12/11(金)

 目が覚めると8時半。最近寝るのが遅いので、起きるのも遅くなってしまう。出かけるまで1時間で、時間がありそうであまり無い。演奏会があるので衣装も持っていかねばならない。重いのが難点。朝の気温はマイナス6度だが、天気予報では今日の午後の気温はマイナス9度。9時半過ぎの電車でヘルシンキへ行く。さすがに空気も冷たい。

 今日は、フィン語3の授業の方に行く。1も3もどちらもテスト返しであることを考えると、おそらく答えあわせがあるはずなので、3の結果の方が次回の挑戦のためにも重要、という判断。けっこう大きなミスをいくつもしているはずなので、1月の再挑戦はほぼ確実であろう。大学本館2階の教室に行くと、先生が既に来ていて軽食の用意をしている。最初にテスト返し、それからちょっとしたクリスマスパーティとのこと。ぼつぼつと学生が集まって来る。テストの時には15人くらいの学生がいたと思うが、今日集まったのは最終的に自分を入れて9人。一人、日本人の女学生がいる。直接に話はしていないが、東京の方からとのこと。そういえば最近の大学広報誌にこの秋の大学に関する統計が出ていた。全学生32600人で、日本からの留学生は23人とある。ちなみに多いのはロシアの139人、中国の116人、エストニアの108人。クラスの中にはもう自分の国に帰った学生もいるとか。ずいぶん早く帰るものだ。さらに、1月は授業が始まる半ばではなく、月末から再びフィンランドに来る、という学生も多いらしい。そのあたり、いいかげんというか、自分の時間を大切にしているというべきか。自分は当然初めての出席なので、簡単に自己紹介をする。なぜ試験を受けたのか、という問いにフィン語4のためにはこれか1月の試験が必要だから、というと、あなたは1月の試験を受ける必要はありませんよ、という。なぜか、これはあまりにもできが悪いから1月の試験を受ける資格もないのか、と思う(^^ ;)。しかしもちろんそういうことではなくて、今回でパスした、ということのようだ。ついでに来年のフィン語4についての話になる。基本的に誰でも登録でき、資格試験を受ければ取れる。ただし、学位取得にフィン語4が必要な文学部の学生が優先される、ということ。最初の授業の時に人数を把握して、クラスの数などを考える、という。もちろんクラスを増やすといってもそれはお金がかかるので、大学の判断になるのだが、と。授業が始まるのは月曜日、資格試験は水曜日ということで、なぜ最初の授業で試験をしないのか、という質問が出る。先生の答は、もし最初の月曜日にすると、例えば休暇ぎりぎりまで自分の国にいて日曜日に帰ってきた学生は、月曜日の試験を知らない、ということがありうる。すると先生はもう一度試験を作らなければならない、と。しかし水曜日なら、月曜日にいなくても、自分で確認する時間がある、とのこと。このやり方で、特に問題はないそうだ。大体学生が集まったところで、まず点数についての説明。今回は90点が満点。75以上が優、60以上が良、45以上が可とのこと。満点の点数というのは別に100点と決まっているわけではないようだ。そういえば前のギリシア語の試験は21点が満点だった。「100」にこだわるのも日本的なのかもしれない。ともあれ、それぞれに答案が返される。点数は一番最後に書いてある。60.5で、ぎりぎり可に引っ掛かった、というところ。ともあれ合格ということで一安心。答えあわせをしていく。聞けば「そういえば」ということばかりで、分からないこと、というのはない。単数・複数の間違いなど、凡ミスも意外とある。休暇の間に復習もしておかねば。

 それが終わってから、ミニパーティー。Glo:gi(グレジ)という、フィンランドでクリスマス前に飲まれるものが振る舞われる。本来はワインのようだが、まだ午前中なので今回はノンアルコールのものだとか(笑)。中に干しぶどうとアーモンドスライスが入っている。前にYLのPikkuJouluで最初に出てきたのもこれだった、と思い出す。あれはワインだったようだが。テーブルを囲む形で座り、部屋の電気を消して少しでも雰囲気を出す。ろうそくがないのが残念。フィンランドのクリスマスの歌を歌って、話をする。クリスマスはやはり多くは自分の国に帰るようだ。フィンランドではクリスマスは家族で過ごすので、外国人は外国人で集まってパーティーをすることが多いとか。続いて、一人がサンタに扮して持ちよったプレゼントを配る、というアトラクション(笑)。自分は授業に来るつもりはなかったし、テストの時の説明書きも読んでいなかったのでもちろん持ってきていない。そういう人のための?キャラメルをもらう。最後に歌を歌っておわり。挨拶をして出る。

 そのまま、5階のフィン語事務室にいってフィン語4の登録をする。お姉さんもいいかげん顔を覚えたかもしれない(笑)。これは名前をいうだけ。ついでに掲示板を見たら、フィン語1の結果も貼ってあった。これはもちろん合格。あとは来年の授業開始時になってから、クラスに空きがあるかどうかが分かる。それから神学部にいって、荷物をロッカーに入れる。雑誌を少しチェックしてから、食事に出かける。その前に言語センターに行き、スウェーデン語の入門を申し込む。といっても、2階にある名簿に自分で名前を記入するだけ。ついでに大学書籍部へ行って、スウェーデン語のテキストなどを見てみる。スウェーデンのもので、輸入のせいかちょっと高い。他にフィンランドで使われている標準的な新約ギリシア語の入門書の旧版が安く売られていた。新版と中を比べて見たが全く同じようなので、丁度いい機会、と買っておく。練習問題がずいぶん多いようだ。それからメッツェタロで食事。今日のは、野菜のグラタン?といった趣のもの。たくさんあるので、ご飯はやめておくが、それでも結構な量だった。

