほど、そういえばアンテナがあったりする。雪は20cmくらいつもっていたが、これだけ積もっているのを見るのは初めてだ、というと、まだまだ、1m位にはなる、という。この次に大地を見られるのは、3月か4月だろう、という。去年の冬は特に暗かった、日が照っていたのはわずかだった、とも。今年の冬はどうだろうか。そういえば教科書の文章に、フィンランドの秋は雨が降って嫌な季節だ、しかし冬は外に出られる、寒いけれども、太陽はよく出ている、というのがあった。そんなものだろうか。

 さらにレコーディングは続く。途中でバナナとみかんの差し入れがある。これもすべて団からのものらしい。今日の分の7曲ほどを録音し、終わったのは7時過ぎ。7時半に出発する。もう真っ暗。外を見ても仕方がないので、寝て帰る。ヘルシンキに着いたのは8時半過ぎ。再びスーパーでパンを買い、電車に乗る。今朝のこともあるので、時刻表で明日の時間を見ておく。7時台は日曜日には1本しかない。23分で、その次は8時20分になる。バスもあるが、かかる時間を考えたら家を出る時間は同じくらいだろう。結局、早い電車であるが、23分に乗らねばならないようだ。ヘルシンキについて30分以上待時間があるが。駅から外を歩くとずいぶん寒い。コートが短いので、足が寒くなる。長いコートのほうがいいか。家に帰ってきたのは10時前。明日も早いので、シャワーを浴びて早めに寝る。

11/8(日)

 今日も目覚ましで起きる。6時半だが、温度計を見ると-6度。まあそんなものだろうか。しかし寒い。今日はお昼が2時と遅いし、朝をしっかり食べておかなくてはならない。しかし、出るのが早いので、家でカレリアパン2つを食べるだけにして、ヘルシンキで時間があることもあるし、マクドナルドででも食べることにする。今日は余裕をもって駅へ行く。朝の電車には、旅行鞄をもった人がよく乗っている。日帰りの旅行だろうか。雪は降っておらず、曇り。

 ヘルシンキには8時前に到着。一旦駅を出て、葉書を出しに郵便局まで行く。足元が凍っているので危なっかしい。郵便博物館の入り口にあるポストに入れようとしたら、ここも平日のみの回収であった。ので、ヘルシンキ10の前にあるポストに行く。ここは日曜日も回収している。あるいて駅の地下街へ入る。ところがお目当てのマクドナルドは閉まっている。日曜日は9時から。他のピザや、スーパーも10時くらいからのようだ。しまった、これはもしやくいっぱぐれたか、と思う。が、駅に行けばスタンドは開いているだろう、と思って、再び駅に戻る。スタンドも開いていたが、駅にあるカフェ「エリエル」が8時から開くところ。ビュッフェの朝食もあるので、ここで食べることにする。開店と同時に列ができるが、どうもビュッフェとは違うような気がするので、先に歩いていくと「ビュッフェはここから」という表示があった。先に35FIMを払ってから、取っていく。ごく普通の朝食であるが、「プディング」というものに初めてお目に掛かった。なるほど、たしかにプリンのようである。しかし甘くはない。甘くても困るが(^^ ;)。一通り取って食べる。塩漬けのにしんはちょっと辛かった。少し多かったみたいなので、パンは持って帰ることにする。食べ終わったら8時半で、ちょうどいい。トイレに行っておきたかったので、店の中にないか、と思ったら入り口から地下に降りるところにあった。しかし、専用のコインが必要、とある。お客専用だ。その表示を眺めていたら、荷物預かりのおじさんがコインをくれた。用を済ませて、地下街を抜けてVANHAへ。今日はちゃんとバスが来ている。まだほとんど来ていないようだ。いつものように運転手の直ぐ後ろの席を取る。ここだと前の景色もよく見えるし、酔いも少ないはず。今日はほぼ定刻に出発。新たに雪が降っているわけではないので、道路は乾いている。昨日と同じように途中で拾っていくが、今日は昨日よりもバス組は少ないようだ。同じようにリーマッキへ向かう。途中にいくつかある温度計を見ると、-4度。リーマッキに入るところで間違えて一旦戻ったりしたが、昨日と同じ教会に着く。

