都市住居のかたち・過去と未来 by 佐藤健正
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近代ハウジングの反都市性

郊外ニュータウンの場合

画像11 画像12 画像13 

 ところで近代に入ってハウジング理論が近代的な意味で確立されました(図11)。

これは今申し上げてきた都市住居の伝統を根本的に否定するものだったと思います。

戦後、 世界的にニュータウン建設が行なわれましたが、 ニュータウンの集合住宅群は新しいハウジング理論の主張を典型的に示していると言えます(図12)。

図13の千里ニュータウンのレイアウトパターンを見ても、 街路に沿って住居が建ち並ぶことを基本的に否定しています。

画像14  もちろん用途が混じりあうことも否定しました。

そして太陽、 緑、 空間こそ住戸における最高の価値だ、 理想の目標だと主張してきたわけです(図14)。

もちろん人々が街路を歩くことも否定しました。

自動車時代にあわせて緑の中に専用の歩行者空間を設けて歩くべきだ、 という主張がなされてきたわけです。

画像15  図15のように緑の中にリニアな住棟が距離を置いて立ち並ぶ姿が、 ニュータウンあるいは近代のハウジング理論の主張を表わしています。

そこには住居が都市空間の担い手になる、 あるいは住宅で都市を創るという思想が放棄されています。

まさに近代の反都市性を表わすものだと言っていいと思います。

20世紀のニュータウンが基本的に失敗作だといわれるゆえんもそこにあると思います。

都市中心部の場合

画像16 画像17  そうした住宅が郊外だけではなく、 都市の中心部にまでもちこまれてきたことによって都市住居本来のかたちが失われて、 町中の都市性そのものが失われました。

これがこの戦後50年に起こってきたことです(図16、 17)。

 このことは、 かつての都市住居がよく保存されている、 今でも生きているヨーロッパの町に比べますと、 我々の身の回りの日本の町で特に顕著ではないかと思います。

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都市環境デザイン会議関西ブロック


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