 食後は神学部に戻り、論文を読む。ついでに関連する文献をチェック。どれをここで読み、どれを日本で読めばいいのかを判断するのが重要。雑誌などは当然コピーが必要だが、ここに無いものも多いし、大英図書館に頼むのなら日本からでも変わらない。難しいもんである。3時半過ぎに本館へコーヒーを飲みに行く。飲みながらも続きを読む。4時半に神学部を出る。荷物を持ってトラムに乗る。途中でビルの温度計を見たらマイナス8度。予報はほぼ当たっていたといえるか。カッリオ教会に着くと、もうだいぶ集まっている。控え室は合唱団別に割り当てられている。そこで着替えと声出しをする。5時半から合同曲の練習。結局雛壇はなしで、後ろに立つと全然見えない。まあ雰囲気で歌う。1時間くらいで終わってから、控え室でプーランクを少し練習。7時前に、いったんバルコニーへ移動。ここが合唱団の席になる。7時に全員が前に並ぶ。最初のクーラを歌った後、会衆も含め全員で聖歌を歌い、その間に移動する、という趣向。なるほど、これはうまい。バルコニーで、自分たちの出番まで待つ。全部で7つの合唱団があり、全部を一度に見られるのは面白い。それぞれ選曲や舞台の立ちかた、指揮者など特色がある。アマチュアの指揮者も何人かいるようだ。EOLの演奏は、まあまあ。しかし今日見た限りでは、EOLが一番自分の好みにあっていると思えるので、正しい選択をしたようだ。最後に再び合同でメンデルスゾーンを歌い、「きよしこの夜」を歌っておわり。着替えているとトミが「この後の打ち上げに行くか、なかなかたのしいよ」と誘うので、もともと行く気はなかったのだが、せっかくの機会なので行ってみることにする。地下鉄でカンピまで行き、バスターミナルの近くにあるハーミ・オサクンタ(学生組合)のビルへ。立派なレストランがある。会費を払って席番号をもらう。これは、合唱団で固まらないようにするためとか。結構たくさんが集まっている。食事は時間が遅いこともあり、冷たいものになってしまうのはしかたない。でもまあまあ。たまたま柱の関係で独立したテーブルに当たる。最初は人が少なかったが、あとで大体埋まった。しかしこういうところでは自分の声は通りにくい、しかも怪しげな(笑)フィン語なのでなおさら会話が大変。まあそれなりに話ができる。隣に座った女性はヴィープリ・オサクンタの合唱団。といっても、特にヴィープリ出身というわけではないとのこと。合唱団に関しては、出身地域とはあまり関係なさそう。たまたまラッソを歌っていた団体だったので、いつもああいうのを歌うのか、と聞いたらやはり多い、とのこと。しかし古い曲はラテン語だし、ラテン語を学んだ人が合唱団には一人しかいないので大変だ、と言っていた。こちらでも、か。高校でも学校の合唱団に入っていたとか。多くの高校は合唱団を持っているらしい。といった感じで話をする。時折、どこからともなく歌が始まる。あとではGlo:giも出てきた。あまり遅くなるのもしんどいので、11時半前に出る。

 駅まで歩き、電車に乗るが、今日は珍しくホームへ通じるところのフェンスが閉まっている。乗るべき電車のところでは、駅員が検札をしている。そろそろ無賃乗車が増える季節、ということか(笑)。各停に乗って帰ったのは12時過ぎ。

12/12(土)

 起きると8時半。気温はマイナス5度。まだ暗いのがなんともいえない。洗濯機は空いているかしらん、と見に行くと幸い空いていた。朝食を済ませる。どうも頭が冴えない。昨日の日記を書く。それから楽譜の暗譜練習をする。今日は出かけるかどうか迷うが、あまり出る気がしないので家で食事をすることにする。今日は天気はわりに良い。久々に?太陽の光が差している。部屋にいると、12時くらいの太陽の光が差し込んで来るが、この時間でも太陽が「目の高さ」にある(^^ ;)。冬至まであと一週間。研究書を読む。

 お昼には買い置きの缶詰の肉だんごを食べる。こちらの缶は大きめで、400g入りが普通のようだ。食べると結構満腹になる。食事しながら12月の行事予定を眺めていたら、「フィンエアー合唱団のクリスマスコンサート」というのがあった(^^ )。それから、気分転換を兼ねてティックリラまで買い物に行くことにする。ちょうどバスが来る時間なので、53のバスで出かけることにする。低い太陽の光がまぶしい。バスは特に支障もなく、ティックリラへ。商店街?を少しぶらつく。いくつか大きなスーパーがある。スオマライネン書店もあったので、ちょっと寄ってみる。けっこうバラエティに富んだものがある。子供向けのところで目についたのは、昔の「ゲームウォッチ」のような小型のゲーム。パッケージには日本語で印刷してあるが、どうも中国製らしい。小さく中国語らしき文字も書いてある。単機能のゲームだが、こういうものも出まわるようになっているのか。しかも日本語で書かれているということは、日本にもあるのだろう。学校向けの教科書も置かれていたので、歴史物を見てみる。2、3社から出ているようだが形態は同じで、5冊くらいの分冊になっている。ヨーロッパ史、世界史、フィンランド史など。フィンランド史は18世紀からになっている。それ以前は、ヨーロッパ史として扱われているようだ。これもなかなか良さそう。そういえば地理で日本がどのように扱われているかも面白そうだ。これはまた次回に。一緒に文具も売っていて、PostItもあるのだが、なぜか日本のような細い短冊はない。一種類だけ、ちょっと高いものがある。目印として、というよりメモ帳のかわりとして使うのが普通らしい。短冊は、日本から持ってきてもらった方が良さそうだ。駅前まで歩いて、スーパーで買い物をする。鳥の足の、小さめのがあったので買っておく。昨日飲んだGyo:giも売っている。電車の時間にあわせて出て、家まで帰る。

 3時。もう黄昏。コーヒーを入れて、勉強をする。読んではチェックし、パソコンにメモを取る、という作業のくり返し。まあパソコンのお陰で、「あれはどこだったっけ…」とノートをひっくり返す必要がなくなったといえるか。そういえば、神学部にいる博士?らしき人は、こういう読書ノート用の紙を持っていた。そういうのが売っているのか、あるいは独自のものか。しかし、統計によるとヘルシンキ大学神学部の博士課程(PostGraduate)の学生は400人以上いるという。神学部の学生全体で1800人だから、実に2割以上。他の学部では1割くらいが普通なので、結構異様な数字といえる。もちろん在籍期間が長いといったようなことはあるだろうが。「博士になって見ても…」という感じである(^^ ;)。就職難も著しいようだ。7時くらいになってご飯を食べる。鳥の足を温めて、ラーメンを食べる。そういえばこのラーメンも鳥ものだ(笑)。足は、ちょっとスパイスが利いている。食後もまた研究書の続きを読む。いちおう、今日目標としていたところまでは読めた。間に何回も休みをいれながらではあるが。読んだ分のノートを打ち込む。ヒーパッカも帰ってこない。週末だし、家に帰っているのだろう。

12/13(日)

 8時過ぎに目覚める。気温はマイナス3度。あまり冷えこんではないようだ。朝食を済ませて、論文を読む。またギリシア語の勉強。ときおり暗譜の練習。これのくり返しになる。ずっと座っていると疲れるので、ベッドに寝転がって読んだり、体操をしてからだをほぐしたり。お昼まではこの調子で過ごす。12時の電車でヘルシンキへ出かける。そのままDomusへ行って食事。今日はハンバーグがあったが、星型に型抜きしてあるものだった(^^ )。ニンジンの千切りもよくサラダとして出て来る。山盛りにして食べているが、効果はあるかな。