 10時から体操、発声。レコーディングの続きをする。最初の曲は朝のせいか、なかなかOKが出ない。次の曲も同じで、いったん飛ばす。ここまでで1時。2曲で2時間以上使ってしまう。しかし次のものは30分ほどでOKが出る。2時に昼食。歩いて食堂へ。この辺はまた雪が降ったのか、昨日のものに少し雪が積もっているような気がする。日曜日のためか、昼食も遅いようだ。食堂に着いたら、兵士たちがこちらに順番を譲って待っていた。ちょっと悪い気がする。今日はメインがビフカツ。なかなか豪華である。朝に牛乳を飲んだので、また自家製ビールを飲む。これはたくさん飲まなければ別に酔ったりはしないようだ。アルコール度数が2%くらいなのだろう。再び歩いて教会へ。一人で歩いて帰るが、軍用地の中でもあるし、東洋人が歩いていたら怪しまれそうである(^^ ;)。ちょっとどきどき。教会の写真を取っておく。この教会が軍用だけというのももったいない。オルガンが開いていたので、ちょっとだけ触る。オルガンは新しいもの。フィンランド製のようだ。

 再びレコーディング。マッティはどんどん進めるが、団員からの要求でときどき小休憩が入る。マッティのエネルギーにも感心する。ソリストがなかなか来ないということもあって、先に合唱だけの曲を終え、ソリストが到着してから残りの2曲を。最初の予定の7時より早く、5時過ぎに全てのレコーディングが終わる。団が用意したコーヒーやパンがあるので、それを食べ、動かした椅子などを片付けて教会を出る。待っていたバスは2階建てのもの。すでに前のほうは一杯なので、どうせ寝ていくことでもあるし、後ろでゆったりと寝る。チケットについてのメモも配られていた。団員が配る分の数を知らせて、あとでもらうようだ。これをみると15日と19日の分だけがあるので、この2つが自前のコンサートらしい。後の5つはお座敷ということになる。しかし、クリスマスコンサートが始まるまで3回しか練習がない。これはまた大変だ(^^ ;)。ヘルシンキに着いたのは6時半。スーパーでビールと石鹸、それからデンタルフロスを買う。500円くらい。電車に乗って帰る。今日は結局1日中-4度くらいだったようだ。

 メールで、教会からの原稿依頼が来ていた。フィンランドの秋について書いてみる。次回は1月だが、クリスマスをテーマにかけ、とのこと。まあテーマを決めてもらう方がいろいろ悩まなくて済む。しかし、クリスマスイブとか、ヘルシンキに行けるのだろうか? 交通機関も休みだと聞いているが。

11/9(月)

 目が覚めると午前8時前。昨日の疲れがあったにしては上出来?である。早速洗濯に行くが、なぜか部屋の電気がつかない。洗濯物を放り込んでも、洗濯機もまわらない。どうも電気が通っていないようだ。ドアの注意書を読むと、8時までは動かない、と書いてある。騒音について苦情が出るためか、8時から夜の9時までが使用時間になっている。しかたないので、共同部屋で新聞を読みながら待つ。天気予報では、北部は-20度とか。えらいこっちゃ、という感じである(^^ ;)。待っているのも少しで、8時を回ってからもう一度洗濯部屋に行くと、今度はちゃんと動いた。その間に食事をする。昨日練習のあとで出たが、残っていたのでもらってきたサンドイッチ。丁度いい朝食である。乾燥機に移して、そのあとはラテン語の予習をして時間を過ごす。母から手紙が来る。鈴鹿のF1を見たそうだが、やはり写っていなかったと書いてある。残念。他に、もう引っ越していったペッカ宛の手紙が未だに来る。住所変更を出していないようだ。しばらくは転送もしてあげるが、いつまでもというわけにも行かない。新しい3の住人はヨハンソンというらしいが、ここのところ姿を見ていない。夜には帰ってきていないようだ。まったくもって、このあたりの人の生態はよくわからない(^^ ;)。また、フィンランドのガイドブックを見て、週末に近場で行けるところがないか、と考える。ハーメンリンナが良さそうだ。今度の土曜日当たりにいってみようか。

