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コーディネータから

鳴海邦碩氏

 前回までは、 どちらかといいますと震災に関係したテーマが続きましたが、 第5回目から少し違ったテーマに取り組んでいく予定でいます。

今年の11月に、 恒例の都市環境デザインフォーラムを開催する予定ですが、 このフォーラムが“都心に住む”というテーマに設定されています。

都心とか、 都市に住むという場合に、 集合住宅というものは、 1つの重要な都市の居住装置ですので、 これを、 今回、 次回と2回にわたって採り上げていきたいと考えています。

   

 日本の集合住宅は、 戦前にもいくつか先駆的なものがあったのですが、 この2、 30年ぐらいの間にずいぶん一般化して来たのではないかと思います。

ですから日本の集合住宅の歴史は30年ぐらいと見ていいのではないでしょうか。

   

 集合住宅というのは、 世界中に広がっているわけですが、 日本の集合住宅は制度的な側面から見てみますと、 ヨーロッパとかアメリカの集合住宅と非常に違った個性を持っていると思います。

そういう日本的な集合住宅というものがこの何年かの間に作られてきたわけです。

我々は、 集合住宅といいますとヨーロッパやアメリカが先輩のように思っていますが、 実は今、 私どもが目にしている集合住宅は、 非常に日本的なものなのです。

   

 そういった日本の集合住宅を考えていく上で、 今日お招きした遠藤さんは、 みなさんご存じのように、 先駆的な仕事を関西を中心にたくさんなされています。

日本を代表する集合住宅作家というふうにも言えると思います。

以前、 遠藤さんと「集合住宅作家」ということについて話し合ったことを思い出しました。

普通の建築家というのは、 有名になると集合住宅を作らなくなるのだそうです。

その時、 遠藤さんが集合住宅をやめて普通の、 いわゆる建築家がやる建築をやろうかと思う時もあると、 ちらっとおっしゃいました。

なぜかと言いますと、 集合住宅というものは非常に手間がかかりますし、 びっくりするようなデザインのもの作って世に問うという訳にもいきません。

建築の仕事の中でも比較的地味な仕事ではないかと思うわけです。

そのなかで、 非常に長い時間をかけて、 遠藤スタイルというものを作ってきたのではないかと思います。

   

 遠藤さんの仕事にも市街地の中に建っているものがいくつかございますが、 なかなか都心に建てるわけにはいきません。

しかし新しい住宅地で様々な集合住宅、 それも実験的というレベルを飛び越えて、 今はもう定着した1つのスタイルを作っているのではないかと思います。

   

 また、 今日の5回目のセミナーは、 これまでのセミナーにない、 非常にたくさんのお客さんに来ていただいています。

特に女性が多いというのはやはり遠藤さんのファンがずいぶんいるのじゃないかと、 感心したわけであります。

   

 前置きが長くなりましたが、 “これからの集合住宅の目指すところ”ということについて〜ランドスケープからインテリアまで〜という副題で、 遠藤さんの集合住宅に対するお考えを十分お聞きする機会ができたと思います。

報告が終わった後で、 当会議のメンバーであります江川さんと田端先生からのコメント、 あるいは質問を中心としまして、 みなさんと一緒に意見交換ができれば幸いかと思います。

それでは、 さっそく遠藤さんにお願いします。

どうぞよろしくお願いします。

   

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