09 島原の角屋

蓑庵をじっくり拝見させていただいたので、はやくもお昼前になってしまいました。
お天気も良いので、近くのグランディールでパンを買って(ここのパンもおいしい!)、鴨川ピクニック!といたします。
鴨川でゆったり過ごす時間はほんとに気持ちがいいものです。塚本さんはしばしのお昼寝。

この季節の鴨川は気持ちが良い。

さて、お次は京都の最初の花街とされる島原へ。
島原には遊宴の場である「揚屋」と、そこに太夫や芸妓を派遣する「置屋」の分業体制がとられていたそうです。
角屋は、もてなしの場としての揚屋でした。角屋は現在「もてなしの文化美術館」として公開されていますが、置屋である「輪違屋」さんは、現在もお茶屋をされていて、太夫さんがいらっしゃいます。ここも素晴しい建築ですが「いちげんさんはおことわり」でござんす。

角屋の外観。

角屋のみどころは、座敷ごとに贅を尽くした意匠です。なかでも左官仕事は一見の価値アリです。
紅殻の赤、白漆喰、黄色の大津磨き、浅葱色の九条土、京都の伝統的な聚楽、と沢山の壁が見られます。
なかでも素晴しいのは「青貝の間」です。
この座敷は中国風の意匠が凝らされていて、床の間や棚、襖など異国情緒が漂う、素晴しいものです。そして、土壁のなかには螺鈿が散りばめられていて、まさに芸術作品です。
現在、壁は黒くくすんでいますが、もともとは浅葱色だったそうです。どんなに晴れやかな空間だったことでしょう。職人さんの気迫と誇りが感じられます。
左官としてはめずらしく、この壁をつくった職人さんのお名前が壁に残されていました。
ほかにも、大空間の台所には漆喰磨き仕上げの大きな釜戸があるなど、かつての賑わいを伝える見所がたくさんあります。

さて、花街の名残は、ここ角屋と輪違屋、かつての入口であった大門のみになりましたが、島原の界隈には、いまも懐かしい雰囲気を残す場所があります。
そこで発見したのは「タイル町家」です。
塚本さんは最近金沢の町家調査をされていて、京都の町家も興味深く観察されていました。
そこで、京都にあって、金沢にはない唯一のタイプが「タイル町家」だというのです。
京都に住みながらぜんぜん気付いていなかったのですが、ファサードの真壁部分にモザイクタイルを施した町家が意外と多いのです。なかには、タイル風プリントの張りぼてがされている町家があったり、いつの時代も類似品は横行するものなのですね。それもまた、面白い。


「タイル町家」。わかりにくいですが、2階ファサードに黒いタイルが張られています。


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