ニュータウンを超えて
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ニュータウンでの試みの限界

 PART-3に入る前に、 ここで今までの話を整理しておきます。

 私は、 都市は多様な要素が共生している系であるととらえています。 その中で多様な要素を支えている都市骨格構造に関心がありました。 都市骨格はどうあるべきかをいろいろ考えてみたのですが、 多摩ニュータウンの自然地形案のときに都市の中で一番変わらないものは都市の中の自然空間だろうと思い至りました。 都市の中の道路やサービスインフラはシステムや都市容量が変わればどんどん変わっていく性格のものですが、 自然空間や自然的な要素は人間が生物である限りずっと変わっていかない価値を持っています。

 そこで、 自然空間を骨格とした都市構造を考えられないかと私は色々なプロジェクトで提案し、 実現しようとしてきたわけです。 都市を構成している要素をレンガに喩えれば、レンガの補強材としてオープンスペースを入れてみるというやり方だったと思います。

 しかし、 都市全体を考えてみますと、 やはりそんなやり方では都市環境の再生は達成できなかったというのが、 ニュータウンの結論と言っていいでしょう。 都市のレンガ(要素)をオープンスペースで補強すると言いましたが、 レンガ(個々の要素)自体がもうグズグズの状態なので、 いくら補強しても都市環境の再生はありえない状況ではないかと思うのです。

 ちゃんとした壁(都市)を造るためには、 レンガ(要素)自体を変えていかなくてはいけない。 前半ではもっぱら補強材(公的スペース)の可能性を検討してきましたが、 それだけではもうダメだというのが結論です。

 ではこれからどう考えていけばいいのか。 それを都市の環境基盤としての自然的要素のあり方、という文脈の中で考えていきたいと思います。

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