08 大徳寺玉林院の蓑庵

さて、2日目。出町柳駅で待ち合わせです。
少し遅れて塚本さんの到着です。今日は志津屋で朝パンをご購入。
さっそく大徳寺に向かいます。

大徳寺は禅宗(臨済宗)の大本山で、境内にはたくさんの塔頭がひっそりと点在しています。
いくつかの塔頭は一般公開されていますし、素晴しいもたくさんあるので、京都にお越しの際はぜひ訪れてほしい場所です。
茶道とのゆかりも深く、有名な茶室もたくさんあります。そのうちの一つ玉林院の蓑庵を見せていただきます(普段は非公開です)。
玉林院の隣には、公道から見ることのできる面白い瓦塀があります。

いろんなかたちの瓦を埋め込んだ塀。ここ以外にも、大徳寺のまわりにはいくつか見ることができます。

東本願寺の直線的な瓦とは一味違って、波型や丸型など、様々な造形がリズミカルに配置されています。
ここは比較的新しい壁ですが、瓦の利用は京都の寺院やお庭ではよく見かけます。デザインとリサイクル、両方の意味をもつものでしょうか。
さて、玉林院を拝見します。ここの本堂は、大徳寺の塔頭のなかでも最も規模が大きいそうです。
庭園を望みながら大きな縁側を廻り込んだ北側に南明庵があり、牌堂を挟んで2つの茶室(蓑庵と霞床席)があります。



蓑庵の外側にも長すさを混ぜ込んだ壁が見られます。
こちらは少し時代が新しく、改修時のものだそうです。
楽焼の敷瓦となぐり仕上げの柱。

素焼きの敷瓦は楽焼(贅沢!)だそうで、赤いテラコッタのような色合いなのですが、一枚一枚が微妙に違う色で、何とも良い味わいです。牌堂の火頭窓となぐり仕上げの栗の柱から、山野の風情が感じられます。
蓑庵は如心斎好みの三畳中板台目切りの茶室です。ほんのり赤い色土の壁には、長い藁すさが浮かび上がっています。これが蓑のようで、蓑庵と名づけられたそうです。
この左官の技術は今では復元不可能で、内部は江戸時代の創建当時のままだそうです。
茶室内部に入れていただきました。小さい空間に佇むと、外の音が鮮明に聞こえ、次第に様々な色が見えてきます。
ここは北西に窓を持っており、赤い壁は夕刻にはますます赤く、夕日のようになるそうです。
障子越しの光が、外のお庭の緑、太陽の光を反射してか、緑やピンク色を帯ています。こんなに微妙な色合いに敏感になれるのは、茶室という空間がもつ力なのかもしれません。
内部の撮影は、塚本さんにだけ許され、我々は外で待ちました。しかし、一向に出てくる気配がありません。
そしてようやく出てこられた時には「空間と一体となって撮影ができた」と興奮気味の塚本さん。
内部の写真は、出版予定の本(現在執筆中!)をお楽しみに。

ほんとうにここは素晴しい。マイベスト茶室になりました!
ついでに…、境内横の紫野和久傳(料亭)は岸和朗さんの設計で、一見の価値ありです。


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