 食後は再びトラムに乗って中心部へ。スオマライネンによって少し本を眺める。高校の地理の本を見て見たが、特に各地域のことが詳しく出ているというものではなかった。その目的には別のテキストなのかもしれない。英語の手頃な聖書を探すが、ここには高めのものしかなかった。アカテーミンに行ってみる。こちらにはNRSVが39FIMと随分安くあったので、これを買うことにする。店内を一回りして見て、英語のペーパーバックを見てみる。ペンギンブックスでミルトンの失楽園があった。いい機会なので買っておこう…と値段を見たら、14FIMとむちゃくちゃ安い。日本円で400円くらいか。まあこれが日本の文庫に当たると考えたら、そういうものか、という気もするが。英国製のペーパーバックはみな同じように安い。しかしドイツ圏やフランスのものはちょっと高い。面白いものだ。安いといってもそんなに読みたいものがたくさんあるわけではない。ペーパーバック辞典のところに、「音楽についての引用句辞典」というのがあった。いろいろなエピソードからの発言が集められているようだ。役に立ちそうなので買っておく。これも28FIM程度。それだけ買ってから、帰ることにする。駅まで歩いて、電車に乗る。

 帰ってきたら3時。また論文を読む。広告ががさっと入れられたので、それも読む。クリスマスに向けてのセールは盛んなようだ。ヘルシンキのソコスデパートは31日も開いているらしい。6時過ぎに、カップうどんで食事。ときどきインターネットでメールを読んだり、手紙を書いたりする。クリスマス向けの葉書などはそろそろ出してしまわねば。年賀状は、まだいいだろう。こういう調子でやっていると、9時過ぎには読むのにだんだん嫌気がさしてくるので、適当に切り上げる。一つ読むごとに関連文献が2、3でてくるので、一歩進んで2歩戻る、という感じがする(^^ ;)。

12/14(月)

 8時に起きる。もう今週は授業が無いので、金曜日のテストに早く出かける以外は朝はのんびりできる。しかし、どうも気分が冴えない。たまに偏頭痛というのか、頭が少し痛くなる。体もずいぶん固くなっていて、体操をするとぼきぼきいう(^^ ;)。朝食を済ませて、先ずはラテン語の翻訳に取り掛かる。今週は10行ほどしかないので、あまり時間がかからずに済む。それが終わってから出かけることにする。10時半くらいの電車に乗るのに早めに出て郵便局によろうとしたが、随分たくさんの人がいるのであきらめ。そのまま電車に乗っていく。ヘルシンキについてから郵便局に行き、切手を買う。外国向けの標準切手である3.40FIMは種類が少ないので、他のものを使おうとするとどうしても少額切手を使って数字をあわせなくてはならない。2.80FIMの切手なので不足分は60ペンニだが、60ペンニという切手はないので、50と10を組み合わせることになる。それを出してから、SULASOLに行く。この前のコンサートで聞いた曲の楽譜を探すつもり。店員というか事務員のお兄さんに曲名を書いた紙を見せると、すぐに「これにはいっている」といって曲集を出してきた。なんたる記憶力(笑)。これは最近でたばかりで、150曲も入っているという。なるほど、演奏会の時に見せてもらった楽譜と同じページ番号がついている。170FIMということで、少し高い。とりあえず見るだけにしておく。他にもざっと店内を見回すが、何も買わずに出る。入り口にいろいろとパンフレットが置いてあるので、こちらをたくさんもらっておく。

 歩いてメッツェタロまで行き、お昼を食べる。今日はカリフォルニア風パタ、と書いてあった。ちょっと濃いデミグラスソースのシチュー。キノコが入っている。どのへんがカリフォルニアなのかは不明(笑)。ご飯を大目にとり、パンは止めておく。食後に、トラムに乗ってストックマンへ出かける。ここでクリスマスプレゼントを買おう…と思ったら、お目当てのものが品切れ(^^ ;)。早く買うべきだった。ないと余計欲しくなるのは世の常で、ついでなのでエスプラナーディのアーリッカの本店に行く。こちらにはあった。アーリッカは、基本的に本店でも支店でも全く同じものを売っているようだ。プレゼント用に包装してもらう。お昼過ぎだったが、随分空いていた。ストックマンは月曜日だというのに大混雑だったのに。ちなみにストックマンも31日まで開いているそうだ。それから、やはり気になるので先程の楽譜を買いに再びSULASOLへ行く。さっきは2冊あったのが1冊になっていた(笑)。ここで買っておく。またエストニアの男声作品についても尋ねて見たが、2冊ある曲集のほかはトルミスくらいで、あとは特に知らないという。作曲家を特定すれば探すことはできるかもしれない。また免税でも買えるそうなので、買える時には少しまとめて買っておきたい。

 歩いて駅に戻ろうとするが、途中で前から気になっていた古本屋が開いているのに気づく。ちょっと寄ってみる。漢字の掛け軸がかかっていたり、ちょっと怪しげな感じのある店(笑)だが、音楽のコーナーでシベリウスの自筆楽譜の写真版(もちろん一部)というのを見つけた。これは面白いので買っておく。あと小さな女声合唱の楽譜もあったので、それも買う。ここの店ではMacintosh Plusを使っていた。フィン語のキーボードである。「プラスだね」と声を掛けると、「随分古いけど、ちゃんと動くから」といっていた。ここでくれた手提げ袋は、古書組合のものだった。

 再び駅に向かうが、丁度電車が出たところになってしまう。ソコスの中を少し歩くいて時間潰し。それから電車に乗って帰る。コイブキュレまで帰ってきたのは2時半だったので、まだ普通の明るさ。スーパーで食品を買って、家に帰る。電話の請求書と、来年分の家賃の振り込み用紙がとどいていた。電話は2ヶ月分で、国内通話は夜間が多いので100FIMにも満たないが、日本とは40分で350FIM。結構なもんである。もうプール分を使いきったので、払いにいかねばならない。もらってきた合唱関係の資料を読む。こういうものも増えてきたけど、送り返すにも結構重くなりそう。ごみがふえるだけかなあ(^^ ;)。どこかの組織に寄贈するか。それから論文読みと暗譜とギリシア語の勉強。夕食はピザを食べる。なかなか気分が冴えない時の勉強はつらいものがあるが、今週だけの辛抱なのでなんとか頑張る。

12/15(火)

 8時前に起きる。洗濯をしようと思って降りていったが、予約が入っていたので、木曜日に予約を入れておく。気温は0度で、雨が降っている。朝食を食べてから、ギリシア語の勉強をする。それを昼過ぎまで続ける。やっているといろいろ問題が起こって来るので、やはり大きな辞書が欲しくなる。ときおり暗譜の練習。1時過ぎに出かけることにする。雨で雪が溶けてシャーベット状になっているので、足場がものすごく悪い。底が薄い靴だと大変なところだ。一応傘を持って出たが、差すほどでもなかった。衣装ケースも持っているし、どこかで忘れそうな不安もあるが、置きに帰るほどの時間もないし、また降るかもしれないのでそのまま持っていく。

 ヘルシンキに着いて、まずは郵便局へ。友人にちょっとしたものを送る。小包だと随分高くつくが、軽くて小さめなもの、といっても1、2キロまではいけるが、ならば「手紙」扱いで安く送れる。もちろんかさばるものはだめだが。保険も掛けられるようだ。それからトラムに乗って大学へ行く。神学部に荷物を置いて、食事に。時間もあまりないし、大学本館に行く。2時半くらいなのでさすがに空いている。今日は鮭であった。食事を済ませてから、神学部でギリシア語の続きをする。大きな辞典を持ってきて調べる。いずれはこの辞典も買うべきなのだが、こちらで買うか、日本で買うか。免税で買えば少し日本より安くなるようにも思うが。ドイツ語のものだから、ドイツで買えば安いのかも。4時前に出る。