 11時の電車で出かける。今朝も気温は-6度だった。今日は快晴。まだ太陽の光を浴びるとほのかに暖かい。しかし気温がこれでは、雪もとけない。たくさん人が通るところはすっかり凍ってしまっている。根雪というか、根氷、という感じ。「100」によると今日の最高気温予想は-3度。ヴァンターの方がヘルシンキよりも内陸なので、1、2度寒そうだ。今日の「100」には音楽の予定が載っていない。珍しく何もない日のようだ。こういう日もあるのである。

 今日はパシラで降りて、トラムに乗り換える。テーレまで行き、シベリウス公園に行ってみることにする。外を歩き続けるとちょっと寒いが、風がないのでそれほどでもない。公園は結構広い。シベリウスのモニュメントは歩いていたら見つかった。さすがに公園には誰もいない。公園の中の湿地?らしきところも凍っている。しかし池かもしれない。シベリウスモニュメントは想像していたより随分大きい。たくさんのパイプが組み合わされている。下から覗くと、パイプの先に青空が見える。パイプの一部が裂けているのは腐蝕かと思ったが、そういうデザインのようだ。シベリウスの顔は、逆に想像よりも小さかった。気難しそうな顔である。そういえば、駅前のキヴィの像といい、ヘルシンキにある像は考え込んでいるようなものが多いような気がする。これも民族性か。

 そこから湾沿いの道に出て、南へ歩いていく。実にいい天気。やはり人は少ない。海に向かってスタンドがあるのは、レガッタの観戦用らしい。ヨットハーバーにももう船は少ない。奥の方では、海の表面が凍っていた。途中に、「犬の公園」があった。フェンスでかこまれていて、この中では自由に放せるようになっているようだ。このあたり、夏は賑わいそうなところなので、安全対策だろう。さらに岸沿いに歩いてく。途中にドームがあるが、なんのものかわからない。文字や飾りは全くない。ただ、送風機らしきものは動いていた。そのあたりから墓地になる。これが今日の第2の目的地。丁度西の端に来たことになる。そのあたりに教会がある。入り口に墓地の案内図がある。ここからずっと東に延びている。南側は湾に面している。第二次大戦の無名兵士の墓もある。雪が積もっているが、いくつかは雪がのけてあり、ろうそくがともしてある。小さなものや大きなもの、家族のものもある。実に静かで、中心部からすぐのところとは思えない。鳥のさえずりがする。ずっと歩いていくと、なにか動くものがいた。振り返ってみると、なんとリスがいる。餌を探しているようだ。写真にとろうと思ってそっと近づく。あちらも餌がもらえるかもと思っているのか、警戒しながらもかなり近くまでくる。ある意味で慣れているのかもしれない。途中で道路に出て、歩いて中心部へ向かう。歩き始めて30分。そろそろ寒さがきつくなってきた。

 墓地がつきたところにDomusがあるので、そこで昼食。平日に来るのは珍しい。この時間はみんな大学に行っているせいか、昼食時にもかかわらずけっこう空いている。今日は魚のグラタンを食べる。牛乳ではなく、ピーマという液体ヨーグルトのようなものを飲む。これは外国人にはあまり受けないそうだ。自分も特に好きなわけではないが、時々妙に飲みたくなる。癖になる味なのかも(笑)。

 今日はカッターシャツを持ってきたので、クリーニング店を探す。あまり見かけないように思っていたが、電話帳で調べたら結構あった。近いところはどこか、と考えるが、ストックマンの7階にもあった。ここのほうが英語が通じるだろうし、価格もわからない最初としては無難な選択だ。早速トラムを拾って行く。エスカレーターと階段で7階へ。西側にある。LINDAというチェーンらしい。燕尾服のシャツと、普通のカッターシャツ1枚を出す。カッターシャツは、ハンガーにかけるものと折り畳むものとを選べるようだ。価格は、前者が77FIM、後者が22FIM。日本の水準と比べるとずいぶん高い。価格表があったのでもらっておく。これを見ても、ズボン54FIM、ジャケット64FIMなど。何回か出すよりも、アイロンを買った方が安そうである(笑)。まあ仕上がりを考えたらしかたない。木曜日にできるとのこと。ここで洋服用のブラシなども売っていた。

