都市緑化の可能性
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ


植栽した植物のその後の生育

画像maru01
写真1 植栽した植物のその後の生育
改行マーク植栽をした当時の屋上の写真です。 特に屋上は、 緑地の生育が非常にいいのです。 先ほど江木さんから紹介がありましたように、 人工土壌が入っていますが、 全部で60cmで、 その下にパーブライトの層があります。 排水も非常によく、 この周辺にNEXT21より高い建物がありませんので、 日射条件も非常によいのです。

改行マークそういうよい条件の中で、 植えられた植物が大きく育っています。 中には、 外から入ってきた植物があります。 だいたい20種類ぐらいの植物が後から入ってきたのですが、 その代表がキリです。 もともとNEXT21の周辺は上町台地といい、 大地の周辺は湿地になっていました。 ですから、 キリとか、 エノキとか、 ムクノキとか比較的湿地とか河川系の植物が多いのです。 そういうものは、 まだ公園とか、 個人の庭とかに残っていまして、 そういうところから種が自然に運ばれてきて、 生えてきております。

画像maru02
写真2 屋上(現在)
改行マーク一番生育がいいのは、 植えられたものよりも、 自然に生えてきた木です。 屋上は写真のように生育が大変いい。 他にも1階から6階まで連続して植栽されて、 全体として緑地の面積を確保しているわけですが、 1階から6階までについていいますと、 どうしても日照条件の悪いところが何箇所かあります。 そういうところは、 少し生育が悪いところもありますが、 日照条件等を勘案した種類が植えられていますので、 比較的落ち着いていると思います。

改行マーク1階も特定の樹種の生育はいいのですが、 やはり屋上には及びません。 おもしろいのは、 見た目では分からない土の中です。 特に屋上がそうなんですが、 土壌動物がたくさんいます。 ちょっと掘るとミミズがたくさん出てきます。 木を搬入したときに一緒に土が根鉢として持ち込まれてきていますので、 それと一緒についてきたのでしょうが、 それが繁殖しています。 屋上はたくさん木が植えられていますけれども、 落ち葉を分解するというサイクルができていまして、 ちょうどこのあたりの雑木林と同じような種構成になっています。 もちろん全く同じとまではいきませんが、 同じ物がたくさんあって、 いい環境ができています。 それがずっと維持されてきているというのが現状です。

画像maru03
写真3 エントランスのツツジ
画像maru04
写真4 雑草(ヘクソカズラ)
改行マークこのあいだまでは、 エントランスの横のツツジがきれいに咲いていました。 ここの緑地が目標としたモデルは、 このあたりに昔あったと考えられる雑木林ですが、 下の方は花なども植えられています。

改行マーク生育しているものの中には、 雑草といわれているものもたくさんあります。 その一部をわざと残すとこで、 自然の雑木林の雰囲気を作ろうとしています。 その一つが、 通常造園家の方には嫌われる植物ですが、 ツル植物のヘクソカズラです。 ここでは上に巻き付かせるのではなく、 わざと下にたらして、 冬は葉が落ちて少し殺風景な景色になるのですが、 夏は青々とした緑が伸びて、 花もたくさん咲いて、 そこにチョウがきます。 雑木林の雰囲気を作る植物として利用しているわけです。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