 トラムに乗って、テンペリアウッキオ教会へ向かう。4時丁度くらいに着いたが、まだほとんど来ていない。雛壇の据え付けもこれから始まるようだ。地下室に荷物を置き、しばらく待っているとぼつぼつと集まってくる。同じセカンドのミッコがきて、声を掛ける。話のついでに、19日のコンサートでも共演する「タッラ・アンサンブル」の指揮者について尋ねる。パシ・ヒョッキという名前だそうだが、マッティの関係者か、と聞くと、彼の長男だという話。シベリウスアカデミーで指揮の勉強もしているとか。26,7歳だろう、とのこと。マッティにはあと2人の子供がいるそうだ。パシは少し前に父親になったとも。アンサンブル自体は、もともとYLのメンバーからだが、2年ほど前に独立して活動しているという。このときに、チケットの精算もする。今日の演奏会の分を10枚もらっていたが、売れたのは1枚だけ。他のチケットを返却し、売った分のお金を支払う。そういえばノルマはなかった。

 そのうちマッティも来て、入退場から練習する。雛壇はまだつくっている途中。会衆席に座ってリハーサルをする。今日のソリストはソプラノではなく、テノール。リンコラのリハはなし。うむむ(^^ ;)。前の年にも歌っているのもあるのだろう。練習で暗譜で歌ってみないと、楽譜はちょっと外せない。リハが終わるころにやっと雛壇組みが終わり、立ち位置だけ確認する。この時にはもうすでにお客さんが来始めている。控え室に戻って、着替えと待機。6時から演奏会の開始。もう満席である。補助椅子も出して一杯、という状況。すごいものだ。演奏は、なかなかよかったようだ。後半では、楽譜を外してみることにする。ところどころすっぽり抜け落ちてしまうのだが、大体のところは歌えている。照明も少し使ったりしている。この教会はいろいろ設備があるようだ。1時間強で最初の演奏会は終わり。今度はちゃんと?歌いながら退場する。控え室に戻ると、団から差し入れのバナナとマンダリン。定番である(笑)。次の演奏会までは1時間半ほどあるので、いったん外に出る。マクドナルドで軽く食べておく。それから控え室に戻って、暗譜のチェックをする。

 9時から2回目の演奏会。またもやほぼ満席。すごい集客力である(^^ ;)。いろいろ考えたが、結局リンコラの暗譜は断念。まあほとんど見ていないのではあるが、結構ややこしいところがあるので練習で歌っていないと大ミスをしそう(^^ ;)。これが終わったのが10時過ぎ。控え室に戻って着替えようとしたら、シャツのボタンの頭がないことに気づく。いつのまにか外れていたらしい。小さいものだし、見つけるのは不可能だろう。あまり安くもないので、ちょっと気が滅入る。

 外に出たところで、何人かとバーによる。ビールを1杯飲む。話の内容にはいまいちついていけない。電車の時間にあわせて先に帰ることにする。駅へ向かう途中で、教会に傘を忘れてきたことに気づく。あした取りに行かねば。各停に乗って帰ってきたら、12時過ぎ。メールだけ読んで、寝る。こんな時間なのに、まだ飛行機が飛んでいる音がする。

12/16(水)

 7時過ぎにいったん目覚めるが、とても眠いのでもう少し寝る。9時前に起き出す。ヒーパッカは早くに出かけたようだ。シャワーを浴びて食事をする。少し髪が伸びたので、自分で少し切る。前をちょっと切りすぎてしまった(^^ ;)。メールの返事と、日記書き。教会に傘の件で電話しようかと思うが、行って自分で見た方が早そうだ。日記を書き終えてから出かける。10時半過ぎ。最初にコイブキュレの郵便局に行って、電話代を支払う。季節的なものかもしれないが、ここのところいつ見ても混んでいる。午前中ということもあってか窓口は2つで応対しているので、かなり待たされる。結局30分は待った。窓口で振り込み用紙と学生証を出したら、「学生証は証明として認められない、パスポートか免許証を」という。いつもこれでいいのになぜだめなのか。ともあれ、急ぐものでもないので改めてこようと思っていると、「振替をするのか」という。「できるのか」と聞くと「できる」ということ。なんのために証明を求めているのかさっぱり分からない。現金の引出の時には証明がいるが、振替ならいいということなのか。領収書をもらったら、「ユーロ」という部分もあった。駅に行くが、近道をしたら氷ですべってしまった。今日は昨日溶けた分が凍結して、完全にアイスバーンになっている。車道は大丈夫だが、歩道は危なくて仕方が無い。こうなると、普通の靴ではまったく役に立たない。しかし気温自体はプラスで、快晴であることも手伝って実にすがすがしい。さわやか。こういう気分になるのも久々のように思う。

 ヘルシンキまで着いてから、まずテンペリアウッキオまで歩く。ここでもあちこちで道が凍っている。また、屋根の雪や氷が落ちて来るために柵が置かれている。途中でシベリウスアカデミーに寄って見たが、年明け最初には特にコンサートはないようだ。教会の受付で傘について尋ねる。自分で見てらっしゃい、というので取りに行くと、コート掛けに引っ掛けてあった。礼を言って出る。天気もいいので、歩いてヒエタニエミのマーケットに行ってみる。思ったより遠くはなかった。この寒い中でも外に店を出しているのが不思議(笑)。とくにこれといったものも無いので、トラムに乗ってカイサニエミまで戻る。学部図書館を覗いてからメッツェタロで食事。今日は魚のカツ…と思って食べていて、妙に平たいなあ、と半分くらい食べたところでこれは鳥であると気がついた(^^ ;)。ちなみに魚は「カラ」、鳥は「カナ」という。結構間違える(笑)。しかし食べても分からないのは別問題(^^ ;)。

 食事を終えてから、神学部にいってギリシア語の続きをする。一応一通り訳せたので、次は英訳聖書でチェックだが、そこまでの時間はなかった。途中でコンピューターセンターに行ってギリシア語の辞書について調べたら、来年の1月に新版が出るとのこと。しかしインターネット上で買うなら日本で買っても同じことだ。大学にあるものは無理して買わなくてもいいか。

