フォーラムに向けて
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はじめに

 今年の夏、 都市環境デザイン会議に10番目の地域組織として琉球ブロックが発足しました。

 この琉球ブロック発足の記念イベントについて、 那覇市内の居酒屋でご当地の方々とあれこれ相談(ゆんたく)していた折り、 このような話がでました。 「沖縄で地域らしい創作やアレンジによって、 自分たちがちょっと誇りをもっているものには、 言葉の頭に何かとシマを付けて固有名詞にする」。 例えば、 「島唄」「島酒」「島(しま)言葉(くとぅば)」といった具合です。 「この時期に『シマ・デザイン』とは何かを議論したらどうか?輸入物やキャッチアップ型でないデザインを追求したらどうか」。

 都市環境デザインを巡る環境が大きく変化しつつあります。 産業経済の長引く低迷や地球環境問題への対応などにより、 これまでの開発志向の都市・地域政策が方向転換を余儀なくされています。 都市環境デザイン会議(JUDI)は都市、 建築、 土木、 造園、 ランドスケープなどの分野の学者、 専門家やメーカーなどにより構成される横断的で実践的な活動団体です。 このJUDIメンバーの活動する領域やテーマも時代の要請に応じて大きく変わりつつあります。 例えば、 スクラップアンドビルド型の開発発想は後退し、 リサイクル、 リユース、 リプレイスなど多くの「Re---」が念仏のように唱えられます。 それぞれの専門家は厳しい環境の中で新たな環境に適応すべき多くの試行錯誤を余儀なくされつつあります(そう言えばリストラって言葉もありますね)。

 今年の都市環境フォーラム・関西では「ファッションとモード」をテーマに議論を行います。 都市環境デザインにも「はやり・すたり」と「様式」の側面があり、 「時代の要請」に名を借りて、 流行を追い求めた点もあると思うからです。 20世紀のキャッチアップ型デザインを再評価したいと考えました。 先の「シマ・デザイン」とは沖縄のモード(様式)を指しています。

 従来型の企業や行政の枠組みを越えたところで、 新たな仕組み、 組織そして活動が既に始まっています。 これまでの定式化された枠組みやレッテルで解決できないテーマを与えられ、 それを克服するためには知恵を集めて何やら新しい試みを求められています。

 これまで「街の遺伝子(01)」「かたちと関係の風景デザイン(02)」をテーマにフォーラムを開催して来ました。 それぞれ専門家の存在意義や役割が変わりつつあると感じられた方も多いと思います。 今年はフォーラムに併せて「水都再生、 道頓堀プロジェクト展」も同時に開催します。 こちらは企業や組織の枠組みを越えて、 JUDIのメンバーがそれぞれ一専門家としての提案をコラボレーションにより作りだそうとした試みです。

 フォーラムでは新しいデザイン様式を、 パネル展では新しい専門家の関わりを、 それぞれ我々が直面する課題の入り口を示していると思います。 今日一日で全てを語り尽くすことは不可能ですから、 さまざまな問題とその解決の手がかりが得られれば良いかと思います。

 最後に、 本フォーラムの開催にあたり、 後援して頂いた各団体と協賛頂いた各企業の皆様にお礼申し上げます。

関西ブロック幹事  堀口 浩司
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