前に 目次へソスロの昼寝男
吉野国夫
(DAN計画研究所)
ジョグジャカルタは基本的に細かな小路の集まった街区からできている。 自動車の走るような通りに面して建つ家は全体からみれば少数派で、 小さな門を入ると、 そこに人々の居住ゾーンがひらけるのだ。 歩いてると、 街の要所には大きな木製の警報用のドラが設けられていたりする。 これは村と同じ構造である。
ソロス地区*はガイドブックに載るようなメジャーなホテル集積地だが、 写真のような男に出会うほど、 ある種安全でのんびりした都市空間である。 使い込まれたセメント仕上げの縁台は思わず腰をかけたくなるような質感をもっている。 鳥かごから聞こえる子守歌のような鳴声は、 この町の住人と見事な調和を見せ、 観光客の質と量によっては極めて危ういバランスの上で成立している空間でもある。
注*:ソスロビジャヤンの略