 6時前にEOLの練習に出かける。今日は今年最後の練習になる。ここでやっと当日のプログラムが明らかになる。途中にはカルテットや、団員による楽器演奏も入るようだ。しかし、肝心の?合唱の方がたよりないことこのうえない。YLの最初もそうだったが、クリスマスコンサートは意外といいかげんなのかもしれない。新年は13日から練習とのこと。今日は早く終わったなと思って帰ろうとしたら、後ろから声を掛けられる。コンサート会場の教会で、オルガンとの合わせがあるとのこと。道理で早く終わったはずだ。教会では別のコンサートをやっていて、そのあとでする。外で待っていたら、「ルチア」が出てきた。これはスウェーデン系の住民の伝統行事なので、ということはスウェーデン系のコンサートだったのかしらん、とおもって置き捨てられていたプログラムを見たら、スウェーデン語の方が先になっていた。なるほど。客がはけてから、簡単に合わせをする。「きよしこの夜」を、オルガンと交互に歌うという形。しかしシンプルな合唱に比べてオルガンの方が派手すぎ、ちょっとアンバランスな感じ。「きよしこの夜」などYLと共通の曲はパートがこんがらがる(^^ ;)。9時半くらいに終わる。

 そのまま駅に行き、マッカラを買って食べる。電車に乗って帰ったら10時過ぎ。気温はやはりプラスだが、寒く感じる。

12/17(木)

 6時に目が覚めるがまだ眠い。ヒーパッカがごそごそしているが、そのうち出かけたようだ。こちらは7時半まで寝ている。今日は小雨。食事を済ませて、洗濯をする。9時くらいからギリシア語の勉強を始める。訳文のチェックをしていく。大きな問題は見つからないので、明日のテストでもそう問題はなさそうだ。しかしところどころ難解なところがある。また英語の表現で迷ったりもする。このあたりは仕方がない。フィン語や日本語の聖書も時々参照しながら考えていく。郵便が来た。銀行の明細と大使館からのニュースレター。だいぶお金を使ってしまっているようだ。月平均4000FIMは多すぎるか…たぶんその多くは本にかかっていると思われる。ただ暮らすだけなら、3500FIMでも行けるだろうが、勉強や資料集めのためもあるからそうもいかない。なかなか予定通りにはいかないものである。一段落したところで、12時にヘルシンキへ出かける。

 相変わらず道は凍っている。こういう状態の中を歩くせいか、最近身体中が筋肉痛になっている(^^ ;)。困ったものだ。気温はヘルシンキで5度。もう「暖かい」の部類に入りそう。トラムに乗ってカイサニエミまで行き、メッツェタロで食事する。今日は牛のシチュー。きのこがはいっていた。ベリーがソースとして置いてあったので、少し取る。このすっぱさにはなかなか慣れない。食べおわってから、ハロネンまで歩いていき、前になくした燕尾服のたシャツのボタンを買う。実物を持っていって見せたので話は簡単。29FIMだから1000円弱か。高いような安いような。たまたまレジにいた店員が、「すみませんが、日本人ですか?」と日本語で話し掛けてくる(笑)。少し東京にいたことがあるとか。意外なところにもいるものである。Fazerにちょっとだけ寄って楽譜を見ていく。ついでに1階でCDを見ていく。カンテレのものは「ワールドミュージック」のコーナーに。それを探していると、日本のコーナーがあって、「琴」や「雅楽」のCDがある。琴のものが多いようだ。大学で勉強していくかどうか考えるが、小雨模様でもあるし、早く家に帰ることにする。駅までそのまま歩いていく。ちょっと時間があったので、駅の切符売り場などを歩いてみる。「国際線」というカウンターが別にあって、ユーロパスなどを売っていた。ロシア行きの列車の案内もある。レニングラードまで片道2等で300FIM弱。ちょっとした値段ではある。東カレリアのヴィープリには行ってみたいのだが。

 電車に乗って帰り、スーパーに寄る。パンやチーズを切らしていたので、いろいろ買った。ひとつのものの量が多いので、なかなか新しいものに手を出すのが難しい。失敗したらどうしようもないし。シャンプーは、こちらでもリンスと一緒になったものが売っている。家に帰ってきたのは2時半。また勉強を続ける。時々メール書きなどもする。6時前に一通りの作業が終わった。まあこれで一安心。明日は早いので寝過ごしをしないようにしなくては。シャワーを浴びて、夕食にする。今日はスーパーで鳥のカツが安かったので、それを買ってきてある。オーブンで温める。よく見ていると、調理済みのフライなども結構ある。スーパーもじっくり研究しなくてはいけない(笑)。食事を済ませてからメールを書いたり、ギリシア語の復習をしたり。一度通してやってしまうと気が抜けてしまうのは悪い癖。完全とはいえないのだから、ちゃんと見直さねば。11時には寝ることにする。

12/18(金)

 6時に目が覚めるがそれで早い。目覚ましを掛けてもう一度寝る。7時過ぎに再び起きる。食事をして、少し勉強。それから8時半の電車で出かける。またほとんど真っ暗と言っていい状態。ヘルシンキに9時についても、曇りのせいもあって明け方、という感じ。なにかものすごく早くから動いているような錯覚になる。気温は6度。ヘルシンキ市内の道の氷はほとんど溶けている。

 まっすぐ大学に向かう。前回の試験と同じ、大学本館の大教室。たくさんの学生がいる。解答用のノート用紙をもらって待つ。見ていると、封筒を各自でもらいに行っているようなので、講壇まで降りていく。名前の方を告げたら、封筒がないので座って待て、と。そのうちに試験が始まるし、もう一度降りていって名字を告げる。今度はあった。名字がかなり重要な社会といえるが、使い分けが難しい。どちらを先に書くべきかも迷う。大学の書類では名字が先になるのが普通のようだ。ともあれ席に戻って封筒を開け、問題を見る。今回は問題用紙にスペースがないので、別紙に解答する。翻訳が3つと、単語の分析。特に難しいものはないが、記憶が曖昧なところが幾つかあって、しばし悩む。1時間ほどで全部書けたのでざっと見直し、提出する。合格点にはまったく問題ないので、評価がどうなるか、というところ。月曜日に結果が張り出されるそうだ。多分そのあとで、神学部のホームページにも載るはず。

 試験が終わった時点で10時半。まだ早いし、外は暗い。美術館にでも行って見ようかと思って、神学部にあったポスターを見たら12時からになっていた。しかたないので神学部で研究書を読む。たまたま廊下に置かれていた、ヘルシンキ大学の昨年度の年鑑?のようなパンフレットを読む。神学部で博士号を取るのは年間10人程度。しかし、現在の在籍者が400人以上というのを考えると?である。11時半過ぎに、大学本館で食事。今日はブタのカツ。もう一つあったが、並んでいる時にメニュー表から消されてしまった(^^ ;)。外が暗いせいもあって、窓側に座るとずいぶん暗い。食後に散歩を兼ねて、観光案内書へ行き、美術館の場所を調べる。結局今日は行かないことにする。どんよりと曇り、時折小雨もぱらつくという最悪の天気。帰りがけに、元老院広場の向かいにあるバザールに寄ってみる。個人の店?といった感じのブースがいくつもある。お土産物を売っているところもあるし、まあ見て楽しめるといったところか。真ん中にある階段で2階に上がると、西側に子供向け?のものがいろいろ売っている。ドールハウスの店があって、すごくたくさんの小物が売っている。またおままごと用の食器があるところ、ブリキのおもちゃがあるところも。カード類もたくさんあった。ここを出て、近くの古本屋に寄る。ざっと見て、新着のところにドイツ語のものが幾つかあったので、小説類を2、3買う。なぜかいずれも3FIMくらいと安い値段がついている。奇麗なものなのだが。全部で12FIMだが、10FIMにしてくれた。あまり売れないから、ということか。

