建築保全か? 都市遺産の保全か? ヘルシンキの場合
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アブストラクト

 ヘルシンキでは、 ほとんどの建物が詳細計画によって保存されています。 特殊な場合は、 建築保護法および建築保護令の2種類の法令で国家建築物として保護することができますが、 計4千の建物群および歴史公園のような文化的、 歴史的エリアが都市計画によって保全されています。 その目標は、 変化しながらも永続する都市の財産を保存することです。

 ヘルシンキには、 42,244棟の建物があります、 これらを建築年次別に見ると以下のようになります。

1900年以前559(内1850年以前83)

1900〜19405,894(12%)
1940〜197013,120(31%)
1970以降23,230(51%)
 ヘルシンキの建物ストックは比較的新しく、 1900年以前に建設された建物はわずか559棟です。 そのうち1850年以前の建築数は83棟で、 建物ストックの51%、 つまり半分以上は、 1970年代以降に建築されており、 全部で23,230棟あります。

 ヘルシンキのほとんどの建物は、 相対的に新しいのです。 歴史的建物の割合は非常に少なく、 これまで都市計画で保全されてきた建物と地区のほとんどは1940年以前のものです。 言い換えれば現在保存されているほとんどの建物は歴史的建物遺産です。 今や、 我々は現代に属する建築の保存や地区の保全を考えることとなります。 2002年のマスタープランでは、 1970年代の文化的歴史的価値のある地区をあげています。 また、 1970年代以降のいくつかの建物は、 フィンランディアホール(アルバ・アールト)のように、 すでに都市計画で保存されています。  私は1960年代の住宅地区Pihlajamakiの考証と、 この地区の開発、 保全と保存の手法を検討するプロジェクトで仕事をしてきました。 Pihlajamakiは、 DoCoMoMo(The Documentation and Conversation of building, sites and neighborhoods of the Modern Movement)により、 オリンピック村、 国際的な価値を持つMaunula and Taka-Txlとともにリストアップされています。 これらの地区の価値と評価に関する3つの目録レポートが出され、 多くの複雑な方法とこういった地区の保全に関する原則文書が作成されています。

 2002年のマスタープランでは、 200以上の地区をリストアップしており、 伝統の価値が保護されています。 これらの地区は、 都市中心部(旧市街)だけでなく、 広く郊外地区についても取り上げています。

 古い建物と地区の保存の仕方の違いについては、 さまざまに特殊な問題が発生します。

 目標は、 これらのエリアを生きた生活の場として維持することおよび文化的価値が保全できるように保護手段を誘導することです。

 歴史の積み重ねによって構成されたヘルシンキの都市形成は、 文化的価値として見なされているのです。

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