まず、 佐伯さんのお話に入っていなかったのは、 食欲です。 色里や遊郭では食べに行くとか宴会するとか、 そういうことがすぐ付いてきたんじゃないかと思うんです。 それに、 宴会をやってセックスをするだけではあっという間だから、 そこに芸能が入っているんです。
皆さんはご存じないかもしれませんが、 温泉なんかでやってるようなのは一般的で、 芸者特有の、 もっと高尚でおもしろい遊びがついてくるんです。 生駒とか今里とか九条とかあっちこっちで、 宴会やって遊びをして、 それで泊まって帰るという遊びをやっとったんです。
それが法律で禁止され、 赤線が廃止されて分解していったんですが、 ラブホテルがほぼ同じ頃に出来ています。 桜宮にものすごいネオンがばーっとできて、 十三や生玉にもホテル街ができていったんです。 そこには彼女と一緒に行くとは限りません。 色々なやり方があったんだろうと思います。 それからトルコ風呂もそういう意味で同じですね。 あれなんかはまさに遊郭です。
これらは性欲ですが、 食欲の方も分離してきたんです。 大きな料亭から居酒屋までいろんなグレードがありますが、 料理屋ですね。
それから芸能の方では、 昔の遊郭の周辺にはストリップ劇場があったんです。 昔は自分のお座敷で食事を出して、 ストリップ劇場の踊り子を呼んで接待や遊びをしていました。 そういう実態から見ると中座と大和屋という対比は大変上品なお話です。
たとえ色里がなくなっても、 サロンもあれば、 スナックもどんどんできています。 みんな女性の仕事ですね。 そういうふうに現在は、 色里にあった機能がべつの形で都市の中にできていると思います。
体験的色里論
有光友興
もっと実態に即した議論を
丸茂先生の高尚なお話の後ですが、 都市を見るために具体的なお話をします。
色里は苦界か
それと色里についてですが、 女性に売春させているとか、 女性を慰み物にしているとかいうようなものの見方は、 ものすごく狭いですね。 そういう面もないことはないと思いますが、 本当は違うんです。 これは女性の職場なんです。 そこでは男性が消費者で、 女性が仕事をしてお金を稼いでいるという構図があって、 それは絶対なくならないと思うんです。
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