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意見〜セミナーを聞いて

2007.3.23 板東 義雄


論点2 都心地区の将来像

 住民により景観形成を図っていくことについて議論がありましたが、住民主体で景観形成が図れるならば理想的だと思います。しかし、現実にはどうでしょうか。なぜ京都市は景観法により規制を図ろうとしているのでしょうか。これまでにも地域住民によって景観形成を図っていこうとするならば、地区計画・建築協定等の制度を活用してそうすることが可能だったのではないでしょうか。けれども、地域住民を主体とする制度は広く普及しなかったように思われます。その原因のひとつはその地域住民全員の合意を必要とするからです。つまり、多様な考えがあって、価値観の違う住民が存在し、景観に対する意識の差があるからだと思います。
 このように、同じ京都市民といえども景観意識の差もあり、今後共通の意識を醸造していくには長い時間を要します。一方、今までの景観政策では京都市の景観は破壊の一途を歩んできています。時間的な余裕はないのです。よって、京都市はトップダウンによる規制を図ろうとしたと解釈します。

論点3 デザイン規制をめぐって

 具体的に規定されている庇のデザイン基準(道具)について、議論が盛り上がっていましたが、私ども建築設計をするものとして具体的なデザイン基準の規定には賛成です。なぜなら、具体的な道具(共通認識のある道具)を採用して建物のファサードをデザインしていくことで、周辺と調和した共通認識のあるファサードデザインを可能にすると考えるからです。ただ、今までの景観条例の曖昧なデザイン基準では、設計者にどのような道具を選定するかが委ねられ、その主観的な道具によってファサードがデザインされていくため、道具の選定(共通認識を持たない)そのものが良好な景観形成を果すことができない要因のひとつになってしまうと考えます。
 前田さんが批評された建物のファサードは、単に道具を基準どおり採用して許可されているだけで全体をデザインしているとはいえません。設計者の力量あるいは景観に対する建築主の理解のなさが問題だと思います。これらの道具を基準どおり採用した上で和風というキーワードを踏まえファサードをデザインしているかを評価することが重要と考えます。そして、これらの評価は行政担当者では困難です。やはり専門家による審査会を通した評価により許可していくシステムが必要だと思います。

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