いったい1年間に何人の日本人がフィンランド語の試験を受けるのか?という問題はさておき(笑)、教科書や文法書には出てこないなあ…ということについて気づいたものを書いて見ました。役に立つかどうかは保証できません(^^ ;)。
冷蔵庫はj滑kaappi 。j滑 が「氷」を意味します。kaappiはキッチンにある棚のこと。しかし皮肉なことに、私が住んでいる部屋の冷蔵庫には「冷凍室」がありません(^^ ;)。
日本のマンションに当たるフィン語はkerrostalo。kerrosは1階、2階の「階」に当たります。そういえば、いわゆる「マイホーム」は平屋のことが多いようです。ちなみにマクドナルドの「ビッグマック」、フィン語ではkerroshampurilainenです(笑)。
下の項目にも出てきた-stoの語尾。他の例では、kirjasto「図書館」、arkisto「文書館」などがあります。osastoという言葉はosa「部分」という言葉と融合。会社や大学の「部門」、また電車の車両を指すこともあります。単語帳はsanastoです。
yliopisto は大学。yli- は「〜より上」、-opi->oppia は「学ぶ」、-stoは「箱、建物」を表す接尾辞です。フィンランドでは、高校に当たるlukio を出るときに高校卒業資格試験があり、それをパスした人が ylioppilas と呼ばれます。よって、これらの人は必ずしも大学に行っているわけではありません。また専門の単科大学レベルではkorkeakoulu , academy があります。ヘルシンキには音楽専門のSiberius Academy、演劇専門のTeatteri Academy があるのが特色です。
kuvaは絵一般を指す言葉。「写真」に限定する時はvalokuva といいます。valoは「光」。たしかに太陽光かフラッシュがないと普通は撮れませんね。フィンランドでもレンズつきフィルムは売っています。そのまま持って帰っても、日本でそれを現像してくれるのかは定かではありません。
英語のMadam にあたるフィン語は Rouva。日本語では「老婆」に聞こえてしまうのでどうも使いにくい言葉です(笑)。Missは Neiti、少女の場合はtytt といいます。
フィン人と会話していてよく出てくるのが Just. という言葉。これはスウェーデン語です。英語のjustと形は似ていますが、意味はexactly.です。フィン語にも同じ意味を表す Tosi. という語がありますが、こちらの方はあまり聞きません。スウェーデン語はいろいろな場面に入り込んでいます。ちなみに「チーズ」を表すフィン語は juusto。発音したら同じです。
「ごちそうさま」に当たる言葉は西洋語には無いようですが、フィン語ではKiitos. ということがあるようです。「いただきます」もありませんが、フランス語のBon appetit! に当たるのはHyv滑 ruokaa! です。
「力」一般はvoimaといいます。人間にも使いますが、laitos「施設」をつけてvoimalaitosとすると「発電所」に。なるほど、という感じ。「核」はydinなので、ydinvoimalaitosで「原子力発電所」。フィンランドは結構な部分を頼っています。最近は天然ガスへの転換も進めているようです。
事故はonnettomuus。onnenはlucky に当たり、-ttonという接尾辞は「〜がない」ということを表します。確かに事故に遭うのは「運がない」ことですね。
matkapuhelin。matkaは「旅行」を意味します。citypuhelinという、市内でのみ使えるタイプもあって、こちらの方が割安です。最近の調査では、合計で300万台ほどが出まわっているとか。全国の人口が500万人だというのに…(^^ ;)。
ビールはOlut。アルコール度数によってI, III, IVの3種類があります。IVは4.7-5.8%、IIIは3.7-4.7%。Iは2.7%以下のようです。IVはAlkoという国営のお酒専門店に行かないと買えませんが、IIIとIはスーパーで買えます。IIIはお酒のコーナーにおいてあるのが普通ですが、Iはjuomaという「飲み物一般」を表すところに置かれていることもあり、ジュースと並んで置かれていたりします。
my嘖も、単語の語尾に着く-kinも意味としては同じ。だからmy嘖kinというのは重箱表現に当たり、大学では「これは文法的に誤りです」と教えているのですが、実際には会話でもラジオでもごく普通に聞かれます。ちなみに否定形のmy嘖k滑nというのは正しい形なので、ここからの類推のようです。そのうちに辞書に載るようになるかもしれません。
フィン語ではサンタクロースはJoulupukki。直訳すればpukkiはヤギ(もちろん他の意味もありますが)。フィンランドのサンタの元は民族的な伝統行事で、若者たちが毛皮を着て家々を回り、人々を驚かせてたりそこで食べ物をもらう、というもの。その風体からきているようです。ちょうど日本の「なまはげ」のようなものでしょう(笑)。ちなみにフィンランドのサンタは袋をかついでいません。
laukkuはスーツケースのようなしっかりした鞄、kassiは手提げ鞄、いわゆる「お買い物袋」の感じ。pussiは、スーパーでもらうようなビニールの袋のこと。封筒タイプの紙袋はpakettiです。ちなみにスーパーの袋はただではありませんので御注意。普通の大きさで80ペンニ(約20円)です。
いずれも代表的な、「男性の」名前。女性のような響きがあるので、外国に行くと怪しまれることもあるとか(笑)。ヘルシンキ中心部には「ミコンカトゥ」という通りがありますが、これも「ミッコ」の変化形です。日本の「太郎さん」みたいなもんですかね(^^ ;)。彼らを呼び分ける時には、当然名字を呼びます。
