パブリックを問う(1)
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 一番最初にお話しした公共空間の私有化、 あるいは個人の活動の集積として公共空間はあるべきではないかということとほとんどパラレルですが、 私有化しようとすると庭園化することになるのではないかと思います。 公園というものがずっとつくられてきたわけですが、 実は我々がつくるべきは庭園なのではないか、 ということです。
 シアトルにロバート・アーウィンというアーティストがつくった広場があります。 「ナインスペース」という名のとおり、 9つのスペースに区切られた中に9本のプラムの木が立っています。 まさに個別化されているのですが、 これは公共空間がいかなるものであるべきかということを考えさせる作品です。 ここがたまたま刑務所の前であるということから、 プラムの木が9本受刑者のように囲まれている広場をロバート・アーウィンはつくったわけです。 もともとアートとしてつくってくださいという発注でしたから、 許されたのだろうプロジェクトだとはと思いますが。
 ただこれがプライベートな感覚、 あるいは若干迷路状になっていて歩いて楽しい感覚をもっていて、 今でも市民に人気があります。 またブルーのスクリーンが非常に美しく、 中に入るとそれまで灰色に見えていた都市が、 ブルーのシルエットになって見えてくるわけです。 それによって街との距離感ができる、 というように面白いスペースになっています。

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