都市住居のかたち・過去と未来 by 佐藤健正
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都市住居とは

はじめに

 私が今ここでお話したいことは、 一言で言いますと「都市住居」というものは単に人々が集まって住むというかたち、 集合住宅ということだけではなく、 都市を創る住居として都市住居を考えるべきだということです。

ではお手元のレジュメ(フォーラム資料)に書きましたことを、 スライドで説明しようと思います。

伝統的な都市住居のかたちと街に対する役割

画像01  伝統的な都市住居のかたちは、 洋の東西あるいは都市文化の違いをこえてひとつの共通点をもっていると思います。

たとえば図1はロンドンの町中ですが、 至る所に見えるのはタウンハウス、 あるいはテラスハウスです。

画像02 画像03  テラスハウスは17世紀のロンドン大火の後にその形式が確立したと言われていますが、 街路に向かって正面を持ち、 街路に直結する住居の典型と呼ばれているものです(図2)。

自ら街路空間をかたちづくり、 連続的なストリートコミュニティーを形成している、 そういう住宅です(図3)。

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 それから図4、 図5はよくご存知だと思いますが、 パリのメゾンブロックです。

ヨーロッパに共通するブロック建築、 あるいは街区建築と呼ばれるものの原型です。

地上階には店舗とかレストラン、 さまざまな都市的なアメニティが備えられています。

上階は住戸になっていて、 全体がひとつの複合的なシステムとして、 都市居住を支えています(図6)。

 都市住居とはそういう意味でストリートライフを作る、 町を歩く楽しみを生み出している、 それだけでなく都市生活の複雑で微妙な綾を織り成すような存在であったと思います。

それがまた町のアイデンティティーを創り出している。

そういうかたちを私は住居が都市を創っていく姿そのものだというふうに考えるわけです。

画像07 画像08 画像09 

 そういうことはわが国の伝統的な都市住居である町家だとか、 あるいは大阪にまだ多く残っている長屋、 そうしたものについても大きな意味ではあてはまると思います(図7、 8、 9)。

画像10  つまり都市住居とは伝統的に街路、 ある場合には広場であり路地であるわけですけれども、 そうした都市空間に直結した街路建築であり、 自ら都市空間を形づくり、 統一的なタウンスケープや連続的なコミュニティーを作ってきたんだ、 そういうふうに理解できると思います(図10)。

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都市環境デザイン会議関西ブロック


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