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(105)これもコンクリートのプレキャストによる護岸のデザインで、 近くで見ますと汚いのですが、 少し離れて見ればそれほど悪くは感じません。 それは護岸にいろいろな構造要素を持ち込まないで、 単調に仕上げているからでしょうね。
[岐阜県木曽川]

 町の風景もそうですが、 川のデザインは、 近景・中景・遠景という距離感の中で注視して、 デザインとして許せるのは何処までかという許容範囲を考えて造らねばいけません。
 川の景観デザイン・川の整備は公共事業ですから、 システムとして単年度完成が原則となります。 そこで、 今年は100m分の予算がついたからその分だけ、 来年もまた同じように100m分だけというように行われます。
 これでは行政の方も、 その仕事を受ける民間の設計者も、 自分の受け持った100m分でしか川の景観を捉えることが出来ない。 そのため、 十年たったら1kmの川の中にいく通りものデザインがあるということも、 極端な例ですが、 あるわけです。 少なくとも川の風景をデザインする場合、 自分の受け持ちが100m分しかなかったとしても、 1km先の地域環境を読んで、 百年先の景観文化を創造し造っていく努力が行われなければならない。 そう思います。

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(c) by 長谷川弘直  
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