 ストックマンはもうクリスマスセール中。中にはクリスマスツリーがあちこちに飾られている。日本ともよく似た感じである。5階の催物場ではクリスマス用品がたくさん並んでいる。ツリーの飾り付けや子供用の衣装、ろうそくやリース、プレゼント用のお菓子やクリスマスカードなど。見ているだけで楽しい。

 ストックマンを出て、アンティラで厚手の手袋を買う。今のものは薄くて小さいので、手首が出てしまう。ちょっとごついのを買っておく。それから大学によろうかと思ったが、久しぶりに空港に行ってみることにする。途中の雪景色も見てみたい。バスを待っている時に温度計をみると-2度。午後2時でこれである。615のバスに乗って、空港へ。途中もやはり雪がたくさん積もっている。しかしバスの中は暖かくて快適。ついうとうとする。

 空港では、国内線ターミナルで降りる。ここにある郵便局で絵葉書を買う。そろそろ「冬物」の絵葉書が置かれている。夜景のものが置かれてるようにもなっているようだ。他にフィンエアーの時刻表や広告などをもらう。フィンエアーの広告のデザインは大変優れていると思う。実にシンプルだが、その分訴える力がある。1階のAlkoの前に価格カタログが置かれていたのでもらっておく。まだ入ったことがないが、価格が分かっていれば安心。歩いて国際線ターミナルへ行く。飛行機を眺める。今日は西から東へと離着陸していた。ヘルシンキ市内で随分低く飛ぶ飛行機を見たが、あれは西側へまわりこむためらしい。3時台だが、結構たくさんの飛行機が出入りする。しかし3時半にはもう黄昏の雰囲気になってくる。すっかり夜が早くなったものだ。4時過ぎに空港を出る。ちょうどコイブキュレを通るバスが来たので、それに乗っていく。いわゆる「観光バス」タイプのバス。少し長距離の路線は、こういうタイプを使うようだ。ちゃんと「STOP」のボタンもついている。バスは30分弱でコイブキュレへ着く。スーパーに寄って帰ったのは5時頃。もう暗い。

 まだ誰も帰っていない。温度計をみるとやはり-6度。温度計が壊れたのかな、と思うくらい。シャワーを浴びて、Alkoの価格表をみる。ワインがたくさん載っている。世界中のものがあるようだ。なかには日本の月桂冠もあった(笑)。価格を見ても高いのか安いのかいまいちよくわからない。FINLANDIAウォッカはよくみる瓶のサイズで136FIM。日本で買ったら2000円くらいだから、やはり高いか。

 夜にラテン語の訳をつくる。半分くらいにしておくつもりだったが、結局全部できた。忘れないうちにメールで送っておく。 11/10(火)

 7時過ぎに目覚める。少し早いか。温度計を見るとマイナス9度。ううん(^^ ;)。朝食の準備をしていたら、3の住人が出てきた。たまたまこちらはコップを洗っていたので、「おはよう」というだけに留まる。みた感じは普通の学生のようだが(当たり前か)。いわゆるフィン人ではなく、アジア系のような雰囲気を持っている。彼は自分のコーヒーメーカーを持ってきている。しかし、しばらくいない間にまた冷蔵庫の中のものをヒーパッカに食べられてしまったようだ(^^ ;)。新しく冷蔵庫に入っているものには名前が書いてある。マルクスというらしい。朝食を食べ、少し文献目録に手を入れる。ふと外を見ると雪が舞っている。今日も寒いのか、と思ったが、家を出る時には晴れ間も見えていた。

 電車に乗ってヘルシンキへ。いつものように「100」を読みながら行くが、ふと外を見ると雪がかなり降っている。線路も、わずかに頭が見えるのみ。ポイントだけは凍らないようになっているようだ。駅にはだいぶ積もっていた。本当にさらさらとした雪。車が通ると雪煙が立つ。少し積もっている方が、すべらないのでかえって歩きやすい。駅前の広場も雪だらけ。気温はマイナス6度くらい。急いで大学まで歩いていく。

