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人工的環境における「実験」から

 とか言いながら私はやはり人工的な事が好きでして、 以前非常にひどい仕事をしたことがあります。

それは梅田の地下街に、 真っ暗なところに10,000ルックスの光を当てて花を咲かせようというものです。

お花が地下にいっぱい咲いていたら、 とてもびっくりするだろうということで建築設計が終わってから植栽計画を手伝わせていただいたのですが、 後で聞きますと、 冷房なしで夏は41度か42度にもなるそうです。

計画した本人に「何のためにやるのか」聞いたことがありました。

建築はいつも馬鹿なことをやると思います。

まず最初に循環のことを考えて、 上のほうに穴を開けるとかして、 エネルギーのかからない方法をどうして考えなかったのかと。

いつもはそういう仕事は受けないのですが、 私も事務所を持ったばかりでいろんな仕事をしなければと思いまして、 実験のつもりで受けたのですが、 そんな馬鹿げた仕事で出来た環境の中でも育つ植物はあるのです。

それを見つけ出すことが、 私にとってはものすごく楽しみなのです。

3,000ルックスくらいのところでもずっと生き延びる植物はありますし、 ビルの中に植物をどうやって入れていくのかということを考えれば、 実験として役には立つのです。

   

 岐阜でも一つやったのは、 私の大学院の同級生が「逆さレタス」というのをつくりまして、 これは松下電器の照明研と府大の環境の研究室が合同でやったものですが、 レタスを逆さにして育てたほうが光合成率が高かったそうです。

その同級生が次は椎茸を育てて、 椎茸というのは呼吸しかしませんから二酸化炭素を出すのですが、 その二酸化炭素を使ってレタスの光合成率を高めようというのです。

それで、 下にシイタケボックス、 上にレタスボックスを置き、 二つのケースを管でつなぎ、 ガスを循環させるといった実験をやりました。

   

 私もおっちょこちょいなので、 そんなのはすぐ出来ると思いまして、 システムが完成していないのに、 それを植物館の中で見せようとしました。

展示の中で子供に気付かせようと思ったら、 やはり実験しているところを見せないといけません。

「面白い」とか、 「何やこれ」とか、 そういったものを見せないといけないのですが、 日本の植物園では何かを仕掛けてやろうとか、 あまり提案がないのです。

私は街とか公園というのは、 先程吉村さんもおっしゃったように、 装置だと思うのです。

私にとって、 共生のための、 それを気付かせて教育するための装置だと。

私は花や植物が好きだから、 人に気付いてもらえるような仕掛けをつくっているのです。

人に植物の素晴しさを気付かせるためにはどんな手も使いますし、 いろんな方法があります。

   

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