11 ラトナカフェ

森田さん設計の町家改修カフェです。
ここはカレーが美味しくて有名です。
1階は店舗で、2階は居住空間になっています。

ラトナカフェの外観。西日に照らされ、
一層あたたかい表情の土壁。
トイレ内部はドーム状になっていて、
土壁が塗り込められています。

ここは森田さんの代表作でもあり、いろんな試みがなされています。
まず目に付くのが、パンチングメタルの階段とブリッジ。
土と木という自然素材でできている町家に、あえて工業的な素材が組み合わされています。腰壁もメタリック。
従来の町家改修とは違ったスタイルに挑戦されています。
土壁にはもちろんこだわってます。
山吹色のあたたかい表情の店舗内部の壁は、大津壁をアレンジして、藁すさと、土佐漆喰を調合しているそうです。磨き仕上げの光沢と藁すさの風合いが、他にはない表情です。
坪庭にあるトイレの外壁には、鉄粉を混ぜることで「さび」を出し、拾翆亭でも見られた蛍壁に仕上げています。さらにトイレの内部はドーム状の空間で、藁すさを混ぜた、赤土+土佐漆喰の洗い出し仕上げが施されています。
ラトナカフェは全体的に、京都の「和」ではなく「アジア」の雰囲気が漂ってます。
オーナーさんと森田さんの出会いはなんとチベット!
お二人のアジアへの眼差しが、この空間づくりに活かされていると思いました。
竣工は2002年。もとはレンガ敷の床の一室空間だったのですが、昨年さらに改装されて、中央に間仕切りを設け、奥の床に板を張られました。
以前から開催されているスパイス料理教室を、よりやりやすくすることも目的のひとつだそうです。
赤味や黄味をおびた壁の色は、まるでスパイスみたいです。
またカレー食べに来よ!


坪庭に敷かれた炭は、苔むしていて、和のテイスト。 いろんな豆。暖かい色合いは、壁の色とも似ています。


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