京都嵯峨芸術大学教授・観光デザイン研究センター所長、日本エコツーリズム協会理事ほか/1949年生まれ。東京農業大学農学部農学科卒業。生態学、資源管理論、地域開発論、エコツーリズム論/その個性的な髪型から、西表島のおばあさんに「もじゃもじゃにーに」との呼び名をもらう。しかし長くて覚えにくいため「もじゃにーMOJANI」を略称とする。フジテレビKIDSクラブ「ふしぎな森のふしぎ先生」としてのコラムも執筆中。 | ||
『宝探しから持続可能な地域づくりへ』を語る高梨洋一郎、比田井和子さんと一緒に『宝探しから持続可能な地域づくりへ〜日本型エコツーリズムとはなにか〜』を出版いただく真板昭夫さんに、宝探しや地域づくりと日本型エコツーリズムの関係を中心にお聞きしました。聞き手:前田裕資(編集部)
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前田: 「日本型エコツーリズム」とはどういうことか、「宝探しや地域づくりとどう関係するのか」を中心に、どんな人に読んでいただきたいか、お話いただければと思います。 真板: エコツーリズムというのは、資源を保全しながら持続的に利用すること。そのためにどうしたらいいかというと、守る人たちが、参加する人たちが自分の生活に役に立つしくみを作ることによって持続的に保全されるだろうと。ではそのための手段はなにか、といえば、観光である。観光というしくみを動員して、外からお客さんを連れてきて、地元の人たちが自分達の守りたい資源を見せていく。そのことによって収益が入る。すなわちそれは、地域の資源を長く守っていきたいという話につながっていく。そんなしくみを作ろうということが、すなわち、エコツーリズムなんです。 海外では、自然資源をどう守るかということで、エコツーリズムの本もかなり出ていますが、日本は、ちょっと違うわけです。日本は、里山に代表されるように、地域の資源というのは、今日まで人とのかかわりによって維持されてきた自然がすごく多い。 もともと、資源を利用し、活用しながら今日まできたというしくみが社会の中に昔からあって、資源が守られてきた。自然とかかわってできてきた地域の文化、あるいは匠の知恵、あるいは地域の中のお祭りとかは、地域社会の中で活用され維持されることによって、実は結果として、地域の守りたい資源が守られているという仕組みなんです。 日本は、自然と人間とのかかわりが深いことによって、地域の自然や文化が守られてきたんです。 日本型エコツーリズムとは、地域の人たちが誇れるものを守るということは、地域社会を守るということでもある。 エコツーリズムというしくみを導入するということは、これは日本型エコツーリズムの特色なのですが、地域社会そのものがその資源を守りながら活性化していくという観光のしくみをつくるということになる。これは、資源保全型ということよりも、地域社会を、地域の資源を使って、どう持続的に利用し保全していくのか、つまり、地域づくりということとイコールなんです。ただし、この場合の日本型エコツーリズムの特色は、今までの地域づくりというのは、外からもってきたものでどう活性化させるか、ということだったんですけれど、地域の中にあるものをどう利用しながら外の人たちに対して機能していくのか、そのことによって地域の経済、社会をどう活性化させるかというしくみづくりなんです。 実は、こういう本がなかなかなかった。 僕らは前から研究を進めていて、この日本型エコツーリズムの5段階を設定したんです。 自然の宝からはじまって、名人の宝まで、地域の中の守る対象を探そうと。それを、地域社会のなかで活性化させて地域づくりに結び付けていくために、しくみとして、運動論としての5段階を提唱したんです。 それは、宝を探すから始まって、宝を磨く。誇る。外の人に伝える。宝を基にした産業を興す。 この5段階を進めることによって、地域が活性化していく運動論を提起したわけです。 全国各地で15〜20年かけて行ってきたんですけれど、今回の本は、実際に全国各地で行ってきた20年以上やってきた地域の実践例と課題と苦悩を、地域がその課題をどう克服しながらやってきたかという生々しい話を含めながら、日本型エコツーリズムによる地域づくりをぜひみなさんに見ていただきたいと思って、この本を作りました。 この本を読むだけではなく、実際にその地域へ行き、地域の人と触れ合って話を聴きながら、どれだけ時間がかかるか、しかし確実にその地域が発展するかを、見ていただきたいです。 |
本書の概要(予定)●タイトル(仮)●〜日本型エコツーリズムとはなにか〜 ●予定目次●
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