the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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手づくりの小さな公共空間

山本茂

(生活環境問題研究所)

 バリでは伝統的な4つの村を視察したが、 どの村にも共通して言えるのは公共空間が立派なことだ。 ほとんどの村が中央部に帯状の広場をもち、 そこに寺院や集会所、 米倉などが並んでいる。 民家は広場に直角に伸びる路地に張り付くように建っており、 それと対比的にゆったり配置された公共施設群がよけい贅沢に感じる。
 ブグブグやティンブラの広場では、 若者たちがメガワティの応援旗づくりをしたり、 子ども達が棒を押し合って遊んだり、 集まって談笑していた。 これらの広場と公共施設は、 村の宗教的行事や慣習、 戒律などとともに、 はるか昔から伝えられてきたものと思われるが、 今日でも日常生活に密着して利用されていることが伺えた。
 写真はジャワのコタグデの村で撮影したものである。 私有地と思われる空地の端に道に面して、 木と竹と藁でできた2畳ほどの小さな庵があった。 親父と息子と思われる2人が片足を立てて座り、 その前に近所のおばさんらしき人が腰をかけている。 夕涼みがてら、 世間話でもしているのだろうか。 シャッターを向けると、 みんな白い歯を出してニコッと笑ってくれた。 この笑顔がたまらなくいい。
 写真を見ていると、 この人はどんな気持ちでこの庵をつくったのだろうかと思ってしまう。 昼寝や夕涼みの場所かもしれないが、 道に面していることは、 通りがかりの人がふらっと寄って休憩したり立ち話をしていける場所を用意したのかもしれない。 手づくりの小さな公共空間だ。 バリの伝統的な村の公共空間のつくりも含めて、 インドネシアの人は「公共」とはどんなことかをよく知っていると思う。

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