都市緑化の可能性
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ


緑化プロジェクトと

入居者の関わり方を考える

画像k11
図11 ワークショップで得られた住民の緑地への評価
改行マーク最後に、 入居者とワークショップを行ったとき、 緑地に関する意見をまとめたものをご紹介します(図11)。 アンケートの時と違って、 悩みながらも緑地と付き合い楽しみを見いだしていることがよく分かる結果となっています。

改行マーク緑地が良いとする人は、 「緑地が子供のためになっている」「子供が虫好きになった」「ナメクジを見てももう驚かなくなった」「やはり緑は安らぐ」「生活の一部になった」「花がいっぱいの時にお客が来ると嬉しい」という意見です。

改行マークそれに対し、 イヤだという意見は次のようなものがあげられます。 ただこれらの意見には、 「緑地が良い」と答えた人からも出てきたものもあります。

改行マーク「虫が広がっているのをみてぎょっとした」「枯葉の処理が大変」「台風のとき、 人工土壌が窓にビシビシ当たって怖かった」等の意見があり、 やはり相当苦労されているなあと感じます。 その他、 「雨のかからないところに植栽があるのはおかしい」「死角が多くて困る」という意見がありました。

改行マークこのように、 いいこととイヤなことが入り混じって「管理が大変だ」という声が多い。 「こんなレベルの緑地を人間が世話するのは無理だ」という意見も出ました。 また別の時の話ですが、 台風の時に木の枝が折れて道路に倒れてしまい、 入居者の人があわてて道路から引き上げたことがあったのですが、 後で私はその人から電話で「このような緑地は都市部では無理ではないか」と言われてしまいました。 やはり「入居者による管理は無理だ」とする声が根強くあります。

改行マークその他、 自動散水に関しては、 「水やりをやってくれるから良い」という意見と「上の階から水が降ってきて迷惑だ」という意見がありました。

改行マーク希望としては「中庭に入れるようにしてほしい」「緑との間に距離が欲しい」などの意見があります。 入居者にはいろんな気持ちが錯綜しているのだということが分かったワークショップになりました。

改行マークただひとつ私が思うことは、 入居者の意志を何も反映せず、 最初から緑地を用意して入居してもらったことで、 台風の時のように「他人(会社)の木をわざわざ拾いに行った」という気持ちになってしまうのではないかということです。 しかし、 それは受益者負担といいますか、 緑があることで日頃から入居者も気持ちのいい暮らしをしているはずです。 立体街路で子供も走り回れます。 ところが「自分たちで言って始めたことじゃない」せいか、 何かあるとすぐ電話がかかってくることになる。 今は屋上緑化がはやっていますが、 ここでいろんなことが起こったように、 安易にそんなプロジェクトをして入居者をが入ると後が大変になるということが、 私の正直な気持ちです。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