 神学部に戻って、再び研究書を読む。時折、指揮法の本を読む。交互に読んでいる、という感じ。いずれもなかなか面白い。3時くらいにまた外へ出る。学部図書館へ寄って新しく販売されている本がないのを確認してから、Fazerに寄る。楽譜と今日はCDを丁寧に見てみる。最近また並べ方が変わった。面白そうなものがいくつもある。しかし高いものでもあるし、我慢我慢。1階に降りてみるとクリスマスの曲が入ったCDもたくさん売っている。一つくらい買っておいてもいいかも、季節ものでもあるから。ともあれ何も買わずに、また神学部へ。再び本を読む。今日は夜にバッハのクリスマスオラトリオがあるし、できれば聞きたいなと考えていたが、どうもいまいち体調が良くないようだ。疲れた、という感じ。4時くらいに、これでは3時間の演奏会に耐えるのも無理だろうと判断し、家に帰ることにする。

 駅まで歩いていくが、丁度電車の間になってしまったので、アンティラによって時間潰し。ここにもCDがあるが、見てみると時々セールになっているものがある。工科大学合唱団のものが30FIMと安かったので、これを買うことにする。他にも安いものがあるのだが、買い出すときりがないのでやめ。電車の時間も近くなったので駅へ行く。家に帰ってきたのは5時くらい。あきちゃんと友達からクリスマスカードが来ていた。着替えて、少し寝ることにする。気がつかないうちに寝ていたようで、電子音で目が覚める。目覚ましが鳴っているのかあ、と思って止めようとすると、時計は鳴っていない。5秒ほど考えて、電話が鳴っていることに気づく(^^ ;)。あきちゃんから、事務的な手紙が来ていて返事が必要だから、ということで電話してきた。ついでに起きることにする。シャワーを浴びて、食事にする。メールと、あきちゃんから送ってきた新聞の切り抜きを読む。日本でもいろいろあるようだ。研究書をめくったりその他の本をめくったりして、11時には寝る。

12/19(土)

 昨日は昼寝と夕寝?をしたせいか、なかなか眠れなかった。眠りも浅いようで、たくさん夢を見た。体全体に疲れがたまっている、という感じがしている。8時半過ぎに起きる。食事をしてから、研究書を読む。テストは終わったが、自分の勉強はこれからである。昼前までそうやって過ごす。

 12時過ぎに出かける。荷物を減らすために、スーツを着ていく。これで持って行くのは燕尾服だけになる。ヘルシンキについてからトラムに乗ってまずDomusへ。食事をする。今日は牛のシチュー。ご飯といっしょに食べると実においしいので、いくらでも入りそう。食後にコーヒーを飲んで一休み。それからYLの練習のためにヨハネ教会に向かう。ここからなら歩いてもそう遠くはないはず、と思って、天気も悪くないから歩いてみることにする。たまたま途中で日本食レストラン「歌舞伎」の前を通った。歩いていくとそれでも20分くらいはかかってしまった。丁度2時くらい。地下室に荷物を置く。地下は随分広く出来ている。ところどころ石がむき出しになっているが、これは岩盤の一部か。礼拝堂に行くと、雛壇組みの最中。どこの教会でもこういう雛壇を持っているようだ。地下から持ってきて、自分たちで組み上げる。4段ほどある、なかなか大きなもの。それが出来てから、まずいったんロビーに出て入場の練習から。教会は響きすぎることもなく、適度な残響という感覚。相変わらずはしっこに陣取る。まず今日だけ演奏するポリフォニー。共演するタッラアンサンブルは5人で、5声を一人ずつの担当のようだ。最初にタッラから歌い出すが、カウンターテナーの素晴らしい声に驚く。確かリーダーがカウンターテナーだと聞いていたから、たぶん彼がそうなのだろう。身の毛もよだつ、という感じ(^^ ;)。この曲はさすがに何回か練習する。カイパイネン、それからリンコラ。リンコラのオーボエは今日の1、2回目のコンサートは女性のソリスト。すこしフレーズ感に違いがあるようだ。最後に「きよしこの夜」は会場に広がる。場所の関係で、テナーは中央の通路、バスは前に一列。T字型に並ぶ。その間にマッティはバルコニーに行き、そこから指揮をする。そこからは照明も出ているので、ちょっと見にくい。それが終わるとリハは終わり。他の曲は歌わない。1時間弱であった。練習のあとでマッティに声を掛け、今日の1、2回目のコンサートには出られない旨を伝えておく。こういう驚きを表す時にはマッティはよく「Ai, ja!」という。「あいやあ」なので中国語のようだ(笑)。控え室に降りて、しばらく楽譜を眺める。みんなは着替えているが、こちらはこれから出かけなければならないのでスーツのまま。ヨーナスが「歌わないの?」と日本語で声を掛ける(^^ ;)。こちらはフィン語で事情を説明しておく。セカンドの出席を管理しているアンティにも一応声を掛けておく。

 時間がまだあるので、最初のコンサートの前半を聞いていくことにする。チケットなしだが(笑)、一応プログラムももらう。バルコニーにあがるが、すでに平土間は一杯のようだ。バルコニーにもどんどん人が上がってくる。始まるころにはバルコニーも一杯。満員である。そういえばまともに演奏を聞くのは初めてのように思う。曲を知っているだけに、ところどころ荒が目立つ(^^ ;)。座っているところからはセカンドの5、6人しか見えないのだが、リンコラの指打ちでは最初を忘れている人が目立つ(^^ ;)。生の演奏は、やはりCDほど上手ではない(笑)。内声が強すぎ、メロディーラインが消えてしまっているところも多い。バスは確かに弱いように思う。全体的にはやはりロマンチックなコーラス、というマッティの評価がそのまま当てはまるように思う。前半だけ聞いて、出かける。出る時にロビーを通ったら、今回の演奏会の幹事役のマッティ・プスカが受付で座っていた。彼は歌えないようだ。役付きも大変である。

 5時から練習のつもりで、古教会に行く。5時10分ほど前に着いたが、まだ誰もいない。一応地下の控え室に降りて待っておく。が、5時を過ぎても、10分になっても誰も来ない。これはおかしい、場所か時間が変わったのか、と思う。念のためすぐ近所の練習場に行ってみるが、開いていない。ということは時間が変わったのだろう。多分6時からか。前からの話では5時のはずだったが、前回にでも変わったのか。ぼーっと待っていてもしかたないので、来る時に通ったマクドナルドまで戻って軽く食事する。それからしばらく本を読んで時間を潰す。ふと外を見ると歩いている人がたくさんいる。どうもこれはYLの演奏会帰りらしい。これなら最初のステージにも乗れば良かった。6時にもう一度古教会へ行く。

