ウィーンを除く全ての都市に「丘」があり、 海のあるナポリの他は、 川をもっていた。
必然的に、 全ての街は、 豊かに「土木」を有していた。
バラエティに富む表情をもった坂道、 階段、 橋、 水辺、 街路。
到るところに「風景土木(ランドスケープ・インフラストラクチュア)」(キーワード集、 筆者『風景土木』参照)があった。
それらのデザインに触れて、 本論の冒頭に述べた『土木が面白い街が、 面白い』『土木が美しい街は、 美しい』という感をさらに深くしたものである。
我が国の都市に、 文化の香り豊かな美しく楽しい「土木」が満ち溢れるのは、 いつのことか。
しかし、 京都の琵琶湖疏水や大阪中之島の橋梁群、 九州に多い眼鏡橋など、 我が国にも多く遺されている歴史的土木を見ると、 決して悲観的になることはないと思わされる。
状況はそう簡単ではなく、 乗り越えなければならない障害も少なくないが、 土木技術者・土木専門家と環境デザイナーとのよき「協働」によって、 よりよい方向に向かって欲しいと願ってやまない。
本論と第3回都市環境デザインフォーラム・関西が、 その契機になれば幸いである。