フィン語の特徴として、基本語彙は割と少ないことが挙げられます。その代わり、合成語がやたらにたくさんあります。この結果、歴史的に新しい単語は長くなる傾向があります。基本的な語彙をある程度知っていると、長い単語もその組み合わせで理解することが可能です。ドイツ語なんかと似ていますね。
英語などではたくさんの類義語辞典が出ていて、ボキャブラリーの養成にも役に立ちますが、フィン語では現在出版されているものは1冊のみ。しかも1万円位するものです。過去にはもっと小さいものもありましたが、現在は図書館でしか見ることができません。この点からも、フィン語は語彙が割と少ない言葉であることが推察されます。それだけ「若い」言葉ということができるかもしれません。
普通の数字はyksi, kaksi, kolme, nelj ですが、俗語では、基数ではykkonen, kakkonen, kolmonen, nelonen, viitonen, ...、序数ではykk嘖, kakkos, ...という読み方があります。近年新しくできたテレビ局は第4チャンネルなので、名前も「ネロネン」といいます。
「シャープ」は yl嘖tus 「上げること」、「フラット」は alastus 「下げること」。「ナチュラル」は palautus 「戻すこと」です。そのまんまですね(笑)。しかしここから逆に、英語では感覚的な要素を取り入れていることが分かります。日本語では…なんでしたっけ(^^ ;)。
「からん うすたば」kalan yst革 が元の表現。フィン語のクラスで、「魚を良く食べます」といった学生に、先生が Oletko sin kalan yst革 ?「あなたは『魚の友達』ですか?」と言っていました。しかし、食べてしまっても「友達」なんですか…(笑)。
といっても、造語上の話。kone は「機械」の総称ですが、複合語としてさまざまに用いられます。例えば、lentokone 「飛ぶ機械=飛行機」、tietokone 「情報の機械=コンピューター」、pesukone 「洗う機械=洗濯機」など。飛行機もパソコンも洗濯機も全て「こね」で表してしまうところは、なにかすごいものを感じます(笑)。
フィン語では Moominpeikko が正式名称。英語の辞書には goblin と書いてあります。ところで、ムーミンのファンで原文で読みたくてフィン語学科(東海大学北欧文学科が有名)に入ったら、原作はスウェーデン語であると知って愕然とする人も多いとか(^^ ;)。作者のトーベ・ヤンソンはスウェーデン語系のフィンランド人です。もう結構な年ですが、今でも元気でヘルシンキに住んでいるそうです。ちなみに、私がヘルシンキで出会ったムーミン(写真参照)は、ひとことも喋りませんでした(笑)。
主にヘルシンキ周辺で使われる表現。emm と綴るようですが、en min の省略形だとか。後者自体、min enという語順が入れ代わったものです。良く聞く表現は「えんめ・てぃえだ」emm tied =min en tied (=I don't know) です。
『フィンランド語は猫の言葉』(稲垣美晴著)という名著(^^ )の由来は niin という「ああそう」に当たる言葉だと思われますが、最近では joo のほうが若者の間では良く使われているようです。スカンジナビア系の言葉だとか。kyll と同じ意味ですが、くだけた感じです。テキストにも時々出てきますが、文章表現ではありません。『フィンランド語はあんちゃんの言葉』?(^^ ;)
nej という、スウェーデン語のようです。辞書を引くと「no」の意味であると書いてありますが、町で聞く会話では英語の「well」「so」と同じようであります。しかしどこでも聞けるようではないようで、フィンランド人に聞いても「どこで喋ってた?」と。ストックマンの6階の食堂に行くと、時々女性達の会話で出てきます。
mit は英語のwhatに当たります。会話などで相手の言葉が良く聞き取れなかった時に聞き返したりするのに使います。Anteeksi? のほうが丁寧ですが、長いので「みて」の方が好まれるようです。さらに短くなると「て?」となります。
もうひとつ、この単語で面白いのは、「尻上がりに発音されることがよくある」ということ。フィンランド語のアクセントは常に語の一番頭にあります。だから語尾は必ず下がるのですが、この「みて?」は例外的な用法だといえます。
初級文法で出てくるこの二つの単語、どちらも「多い」ですが、どう違うのか?私が習った先生によると、paljonは100くらい、montaは10くらいをイメージするとか。「どのくらい友達がいるか?」と聞かれて、どちらで答えるかもこの基準があればOK。
ちなみに「2、3」というときはpariを使います。
町で出くわす言葉の一つ。kiitos の省略です。マクドナルドでは良く出会います(笑)。言葉を短く略すのは世界共通なのですが、[kiitos]→[kitti]からわかることは、特徴的な子音(t)は消えないこと、語尾の子音は省略されやすいこと、ですね。
同じく若者言葉ですが、これは[kitti]よりもはるかに広く使われているようです。挨拶の言葉で、[hei]に変わるもの。スカンジナビア系の言葉だとか。スーパーのレジなどで注意していると、若者には「もい」、中年以上には「へい」と使い分けているのが観察できます。
ちなみに「もいもい」と繰り返すと別れの挨拶になります。その点でも[hei]の用法を引き継いでいるのが面白いところです。
[huomenta] (おはよう)は通常1回だけですが、若者は2回繰り返して挨拶することがよくあります。この場合は、2回繰り返しても別れの挨拶にはなりません(^^ ;)。