 今度はすでに声出しが始まっている。それから各曲を練習。最初に「ユタカは今日は2つの演奏会があるそうだ」とカリから紹介される(^^ ;)。先に後半のフィンランドのクリスマス曲をする。これは難しくはない。それからプーランク。この前1回やったきりの曲も演奏するらしい。なかなか無謀?だ(笑)。プーランクは全部歌わず、歌いだしだけを練習する。こういうやり方もあるか。実際は時間がないせいもあるのだろうが。すでにぼつぼつお客さんも来始めている。いったん下に降りる。少しあやふやなところがあるので、自習。

 演奏会は7時から。お客さんは2、3百人くらいか。この教会では特に少ないとも感じない人数。最初にプーランクを歌った後、いったん客席の一番前に坐る。それからしばらくは小合唱など。独唱やカルテット、バイオリン演奏などが続く。それからまた前に出て、クーラとクリスマスソングを歌う。全体としては演奏会というよりもクリスマス会に近い印象。これがEOLの伝統的なスタイルのようだ。しかし小合唱のたぐいも、無料ならともかく、入場料をもらえるとは思えない程度。カリの音楽は楽しいが、演奏する方が追い付けていない感じがする。不満が残るコンサートであった。8時過ぎ。

 これが終わってから、またヨハネ教会に戻る。丁度2回目のコンサートの後半が始まったくらいである。ドアには「2回目の演奏会は売り切れ:3回目は残席あり」という貼り紙が。客席には入らず、ロビーから聞くことにする。受付のテーブルを眺めていたら、チケット枚数のリストがあって、テンペリアウッキオは1回900枚、ヨハネ教会では1回1900枚のチケットがあるそう。しかもそれが「売り切れ」とは(^^ ;)。5回の演奏会で合計は7500枚。恐るべしである。などと思いながら見ているうちに、演奏の合間に席を立つ人がある。珍しいな、と思って見ていると、何やらそのあたりが騒がしくなる。演奏も一時中止。幹事長のミッコが外に出ていって電話をする。どうもお客さんに倒れた人がいるようだ。そのうちに救急車が来る。まず2人の医者?が入ってきて、様子を見る。それからいったん外に出て、担架を持って再び入って来る。すぐに救急車に運びこむのではなく、まずその場で容態を確認する、というやり方のようだ。特に問題があるわけでもなかったようで、医者が何かみんなに言うと拍手がおこる。担架で運び出す。中年のおじさんであった。それから演奏は再び続く。演奏が終わるころには、次の演奏会に入るためのお客さんがすでに集まり始めている。まだ1時間以上あるのに。「きよしこの夜」のあとの退場の仕方は聞いていなかったので、見て確認。やはりくるりと会場を回ってから退場、という形だった。

 終わったところで控え室に行く。こちらも着替えておく。見ていると、さすがに3回もある演奏会をじっとこなすというわけにはいかないようで、すでにビールを飲んでいる人達も。演奏会の反省?をしながら軽く飲んでいる。ちょっと顔の赤い人も(^^ ;)。それでもちゃんと歌えるのだから偉いものである。自分の調子を守っているというか。座って楽譜を見ていたら、たまたま通りかかったマッティが「お、無事に戻ってきたか」と声を掛け、横に座る。ついでなので少し話をする。1日に3回の演奏会は多いんじゃないか、というと、それはそうだ、最初にYLに来た頃は1回だけで、大聖堂でやっていた。しかし聞きたい人がたくさんいるから、会場も大きくなり、回数も増えた、という。今年はたまたま仕事の演奏会はヘルシンキだったが、タンペレなどの近くの町へ出かけていくこともあるという。ヨハネ教会がヘルシンキではいちばん大きい会場で、2300人入るとのこと。「でもバルコニーなんかはきっちり詰めて座っているわけではないよ」という青年がいる。席に線を引かなくては、という笑い声がかかる。この青年、もしやと思ってマッティに聞くと、「私の息子だ」とのこと。タッラアンサンブルのリーダー、パシ・ヒョッキであった。おとなしそうな感じの好青年。まだ学生といっても十分なくらいである。このへんも親譲りか(笑)。「タッラのCDは日本でも売られていて、パシ君も有名ですよ」といったらマッティはにこにこしていた(^^ )。ついでに「ヒョッキ」という姓はフィンランドでは多いのか、と聞くと、いや少ない、とのこと。もともと東フィンランド、カレリア地方の系統だとか。あちらの地方にはわりといるのかもしれない。それからロビーで立ってお客さんを見ているが、まさに切れ目なしに来る。夜の10時からの演奏会というのに、すごい人出である。

 定時に最後の演奏会が始まるが、その前にロビーに整列した状態でマッティが訓示をする。来年の最初の練習についても一言。それから会場に入る。リンコラは今日は基本的に暗譜という指示なので、楽譜は下において歌う。特に大きな間違いはしなかった。いつもほとんどのみんなが落ちている指打ちの部分は、やはりみんなが落ちていた(^^ ;)。前半が終わったところでいったん聖壇の後ろ側にある部屋に下がる。オルガンの演奏が終わってから、また入場。後半は完全に暗譜で歌う。今日は練習していなかったので時々歌詞が飛んでしまった。まあこれも大きな問題ではなかったが。最後の歌まで無事に終わる。みんなの感想では一番最後がいちばん良かった、とのことだったが、希望的な思いもあるような(^^ ;)。

 着替えて、上にあがると雛壇を片付けているので手伝う。明日も演奏会があるので下までは持っていかず、隅に片付ける。それからレセプションのあるアストリアへ行く。教会からは近い。すでにたくさんの人がいる。飲みものなどは自分で買う。ビールやワインのほか、グレジもある。食べ物はスナックだけで、クッキーとパイだけ。もう12時前なのでそれもそうだろう。まさにレセプションという感じで、自分が連れてきたお客さんなども一緒になって話をしている。といっても奥さんなどが中心のようだが。適当に歩きまわってみる。トップのヤリと話をする。シベリウスアカデミーでヴァイオリンを学んだというヤリは、こういうレセプションはプロでは考えられない、と驚いている。オケは普通は団員だけでしている、とも。ちなみにこの会場、もともとは映画館だったらしい。言われてみればそういう感じもする。歩いていたら途中でセカンドのテームのそばを通り、「チケットはもらったか」と声を掛けられる。もらっていない、というと「2杯は無料だ」ということでチケットをもらう。演奏会につき2杯分というのが団から支給される報酬?のようだ。グレジをもらいにいったところでセカンドのミッコと話す。彼はYLに来て4年とのこと。クリスマスはどうするのか、と聞いたら、妻の故郷のエストニアへ行く、というそう。ミッコの奥さんはエストニア人でピアノの先生だということ。以前合唱団で指揮をしていたそうで、そこで彼も歌っていたとか。なんか聞いたような話である(^^ ;)。結婚してからそこは止めて、YLにきたとか。フィンランド人とエストニア人の結婚というのはよくあるのか、と聞くと、そうでもないが、言葉が近いしそう大変なことでもないと。言葉は両方使うそうで、子供はどちらも話せるとか。といってもまだ2歳半とのことだが。この子供は学校に上がったらスウェ語も学ぶわけだし、なかなか大変だろうと思う(笑)。またマッティに捕まり、ずいぶん背の高い男に紹介される。以前YLで副指揮もしていたそうで、今は仕事でドイツにいるという。ほんとに背が高いので伸びをして比べようとして見たらマッティに笑われた(笑)。自分のことを「第2のチフルだ」と説明しているところを見ると、かなり以前から居たようだ。また別の、今は団員ではない人とも話をする。彼も、チフルを知っている、彼はフィン語がなかなか出来なかった、とまた言われる(^^ ;)。君はよく話せるな、とも。自分はこれで名前が残りそうだ(笑)。しかしチフルは音楽的に素晴らしいものを持っていた、とも。時々歌が始まる。乾杯の歌や、セレナードなど。

