これからの都市の状況を考えると、 都市骨格自体が短期間にドラステックに変わることは考えられませんし、 都市を構成している様々なユニットのモードもさほど大きくは変わらないだろうと思われます。 とすると、 実践的に都市環境の再生を考えた場合、 今ある都市構造、 都市の要素を使いながらどう改変できるかというトライアルをしていかなければならないと思われます。 つまり今ある要素のバージョンアップによる進化をめざすという方向です。 これが私の得た結論です。
今日の話はニュータウンから始めましたが、 私がニュータウンでやろうとしたことは、 まず都市の環境骨格を公共投資で造ることでした。 そこからスタートして、 民地のあり方にまで考えが及びました。 さらに骨格だけでは都市環境の再生は難しいと思い至り、 都市を構成する全ての要素のモードを変更する必要があるという結論に達しました。 ただし、 そのために膨大な投資が出てくるのは現実的ではないし、 むしろこれからは都市に対する投資は少なくなるという可能性もあります。
しかし、 一方では都市が抱える環境の問題は早急に解決を迫られており、 2000年4月から東京都は一定以上の面積の建物の屋上は緑化せよと決めました。 そうしな いと都市のヒートアイランド現象の解決は、 公共の緑だけでは間に合わないからです。 まさに、 都市で活動している事業者、 生活者それぞれが都市環境再生のために緑化に参加(そしておそらくライフスタイルの変更を)していかなくてはいけない待ったなしの段階になってきているのです。
ではそんな時代に我々専門家は、 どんな都市像を持っているのか、 どのようなヴィジョンを持っているのかが問われているのではないでしょうか。 我々もこれから、 明快な都市像を社会に訴えるべき段階になってきていると思います。 それは社会が共通の意識を持ち、 必要なエネルギーを集約するために不可欠なことであると考えるからです。 明日の都市像を社会から聞かれた時、 明快な答えを用意しておく必要があると私は考えています。 また、 それをみんなで議論する必要もある、 というのが最後に私が申し上げたいメッセージです。
おわりに
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