 教室へは今日は一番乗りだった。今日はまた人が少ない。雪が降ると減るような気がする(^^ ;)。今日は授業の最後に、最終のテストについてアナウンスがある。試験のあとに1回補足の授業をしたいとのことで、それより前に。学生の予定などをかんがみて、12/9の水曜日になった。範囲は教科書の15章まで。今11章だから、そんなものだろう。この最後のテストに合格すると、次の段階でのレベルチェックテストは受けなくてもいいらしい。ということは、来学期にフィン語4を取るには、今学期のフィン語3のテストを受けて合格すれば言い訳だ。仮に失敗しても、もう一度来年に受けられるので、実力試し&試験対策にもなる。これは使ってみるべきだ。明日への宿題が少し出る。

 お昼にもまだぱらぱら雪が降っている。オリエンタリアに寄って、サマリア研究の資料をコピーしておく。一つ一つは薄いが、全部コピーすると結構な量になる。これもテストまでに読まねばならない。それから社会科学学部の学食へ。今日はソーセージ。わりと大きいのが2本と、マッシュポテトがついている。今日もピーマを飲む。食後には、コンピューターセンターによるが、なんと真っ暗。停電のようだ。大学本館に行っても、ここも真っ暗。非常用の電灯だけが点いている。いったん5階のフィン語事務所まで行くが、やはり真っ暗であった。中にはろうそくをつけている部屋もある。しばらく待ってみたが回復しないので、そのまままた降りてくる。隣の銀行などの電灯は点いているので、ヘルシンキが停電、というわけではないらしい。しかし、神学部のビルもやはり停電。大学関係はすべて停電しているようだ。これでは話にならないので、隣のビルのマクドナルドに行き、コーヒーを飲みながらフィン語の教科書を読む。22課くらいまで読み進んだ。テキストの文章には、一部物語になっているところもある。男性が女性に振られて詩を書くところはいかにもフィンランドらしい(笑)。3時前までここにいて、それからポルタニアへ寄る。電気はついているが、大学情報用のコンピューター端末や天気概況のモニターは止まっている。購買でフロッピーディスクのケースを買う。これは前に買ったフィンランドのエンサイクロペディアにも載っていたデザインのもので、コンペの優秀作らしい。

 そこから大学のコピーセンターによる。リソグラフのような簡易印刷機らしきものはない。直接聞いた方が良さそうだ。たまたまカウンターが混んでいたので、また今度にする。学部図書館へ寄る。特に掘り出し物の本はないが、ふと気がついて、フィンランドの地理についての本を探す。幸い、英語で薄めのものがあったので借りることにする。こういうことがわかると旅行も楽しくなる。図書館の入り口のソファで少し読む。巻頭にある、フィンランドの地理の先生がいろいろな国の大学生にフィンランドを巡る国々の地図を書かせたものの一例が載っていて面白い。北の国であることは大体共通しているが、スウェーデンと位置が入れ代わっていたりとか、日本でもよく見かける認識である。フィンランドの平均の海抜は150mであるとか、最高の部分は1300mあるということも初めて知った。スウェーデンとの国境部分だが、そういうところもあったのか、という感じ。ボタニア湾のあたりは未だに氷河期のなごりの隆起が続いているので海岸線が変化しているとかいう記述はじつに興味深い。ここにある大学情報用の端末は動いていたので、もう停電は回復したようだ。

 アレクサンテリン通りまで出て、トラムに乗ってVANHAまで行く。今日の練習はYLの愛唱曲から。一応一通り歌ったようだ。クリスマスも近いので?、酒飲み歌を復習する。音楽は覚えているが、特にスウェーデン語の歌詞は覚えられていない。6時から本練習。今日はクリスマスコンサートの曲目を練習していく。プログラムももらえた。自分にとってはほとんど新しい曲ばかり。「きよしこの夜」は編曲が違うし、歌詞はフィン語。クリスマスメドレーはフィン語&ジャズ風の編曲で結構難しい。しかしどれも奇麗な曲。日本でもやってみたいものだ。全部で15曲ほどあるので、1、2回歌ってどんどんさきに進む。今日は全ては終わらなかった。10時前までフルに練習する。

 電車まで時間があるので、駅のバーでビールを飲む。LAPIN KULTAは23FIM。家に帰ればもっと安く飲めるが、まあそれはそれ。週に1回の楽しみである(^^ )。家に帰ったのは11時前。あきちゃんから手紙が来ていた。


メールはこちら:  yutaka70@mbox.kyoto-inet.or.jp

All rights reserved. Copyright by Yutaka Maekawa, 1998.