 皆適宜帰っていくようで、自分も1時半の電車で帰るか、と思う。しかしトイレによったついでに喫煙室で歌っているのに加わる。「ユタカ、『いざ立て』だ」という声がかかり、みんなで歌う(笑)。やはり2番はみんな適当である(^^ ;)。ここにいたら結局閉店の2時になってしまった。2時半の電車はあるが、続きに行かないか、と誘われるが、寝る場所がなければ、という。バリトンのミッコがまた泊めてやれる、というので、すぐ2、3件横のバーに行く。結構たくさん来ているようだ。店は大賑わい。カウンターでビールを買い、話に加わる。雑談程度のものだが、以前よりは話が分かるようになってきたように思う。思うに、YLの仲間たちは結構よく話をしてくれるようだ。平均的なフィン人の傾向よりはよく喋る。日本にツアーをしたのも割りと最近だし、親近感があるのかもしれない。EOLのメンバーは逆にあまり話しかけてこないよう。こちらのほうが普通なのだろう、きっと。ともあれ4時で閉店。ミッコが泊めてくれるかと思っていたが、トップの方のミッコが泊めてくれるということになる。歩いて家まで行くが、東のヨットハーバーの方なので歩くと20分くらいかかる。彼も結構酔っているし、時々支えていかねばならない。こちらは宿がかかっているので酔ってもいられない(^^ ;)。夜中でもありどこを歩いているのか時々分からなくなるが、無事家まで着く。なかなか広い部屋。ちょっと高そう。ソファを提供してくれる。丁度自分の背の高さにあった長さだったので、快適に眠れる。

12/20(日)

 目が覚めた。何時かなあ、とぼんやり思う。まあミッコが起きるまで寝ているか、と思っていると、彼に電話。それで起きる。12時前だった。少し飲みすぎたようで、気分がよろしくない。「コーヒーを飲むか」といってくれるが、今飲むと戻しそうなので遠慮する。礼を言って出かける。エレベーターに乗ったら、3階が通りの面になっていた。通りで昨日乗った時に6階なのにえらく早く着いたな、と思ったはずだ。外に出ると、小雪がちらついている。歩いてカイサニエミまで行く。ここからトラムを拾って駅前まで。駅地下のスーパーでジュースを買って飲む。駅に上がっていったが、丁度出たところだった。トイレに行きたくもあるし、時間もあるので郵便博物館へ。ここならトイレもただだし、入場料もかからない。どうにも気分が悪いし戻そうかとしたが、何も出ない。そらそうだ、食べたのは12時間以上まえだから。まあ少しは気分が良くなる。しばらく博物館の中の椅子に座っていてから、また駅へ戻り、電車に乗る。電車の中でもう一つジュースを飲む。とにかく水分を取ってアルコールを薄めることが必要。しかし少し飲みすぎたようで(^^ ;)、コイブキュレで降りたところで気分が悪くなり、ジュースは戻してしまった。家まで戻って、とりあえず胃腸薬を飲み、寝る。

 目が覚めたら暗い。といってもこの国ではそう遅いこともないはず…と思って時計を見ると5時過ぎだった。少しは気分もマシになったし、シャワーを浴びて、カップうどんとヨーグルトを食べる。酔い覚ましには汁物が一番。それからまた胃腸薬。日本から持ってきたものだが、役に立っている(笑)。メールを読んだりしているが、文字を見るのはあまりいい気分ではない。ベットに寝転がってまた寝る。次に気がついたら7時前。今日は大学の女声合唱団の演奏会があるという話だし、ヘルシンキでも割と珍しいので聞いておきたいなあとは思っていた。体調と相談してみるが、まあ外に出て動いた方がかえって良さそうな気もするので、出かけることにする。

 ヘルシンキまで電車、それからトラムを拾ってヨハネ教会へ。着いたのは始まる時間のはずの8時過ぎ。もう歌が聞こえる。しかしチケット受付がない。もう始まったからないのかな、と勝手に思う。ドアも開いていたので、ロビーの部分から見ていることにする。丁度カリが振っているところだった。女性合唱だと思っていたら、男性とともに混声の歌を歌っている。ちょっと期待外れ。声としては悪くない。ベルカントではない、この国の女声的発声。いわゆる定番のクリスマスの歌が続く。フィンランドのクリスマスの歌など、すべてスウェーデン語で歌っているのが新鮮。と見ているうちに「きよしこの夜」が始まった。あれれ、これがあるということはもしやもうじき終わりなのでは、と思う。そのうちに本当に終わってしまった。8時半。やはり演奏会は7時からであったのか(^^ ;)。ポスターはちゃんと覚えていなかったし、ヘルシンキの観光案内書のパンフでは8時からとなっていた。このパンフ、割りと時間が違っていることがあるので、ちゃんとポスターなどで確認しなくては(^^ ;)。まあただで聞けたのでよしとしよう(笑)。満員だったので、人がはけるにも時間がかかる。少し空いたところで中に入って、置き捨ててあるプログラムをもらう。見ると、前半には女声だけ、男声だけのプログラムもあったようだ。どちらもスウェーデン語の合唱団。聞いている人達もスウェーデン語系のようで、外に出たらみんなスウェーデン語で話している(^^ ;)。

 トラムの停留所まで歩いて、丁度来たものに乗って駅前まで。電車はまたも出たところ。ソコスのマクドナルドでコーヒーとチキンナゲットを食べる。チキンナゲットは日曜日がサービスデーで安くなる。食べながら演奏会のプログラムを眺める。女声合唱団の方は今年からカリが指揮をしているそうだ。男声の方はフィンランド最古の合唱団。聞けなかった曲目を見ていたら、YLでもやったリンコラがあった。これはぜひ聞きたかった。残念。そのうちに時間になるので駅へ行き、電車に乗って帰る。日記を書いたりして過ごす。


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